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農芸化学の分野


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 農芸化学は、農業に関する化学的なテーマを研究する学問です。理学分野における化学や生物学の成果を、農業技術に応用するジャンルで、農業生産に不可欠の農薬や肥料の技術をはじめ、農産物の保存や加工のための技術、さらに農産物から食品を製造するための技術を開発することがテーマとなります。

農芸化学の分野の特徴


バイオテクノロジーを幅広い農業技術に応用する

 農芸化学は、農業のいろいろな技術について、化学的なアプローチで研究する学問です。化学や生物学を農業技術に応用する学問ジャンルであり、農学分野におけるバイオテクノロジーの中心的な役割を果たしています。
 具体的には、農業生産の効率化、農産物を安全に貯蔵したり長期保管するための技術、食品の生産加工技術、農産物の栄養価と味の向上といった課題に、化学の視点で取り組み、農業の増産や品質向上をめざすことがテーマとなります。
 研究手法としては、「応用化学」や「応用生物学」といった工学系統の学問とよく似ており、化学的な実験・分析が重視されるという特徴があります。
 最近は、農業や食品関連だけでなく、薬剤、医薬品関連の領域を扱うことも多く、たとえば、微生物や酵素の機能を利用した医薬品や洗剤などの開発、微生物を使ったバイオマス(廃棄物などの生物資源)の生産といった研究もあります。

肥料と農薬の開発、貯蔵と保管の技術、食品加工が3つの柱

 農芸化学には、生産から貯蔵、加工まで、農業のすべての過程に関わる幅広い研究が含まれており、大きく分けて、次の3つの領域があります。
1.農業生産の化学……農業生産の基盤となる農地の土壌、農薬や肥料などを扱います。生産性を向上させたり、環境に対する負荷を減らすための化学的手法を研究します
2.農産物の貯蔵と加工の化学……農作物の腐敗や劣化の仕組みを検証し、効果的な貯蔵や保管技術(冷蔵や冷凍技術、レトルトや凍結乾燥など)を開発する分野、食品の味や栄養成分を分析し、食品加工や調理の技術を研究する分野があります。
3.食品生産の化学……発酵や醸造によって生産される乳製品、醸造調味料、酒類、漬け物をはじめ、あらゆる農産物の加工食品の製造について研究する分野です。この領域では、日本の技術が伝統的に秀でており(味噌・醤油など)、世界的にも注目されています。

農芸化学の分野では何を学ぶ


農作物、肥料、農薬などを対象に、化学手法による多彩な実験科目を履修

 農芸化学では、あらゆる種類の生物(植物、動物、微生物)に加え、農地の土壌、肥料や農薬、食物に含まれる栄養まで、非常に幅広い研究対象を扱うため、大学ではまず、生物学と化学を並行して学んでいくのが特徴です。
 具体的には、あらゆる生物の身体の構造とはたらきを深く理解するための《基礎生物学系》の科目(植物生理学、動物生理学、微生物学など)、生体をつくる物質の機能に関する知識と分析手法を学ぶ《基礎化学系》の科目(生物化学、生物有機化学、分析化学など)を中心に履修します。さらに、人間の体内での消化や吸収という生理作用を解明するため、栄養学や医学の基礎知識も重要な学習項目となります。
 講義科目に加えて、化学手法を基盤にしたさまざまな実験科目が配置されます。実験器具の基本操作から、新しい実験の計画(目標とプロセス)と実行まで、研究に必要な専門技法を段階を追って学んでいきます。

「生化学」系の手法を中心に、生産、貯蔵、加工の実践技術を学ぶ

 専門課程では、応用する分野ごとに分かれた《生化学系》の科目が基本となります。人体と食品・栄養についての化学的にアプローチする「酵素化学」「食品化学」「栄養化学」、生産環境についての化学的知識と手法を学ぶ「環境化学」「土壌科学」「環境微生物学」などの科目があります。
 さらに応用・発展課程では、農業生産の化学、食品加工や貯蔵、利用の化学、醸造食品生産の化学という3領域に分かれて科目が配置され、専攻や将来の目標によって選択履修するのが一般的なカリキュラムです。
 まず、農業生産の化学には、「土壌管理学」「肥料動態学」「農薬科学」などがあります。食品(発酵・醸造)生産の化学では、「酵素利用学」「微生物利用学」「微生物遺伝育種学」など、酵素や微生物の利用法についての科目が中心となります。食品利用(貯蔵・加工・栄養)の化学には、「食資源利用学」「食品保存学」「食品衛生学」があります。
【文章 大学教育研究所】

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