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理学系統

化学の分野

化学の分野

自然界のあらゆる物質の特性と反応のしくみを取り出し、物質の構造と性質を解明。それらを違う分量で化合したり、別の組合せにして、これまでになかった新しい「物質」を作り出す

分野の特徴

物質の性質を解明し、有用な物質を発見・創造する

 化学は、あらゆる「物質」の構造や性質を研究する学問です。
 自然界にある物質は多種多様で、性質もさまざまですが、すべて「原子」によって構成されることは共通しています。この原子の種類(元素)は、自然界には92種類、人間が作り出した元素を合わせて109種類です。たったこれだけの種類から、ほとんど無限大に広がる多彩な物質が作られているわけです。
 物質は、外界の環境によって、固体・液体・気体、液晶や粉体などのさまざまな状態に変化し、構造や性質が変わります。また、複数の物質が結合したり反応することで別の物質が生まれます。
 化学では、物質の微細な構造を探り、物質が特定の条件で変化したり、物質同士が反応するときのメカニズムを解明します。社会に役立つ物質を発見したり、原子や分子の結合状態を新たに組み合せることで、優れた性質をもった物質を作り出すことが、化学の役割です。

「生化学」「物理化学」の研究領域が大きく発展

 化学の研究領域は、次の3つに大きく分かれています。
1. 金属やセラミックス、ガラスなどの無機物質を研究する分野:「無機化学」
2. プラスチックなどの高分子物質、アミノ酸などを研究する分野:「有機化学」
3. 物質を精密に計測して、微細な構造を解明する分野:「物理化学」
 無機化学は、光ファイバーを用いた高速通信や半導体テクノロジーの基礎領域となります。有機化学の分野は、有用性の高い機能性プラスチックや医薬品、農薬などを開発するための基礎領域です。また、アミノ酸やタンパク質など、生物の身体をつくっている生体物質を研究する「生化学」も、有機化学の1ジャンルです。物理化学は、物理学のアプローチから物質に迫る領域で、超伝導物質や触媒技術の基礎となります。
 さらにもう一つ、未知の物質の種類を特定したり、物質に含まれる組成や量を正確に計測する技法を扱う「分析化学」という学問領域もあります。

何を学ぶ

まず基礎学で、物質の構造・性質・反応メカニズムを体得

 この分野では、化学の基礎をなす「無機化学」「有機化学」「物理化学」「分析化学」を中心に、基礎から応用までを幅広く学びます。基礎課程では、4つの化学分野に加えて「数学」と「物理学」も重要な履修科目となります。
 まず、無機化学および有機化学の領域では、それぞれ金属を中心とした無機化合物、および地球上の物質の9割を占める有機化合物を整理して体系的に理解します。それぞれの性質や構造、変化のしくみを詳しく調べ、材料として利用する際の基礎知識を学びます。
 ここでのカリキュラムは、いずれの場合も、講義科目と演習・実験の組み合わせによって構成されます。講義および演習科目では、基礎概念や理論的な枠組みについて修得し、実験科目では、化学反応の観察、物質の計測や計量といった実証的手法によって理論を裏付け、深く理解することをめざします。

注目度が高いアミノ酸やタンパク質研究の「生物化学」

 また、「物理化学」では、化学反応におけるエネルギーの変化について、物理学の重要な理論体系である熱力学の視点で、物質の構造と反応を分析します。「生物化学」では、生物の身体を構成するアミノ酸やタンパク質、酵素などの高分子の性質を理解し、生体内で起きている化学反応を分析します。
 化学は、物質の性質や構造を探究することを目的とした理学の領域(基礎科学)のジャンルですが、工学や薬学などの<応用学>と密接なことも特色です。そのため、大学では発展科目として、たとえば工学系統の《応用化学の分野》につながる「材料化学」「高分子化学」の基礎、あるいは化学を社会に役立てるための関連領域もあわせて学べるのが一般的なパターンです。ちなみに、化学物質の取り扱いと安全な実験方法を学ぶ「安全化学」、公害を引き起こす有害物質など、環境の中にある物質濃度の計量技術を学ぶ「環境化学」などがあります。

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最先端の学修環境で化学を学ぶ <応用化学科>

応用化学科では、専門的な化学に加え物理やバイオテクノロジーなどさまざまな分野を学び、化学関連産業に関わる人材に必要な豊かな知識を修得します。さらに1学年から実験・実習を繰り返し行いながら知識と技術を融合させ、実践的能力を身につけます。最先端の実験装置・設備を用いて研究に取り組み、広く産業界・実社会で活躍できるグローバルエンジニアを目指します。

日本工業大学 基幹工学部

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