![]() |
|
小学校教諭の仕事 |
|
|
同志社小学校 清水 英晶さん(31)
同志社香里高等学校を卒業後、同志社大学に入学。大学時代は馬術部に所属。4年間、毎日馬と生活を共にする。卒業後はアルバイトをしながら、佛教大学通信教育部に入学し、小学校教員の免許を取得する。そして、公立小学校で6年間勤務した後、同志社小学校の教員となる。現在、小学2年生の学級担任をしている。 |
大学時代の部活の経験が、社会人としての自信に
2006年4月に開校したばかりの同志社小学校。明るく開放感あふれるオープンスペースでは、休み時間になると、子どもたちが元気いっぱいに駆け回る。
「私も、小学生のときは毎日がとても楽しかったんです。休み時間や放課後に、友だちと思いっきり遊んでいました」
祖母が小学校教諭で、幼いころから“教諭の仕事”の話を聞いて育ったという清水さん。将来は小学校教諭になろうと、漠然と考えていたそうだ。
だが、高校時代は部活に入らず、授業が終わればまっすぐ帰宅していた。夢中になれるものが見つからず、3年間を無為に過ごして卒業してしまった。それが心残りとなり、大学では馬術部に入部。
「馬に乗って障害コースを走る個人競技ですが、意外にも、部員とのコミュニケーションが不可欠でした。なぜなら、馬の世話は365日の休みなしです。部員みんなの意思統一と連携がうまくいかなくては、馬が調子を崩して、競技ができなくなります。そのため、泊まり込みの当番もありました。体力的にハードで、途中で退部する部員もたくさんいましたね」
それを、清水さんは4年間やり通した。競技のパートナーである馬の世話を通して、同じ目的をもつ仲間との強い信頼関係が、高校時代に得られなかった達成感と自信を与えてくれたのだ。
そして就職を意識する大学4年生のときに、あらためて小学校教諭になることを決意。卒業後に他大学の通信教育部に入り、1年間猛勉強をして、小学校教諭の免許をとった。
ねばり強く取り組んだ、生徒との関係づくり
初めて担当クラスをもったときの感想を訊ねると、生徒との“距離感”に悩んだとのこと。
「子どもと直接ふれあう職業ですが、生徒との距離が近すぎると『教諭』ではなく『近所のお兄さん』になってしまう。担任教諭は、生徒が安心して話しかけてくれる、けれど教育者としても意識されている、そんな立ち位置が望ましいと思います」
そうした“生徒と担当教諭の関係づくり”にマニュアルはない。それでも、清水さんは馬術部で身につけた“コミュニケーション力”に自信があった。日々の関わりから少しずつ信頼関係を積み上げ、いまは頼れる教諭として生徒の人気を集めている。
「祖母から聞いていた話とは違い、今は子どもも保護者も、考え方が多様化しています。直接話をしていても、思いが上手く伝わらないことが、何度がありました。けれど、どんなときも辛抱強く関わり続けるのが教諭の役目。良いところは褒めて、ダメなところはちゃんと叱る。特に叱る際は、本人の話をしっかりと聞き、他の生徒にも話を聞きます。すべて鵜呑みにするのではなく、生徒の背景にある事実をしっかりと把握して、正しい道を教えてあげなければいけませんから」
公平な判断を行うためには、常に広い視野を持っていなければならない。一人の生徒に深く関わるということは、まわりの人々とのコミュニケーションも重要な鍵となるのだ。
生徒ともっと話がしたい。同志社小学校での再スタート
学校教諭の仕事は、生徒とのふれあいばかりではない。テスト作り、授業に使う資料の作成、月毎の行事計画、その報告など、細々とした事務作業が多い。公立の小学校では、放課後や休み時間はそうした間接業務に追われていたという。
「勉強から解放された放課後という時間は、教室が最もリラックスした雰囲気に包まれています。生徒の本音に触れられるのはそうした時間なので、じっくりと話す余裕がないことが、ジレンマでした」
生徒と一緒に過ごす時間をもっと作れないものか。苦悩しながらも業務をこなしていたある日、同志社小学校の教員が募集されるという話が耳に入った。なじみ深い出身校が新設する小学校で、生徒と教員がじっくりと話せる関係を作りたい──清水先生の熱意が学校側にも伝わり、高い倍率を見事に突破した。
「同志社小学校は業務のシステム化が進んでいるので、事務作業に費やされる時間がぐっと減りました。そのぶんの時間を、生徒との対話に使っています。他愛もないお喋りですが、生徒と何でもない時間を過ごすことが、小学校教諭になって良かったと思える、私のやりがいです」
これからの目標は、6年生のクラス担任になること。
「どの学年もそれぞれ大切な年代ですが、6年生は卒業させるという点で、特別な意味があると感じています。卒業生が、地域でふと出会ったときに『先生』と慕ってくれるのは、とても嬉しいと思うからですね」
学生時代の経験が、自身を磨き、鍛えてくれる
「学生は勉強することがもちろん大事ですが、それ以外のことも積極的に取り組んでほしい。たとえば、最も身近なのは部活動。仲間とともに考え、何かをやり遂げる喜びは、必ず自信に繋がります。他校と交流する機会もあるので視野が広がり、それまで見えなかったものが見えてきて、新しい発見もあるでしょう。発見は次のチャレンジのキッカケにもなるので、どんどん新しいことに挑戦して経験を積み、少々のことでは挫けない強い気持ちを育てておいてください。
特に、教員を目指すなら、コミュニケーション力をつけるのはとても大切なことです。生徒や保護者、他の教諭たちとのコミュニケーションなくして、この仕事は務まりません。
![]() 教師は小・中・高等学校や盲学校などの教員、塾講師は学習塾や予備校の教員を指す。教師になるには教育職員免許状の取得が求められる。学校教師においては学級活動や部活動の運営、保護者や地域社会との関わりも必要となる。教師・塾講師ともに、指導科目の研究や能力を引き出す授業の遂行はもちろんのこと、成長過程にある子どものメンタルサポートも重要な仕事である。進行する少子化社会のなかで、不登校やいじめが問題になっている今こそ、教育者の誠実な指導力に寄せられる期待は熱い。 |

