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警察官の年収と月収は?学歴や階級での違い、就職率が高い大学を紹介

2023.08.01

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将来、警察官になりたいと思っている人の中には、「警察官の年収はどのくらいなの?」と気になっている人もいるでしょう。
警察官の年収は、一般企業の平均年収よりも高い傾向があります。とはいえ年収は、年齢や役職・階級によって大きく異なります。また、学歴によって年収がどのくらい違うのかも気になるところですよね。

そこで本記事では、警察官の年収について、年齢や階級、学歴ごとに紹介します。また、警察官の就職者数が多い大学も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

※警察官には、国家公務員の「キャリア」と、地方公務員の「ノンキャリア」の大きく2種類があります。本記事ではノンキャリアの警察官を中心に解説します。

警察官の平均年収・月収は?

警察官とお金

 
地方公務員の警察官は、階級や勤続年数に応じて、法律で定められた基本給が支給されます。

総務省「令和3年地方公務員給与の実態」によると、警察官の平均年収は約694万円です。全国平均月収は約46万円、全国平均賞与は基本給(32万円)の4.45ヵ月分の約142万円となっています。
警察官は、事件や事故といった危険と隣り合わせの仕事です。そのため、高い収入を安定して得られるといえるでしょう。

また、警察官には、基本給のほかにさまざまな手当がつきます。諸手当の合計は月額約14万円です。下記は、手当の一部です。

<警察官の基本給につく諸手当>
・扶養手当:配偶者や子供など扶養する家族がいるときの手当
・地域手当:都市部など物価の高い地域で勤務する際の手当
・通勤手当:自宅から勤務先までの交通費
・特殊勤務手当:特に危険な業務に対して支給される手当
・宿日直手当:一定の場所で緊急時や非常時に備えた業務をしたときの手当
・時間外勤務手当:時間外労働や休日労働を行った際の割増賃金

中でも、地域手当は勤務地によって大きく異なります。東京や大阪といった都市部のほうが、地方に比べて地域手当が高くなるのが一般的です。というのも、都市部のほうが地方に比べて人口が多く、事故や事件が多く発生するからです。

そのほかにも、「捜査等業務手当」「爆発物等処理手当」など、警察官ならではの特殊勤務手当があったり、一般企業のボーナスにあたる「期末・勤勉手当」が年に2回支給されたりなど、各種手当の充実が年収アップにつながっているようです。

総務省の「令和3年地方公務員給与の実態」によると、平均基本給は東京都が1位で40万78円、青森県が最下位で31万4,391円。なんとその差は、約8万5,000円もあるのです。勤務地によって大きな差があることがわかりますね。

自衛隊員と比べたらどうなのか気になった方は、こちらも記事もどうぞ。

警察官の年代別の平均年収

警察官の年収は、勤続年数に応じて増えていきます。また、経験年数や勤務成績・試験により、階級が上がっていきます。
下記は、年代別の平均年収と階級の目安です。ただし、こちらはあくまで目安であり、昇任や昇給のスピードによって、年収や階級は変わってきます。

■年代別・警察官の平均年収と階級の目安

年代階級平均年収
20代巡査・巡査部長約301万~421万円
30代警部補・警部約451万~586万円
40代警部・警視約603万~680万円
50代警視・警視正・警視長約678万~702万円

※平均年収は「平均給与月額×12ヵ月+平均給料月額×4.5ヵ月(ボーナス)」で算出しています。

※平均年収は大学卒、短大卒、高卒を含めたものです。

参考:総務省「令和3年地方公務員給与の実態

退職金も、勤続年数と年齢によって異なります。定年退職の場合には、勤続10年以上で1,000万円以上、勤続25年以上では2,000万円以上です。また、転職などを理由に退職する「自己都合」の場合であっても、平均300万円程度になります。
中小企業では、大学卒業後に就職して定年まで勤め上げたとき、退職金は平均で1,100万円程度ということから、警察官は退職金も充実しているといえるでしょう。

警察官の採用(学歴)別の平均年収

学歴によって年収がどのくらい変わるのか気になる人も多いのでは?そこで、大学卒、高卒の初任給を比較してみましょう。
警察官の学歴別の初任給と平均年収は、下記のとおりです。

■最終学歴別・警察官の初任給と平均年収

学歴初任給平均年収
大学卒約21万~26万円約502万円
高卒約17万~22万円約463万円

※平均年収は「平均給与月額×12ヵ月+平均給料月額×4.5ヵ月(ボーナス)」で算出しています。

参考:警視庁「令和5年度警視庁採用サイト 採用情報

参考:総務省「令和3年地方公務員給与の実態

大学卒と高卒で、初任給に差があります。しかし、その後の給与のアップは、経験年数や勤務成績、試験の合格による昇任が条件となります。
そのため、初任給こそ差はありますが、長い目で見ると学歴による年収の差はさほど生まれないでしょう。

警察官の仕事に就く方法

交番勤務をする警察官

 
警察官になるには、警察官採用試験に合格する必要があります。警察官採用試験は都道府県で実施され、合格すると都道府県警察に所属されます。受験資格は高校卒業以上です。
また、学歴以外にも年齢や身体要件の資格があり、自治体によって条件が異なるためチェックが必要です。

警察官採用試験には、一次試験で「筆記試験」「適性検査」など、二次試験で「面接」「体力試験」があります。筆記試験では、高校までに学ぶような数的処理、文章理解のほか、歴史や法律、経済などの一般知識、時事問題などが出されます。そのほかに論文試験もあるため、受験する場合はしっかり準備をして臨みましょう。

警察官採用試験の倍率は5〜8倍程度ですが、自治体の採用人数や応募者数によって倍率がそれ以上に上がる年もあるため、合格の可能性を増やしたい場合は、複数の自治体を併願することも可能です。
警察官採用試験に合格すると「警察官採用候補者名簿」に名前が掲載され、翌年度の4月から「巡査」となります。しかし、すぐに現場業務を担当するのではなく、先に全寮制の警察学校への入学が必須です。警察学校とは、現場に出る前に警察官に求められる知識や技術、体力を身に付ける、いわば研修施設のような場所。警察学校の在籍期間は、大学卒は6ヵ月、それ以外は10ヵ月となっています。

警察官の就職実績が高い大学

警察官の就職率が高い日本大学のキャンパス

 
警察官への近道として、高い就職実績を誇る大学に進学したいと思う人もいるのではないでしょうか。そこで、警察官の就職率が高い大学を、5大学紹介します。大学名をクリックすると、逆引き大学辞典の大学ページが開きます。

日本大学(東京都千代田区・世田谷区)

日本大学は、学生数が7万人を超える日本で最大規模の大学です。警察官志望者向けの課外講座やガイダンスがあるだけでなく、卒業生のネットワークを活かした就職支援も行っています。
日本大学法学部公共政策学科には「公安・自治体コース」があり、公共政策を客観的に分析・応用するための授業が用意され、警察官をはじめとする地域社会のリーダーの育成を目指しています。
また、危機管理学部では、2年次から「災害マネジメント」「パブリックセキュリティ」「グローバルセキュリティ」「情報セキュリティ」の4領域から主専攻と副専攻を選び、社会危機への対応方法を広く学ぶことができ、卒業生は各県警への就職実績があります。

国士舘大学(東京都世田谷区)

国士舘大学は、大手予備校と提携して、公務員採用試験の合格に向けた各種講座を開設しています。また、就職支援も充実していることから、毎年多くの警察官を輩出しています。
特に警察官になりたい人にオススメなのが、法学部法律学科。2年次から警察官などを目指す「刑事系コース」を選択できます。また、現代ビジネス法学科の「公共安全コース」や、政経学部政治行政学科の「公務員養成コース」にも、警察官を目指す学生が多く在籍しています。
国士舘大学では全学部で「防災教育」にチカラを入れており、災害の基礎知識や応急手当、搬送方法、初期消火といった実習を実施。指定された防災に関する授業を履修し単位を修得すると、「防災士」の受験資格の取得も可能です。

帝京大学(東京都八王子市)

帝京大学には、法学部政治学科に「公共政策コース」があり、警察官を含む公務員を目指す学生が多く在籍しています。刑法や政治学、公共政策論、警察政策などの授業があり、公務員に必要なスキルを幅広く習得できます。
また、公務員試験対策の講座やガイダンス、警視庁OBによる相談・模擬面接なども実施。警察官になりたい学生にはうれしいサポートですね。

日本文化大學(東京都八王子市)

日本文化大學は、ウェブサイトに「警察官採用試験に強い!」と記載があるとおり、毎年、警察官を多く輩出しています。警察への就職率が高い理由は、警察官採用試験の万全なサポートがあるからです。試験対策のプログラムだけでなく、警視庁や各県警の採用担当者による説明会も実施しています。
また、志望の進路に合わせた履修モデルがあり「公務員モデル」や「警察官・消防官モデル」などを策定。刑事政策や危機管理、法律に携わる人の感受性を養う「日本文化史」などの科目も取り入れています。

東海大学(東京都港区・神奈川県平塚市)

東海大学では、政治経済学部と法学部を中心に、警察への就職実績が高い傾向です。政治経済学部では、公務員を志望する学生が多く、公務員講座を実施しています。警察官をはじめ公務員を目指す学生にとっては、学内で試験の出題傾向や対策を学べるのは大きなメリットでしょう。
また、法学部では、法律関係の文献・資料が豊富な法学部専用の図書館があり、法律を学ぶには最適な環境です。勉強会の準備室や自習室としても利用できることから、公務員採用を目指して日々多くの学生が勉強しています。

警察庁の警察官(キャリア)の就職実績が高い大学

国家公務員の警察官(キャリア)が所属するのが警察庁です。警察庁はここ数年、出身大学を公表していません。以前の情報を参考にすると、入庁者は東京大学の法学部が最も多いと考えられます。
ほかにも、京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学から入庁した実績もありますが、東京大学と比較するとかなり少ない人数のようです。

警察官のキャリアアップの方法

桜田門にある警視庁

 
年収を上げるためには、キャリアアップをすることも重要です。警察官は昇任試験に合格することで階級が上がり、それと同時に年収も上がります。というのも、高い階級になるほど、重要な任務や後輩の指導・管理をする業務を担うことになるからです。
警察官の階級は、下記のとおりです。なお、警察機関の頂点には国の省庁「警察庁」があり、その下に東京都の警察本部である「警視庁」や各都道府県警察本部などの地方警察機関がひもづいています。

■警察官の階級と役職の目安

階級役職
警視総監東京都の警察本部である警視庁のトップ
警視監県警本部の本部長クラス、警視庁での職名は「副総監」
警視長県警本部の本部長・警視庁部長クラス
警視正県警本部の部長、大規模警察署署長クラス
警視県警本部の課長、警察署署長クラス
警部県警本部課長補佐、警察署課長クラス
警部補係長クラス
巡査部長主任クラス
巡査新人・係員クラス

東京都職員給料表によると、巡査の年収は低くても約400万円程度。署長クラスになると1,000万円近くの年収となります。
昇任試験は、学歴や性別にかかわらず受験できます。しかし、最初の昇任試験は、大卒は採用から2年後、大卒以外は4年後に受験可能という違いがあります。

高収入を狙うなら準キャリア採用が狙い目

警察官として最も高収入なのは「キャリア」です。というのもキャリアは、警部補から階級がスタートするからです。ただし、キャリアになるためには「国家公務員採用総合職試験」への合格が必要。採用人数は年に10人程度と、ノンキャリアの1,300~1,600人程度と比べて非常に狭き門です。また、試験の難度が高く、受験倍率も高いため、合格するには相当の努力が必要になります。

「キャリアになれば高収入が…」と思っても、国家公務員採用総合職試験の合格は難しいのが現実。それよりも、巡査部長から階級がスタートする「準キャリア」で就職するコースのほうがオススメです。準キャリアになるには、「国家公務員採用一般職試験(大卒程度)」の合格が必要ですが、準キャリアもノンキャリアより高い階級からスタートすることから、高い年収が期待できるでしょう。そのためにも、まずは国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の合格率が高い大学を目指したいところですね。

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街を見守る警察官

警察官になる人は正義感や使命感が強い人が多く、自分の仕事にやりがいを感じている人は多いはず。とはいえ、大変な仕事に見合った年収や待遇も求めたいところですよね。
警察官の年収は、年功序列を基本としているため、勤続年数に応じて高くなるという特徴があります。また、昇任試験に合格して階級が上がると、年収アップが可能です。年収が高いだけでなく、安定していることも大きなメリットといえるでしょう。

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