テーマ 6 医療・福祉
医療や福祉に関する不安が、この数年で一気に高まっている。日本には世界的にも優れた社会保障制度があり、品質の高い医療と福祉を安い費用で提供してきた。高齢化と少子化という社会構造の激変により起きた健康保険・年金制度の破綻に、有効な手を打って来なかった厚生行政には責任がある。
国民の生命とくらしを守る医療や福祉の分野は市場法則だけにゆだねるべきでなく、行政主導による長期的な視野に立った政策、持続可能な制度の確立が待たれる。また、障害をもつ人にも暮らしやすい都市環境や社会システムを実現する「バリアフリー」の理念を普及させることも課題となる。
医学技術の急速な進歩は、医療や福祉への意識の変化ももたらした。たとえば、臓器移植や再生医療、遺伝子治療といった先端医学は多くの難病を解決するが、生命倫理という観点から点検することが求められている。
国民の生命とくらしを守る医療や福祉の分野は市場法則だけにゆだねるべきでなく、行政主導による長期的な視野に立った政策、持続可能な制度の確立が待たれる。また、障害をもつ人にも暮らしやすい都市環境や社会システムを実現する「バリアフリー」の理念を普及させることも課題となる。
医学技術の急速な進歩は、医療や福祉への意識の変化ももたらした。たとえば、臓器移植や再生医療、遺伝子治療といった先端医学は多くの難病を解決するが、生命倫理という観点から点検することが求められている。
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■ News & Topics
難病の画期的な治療法や新しい医薬品の開発など、医療や生命科学の進歩は多くの人々の生命を救ってきた。たとえば多くの「がん」は、早期に発見して適切な治療を施すことによって治せる病気になりつつある。また、医療の役割も変貌しており、インフォームド・コンセント(情報を得たうえで納得すること)の思想から、患者に病状や治療について詳しく説明をすることが求められている。
しかし、医療の進歩は一面で、技術と倫理の対立という新たな難問を私たちに突きつけている。研究のために受精卵を壊したり、遺伝子を組み換えたりすることには、根強い反対の声が上がっている。倫理や哲学的な側面から、医療技術と病気との関係を問い直す時期が来ている。
難病の画期的な治療法や新しい医薬品の開発など、医療や生命科学の進歩は多くの人々の生命を救ってきた。たとえば多くの「がん」は、早期に発見して適切な治療を施すことによって治せる病気になりつつある。また、医療の役割も変貌しており、インフォームド・コンセント(情報を得たうえで納得すること)の思想から、患者に病状や治療について詳しく説明をすることが求められている。
しかし、医療の進歩は一面で、技術と倫理の対立という新たな難問を私たちに突きつけている。研究のために受精卵を壊したり、遺伝子を組み換えたりすることには、根強い反対の声が上がっている。倫理や哲学的な側面から、医療技術と病気との関係を問い直す時期が来ている。
■ News & Topics
バリアフリーとは、障壁がないという意味。高齢者、障害をもつ人にとってのさまざまな障壁をなくし、快適な社会を実現していくための目標を示す言葉だ。
この理念に基づいて、公共性の高い施設では階段をなくしてスロープにしたり、エレベーターやエスカレーターを設置するなど、社会的な弱者が利用しやすいように改修が進められている。
さらに、高齢者が暮らす住宅をバリアフリー化するための建築技法、人間工学の立場から高齢者や障害者にも使いやすい技術やカタチを開発する「ユニバーサルデザイン」など、ハードウェアとソフトウェアの両面で、弱い立場の人々が暮らすための社会的障壁をなくしていく努力が始まっている。
バリアフリーとは、障壁がないという意味。高齢者、障害をもつ人にとってのさまざまな障壁をなくし、快適な社会を実現していくための目標を示す言葉だ。
この理念に基づいて、公共性の高い施設では階段をなくしてスロープにしたり、エレベーターやエスカレーターを設置するなど、社会的な弱者が利用しやすいように改修が進められている。
さらに、高齢者が暮らす住宅をバリアフリー化するための建築技法、人間工学の立場から高齢者や障害者にも使いやすい技術やカタチを開発する「ユニバーサルデザイン」など、ハードウェアとソフトウェアの両面で、弱い立場の人々が暮らすための社会的障壁をなくしていく努力が始まっている。
■ News & Topics
リハビリテーションとは、失われたり弱ったりした身体機能を回復させるために、専門家が処置を行うことである。たとえば、人は高齢になると病気や怪我をしやすくなる。治療のために安静にしていると、その間に足の筋肉が衰えて歩けなくなったりする。リハビリテーションの専門家はこのようなとき、たとえば温熱や物理的な力を利用して患者に働きかけ、歩行機能の回復を試みる。近年、福祉の分野では「ノーマライゼーション」という言葉を頻繁に耳にする。高齢者や障害者を過度に特別視せず、なるべく普通に生活してもらおうという考え方である。リハビリテーションはノーマライゼーションを実現するための有効な手段として、注目を集めている。
リハビリテーションとは、失われたり弱ったりした身体機能を回復させるために、専門家が処置を行うことである。たとえば、人は高齢になると病気や怪我をしやすくなる。治療のために安静にしていると、その間に足の筋肉が衰えて歩けなくなったりする。リハビリテーションの専門家はこのようなとき、たとえば温熱や物理的な力を利用して患者に働きかけ、歩行機能の回復を試みる。近年、福祉の分野では「ノーマライゼーション」という言葉を頻繁に耳にする。高齢者や障害者を過度に特別視せず、なるべく普通に生活してもらおうという考え方である。リハビリテーションはノーマライゼーションを実現するための有効な手段として、注目を集めている。
■ News & Topics
世界一の長寿国となった日本では、高齢者に対する介護が重要性を増している。元気で自活する人もいるものの、日常生活に他人の手助けを必要とする人が増えている。都市への人口集中と核家族化という社会構造の変化から、ひとり暮らしをする高齢者も多くなっており、今後、介護へのニーズはいっそう高くなるだろう。
2000年度から、なるべく低い負担で公的な介護サービスを利用できることをめざし、介護保険制度がスタートした。古くから日本では、肉親による世話が前提とされてきたが、認知症や身体の障害により食事や排泄などにも介添えが必要な人の介護は、肉体的な負担が大きい。これからは、社会全体で高齢者を支えていくシステムの整備が望まれる。
世界一の長寿国となった日本では、高齢者に対する介護が重要性を増している。元気で自活する人もいるものの、日常生活に他人の手助けを必要とする人が増えている。都市への人口集中と核家族化という社会構造の変化から、ひとり暮らしをする高齢者も多くなっており、今後、介護へのニーズはいっそう高くなるだろう。
2000年度から、なるべく低い負担で公的な介護サービスを利用できることをめざし、介護保険制度がスタートした。古くから日本では、肉親による世話が前提とされてきたが、認知症や身体の障害により食事や排泄などにも介添えが必要な人の介護は、肉体的な負担が大きい。これからは、社会全体で高齢者を支えていくシステムの整備が望まれる。
■ News & Topics
現在、日本は人口の5人に1人以上が65歳以上の高齢者。スウェーデンと並ぶ、世界有数の高齢国である。人が長く生きられるのはよいことだが、いっぽうで高齢化による問題も発生している。たとえば、年金、介護保険、医療については、現行の制度を維持できるかどうかが危ぶまれている。これらはいずれも、国民が安心して暮らすために欠かせない大切な制度。対応を間違えると国の根幹を揺るがせかねない。日本は今まで、さまざまな分野で欧米先進国のやり方を取り入れながら国を発展させてきた。しかし高齢化については、手本とすべき国がどこにもない。今後、高齢化は多くの国で進行する。高齢化先進国・日本のあり方に、世界中が注目している。
現在、日本は人口の5人に1人以上が65歳以上の高齢者。スウェーデンと並ぶ、世界有数の高齢国である。人が長く生きられるのはよいことだが、いっぽうで高齢化による問題も発生している。たとえば、年金、介護保険、医療については、現行の制度を維持できるかどうかが危ぶまれている。これらはいずれも、国民が安心して暮らすために欠かせない大切な制度。対応を間違えると国の根幹を揺るがせかねない。日本は今まで、さまざまな分野で欧米先進国のやり方を取り入れながら国を発展させてきた。しかし高齢化については、手本とすべき国がどこにもない。今後、高齢化は多くの国で進行する。高齢化先進国・日本のあり方に、世界中が注目している。