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教育系統

体育学の分野

体育学の分野

運動能力の増強やスポーツ競技の技術向上のために、「運動」を総合的に研究する分野。各種のスポーツで運動理論と実技力を培い、健康で頑健な身体づくりのノウハウや技法を探求する

分野の特徴

体力と健康づくりを研究し、保健体育教員をめざす

 体育学は、「運動」と人間の体力・健康づくりについて、総合的に研究する学科です。保健教育の教員の養成を目的に、「体育」教科の理論・技法として発展した分野で、学校における子どもの体力強化と健康増進をめざします。
 子どもの健やかな発育のためには、規則正しい食事や十分な睡眠時間とともに、日常的な運動の習慣をつけることが不可欠の要素です。
 現代の子どもたちは、野外を走り回って遊ぶことが少なくなり、不規則な食事や屋内に閉じこもりがちな生活で、体力の低下が目立っています。昔に比べて体格は大きくなったものの、すぐに風邪をひいたりケガをする子どもや、肥満に悩む子も増えています。
 保健体育の教員は、運動を通して日頃から子どもたちの健康状態を観察し、運動によって体力を養うことに加え、スポーツの楽しさを教え、身体を動かす習慣をつけさせるという、学校教育において非常に重要な役割を担っています。

競技の戦術から、スポーツ大会企画まで幅広く研究

 体育学には、幅広い研究領域が含まれますが、大きく《運動と健康の理論》《スポーツ実技》に分類できます。
 運動理論では、まず人間の身体の健康や運動機能についての理論的研究、たとえば、人間の骨格や筋肉のしくみ、呼吸など、運動についての生理学・解剖学的な研究があります。また、健康でスポーツに適した身体をつくるための栄養分や食生活の研究、スポーツのための筋肉の効果的な鍛え方、食事とトレーニングによる基礎体力づくりといったテーマがあります。
 学校や企業の体育大会、スポーツ競技会などの企画や、実際の運営方法を研究するジャンルもあります。
 スポーツ実技では、競技生活を送るための、幅広い知識と実践技法を研究します。競技ごとの戦術の習得、攻撃・守備などの競技能力を向上させるための練習、競技に合った基礎体力をつけるためのトレーニング、運動後の疲労回復や身体のケア、といったテーマがあります。

何を学ぶ

人間の運動理論を軸に、実技の能力、教え方を学ぶ

 学習内容は、《健康と運動理論》《スポーツ実技》《体育・保健教育》の3領域が大きな柱となります。
 《健康と運動》の領域では、「生理学」「解剖学」「栄養学」「公衆衛生学」といった、生物学や医療・保健系統の基礎知識を学んだうえで、「運動生理学」「運動栄養学」「スポーツ医学」「バイオメカニクス(生体機械力学)」など、人間の運動についての専門科目を学びます。
 《スポーツ実技》では、陸上、球技、水泳、武道など、競技ごとに細分化した基本理論と戦術、トレーニング法を学び、実技能力を磨きます。
 《体育・保健教育》では、心理学・社会学・教育学の基礎知識、学校教育の理念を学んだのち、「学校体育論」「保健授業論」「体育授業論」などの授業方法を学ぶ科目、さらに「学校保健論」「学校安全論」「学校危機管理論」など、学校の現場で子供たちの健康と安全を管理するための科目を履修します。

スポーツ医学、スポーツ経営学などへの発展科目も増大

 基本領域から発展した領域には《スポーツ科学》《健康科学・スポーツ医学》《スポーツ経営と文化》があり、この中から1つまたは複数を選んで専攻するのが一般的です。
 スポーツ科学では、運動能力を強化する科学的トレーニング理論を学ぶ「スポーツ科学論」「スポーツ方法論」「運動力学」、またコーチやトレーナーなどのスポーツ指導者をめざすための「コーチング学」「測定評価学」「スポーツ心理学」といった科目を履修します。
 健康科学・スポーツ医学は、健康や病気リハビリのための日常的な運動法、それにスポーツによるケガの治療について学ぶ領域で「生涯スポーツ学」「スポーツ医学」「健康スポーツ学」といった科目があります。
 スポーツ経営学では、スポーツ産業、スポーツイベントの管理経営を学びます。スポーツ文化では、スポーツ振興への理解を深めるための「スポーツ人類学」「スポーツ社会学」「スポーツ史」という科目があります。