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理学系統

生物学の分野

生物学の分野

生物の構造や営みに共通で見られる《法則性・普遍性》と、それがさまざまに分化して生みだす《多様性》を抽出。その神秘に満ちた<生命活動>を理論的に説明できる体系を打ち立てる。

分野の特徴

神秘に満ちた生物の世界を科学的に探究する

 生物学は、自然界で生きているあらゆる「生物」を研究する学問です。
 生き物の世界は多種多様で、空を飛ぶ鳥や、海で泳ぐ魚、地下で生活する昆虫など、身体の形も生活する場所もバラエティに富んでいます。また、他の動物の身体に棲みつく寄生虫や細菌など、目に見えない小さな生物もいます。
 また、野に咲く花とその蜜を採り花粉を運ぶ昆虫、あるいは草原で生きる草食動物とその動物を食べる大型の獣の関係をみると分かるように、生き物は互いに依存や、捕食(食べる・食べられる)の関係などを築き、同じ生活圏の中で暮らしています。
 生物学では、生命の発生・成長・衰弱・死、生物の習性や行動、生物の集団的な行動と生態、生物界と自然界の関係などを研究します。生物の構造や営みに共通で見られる《法則性・普遍性》と、さまざまに分化した《多様性》を解明し、生命活動を自然現象から理論的に説明できる体系を作ることが生物学の目標となります。

分子・遺伝子というミクロの視点で生命を研究する

 生物学の研究領域は、対象とするレベルに沿って、次のように階層的に広がっています。
1. 生体を構成する分子の働きを研究する「分子生物学」「生化学」
2. 生物の発生と分化、成長を細胞のレベルで研究する「発生生物学」「細胞生物学」
3. 1個の生物を対象とし、その身体の構造と機能を研究する「個体生物学」「動物行動学」
4. 生物の群れとしての行動、生物圏全体のしくみを研究する「集団生物学」「生態学」
 言うまでもなく、それぞれの階層には密接な関係があります。実際、各レベルでの研究の進歩が他のレベルでの新発見につながるなど、これらは互いに影響を与えながら発展してきました。
 従来の生物学では、生物の多様性に注目し、全体像な構造を明らかにしようとする「3、4」のレベルが中心でした。しかし、最近は生物のミクロな構造や分子・細胞のはたらきが解明されつつあり、「1」のレベルが主役になっています。

何を学ぶ

分子・細胞から生態まで、レベルごとの研究手法を体得

 生物学の学科目には、大きく分子や細胞のはたらきに着目する領域と、生物の多様性に着目する領域があります。前者には「細胞生物学」「分子生物学」「発生生物学」「遺伝生物学」、後者には「動物生理学」「植物生理学」「進化・系統(分類)学」「生態学」といった科目があり、大学のカリキュラムは、研究手法の階層(レベル)を軸にした多彩な科目で構成されています。基礎の段階では、生物学の基本原理と生物学的なモノの見方や考え方を養うため、生物の身体の構造や、遺伝・発生に注目し、幅広い領域を履修します。
 また、生物学を学んでいくためには、化学や物理の基礎知識や理論、研究手法も不可欠の要素となります。たとえば、化学の基礎領域である「有機化学」「生物化学」「分析化学」、さらに対象を生物に特化した「生物無機化学」「生物物理化学」といった科目を履修します。さらに、生物学と化学の密接な関係をふまえて、双方の科目を系統的に学ぶケースもあります。

生命の謎解明へ、自然の中での「野外実習」や実験も

 生物学のミクロからマクロまでの基礎知識は、主に講義科目によって学びますが、応用レベルの学識は、実験や実習によって理論を検証し、確実に獲得することをめざします。
 たとえば、動物、植物の多様性に着目する分野では、近隣の公園や里山、森林、山地などの自然環境に出向いて、実際の野生生物を観察したり、研究材料を集める「野外実習」も大切な学習になります。また、生化学、免疫学、動物生理学、植物生理学など、専攻する分野に応じて研究室での実験も行います。
 また、分子・細胞の視点で生物を研究する分子生物学では、実験装置のなかで生命現象を再現したり、遺伝子操作によって生体分子を改変し、長期的に変化を観察するなど、さまざまな実験によって生命現象の本質に迫ります。同時に、高度な実験器具の扱い方、コンピュータによる分析法など、先端研究に進むための実践技法を身につけます。

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