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公立高校教師の年収と月収は?年齢や私立高校との違い、就職率が高い大学を紹介

2023.08.01

カテゴリー:
教壇に立つ高校教師

高校教師は、生徒の成長をサポートできるやりがいのある仕事のひとつです。とはいえ、仕事を選ぶときには、収入がどのくらいなのか気になるところですよね。
そこで本記事では、公立高校の教師の年収と月収を紹介します。また、年齢別の年収や私立高校の年収との違い、高校教師の就職率が高い大学についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

公立高校教師の平均年収・月収は?

公立高校教師の給与

総務省「令和3年地方公務員給与の実態」によると、公立高校の教師の平均年収は約680万円、平均月給は約43万円、ボーナスは基本給の4.45ヵ月分で約165万円となっています。

一般企業と異なるのは、高校教師には残業手当がつかないこと。「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」という法律が適用され、残業代や休日出勤の手当が出ません。その代わりに、基本給の4%分支給される「教職調整額」が、給与に含まれています。
そのため部活動の顧問になった場合も、平日の放課後に指導を行った時は手当や残業代は支払われません。休日に部活動の指導を行った場合のみ「部活動手当」が支払われますが、4時間程度の活動で一律3,600円となっており、一般企業と比べて安価です。

担当教科の違いによる給与の差は基本的にはありませんが、農業・工業高校の専門的な実習教科を担当する場合につく「産業教育手当」や、定時制高校・通信制高校に勤務する場合につく「定時制通信教育手当」といった手当があります。

高校教師の年代別の平均年収

高校教師は、年齢が上がるほど年収が増える年功序列制です。基本的には経験年数による職務の習熟度を示す「号給」で給与が決まります。また勤続年数以外にも管理職試験で合格すると「等級」が上がり、指導教諭や教頭、さらには校長といった管理職に就くと年収が高くなります。

■年代別・高校教師の平均年収

年代平均年収
20代約334万~412万円
30代約517万~616万円
40代約715万~791万円
50代約876万~885万円
60代約627万~790万円

参考:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査

上記のデータによると、50代まで平均年収は増えて続けています。60代になると平均年収が下がるのは、60歳の定年退職後に非常勤教員として勤務することになるからです。

私立高校教師の平均年収・月収は?

文部科学省「平成28年度 学校教員統計調査」によると、私立高校教師の平均年収は約625万円で、公立高校の給与に合わせて決まることが多くなっています。また、平均月給は勤務地によって約27万~42万円と、大きな開きがあります。

なお、公立高校では残業代や休日出勤に手当が出ませんが、私立高校では一般企業と同じように、所定の労働時間を超えた時間数に応じて、残業代や休日出勤手当が支給されるのがポイント。
そのため、私立高校は勤務する学校の制度や規模、残業代や手当などによっても給与が大きく変わり、公立高校よりも給与が高い場合もあるのです。

高校教師の仕事に就く方法

教育実習で教壇に立つ教育学部生

 
高校教師になるには、高等学校教諭一種免許状の取得と、教員採用試験の合格が必要です。ここでは、それぞれのステップについて解説します。

1. 教職課程を修了し免許を取得する

高校教師になるには、大学や短大で教職課程を修了し、高等学校教諭一種免許状を取得することが必要です。教職課程では、大学卒業に必要な単位とは別に、指定された単位を修得しなければなりません。講義を受けるだけでなく、高校教師を目指す場合は母校などの学校現場で2週間以上の教育実習も必要です。そのため、ほかの学生に比べて、忙しい学生生活になるかもしれません。教職課程が修了したら、各都道府県の教育委員会に申請をして、高等学校教諭一種免許状を取得します。

すでに大学を卒業した社会人の場合には、「科目等履修生制度」を利用することで、大学に再入学せずに教職課程に必要な科目のみ修得できるケースもあります。通信教育を実施している大学もあるため、社会人であっても教職課程を取りやすいでしょう。ただし、教育実習は必修になるため、仕事の都合をつける必要があります。

2. 教員採用試験に合格する

公立高校の場合、各都道府県または政令指定都市の教育委員会が実施する「教員採用選考試験」に合格することで教師として働くことができます。試験内容は下記のとおりです。

<教員採用試験の内容>
・筆記試験:一般教養試験、教職教養試験、専門教養試験、小論文
・面接試験:個人面談、集団面接、討論、模擬授業
・実技試験:教科による(小学校教師や中学・高校の美術、音楽などの教科の受験者対象)
・適性検査:受験者の性格・能力を測る内田クレペリン検査など(一部の自治体で実施)

自治体によって試験内容は異なるため、事前にチェックしておきましょう。
また、私立高校はそれぞれの学校で採用試験が行われます。学校によって採用のスケジュールや基準が異なり、毎年求人が出るとも限らないため、働きたい私立高校がある場合はこまめな情報収集が必要です。

高校教師の就職実績が高い大学

高校教師の就職率が高い広島大学

 
高校教師になりたいと考えている皆さんの中には、高い就職実績を誇る大学へ進学をしたい人も多いのではないでしょうか。そこで、教職に就く卒業生が多い大学を、5大学紹介します。大学名をクリックすると、逆引き大学辞典の大学ページが開きます。

日本大学(東京都世田谷区)

日本大学は、卒業生が高校教師となる実績の多い大学のうちのひとつです。特に文理学部教育学科では、教育に関わる多様な分野を網羅的に学習できる環境があり、教師を目指す学生が多く在籍しています。中学校・高校に関しては、主に「社会」「公民」各教科の教諭一種免許状の取得が可能です。また、他学科の授業を聴講し、必要単位を取得することで、他9教科(地歴、国語、書道、外国語、理科、数学、保健体育、宗教、情報)の一種・二種の免許を取得できます。
ほかにも、文理学部には教員を目指す学生を支援する「教職センター」があり、元公立学校長からの指導や各種講演会・講座が開催されています。授業だけでなく、就職支援でも手厚いバックアップがあるのは安心ですね。

広島大学(広島県東広島市)

広島大学教育学部では、幼児教育から生涯教育まで対象にした5類15コースが設けられています。教育学部の学生の半数近くが教師となっており、多数の実績を誇っています。
教師を目指す学生に対して、教員採用試験対策などをサポート。また、大学卒業生の学校長や教師を招いて、各都道府県の教師の採用状況や求められる教師像などの話が聞ける説明会も開催しています。さらに、現役の教師から授業の進め方や指導方法などを詳しく聞ける教育実践特別講座もあり、実体験にもとづいた学びが可能です。授業や試験勉強のモチベーションにもつながるでしょう。

日本体育大学(東京都世田谷区)

主にスポーツ・体育を専門的に学べる日本体育大学では、教師育成にチカラを入れています。高校教師になりたい場合には、体育学部、スポーツ文化学部、スポーツマネジメント学部の3学部で「保健体育」の中学校・高等学校教諭一種免許状の取得が可能です。
日本体育大学では、教師を目指す学生に「人間性」「社会性」「専門性」「国際性」の4つのチカラを育成することを目指しています。在学中にこれらのチカラを身に付けることで、即戦力となる教師になれるでしょう。

東京学芸大学(東京都小金井市)

東京学芸大学は約150年の歴史がある、教育者の養成を目的とした、国立大学としては唯一の教育に特化した大学です。丁寧な少人数教育により充実した指導を受けられるのが特徴。中学校・高等学校教諭一種免許状を取得できる「中等教育専攻(B類)」には12のコースがあり、各教科の免許取得が可能です。
学生キャリア支援室では、日常的に就職相談ができるほか、「教師力養成特別講座」を大学3年生の11月から翌6月まで開催しています。校長などの経験がある大学の卒業生が講師となり、教員採用試験をはじめ、論文、論述、面接の対策を実施。長期的なサポートが受けられることから、採用試験の合格率アップにつながっています。

早稲田大学(東京都新宿区)

早稲田大学の教育学部は、1949年に私立大学で初めて設置され、多くの教師を輩出しています。文系・理系を含めた7学科7専修から成り立っており、総合学部となっていることが特徴です。教師養成をする一方で、教育免許の取得は卒業要件にしていません。そのため、柔軟に進路を選択できることも魅力のひとつでしょう。
教師養成のサポートとして、教員採用試験対策のイベントが開催され、現職の学校長や教師による具体的な指導が行われています。また、全国各地の教師との交流や学校現場を体験するインターンシップ・教育ボランティアの参加も可能です。

「教育系の大学・学部でどんなことを学ぶのかがわからない」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
教師の仕事の魅力と教育系大学での学びとは?鳴門教育大学長が解説

公立高校教師のキャリアアップの方法

女性の校長

 
公立高校教師は、下記のように教諭から指導教諭、教頭、校長にキャリアアップできます。それぞれの役職のモデル年収を確認すると、校長でなんと1,000万円以上の年収になるのです!
年収を増やしたい場合には、キャリアアップを目指すのが近道でしょう。

公立高校教師の役職別モデル年収(2022年4月1日現在)

役職(等級)年齢年収
校長(4級)55歳約1,030万円
教頭(3級)50歳約941万円
首席・指導教諭(特2級)45歳約806万円
教諭(2級)45歳約758万円

参考:大阪府「職員のモデル年収額

高校教師がキャリアアップするには、クラス運営を円滑にできている、生活指導に注力しているといった日常業務の評価を上げることが重要。また、研修受講や管理職試験の合格が必須です。
特に、管理職試験は、勤務地の都道府県によって年齢制限や経験年数といった条件が異なるため、高校教師でキャリアアップを目指すなら確認しておくことも大切です。

高校教師を目指すなら充実したサポートが得られる大学を探そう

部活動の指導をする教師

 
公立高校教師の平均年収は約680万円と高い水準です。また、公務員ということから、収入が安定していることも大きなメリットでしょう。しかし、教師になるには、大学などで教職員課程を修了し、教員採用試験に合格する必要があります。

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