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マスコミとは?言葉の意味や仕事の種類、年収と大学で選ぶ学部学科などを解説

2023.05.09

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囲み取材するマスコミ記者

高校生の皆さんの中には、高校生活の中でものを書いたり、人前で話したりした経験を経て、これを仕事にしたいと思った人もいるのではないでしょうか?人に何かを伝える仕事をしたいと考えている人にとって、「マスコミの仕事」はとても魅力的な選択肢です。
この記事では、マスコミ関係の会社(就職先)にはどんなところがあるのか、その仕事内容ややりがい、必要な資格などについてご紹介します。

マスコミの仕事とは?

マスコミは、正確には「マス・コミュニケーション」という言葉です。一般的にマスコミというと、テレビ・ラジオや新聞、雑誌などの「マスメディア」を通じ、不特定多数の人々(マス)にさまざまな情報を伝える(コミュニケーション)職業に就く人たちを指しています。

マスコミの仕事は、マスメディアを使い、映像や音声、文字などで情報を伝えるための記事や番組などのコンテンツを制作したり、そのための取材活動を行ったりするのが特徴です。

マスコミの仕事の種類

原稿に赤字を入れる編集者

 
マスコミの仕事には、どのような種類があるのでしょうか。ここでは仕事の種類をいくつかご紹介します。

総合職

テレビ局や出版社では、大学卒業者は「総合職」として採用されることが多いようです。希望や適性に合わせて、編集職や番組制作職などのクリエイティブ部門に配属になったり、営業やプロモーション担当をするビジネス部門に配属となったりします。人事やコンテンツの権利関係を担う法務、経理といった、バックオフィス部門に配属になる可能性もあります。会社によっては部門間の異動があることも。

記者職

新聞社や週刊誌・月刊誌を出す一部の出版社では、総合職とは別に記者職(編集職ともいう)を採用することもあります。記者職は、取材記者や写真記者、校閲記者、記事のレイアウトなどを担う整理記者などに分かれます。記者職は取材などのために車を運転することも多く、普通自動車免許が入社までの必須アイテムになることも!

アナウンス職

テレビ・ラジオ局で番組やイベントの司会進行、リポートなどを行うのがアナウンス職(アナウンサー)です。局の顔ともいえる存在なだけに人気は高く、テレビ局のアナウンス職の就職倍率に至っては1,000倍以上。採用もほかの職種より早いタイミングで行われます。

ビジネス職・事務職

新聞社において、新聞紙面の掲載広告を集めたり、新聞販売店に対する管理を行ったりする仕事は、ビジネス職や事務職と呼ばれます。テレビ局でも、ローカル局へ番組販売をしたり視聴率分析をしたりする仕事をはじめ、イベントプロデューサー業務やDVD・グッズの販売などを行う仕事をビジネス職ということがあります(ビジネス職に番組制作を含むテレビ局もある)。

技術職

テレビ・ラジオ番組を安定的に放送するための技術や番組制作の映像技術面を担うのが、技術職です。近年のテレビ局では、AI(人工知能)やAR・VRなど、最新技術を導入した番組制作にも取り組んでいるため、重視されている仕事です。
新聞社では、紙の新聞を編集するためにシステムやネットワークを構築・管理したり、猛スピードで大量部数を刷る印刷機を整備したりする技術部門の仕事があります。

マスコミの仕事の特徴とやりがい

新聞の一面を飾る記事

マスコミの仕事のやりがいは、なんといっても「多くの人に伝えられること」です。テレビ関係の仕事であれば誰もが観るような大ヒット番組を作ることが挙げられます。テレビや新聞などジャーナリスティックな仕事であれば、誰も知らなかった大ニュースをスクープし真相を明らかにしたり、社会的弱者に寄り添って権力を監視したりすることもあるでしょう。出版関係の仕事であれば、映画やアニメにもなるほどのベストセラー作品を手掛けるといった大きな目標がそれぞれにあるはず。
その結果を出すために、仕事の中でつらく厳しい局面があるのも事実。それでもマスコミの仕事に携わる多くの人は、「自分が関わった情報を伝える」ことを誇りに思っているからこそ、数々の仕事の苦労にも耐えられるのです。

マスコミの仕事の年収

マスコミの仕事の年収は、ジャンルや会社の規模などによって大きな差があるものの、東京にあるテレビのキー局(番組放送におけるネットワーク系列の中心的な放送局)や全国紙の大手新聞社、大手出版社などは高年収です。一例として、テレビのキー局の平均年収は約1,500万円、大手出版社の平均年収は約1,000万円だといわれています。
一方でテレビ番組の制作会社や地方新聞社、中小専門出版社、編集プロダクションなど、マスコミといっても会社規模や扱うジャンルなどによって平均年収は大きく異なるので、注意が必要です。

マスコミの仕事に就くために必要な資格や受験すべき試験

マスコミの仕事に就くために取らなければならない資格や、受験しなければならない試験はありません。ただ、マスコミの仕事は人気が高く、就職するには極めて競争率の高い入社試験を突破する必要があります。即戦力として活躍するためにも、下記のような資格を取得しておくと、面接官の目に止まりやすいでしょう。

<マスコミの仕事の就職に効果的な資格>
・テレビ・ラジオ関係の仕事:TOEIC、TOEFL、英検、アナウンス検定
・新聞関係の仕事:語彙・読解力検定、ニュース時事能力検定
・出版関係の仕事:校正技能検定、DTPエキスパート認証試験

マスコミの仕事に就くためにオススメの大学や学部・学科

マスコミの仕事に就こうと思ったら、どのような学部・学科を目指すといいのでしょうか。ここでは、学部ごとに、マスコミの仕事に関連して学べることをご紹介します。

メディア学・マスコミ学系の学部・学科

主にマスコミ向けの勉強ができる文系学部として、メディア学部やメディアコミュニケーション学部を設置している大学が挙げられます。社会学部や情報学部などに置かれる情報メディア学科やメディアコミュニケーション学科も同様で、メディア研究や社会とメディアとの関係を学ぶことができます。

文学系の学部・学科

出版や新聞など文字を扱う仕事においては、子供の頃から文字になれ親しみ、本や文学を愛する文学部出身者が多い傾向があります。その好奇心や探究心の強さは、マスコミの仕事でも発揮されることでしょう。

映像学系の学部・学科

映像文化や映像技術について学ぶ映像学部や、芸術系の学部に設置されている映像学科で学び、映像制作会社へ就職する人もいます。YouTubeなどの動画制作にも活かされる知識は、今後の需要が見込まれそうです。

マスコミの会社の種類

出版社の社員

マスコミの会社には、高校生の皆さんも知っている会社が多くあります。ここでは、マスコミのジャンルごとに主な会社をご紹介します。皆さんになじみ深い会社もきっとあるはず!

テレビ・ラジオ

テレビの放送局は、大きく分けて「地上波放送」「衛星放送」「有線放送(ケーブルテレビ)」の3つがあります。皆さんが自宅のテレビにて主に観ているのは、地上波放送です。 一方、衛星放送は、BS放送やCS放送を行っています。アンテナやチューナーを設置し、有料契約しないと観られない番組もあります。
民間のテレビ・ラジオ放送は、東京にある各キー局と、それぞれに紐付く準キー局や全国のローカル局の系列ネットワークで構成されています(ただし、 系列ネットワークに属さない独立局もある)。国民に影響力を持つ重要な仕事だからこそ、電波や放送を管理する国の免許が必要となっているのです。

・日本テレビ放送網株式会社
日本テレビ放送網株式会社は、東京・港区に本社を構えるテレビ局です。若者にも人気の「世界の果てまでイッテQ!」「世界一受けたい授業」「超無敵クラス」といった番組を放送しているので、ご存じの人も多いでしょう。日本テレビは2022年の年間個人視聴率において、キー局5社の中で12年連続ナンバーワンの実績を誇っています。

・NHK(日本放送協会)
NHK(日本放送協会)は、視聴者からの受信料を財源として事業を行っている公共放送局です。国内外で勤務する「全国職員」と、限定された地域で働く「地域職員」があり、取材や調査報道、番組制作を行っています。

・スカパーJSAT株式会社
スカパーJSAT株式会社は、宇宙事業と国内唯一のCSデジタル放送を行うスカパーJSATグループの会社。有料多チャンネル放送サービス「スカパー!」を運営し、約300万件の契約者にさまざまな番組を提供しています。

・北海道テレビ株式会社
北海道テレビ株式会社は北海道のローカル局ではありますが、「水曜どうでしょう」のような独自番組制作力には定評がある会社です。地域イベントにも参画し、「さっぽろ雪まつり」で大雪像制作にも取り組んでいます。

・株式会社ニッポン放送
フジ・メディア・ホールディングスの一員である株式会社ニッポン放送。「オールナイトニッポン」などの番組のキー局として有名ですよね。編成やスポーツ、報道のほか、営業や経理などの仕事があります。

新聞社・通信社

新聞社は、国内外の社会問題や政治・経済、スポーツなどのニュースを幅広く伝える新聞を発行しています。
新聞には日本の主要都市に拠点を持ち、全国向けに発行されている全国紙と、特定の県や地域向けに発行されている地方紙が存在しています。この中で、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞という「五大紙」だけが全国紙と呼ばれているのです。
また、スポーツ紙や業界紙・専門紙など、さまざまなジャンルの新聞を発行する新聞社や、自社で新聞は発行しないものの、取材や記事制作・配信だけを行う通信社もあります。

・株式会社読売新聞社
1874年創刊の全国紙「読売新聞」を発行する株式会社読売新聞社。読売新聞の発行部数は、世界トップレベルです。小学生向けの「読売KODOMO新聞」や、10代向けの「読売中高生新聞」を読んだことがある人も多いのではないでしょうか。視聴率日本一の日本テレビ や準キー局の読売テレビ、プロ野球チームの株式会社読売巨人軍も、この読売新聞社のグループ会社なんて驚きですね!

・株式会社日本経済新聞社
株式会社日本経済新聞社は一般紙と異なり、経済に特化した内容が充実した「日本経済新聞」を発行する会社です。株式会社日経BPのような出版社もグループ会社として持ち、ビジネスパーソン向けの雑誌や書籍を送り出しています。

・一般社団法人共同通信社
国内外で取材やニュース記事の制作・配信を行う二大通信社のうちのひとつが、一般社団法人共同通信社です。共同通信グループには報道写真や動画を販売する会社や、企業への戦略提言やコンサルティングを行う会社もあります。

・株式会社西日本新聞社
株式会社西日本新聞社は、福岡に本社があるブロック紙(複数都府県で販売する地方紙)の会社です。記者が読者の疑問や質問を集めて取材する「あなたの特命取材班」という企画はYahoo!ニュースでも取り上げられ、大きな注目を集めました。

出版社

書店やコンビニに並ぶ書籍や雑誌などを発行しているのが、出版社です。さまざまなジャンルの作品を扱う総合出版社と、児童書や漫画、医学書など、特定のジャンルのみを扱う専門出版社があります。書籍や雑誌は値引き販売できない制度があるため、社員数が数百名の会社と、1、2名で経営している小さな会社のどちらにも大ヒット作品を出すチャンスがあるのが、出版業界の特徴といえます。
インターネットやスマートフォンの普及により紙の本の売上は低下していく一方ですが、電子書籍や漫画のキャラクターを活かした権利ビジネスの売上は伸びています。

・株式会社講談社
「週刊現代」「フライデー」などの週刊誌を発行しているのが、株式会社小学館や株式会社集英社と並ぶ日本三大出版社のひとつである株式会社講談社。週刊誌以外にも漫画や児童書のほか、ファッション誌、文芸書など、さまざまなコンテンツを世に送り出す総合出版社です。

・株式会社集英社
「週刊少年ジャンプ」で知られる株式会社集英社。「ONE PIECE」「鬼滅の刃」などの大ヒット漫画を、一度は目にしたことがあるのでは?このように、キャラクターを扱う権利ビジネスも展開中です。

・株式会社新潮社
日本初の出版社系週刊誌「週刊新潮」を1956年に創刊したのが株式会社新潮社です。株式会社文藝春秋の「週刊文春」と並び、日本の週刊誌ジャーナリズムを牽引しています。

・株式会社学研ホールディングス
株式会社学研ホールディングスは、「学習研究社」時代には出版事業だけでしたが、出版不況により多角化経営を開始。現在は、塾やオンライン予備校、高齢者福祉施設のほか、保育園の運営なども展開中です。

オンラインメディア

広告やCMを掲載するテレビ・ラジオ・雑誌・新聞を「マスコミ4媒体」といいます。しかしこれまでのテレビ放送局や新聞社だけではなく、新しい企業がマスコミ業界に参入し、広告を集めてオンラインメディアを運営しています。今やオンラインメディアの広告費は、マスコミ4媒体を超えるほどに成長しています。

・株式会社ニューズピックス
株式会社ユーザベースのグループ会社である株式会社ニューズピックス。オンラインメディア「NewsPicks」運営や動画配信事業、さらには出版事業も行っている会社です。

・BuzzFeed Japan株式会社
BuzzFeed Japan株式会社は、オンラインメディア「バズフィードジャパン」や「ハフポスト日本版」を運営する会社です。朝日放送グループホールディングスと資本提携しています。

マスコミの会社名を「JOB-BIKI」で検索してみよう

高校生の皆さんが友人と話題にするテレビ番組やファッション雑誌は、マスコミの仕事に就いている人たちによって作られています。世間を驚かせるニュース報道や人気番組に影響を受けて、「いつか伝える仕事をしたい」と考えている人も少なからずいるはず。特に、イラストや文章、人前での発表などを通じて「誰かに情報を伝える」のが好きな人にとっては、向いている仕事といえます。

とはいえ、マスコミ業界で働きたいと思う人は多いもの。マスコミの会社に入るため、ライバルより一歩先の情報を得るためにも、自分が知っている就職先を「JOB-BIKI」で検索してみてはいかがでしょうか?何か役立つヒントが見つかるかもしれませんよ。

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