
2008年度 AO・推薦・スカラシップ入試はこうなる
入試制度が複雑になり、選択肢が広がる「複線化」が進む中、書類選考や面接を中心とし、成績よりも志願者の個性を評価する「AO・推薦入試」が広がっています。また、入試成績が優秀な受験生に対して、学費の優遇や奨学金の給付がある「スカラシップ入試」制度も導入が進んでいます。
2008年度に予測される入試動向とその対策法について、「逆引き大学辞典」の小島富夫編集長にお話を聞きました。
入試の多様化が進むと共に、AO・推薦による進学が急増
全体の傾向としては、入試方式の多様化と受験日程の拡大がますます進み、受験生にとっては受験日選択制、地方試験、複数学部・学科の併願制、複数回受験など、入試の選択肢が大きく広がっています。いわゆる「入試複線化」の現象ですが、大学側の負担が大きく、その傾向はやや鎮静化しつつあります。
また、AO入試や推薦入試による進学が急増し、私立大学では入学者のうちほぼ半数を占めています。そのほか「センター試験利用入試」も急速に増えています。大学入試センターの発表では、2007年度に私立大579校のうち77.7%にあたる450校、1,243学部が採用しています。
また、各大学とも入試制度が複雑で分かりにくくなり、早めの情報収集と慎重な選択が大切になっています。
大学ごとの個性に合った学生を集めるAO入試制度
AO入試は、もともとアメリカで広く行われている入試ですが、ここ5年ほど採用する大学が順調に増加し、2001年度には199大学(私大全体の40%)、369学部(同30%)で実施していましたが、2006年度は380大学(同68.8%)、833学部(同57.3%)にまで増加しています。
AO入試が注目される背景には、大学が自らの教育理念や校風を明確にして能力のある学生を選考しようという、大きな潮流があります。他の推薦入試との違いは、大学の学部や学科ごとに、教育方針や大学が求める学生像を宣言した「アドミッション・ポリシー(入学選考の方針)」を公開し、これが選考の基準になることです。選考では、成績よりも課外活動の実績や勉学への積極性、キャリアプランや自己表現力が重視されます。
一方、指定校、公募制推薦の入試は、2006年度で私大の97.9%、1423学部で実施しています。
書類や面接で自分をアピールできる「実力」を磨け
学科試験の負担が小さいので比較的簡単に見えますが、安易に出願することは禁物です。特にAO入試では提出する書類は多岐にわたり、しかも充実した内容が求められます。たとえば自己推薦書や活動報告書などでは、単に決められた作文を書くという姿勢ではなく、文章のテーマや構成、文章表現などに注意し、十分な時間をかけて準備する必要があります。
面接では、勉強で身につけた暗記力や知識よりも基礎力で勝負することになるため、本当の意味の実力を地道に養うことが重要です。さらに、学校の勉強だけでなく、広く世の中の問題に日頃から関心をもつように心がけましょう。趣味や興味のある事柄については、自分の考えを文章で整理し、自分の言葉で語れるよう訓練しておくことも一つの方法です。
入試を頑張れば、学費の免除や奨学金給付を得られる
入試で優秀な成績を収めた学生を、学費の免除あるいは奨学金の給付で優遇する制度で、多様化入試の一つの表れと捉えることができます。優遇の方式には、返済免除の「給付」、返済義務がある「貸与」、さらに両者を組み合わせる場合もあります。
個別の入試方式として実施する大学と、一般・推薦入試の成績優秀者に適用する大学に分かれますが、どちらも高い学力と意欲をもつ学生を、全国のなるべく広いエリアから集めることを目的としています。
この制度が広がっている背景には、2つの大きな潮流があります。一つは、大学院進学率(特に理工系)が上昇し、大学の在籍期間が長期化して学費負担が重くなっていること。もう一つは、大学への進学率が高くなり(大学・短大合計で2006年度には52.3%)、経済的な支援を必要とする受験生や学生の占める割合が増えていることで、この傾向は今後も広がることが予測されます。