逆引き大学辞典逆引き大学辞典

FP(ファイナンシャルプランナー)資格とは?試験内容や難易度、勉強法を解説

2024.12.11

カテゴリー:
顧客に説明をするファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーの資格取得を目指そうと考えている人のなかには、難易度や勉強方法が気になっている人もいるでしょう。ファイナンシャルプランナーの資格には、国家資格であるFP技能士(3~1級)と民間資格であるAFP 、CFP®とがあります。本記事では、それぞれの試験の日程や合格基準、難易度、取得するメリットなどを解説します。

FP(ファイナンシャルプランナー)とは

FPは、個人や家族の人生設計に沿ってお金の面からサポートする専門家です。将来の収入と支出を予測し、最適な資産管理や資金計画を提案します。

「家計のホームドクター」とも呼ばれるFPは、日々の生活に関わる身近なお金の専門家として、人々の経済的な悩みの解決や目標達成をサポートする重要な役割を担っています。

FP(ファイナンシャルプランナー)になる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

FP(ファイナンシャルプランナー)の資格3種類

ファイナンシャルプランナーには、以下の3種類の資格があります。

  • FP技能士(3~1級)
  • AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)資格
  • CFP®(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®)資格

それぞれの特長は以下のとおりです。

資格名FP技能士 (3~1級)AFP資格CFP資格
資格区分国家資格民間資格民間資格
およその合格率3級:70~90% 2級:40% 1級:10%試験なし ※AFP資格の取得には、AFP認定研修の修了と2級FP技能士資格の取得が必要  6~8%
資格更新の必要なしあり※2年ごとあり※2年ごと
こんな人におすすめ・初学者 ・国家資格として幅広い業界で認知度の高い証明を求める人
・金融、保険、税務など幅広い分野の基礎知識を体系的に学びたい人
・FP技能士2級取得者
・金融機関や保険会社でより専門的なアドバイスを提供したい人
・継続的な学習を通じて最新の金融知識を維持したい人
・AFP資格取得者
・最高峰のFP資格として国際的に通用するスキルを証明したい人
・高度な資産運用や相続対策など、複雑な金融問題に対応したい人  

FP技能士は国家資格で一般的な認知度が高く、AFP・CFPは民間資格でより実践的なスキルや国際的な基準に基づいた知識が求められます。個人の目標やキャリアパスに応じて選択すると良いですが、初学者はFP技能士の取得から目指すのが一般的です。

幅広い業界での活躍を目指す方にはFP技能士、より専門的なファイナンシャルプランニングや国際的な活動を視野に入れている方にはAFP・CFP資格が適しているかもしれません。

それぞれの試験概要や合格率などについて解説します。

FP技能士(1~3級)の試験概要と合格率

FP資格の勉強をする様子

多くの人が最初に挑戦するのがFP技能士資格です。この資格は国家資格であり、ファイナンシャルプランニングの基礎的な知識とスキルを証明するものです。

FP技能士試験は、「きんざい」と「日本FP協会」の2つの機関が主催しており、2024年から通年でCBT方式による受験が可能になりました。CBT方式とは、従来の紙ベースの試験に代わり、コンピューターを使用して行う試験形式です。この変更により、受験者は自分の都合に合わせて試験日や受験会場を選択できるようになりました。

「きんざい」と「日本FP協会」の大きな違いは、実技試験が異なることです。どちらで合格しても同じ資格であり優劣はありません。一般的に、日本FP協会のほうが合格率が高い傾向にあるため、特にこだわりがない方は、日本FP協会の資格を検討してみるのも良いかもしれません。
一方で、保険分野についてより深く学びたいと考えている方は、実技試験が保険分野に特化している、きんざいの資格のほうが適している可能性があります。

FP技能士資格には3級~1級まであります。それぞれの合格率や試験概要を解説します。

3級FP技能士

FP技能士のなかでも、入門レベルとして位置づけられているのが「FP技能士3級」です。FP3級の知識は、住宅購入や保険選び、年金計画、相続対策など、暮らしに役立つお金の知識が得られます。

合格率は学科70~80%、実技80~90%前後となっており、難易度は低めです。独学でも十分合格を目指せるでしょう。

3級の試験概要を日本FP協会ときんざいに分けてまとめたので、参考にしてみてください。
出題形式と合格基準以外は同じです。

【3級FP技能士 試験概要】

 日本FP協会きんざい
受験資格誰でも受験可能 誰でも受験可能
出題形式マークシート方式
・学科試験 60問 90分
・実技試験(資産設計提案業務)
20問60分
マークシート方式 ・学科試験 60問 90分
・実技試験(個人資産相談業務/保険顧客資産相談業務のうち1つを選択)    5題60分
合格基準・学科試験 60点満点で36点以上
・実技試験 100点満点で60点以上
・学科試験 60点満点で36点以上
・実技試験 50点満点で30点以上
試験日程  実技・学科ともに以下の期間以外で受験可能(2025年~2026年)
・2025年5月25日~5月31日
・2025年12月29日~2026年1月5日
・2026年3月1日~3月31日
実技・学科ともに以下の期間以外で受験可能(2025年~2026年)
・2025年5月25日~5月31日
・2025年12月29日~2026年1月5日
・2026年3月1日~3月31日
受検手数料・学科試験 4,000円(非課税)
・実技試験 4,000円(非課税)
・学科試験 4,000円(非課税)
・実技試験 4,000円(非課税)
公式サイト3級FP技能検定 申請・照会・変更 | 日本FP協会ファイナンシャル・プランニング 技能検定 3級 | 一般社団法人 金融財政事情研究会

2級FP技能士

FP技能士2級は、金融、保険、不動産業界で高く評価される資格として位置づけられています。就職活動や転職の際にもアピールできます。

2級FP技能士の合格率は学科、実技ともに40%前後となっており、3級と比べて難易度が上がります。
試験は日本FP協会ときんざいの2つの機関で実施されており、それぞれの試験概要は以下のとおりです。

【2級FP技能士 試験概要】

 日本FP協会きんざい
受験資格・3級FP技能検定合格者
・AFP認定研修の受講修了者
・FP実務経験2年以上
・3級FP技能検定合格者
・AFP認定研修の受講修了者
・FP実務経験2年以上
出題形式・学科試験:マークシート方式 60問120分  
・実技試験(資産設計提案業務) :記述式40問90分
・学科試験:マークシート方式 60問90分
・実技試験:記述式 5題90分 (個人資産相談業務/中小事業主資産相談業務/生保顧客資産相談業務/損保顧客資産相談業務から1つ選択)  
合格基準・学科試験 60点満点で36点以上
・実技試験 100点満点で60点以上
・学科試験 60点満点で36点以上
・実技試験 50点満点で30点以上
試験日程実技・学科ともに以下の期間以外で受験可能(2025年~2026年)
・2025年5月25日~5月31日
・2025年12月29日~2026年1月5日
・2026年3月1日~3月31日
実技・学科ともに以下の期間以外で受験可能(2025年~2026年)
・2025年5月25日~5月31日
・2025年12月29日~2026年1月5日
・2026年3月1日~3月31日
受検手数料・学科試験 5,700円(非課税)
・実技試験 6,000円(非課税)
・学科試験 5,700円(非課税)
・実技試験 6,000円(非課税)
公式サイト2級FP技能検定 試験要綱 | 日本FP協会手数料一覧 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)

1級FP技能士

FP技能士の中でも、最高峰の資格として位置づけられているのが「FP技能士1級」です。FP1級取得者は、複雑な資産運用や相続対策、税務問題に対して専門的なアドバイスができる実力派として認められます。金融機関でのキャリアアップはもちろん、独立して自分の事務所を開いて活躍する道も見えてきます。

FP1級試験の構成は実施団体によって異なります。日本FP協会は実技試験のみを実施しているのに対し、きんざいは学科試験と実技試験の両方を実施しています。

合格率は学科、実技ともに10%前後となっており、難易度は非常に高いです。独学での合格は難しく、専門的な講座や実務経験が必要とされます。

次に、FP1級試験の概要を日本FP協会ときんざいにわけて解説します。

【日本FP協会】1級FP技能士 試験概要

日本FP協会の1級FP技能士の試験は、学科はなく実技(資産設計提案業務)のみです。

受験資格下記5つのいずれかに該当する者
・1 級 FP 技能検定合格者
・日本 FP 協会認定の CFP®認定者
・日本 FP 協会の CFP®資格審査試験の全ての課目に合格したが認定されていない者
・金融財政事情研究会実施の 1 級 FP 技能検定 学科試験の一部合格者
・金融財政事情研究会実施の普通職業訓練短期課程金融実務科FP養成コースを修了した者で1年以上の実務経験を有する者
※詳細は公式サイトを参考ください
出題形式筆記試験:記述式 2 題20 問
合格基準100点満点で60点以上
試験日程2025年9月14日
受検手数料20,000円(非課税)


公式サイト:1級FP技能検定 試験要綱

【きんざい】1級FP技能士 試験概要

きんざいの1級FP技能士の試験は、学科と実技で構成されています。実技試験は、通常、学科試験の結果が判明してから半年程度のうちに行われます。

 学科実技(資産相談業務)
受験資格・2級技能検定合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
・FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者
・厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者
※詳細は公式サイトを参考ください
下記4つのいずれかに該当する者
・1級学科試験の合格者
・日本 FP 協会認定の CFP®認定者
・日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者
・「FP養成コース」修了者でFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
※詳細は公式サイトを参考ください
出題形式筆記試験: 【基礎編】マークシート方式 50問 【応用編】筆記試験:記述式 5題口頭試問方式(面接) ※2つの異なる設例課題に基づき、それぞれ複数の審査委員との対面形式で口述試験が行われる
合格基準200点満点で120点以上1回目・2回目とも各100点の200点満点で、合計120点以上
試験日程2026年1月25日  2025年6月上旬~中旬 2025年9月下旬~10月上旬
受検手数料8,900円(非課税)28,000円(非課税)

公式サイト:ファイナンシャル・プランニング 技能検定 1級 | 一般社団法人 金融財政事情研究会2024年度試験日程・科目・受検手数料 | 一般社団法人 金融財政事情研究会

AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)資格

AFP認定研修を受ける人たち

AFP資格は、CFP®資格への第一歩として位置づけられる重要な民間資格です。この資格は、2級FP技能士資格と同等の難易度を持ち、日本FP協会が認定を行っています。

AFP資格試験はなく、資格取得には2つの要件があります。1つは日本FP協会が認定する「AFP認定研修」を修了すること、もう1つは国家資格である2級FP技能検定に合格することです。

AFPを取得するメリットは、国家資格である2級FP技能士の知識を基礎としつつ、さらに専門的で体系的な教育を受けられることです。また、資格保持のためには2年ごとに更新が必要です。継続的な学習により、常に最新の金融知識を保持していることが保証されるため、クライアントの信頼度も増すでしょう。

参考:AFP認定研修について | 日本FP協会

CFP®(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®)資格

CFP®資格は、FP資格の中で最高峰とされる民間資格です。この資格は、1級FP技能士資格と同等の難易度を持ち、世界25カ国以上で認められている国際的な資格でもあります。日本では日本FP協会が認定を行っています。

CFP®資格の合格率は、6~8%で、非常に難易度が高いことが分かります。

【CFP®資格試験の概要】

受験資格・AFP認定者
・協会が認定する大学院で所定の課程の単位を取得した者
試験科目以下6科目すべてに合格する必要あり
金融資産運用設計
不動産運用設計
ライフプランニング・リタイアメントプランニング
リスクと保険
タックスプランニング
相続・事業承継 設計
出題形式筆記試験:マークシート方式 各科目50問
合格基準各科目50問中27~33問※合格ラインは年度によって異なる
試験日程2024年11月 2025年6月
受検手数料1科目6,600円(非課税)
公式サイトCFP®資格審査試験 | 日本FP協会

CFP®試験は全6科目の合格が必要ですが、一度に全科目を受験する必要はなく、科目ごとの受験も可能です。心身の負担を考慮すると、2〜3科目ずつに分けて複数回受験する方法も選択肢の一つです。

ファイナンシャルプランナーの資格を取得するメリット3つ

就職活動でファイナンシャルプランナーの資格をアピールする男性

ファイナンシャルプランナーの資格を取得するメリットは、以下の3つです。

  • 業界によっては就職で有利になる
  • 昇進・昇給の可能性が高まる
  • 日常生活のお金に関する知識を得られる

それぞれ解説します。

業界によっては就職・転職で有利になる

FP資格は、とくに金融、保険、不動産業界での就職・転職に大きな強みとなります。これらの業界では、FPの専門知識を活かした総合的な資金計画や投資提案が求められるためです。

一般企業でも、人事・総務部門での福利厚生制度の運用や資金管理、営業職での顧客との信頼構築に活用できます。

就職や転職に有利とされているのは、FP技能士2級(AFP相当)以上です。より高度な資格ほど、専門性の高いポジションや管理職への道が開ける可能性が高まります。履歴書でのアピールポイントとしても効果的です。

昇進・昇給の可能性が高まる

FP資格を取得すれば、昇進・昇給の可能性が高まります。とくに金融関連業界では、FP資格保有者に対する評価が高く、資格手当の支給や昇進・昇給の際の加点対象となることがあります。これは、FPの専門知識が企業全体の成長に貢献すると認識されているためです。

一般企業でも、経理部門などでFP資格が評価されることがあります。資格取得が直接的な収入増加やキャリアアップにつながる可能性があるため、挑戦する価値は十分にあると言えるでしょう。

日常生活のお金に関する知識を得られる

FP資格取得の大きな利点の一つは、日常生活におけるお金の管理に関する実践的な知識が身につくことです。この資格を勉強することで、家計の収支管理から税金、保険、投資、ローン、年金まで幅広い金融知識を習得できます。

FPの勉強で得た知識は、自身の生活設計や将来の資金計画を立てる際に非常に役立ちます。たとえば、効率的な貯蓄方法、適切な保険の選び方、リスクを考慮した投資戦略など、日々の暮らしに直結する金融スキルを磨くことができます。

さらに、家族や友人にも的確なアドバイスができるようになり、周囲の人々の生活向上にも貢献できるでしょう。FP資格は、単なる職業スキルではなく、豊かな人生を送るためにも役立ちます。

FP(ファイナンシャルプランナー)の資格の勉強法

通信制大学でFP資格を学ぶ様子

FP資格の勉強法には、以下のような選択肢があります。

  • 独学:市販のテキストや問題集を使用し、自分のペースで学習
  • 通信講座:教材が送られてくる形式で、自宅で計画的に学習
  • スクール:対面やオンラインで講師から直接指導を受ける
  • 大学:FP関連の学部や学科で専門的に学ぶ

FP3級は独学でも十分に対応可能ですが、より高度な資格を目指す場合は、専門的なサポートを受けられる通信講座やスクール、さらには通信制大学などの選択肢も検討する価値があります。とくに通信制大学では、仕事や家庭と両立しながら体系的な知識を習得でき、大学卒業資格も同時に取得できるため、長期的なキャリア形成にも有効です。

FPの講座を実施している通信制大学は、以下のとおりです。

参考:学生や社会人がFPを学べる大学一覧 | 日本FP協会

FP(ファイナンシャルプランナー)は就職・転職でも私生活でも役立つ資格!

FP資格を活用する夫婦

FPの資格は、金融知識を活かしたキャリアアップや転職に有利なだけでなく、自身や家族の生活設計にも役立つ実用的なスキルを提供します。初学者は国家資格であるFP技能士から始めるのが一般的で、段階的に学習を進められます。さらに専門性を高めたい場合は、実践的なAFP資格や国際的に認められるCFP資格の取得を目指すことで、より高度なファイナンシャルプランニングのスキルを身につけることができます。

よく読まれている記事

タグで記事を絞り込む