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農学系統

獣医学・畜産学の分野

獣医学・畜産学の分野

家畜などの動物の飼育と健康管理、資源としての利用を研究。動物の病気治療と予防法を研究する「獣医学」と動物を資源として飼育・繁殖・利用を研究する「畜産学」は不即不離の学問

分野の特徴

動物の衛生的な飼育環境をつくり、健康を守る「獣医学」

 獣医学は、動物の健康な育成のために、病気の原因と治療法解明する学問。
 また、畜産学は、動物の飼育や繁殖のための衛生管理、食肉や乳製品の生産法を研究する学問で、両方とも動物を扱うための実践的な技法を研究する分野という共通点があります。
 獣医学は、動物がかかる病気の原因と予防法の解明、病気やケガの治療方法を研究して実践する「獣医師」を養成する学問分野です。対象となる動物は幅広く、牛馬や豚など家畜のほか、ペットとなる犬、猫などの小動物、鳥類、は虫類や魚類などまでに及びます。
 また、飼育動物だけでなく、自然環境の中にいる野生動物の監視、傷ついた動物の保護や生態系の維持についての研究も獣医学の一つのテーマです。
 研究領域は幅広く、たとえば、動物の病気やケガの治療、人と動物に共通する感染症の研究、家畜の衛生な飼育環境づくり、さらには、医学や生物の実験動物の管理なども含まれます。

家畜をはじめ動物資源を保護、育成する「畜産学」

 畜産学は、家畜を中心とする飼育動物(動物資源)の開発と利用をはじめ、畜産業の技術を総合的に研究する学問です。
 家畜の繁殖や育種(品種を改良すること)、飼育環境の整備と衛生、食品への加工、流通といった畜産業の全過程を対象としており、食肉や牛乳、鶏卵、皮革などの畜産品の品質と生産効率を向上させることを目的としています。
 いわゆる「家畜」に加えて、ハチミツをとる蜂や絹糸をつくる蚕などの人間に有用な動物(昆虫)も研究対象となります。最近では、野生動物にまで研究範囲を広げ、獣医学と共同で、自然界の動物の生育環境を見守り、動物資源を総合的に保護していく「動物資源科学」という領域も発展しています。
 畜産学の研究テーマは、主に「飼育と繁殖の技術」「畜産品の生産・加工技術」が中心となりますが、さらに、動物園の企画・運営法、ペットフード産業などの企業経営法といったジャンルもあります。

何を学ぶ

動物の身体の基本的な構造と機能を理解する

 この分野では、まず生物学と化学(とくに生理学、生化学)の基礎知識を幅広く学んだうえで、動物の身体の構造や機能に関する「解剖学」「動物生理学」、動物の病気の原因と症状、薬の効能について学ぶ「動物病理学」「微生物学」「寄生虫学」「薬理学」、診断と治療の実践を学ぶ「動物臨床医学」などを履修します。
 《獣医学》は、動物(家畜)を対象とする医学の一ジャンルであり、基本理論や治療の技術など学習内容は医学と共通点が多く、修了年限も6年です。臨床獣医学は、牛馬など家畜を中心とする「大動物」と、犬猫などのペットを中心とする「小動物」という生物種別に構成されるのが一般的で、理論科目のほか、牧場や動物病院などの現場実習も含まれます。
 そのほか、家畜・飼育動物の健康と衛生管理について学ぶ「家畜衛生学」「獣医疫学」、動物の行動や心理、人との関係を学ぶ「動物行動学」といった科目もあります。

産業の観点から家畜の飼育と経営を専門的に学ぶ

 《畜産学》では、はじめに、動物に関する生物学、化学、医学系の基礎理論、たとえば「動物生理学」「動物遺伝学」「動物解剖学」などを幅広く学びます。
 専門科目は、<家畜の飼育と繁殖><畜産品の生産と加工><畜産経営>という領域ごとに構成されるのが一般的です。<飼育と繁殖>の領域では、家畜の計画的生産と品質の向上を扱う「家畜育種学」「家畜繁殖学」、飼育環境の衛生や栄養管理について学ぶ「家畜衛生学」「家畜飼養学」といった科目を履修します。理論を学ぶ講義科目に加え、家畜飼育の現場や草地の放牧場などで行われる実習科目もあります。
 <畜産品の生産と加工>の領域では、畜産品の化学的特性、栄養機能を学ぶ「食肉利用学」「酪農生産物利用学」があります。また、<畜産経営>の領域では、畜産品の生産・流通・販売・消費の過程にある諸問題を明らかにし、経営のあり方を探ります。