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理学系統

地学の分野

地学の分野

無数の生命を育む地球の構造や運動のメカニズムを包括的に学習。そこで行われる生命活動とその環境を分析し、地球の未来にアプローチする。地震などの災害対策など応用的側面も拡大

分野の特徴

無数の生命を育む地球環境のしくみを解明する

 地球で生じる現象のしくみを解明したり、地球の構造と歴史、地球の将来の姿を研究する学問です。
 地球は約46億年前に、強大なエネルギーによって多様な物質が固まることで生まれ、地球内部には誕生の際のエネルギーが閉じこめられていると考えられています。さらに、太陽から照射されるエネルギーを受けて、地球は常に活動を続けながらその姿を変えています。また、地球環境の中で、たくさんの偶然の要素が重なったことで、タンパク質の一種から生物が生まれ、その後の進化と系統分化によって、現在の生態系を形成しました。
 地球表面には、大陸と地層、大気圏、海洋圏、生物圏などの多様な環境があり、そのほか地底(地球内部)、大気圏外、地球を含む惑星や太陽系も、地学の対象となります。地球をつくる物質と環境、さまざまな自然現象や生命活動を一つのシステムとして考え、統一的なメカニズムを解明することが大きなテーマとなります。

基礎理論から応用技術まで研究領域は多種多彩

 地学の研究対象は非常に多岐にわたり、手法やアプローチもさまざまです。
 たとえば、地球の構造と地球の活動のしくみ、地球の歴史を探る基礎的な研究領域としては次のようなテーマがあります。
1. 地形(大陸や海洋の構造を探る)と気象(大気と海洋の運動を探る)
2. 地層・地質(地殻の構造と構成物を解明する)と岩石・鉱物
3. 化石と古生物(太古の地球上に棲んだ生物を調べる)
4. 地球物理(地球の内部構造と運動のしくみを探る)
 また、基礎領域の研究成果を実社会に役立つさまざまな技術に応用したり、他の学問へつなげる領域としては、次のテーマがあります。
5. 地震や火山噴火(それぞれのしくみと予知を研究)
6. 天気予報と長期的環境変化の観測
7. 天然資源の探知
 もっとも、基礎と応用の2つの領域は密接につながっており、応用的な研究から基礎領域の新しい発見が生まれるなど、互いに深い関連性があります。

何を学ぶ

《地圏、水圏、気圏、生命圏》の4要素を学ぶ

 地学の分野では、まず地球とその周辺の環境を形作っている「地圏(陸地と地球内部)、水圏(海洋や河川、湖沼)、気圏(大気)、生命圏(動植物の生態)」の4つの要素について、基本的な知識と技術を身につけることが求められます。
 この基本的な概念や理論のうえに、とくに、地学研究の柱となる《地質科学》《地球物理学》《自然地理学》の各分野を学び、基礎固めをします。同時に、物理学・化学・生物学を土台にした実験や実習により、地学特有の実践的な研究手法を修得します。
 《地質科学》は、地質、岩石や鉱物、古生物などを扱う狭義の「地学」に相当する分野で、地形や環境の変遷を中心に、地球の歴史を解明します。《自然地理学》は、地形と気候の多様性、気象のメカニズムなどを扱う分野です。また《地球物理学》は、地殻変動や地震や火山噴火、地磁気の変化などを観測して、地球システムの総体的な変動を解明します。

災害研究や資源開発の技術など、応用学も多彩

 基礎科学であるとともに、応用的側面が強いのも地学の特徴です。研究分野は目的や方向性によりいくつかのタイプに分類され、専攻・コースに分かれて学ぶのが一般的です。
 まず、理学的な分野。ここでは、基礎課程で学んだ地質学、岩石学、鉱物学などをさらに深く研究する「地球科学」「自然地理学」「地球物理学」といった学科目が中心です。また、地質や地層の調査法、人工衛星により地形や海洋、大気の変化を観測する「リモートセンシング技術」といった地学研究のための基礎的技法を学びます。
 工学技術の土台につながる応用分野としては、地震や火山噴火など自然災害のメカニズムを解明する「地震学」「火山学」、天然資源の探査と開発を行う「地球資源科学」、土壌や水質、大気の環境を分析する「地球環境科学」といった科目があります。そのほか、土壌に応じた掘削技術を研究する「岩盤工学」や、河川や湖沼の水を管理したり、有効な利用法を考える「水理学」など、土木系の科目もあります。