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建機(重機)業界とは?働く魅力や職種、おすすめの学部を解説

2024.04.01

カテゴリー:
建機をメンテナンスするエンジニア

建機(重機)業界は、建築現場で欠かせない建機の開発・生産に携わる業界です。建機は工事現場だけでなく鉱業や林業でも使われており、私たちの生活を陰から支えています。機械が好きな方や「人々の生活を支える仕事がしたい」という方の中には、建機(重機)業界を目指している方も多いでしょう。

建機(重機)業界の仕事には、理系のイメージが強い技術職以外にも、さまざまな職種があります。この記事では、建機(重機)業界の特徴や「JOB-BIKI」で調べられる企業の例、主な職種、おすすめの学部などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

建機(重機)業界の魅力や代表的な企業の例

建機(重機)業界には、どんな特徴があるのでしょうか。ここでは、建機(重機)業界の基礎知識や働く魅力、代表的な企業の例をご紹介します。

建機(重機)業界とは?

建機(重機)とは、ショベルカーやブルドーザーなど、主に工事現場で使われるような建設機械のことを指します。建機業界は、このような建設機械の製造・販売、レンタル、メンテナンスなどの業務に携わっている業界です。こうした建機の販売は国内だけでなく、アジアなど海外にも展開しています。そのため、活動の幅が国内だけに留まらないことも特徴です。
建機業界では、基本的には個人のお客様ではなく、建設業者や総合建設業者(ゼネコン)などの企業をお客様として取引を行います。こうした建設業者は、実際に現場で工事を行うことが仕事であり、建機が必需品です。そのため、建機メーカーへ建機の製造・販売やレンタル、メンテナンスを依頼しています。
また、建機の販売方法は、私たちが馴染みのあるような「カタログなどを見て選び、購入する」という方法ではありません。工事現場によって必要な建機の種類・機能は異なるため、現場にあわせて建機を提案したり製造したりしています。
建機業界は、以上のように、企業をお客様とした建機の製造・販売することが基本 です。そのため、個人のお客様を相手に製品を販売するメーカーとは異なり、多くのお客様をターゲットに製品をたくさん販売するのではないところが特徴であるといえます。建機を納品した後もメンテナンスサービスを提供する企業が多く、お客様と長期的な関係を築けることもあります。

建機(重機)業界で働く魅力

ダムの建設現場

建機は、家やビル、大規模なものではダムや採掘場、発電所 など、私たちの生活に欠かせない建物を作るために必要な機械です。工事現場でも、必ず目にする機会があります。そのため「自分の関わった建機が人々の生活を支えている」「人々に安心な生活を届けている」と実感できることが魅力です。
また、大きな機械に携われることも魅力だといえます。建機は、求められている機能を備えると大きな機械になるケースが多く、完成までに多くの人の手と時間が必要です。そのため、建機が完成した時には「力をあわせて作り上げた」という達成感を得られるでしょう。
新しい機能や技術を備えた建機に、最も近い部分で関われることも魅力です。建機業界は建機の製造を担っているため、アイディアをすぐ建機に反映できます。自分のアイディアが建機に取り入れられたり、自分のアイディアを取り入れた建機がお客様に喜ばれたりした際は、やりがいを感じられるはずです。

建機(重機)業界の代表的な企業の例

日立建機株式会社
株式会社小松製作所
株式会社クボタ
コベルコ建機株式会社
ヤンマーホールディングス株式会社

建機業界の中でも「製造・販売だけでなくレンタル事業も展開しているか」や扱う建機の種類などにより、企業ごとの特色はさまざまです。
例えば「日立建機株式会社」は、建機の製造・販売だけでなく、レンタル事業や中古車事業も展開しています。レンタル可能な重機の品揃えは国内でもトップクラスです。海外展開にも力を入れており、売上を着実に伸ばしています。また、グループ会社である「株式会社日立製作所」が、家電業界や重工業業界などへ事業展開していることも特徴です。株式会社日立製作所の詳細については、以下の記事もぜひ参考にしてください。


「株式会社小松製作所」は、世界148ヵ国に210の代理店を持ち、積極的に海外展開している企業です。海外でも「KOMATSU」ブランドは確立されており、注目を集めています。皆さんも、工事現場などで「KOMATSU」と書かれたショベルカーを見たことがあるでしょう。製造している建機は建築現場だけでなく、農畜産業や林業、採石事業にも使用されているのが特徴です。
「株式会社クボタ」は、主に小型建機の製造を得意としています。1974年にミニバックホー(小型のショベルカー)の生産を開始して以来、小型建機に特化して製造を続けているのが特徴です。現在も、国内向けの製品は小型建機に特化しています。また「クボタブランド」は「For Earth, For Life」を掲げ、人々の生活に欠かすことのできない食料・水・環境維持を実現するための建機開発を行っています。今後も、農場や都市部などのスペースが狭い場所での工事などで需要があるでしょう。
「コベルコ建機株式会社」は、新しい技術や発想を取り入れた建機の製造を得意とする企業です。1953年にトラッククレーンを、1963年にはホイール式油圧ショベルを国産で初めて発売しています。ブルーグリーンの外観をした「KOBELCO」ブランドの建機は、業界内でも、革新的な建機の製造で注目を集めているのが特徴です。
「ヤンマーホールディングス株式会社」は、世界的なエンジンメーカーとしても知られています。1933年に、世界で初めて小型ディーゼルエンジンを開発したことでも有名です。現在も、この小型ディーゼルエンジンを搭載した小型建機の製造に力を入れています。

建機(重機)業界の職種

建機を販売する営業

建機(重機)業界の仕事には、具体的にどのような職種があるのでしょうか。ここでは、建機(重機)業界のおもな職種についてご紹介します。

●研究開発
新技術の研究や新製品の開発を行う仕事です。具体的には、建機における新技術や新機能の実用化について検討し「製品化できるか」の分析を行います。たとえば「建機に組み込むための、環境に配慮したクリーンなエンジン」というようなアイディアを生み出した場合は「そのエンジンが実現可能なのか?」「そのエンジンは需要が見込まれるのか?」 などを検討することが主な業務です。見込みのあるものに対しては、具体的な立案を行い、製品化に向けてのフォローも行います。

●設計
研究開発の結果をもとに、生産する製品を考えていく業務を行います。具体的には、建機の仕様や組み込む機能の検討、使用する素材の設定など「製品をどのように作るか?」を決めるのが仕事です。たとえば「環境に配慮したクリーンなエンジン」を具体的に設計するのであれば「環境に配慮するなら素材は何を使うのか?」「排気ガスを少なくできる設計などができるか?」などを検討します。製品の設計段階では、製品価格や安全性なども考えていかなければなりません。そのため、お客様の要望に応えられる機能や製品を、適正な価格で安全に設計することが求められます。

●資材調達
生産に必要な素材を調達する仕事です。設計されたものをもとに、設定された製品価格に抑えられる価格で購入可能な調達先を探し、実際に購入を行います。また、建機に使われるパーツなどは、たとえば超大型ダンプトラック用のタイヤなど、大型であるがためになかなか手に入りにくいものも多いです。そのため、時には国内の会社だけでなく海外の会社・工場へも向かい、交渉なども行います。

●生産技術
製品を製造するための機器の開発や、効率よく生産するための工法の考案などを行う仕事です。製造現場の安全性、品質、納期、コストをより良くするため、ものづくりを根底から改善する役割を担っています。たとえば効率よく製品を生属するために、製造用ロボットを導入することがあります。そのため都度新しいロボットに触れられる機会が多いといえるでしょう。ブルドーザーなどの大型機械は、わずかなミスや欠陥でも大きな事故につながるため、まずは自身で操作方法を理解し、正確に操作・生産ができるようになることが求められます。

●生産管理
安定した生産のために「どの製品をいつ生産するか」というタイミングや、1つの製品に対しての生産スケジュールの管理などを行う仕事です。建機は、1つの製品に複数のパーツが必要となるため、それぞれのパーツをそろえるためにも細かいスケジュール管理が必要となります。パーツによっては海外から取り寄せることもあります。たとえば大型クレーンを製造するための部品を海外から取り寄せる際、工場へ届くまでにトラブルが起こった関係で、調達が遅れることもあります。代わりになる部品を探して調達するなど、臨機応変な対応が必要な場面もあります。

●製造
設計されたものをもとに、実際に建機を生産する仕事です。技術職の中でも、もっとも製品に近い場所で働ける職種だといえるでしょう。設計図通りに正確に製品を作ることはもちろん、品質を高くするための精度向上や、生産段階におけるミスを防ぐための対策などを考えることなども担っています。大型な製品ならば、複数の班に分かれて部分ごとに製造を行うこともあります。製品の車両部分を組み立てる際に複数の班に分かれ、 内蔵部品・エンジン・車輪というように順番に取り付けたり溶接を行ったりします。1台製造するために1ヶ月かかることもあれば、大型だったり複雑な製品だったりする際は2、3ヶ月ほどかかることもあります。

●品質保証
生産した製品の安全性や信頼性といった品質を担保するため、実際に完成した建機を動かし、検査業務を行う仕事です。建機が使用される場面は主に屋外であり、過酷な現場で使用されることもあるため、あらゆる使用方法や使用環境を想定して品質を評価するための試験を行います。また、検査業務にて確認する項目の設定や、検査業務を効率化するための技術開発なども担当業務です。

●営業
お客様の要望に添えるような製品・技術を提案し、実際に購入していただくための交渉を行う仕事です。お客様の要望には「ネットワークを活用した便利な機能が欲しい」や「なるべく価格を抑えて、十分な機能を備えた建機が欲しい」など、さまざまなものがあります。そういった要望を社内の各部門とも調整し、社内とお客様の双方にとって良い条件となる製品を販売することも営業の大切な業務です。そして日本製の建機は海外でも大変人気があります。そのため海外へ向けた販売も展開しており、営業が海外へ直接出向いて売り込むこともあります。

●サービスエンジニア
販売した後の製品のアフターフォローを担う仕事です。建機は「販売したら仕事が完了」というわけではありません。実際に使用して明らかになった問題点や課題、トラブルなどを解決するのも建機メーカーの仕事です。たとえば、高層ビルを建てるクレーンの場合、小さな部品ひとつ外れただけで大事故になりかねません。そのため、小さな問題点や課題、トラブルなども急いで解決することが必要です。こうしたアフターフォローがお客様から信頼される要素となり、次の購入にも繋がります。企業としてお客様からの信頼を得るためにも、重要な職種です。

建機(重機)業界で求められる人とおすすめの学部

コマツの大型ダンプトラック

建機(重機)業界に就職するためには、どのような経験や資格が求められるのでしょうか。ここでは、建機(重機)業界に向いている人の特徴、おすすめの学部などもご紹介します。

求められる経験や資格

建機(重機)業界の企業へ応募する際に、必須の資格はありません。基本的に、必要な資格は入社後に取得できるよう研修が組まれています。職種も幅広く、技術系と事務系のものがあるため、卒業する学部や学科も指定されていないケースがほとんどです。

建機(重機)業界に向いている人

建機(重機)業界に向いている人の特徴は、以下の2つです。
・働く車や大型機械が好き
・既存のものを改良することが好き

・働く車や大型機械が好き
建機業界の仕事は、建機という機械と必ず関わります。そのため「働く車や大型機械が好き」という方にはおすすめです。小さな子供のおもちゃでも人気のとおり、建機のような働く車や大型機械が好きな方も多いでしょう。機械の仕組みや機能についても詳しい必要があるため、機械の仕組みや新しい技術について勉強したり調べたりするのが好きな方にも向いています。

・既存のものを改良することが好き
建機業界では、既存の仕組みや機能、すでに販売されている製品などについて、常にさらなる改良が求められます。そのため、既存のものから改善点や課題を見つけ、それらを解決するのが好きな方は向いているでしょう。たとえば、株式会社小松製作所が開発している無人ダンプトラック運行システム(AHS)は、先進技術である無人運転技術を、既存の建機に取り入れた例です。また、徹底した品質検査をしても販売した製品に不具合が出ることはあります。その際にも、建機を使っている現場へ向かってまで原因を追究できるような熱意を持てるような方には最適です。

建機(重機)業界で働くためにおすすめの学部

重機に興味のある若い女性

建機(重機)業界で、研究開発や設計などを行う技術職として働きたい場合は、工学部や理工学部を卒業しておくのがおすすめです。工学部では工学を、理工学部では理学と工学の両方を学べます。理学とは、数学、物理学、化学、生物学などを用いて、自然科学の基礎法則や仕組み、理論などを研究する学問です。また、工学は、理学で得た理論や仮説をもとに「具体的にどう役立てていくか?」という技術を研究します。理工学部の中でも、とくに機械工学、機械システム工学、機械理工学などの機械に関わる勉強をしておくとよいでしょう。
また、営業などの事務系職種の場合は、理工学部以外の学部でも目指せます。学部は不問となっているケースが多く、文系の学部でも応募可能です。しかし、業務では機械に関する知識なども必要であり、技術職と関わることもあるため、理系の勉強をしていた方が有利でしょう。
機械工学、機械システム工学、機械理工学などを学べる大学、学部には、以下のようなものがあります。

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建機(重機)業界の仕事では、生活を支える建設現場で活躍する機械の生産に携われます。海外でも求められるような機械の生産に関わったり、新技術や新機能を備えた建機を開発したりすることも可能です。既存のものを改良すること、未知の技術や機能の実現に挑戦することが好きな方は、やりがいを感じられるでしょう。
建機(重機)業界へ就職するための大学選びに悩んだら「JOB-BIKI」の活用がおすすめです。「JOB-BIKI」の「就職先検索」にて、建機(重機)業界の企業が調べられます。検索方法は「就職先検索」の「業種から探す」から「製造・機械」の「一般機械」を選択しましょう。建機(重機)業界の企業や、その企業に就職した先輩たちの卒業した大学・学部が調べられます。「自分が目標とする企業に就職するために、どの大学・学部に進めばよいのか」というイメージが具体的に掴めるはずですよ。

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