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農家にはどのような種類がある?仕事のやりがいやおすすめの学部

2023.02.08

カテゴリー:
キャベツを収穫する農家の夫婦

農家は、美味しいお米や野菜、果物、きれいな花など、さまざまなものを育てます。「自然が好き!」「植物が好き!」という人にもおすすめの仕事です。農家として働くためには、どんな勉強が必要なのでしょうか。また、取っておきたい資格などはあるのでしょうか。今回は、農家の具体的な仕事内容ややりがい、農家の種類、求められる資質、おすすめの学部、資格などについてご紹介します。

農家とは?

トマトの質を確認する農家の男性

農家とは、野菜や果物、米などを育て、収穫して売って生計を立てている人たちです。農家に興味があるものの、具体的にどんなことをするかはしらないという人も多いのではないでしょうか。まずは、農家の仕事内容ややりがい、想定年収などをチェックしていきましょう。

農家の主な種類

・畑作農家
畑作農家は、畑で野菜や豆類、穀物などを育てます。直売所やスーパーなどで販売されるもの以外にも、家畜に食べさせるための作物や、食品工場で加工される作物などを栽培することもあります。

・稲作農家
稲作農家は、田んぼで米を育てます。1年を通して土作りや苗作り、収穫などの作業があり、土地の気候に合わせた管理が必要とされます。

・果樹農家
果樹農家は、果樹園でミカンやリンゴなどの果物を育てます。一度植えた木は何年もかけて育てるのが基本で、肥料を施したり、病害虫対策をしたりといった手入れを行っていきます。

・花農家
花農家は、切り花用の花や鉢植え用の花、植えつけ用の苗、球根などを育てます。家庭用だけではなく、冠婚葬祭に使われる花や商業施設に飾られる花などを出荷することもあります。

農家の仕事内容

農家の仕事は、農作物を育てて出荷し、商品としてお客様に販売すること。米や野菜、果物、花など、農家によって扱うものはさまざまです。

ここでは、1年を通して農家の仕事内容を見ていきましょう。

季節野菜・果物
春 (3~5月)・種まき
・土作り
・田植え(5月)
・種まきや苗植え
・畑の耕作や畝立て(うねたて)※
夏 (6~8月)稲の手入れ・水や肥料を与える
・夏野菜や果物の収穫
・農薬を使って害虫や病気対策を行う
秋 (9~11月)・収穫・秋・冬野菜や果物の収穫
・来年の種まき用に種取りを行う ・収穫物の保存
冬 (12~2月)・出荷作業
・経理事務
・除雪
・農機具の点検や整備
・ビニールハウスでは農作物の生産を行う

※農地の土を整え、植物を植えたり、種をまいたりするために畝(うね)と呼ばれる土の段を作る作業

農作物の種類によって細かい作業内容は変わりますが、基本的には作物に適した土作りや種まき、肥料の追加、除草、害虫駆除などを行っていきます。農地のあるエリアの気候によっては、台風対策や積雪対策などを実施することも。また、収穫後は出荷できるものを選別し、袋詰めしたり、加工したりする作業を行います。農家によっては、お客様に直接販売することもあります。

農家の1日のスケジュール

苗を植える農家の男性

農家は、夏~秋にかけて農繁期となります。ここでは、農繁期の農家の1日を見ていきましょう。

5:00~5:30起床
身支度
5:30~8:00収穫
8:00~9:00朝食休憩
9:00~12:00収穫
作物の世話
12:00~13:00昼食休憩
13:00~15:00出荷の準備
15:00~16:00休憩
16:00~18:00出荷の準備
18:00~22:00夕食
自由時間
22:00~5:00就寝

農家の朝は早く太陽が昇ると同時に始まります。朝は、体力も回復して集中力もある時間帯なので、朝食前に一仕事します。とくに夏場は日中暑いので、早朝の涼しい時間帯に効率よく作業を進めます。

午前中の体力があるうちに、田んぼや畑で収穫や作物の世話などを行います。農家によってさまざまですが、午後からは出荷作業をメインに行うことが多いようです。農家の仕事は体力勝負なので、こまめに休憩を取りながら、日が沈む18時ころまで働くのが一般的です。

農家の仕事のやりがい

農家の大きなやりがいといえるのが、一から農作物を育てて収穫できることです。美味しい野菜やお米などを育てるには、大変な労力が必要になります。長い時間と手間暇をかけた農作物を収穫するときは、非常に達成感を得られるでしょう!また、収穫したものを食べてくれた人から「美味しかった」といってもらえることがあります。徐々に良い評価が広まって、定期的に注文してくれるお客様ができることも。さまざまな人から喜びの声をもらえることも、農家のやりがいにつながりますね。

農家の想定年収

「令和3年賃金構造基本統計調査」による農耕作業員の平均年収は344.1万円でした。取り扱う作物の種類や農家の規模などによって、収入は変わります。また、自然災害などの影響で収穫量が減り、収入が下がってしまう年も。ただし、自営業の農家ではなく、農業法人に就職して雇用されている場合は、毎月決まった金額の給料をもらえることがあります。

【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)

URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/504(稲作農業者)

URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/505(ハウス野菜栽培者)

URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/506(果樹栽培者)

農家になるには

兼業農家を始めた夫婦

農家になるには、以下のような方法があります。

  • 雇用就農する
  • 新規就農(独立)する
  • 兼業農家になる

それぞれの違いについて解説します。

雇用就農する

農家になる方法のひとつとして、雇用就農があります。雇用就農とは、農業を扱う会社に就職し、給与をもらう就農スタイルです。

サラリーマンと同じく、毎月決まった収入があるのが魅力です。また、雇用就農は、農業未経験者が大多数を占め、ゼロから農業を始める人たちにとって一般的な就農形態です。農業の技術を身に付けたのちに、独立する人もいます。

農業を扱う会社の一例は、以下のとおりです。

農業を扱う会社をもっと知りたい人は、「JOB-BIKI ジョブビキ」を活用してみてください。その会社で活躍している人の出身大学もわかるので、進路選びの参考になりますよ。

新規就農(独立)する

農家になる方法として、自営で農業をする方法もあります。会社に雇われるのではなく、独立して行うため、農地や設備、販路(収穫した作物の売り方)の確保が必要になります。また、農業用水や農道の確保が必要になるため、周囲との関係づくりも重要になってきます。

誰からのサポートもない状態から、新規で農業を始めるのは難易度が高いですが、自由であることが何よりのメリットです。栽培する作物や経営の仕方、販売方法など、すべて自分で決められます。自分の実現したい農業がある人や、さまざまなアイデアを試してみたい人には、向いているでしょう。

農林水産省では、新規就農者に補助金を交付しています。また、自治体によっては、農業のノウハウを教える取り組みをしている場合も。「農業に興味はあるけど、右も左もわからない」という人は、ぜひ支援制度を確認してみてください。

参考:農業支援サービス関係情報:農林水産省 (maff.go.jp)

兼業農家になる

別の仕事をしながら副業的に農業も行う「兼業農家」になる方法もあります。

兼業農家の場合、ほかの仕事もあるので農作業できる時間が限られてしまうことがあります。ただし、専業農家の場合は収穫が減ってしまうと収入も少なくなってしまいます。兼業農家は別の仕事の収入があるので、お金がまったく入らなくなるリスクを避けやすいのがメリットです。

農家に必要な資格

農家では運転が必要になります。普通自動車免許や大型特殊自動車免許、けん引免許(農耕車限定)などを取得しておくと便利です。

また、仕事の内容によっては特定の資格が必要になることがあります。たとえば、ハウス栽培でボイラーを扱う場合、重油を使うことになるので「危険物取扱者(乙種第4種)」が必要です。設備の規模によっては「ボイラー技士」の資格も求められます。ほかには、ドローンで農薬をまくために「産業用無人ヘリコプター技能認定」を受ける人もいます。扱いの難しい農薬を安全に使うために「毒物劇物取扱責任者(農業用品目または一般)」の資格を取ることも。農家の仕事を始めたら、自分の担当する内容に合わせて、いろいろな資格の取得を検討することになるでしょう。

農家になるためにおすすめの学部・学科

実習で作物を育てる大学生たち

農家を目指せる学部・学科の一例は、以下のとおりです。

  • 農学部
  • 園芸学部
  • 農業科学科
  • 農業経済学科
  • 農業工学科
  • 生命科学科

農家としてお客様に販売できるような作物を育てるためには、農業の専門知識が不可欠です。特に、現在は農業を取り巻く環境が進化しています。たとえば、AIを活用して収穫時期を予測したり、病害虫を早期発見したりといった技術が登場しています。ロボット技術でトラクターを自動運転し、肉体労働を減らすことも可能です。このような最先端の技術を取り入れることでより効率よく、より美味しい農作物を育てて販売できるようになります。そのためには、大学で専門的な知識や技術を身に付けることがおすすめです。

大学で農業に関する内容を履修できる学部には、農学部や園芸学部などがあります。学科は農業化学科や農業経済学科、農業工学科、生命科学科などさまざまです。大学によっては、農業経営についての講義を受けられることも。また、農業用の設備が充実した大学なら、実際に畑や水田、果樹園などで実習できることがあります。大学選びのときは、興味のある分野の講義があるか、どんな実習や実験ができるのかなどを調べてみることがおすすめです。

参考:https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/dr00111-001.html

農家に求められる資質

一つ一つ丁寧に収穫をする農家

農家を続けていくには、どんな資質が必要なのでしょうか。ここでは、農家に向いている人の特徴をご紹介します。

植物や自然が好き

農家の仕事では毎日のように自然や植物に触れることができます。季節の移り変わりを感じながら仕事ができるのも、農家ならではの魅力といえますね。植物や自然が好きな人であれば、充実した気持ちで日々の仕事を進められるでしょう。

また、植物も生き物なので、乱暴に扱ったり、雑に世話をしたりすると、うまく育たないことがあります。植物が好きで、愛情をもって育てられるということも、農家の重要な資質といえます。

地道な作業に集中できる

農作業では、畑を耕したり、苗を植えたりといった地道な作業が多くなります。同じ作業をたくさん繰り返していくこともあります。一つの作業に集中し、コツコツと取り組んでいける人であれば、農家の仕事をより楽しめるはず。

数字に強い

従来の農作業では、作業する人の経験や勘に頼る場面が多く見られました。現在では、気温や湿度、日照時間といったデータを集めて分析し、収穫量アップや品質向上を目指すことも多くなっています。「数字を扱うのに抵抗がない、むしろ得意!」という人であれば、データを活用した農業にも柔軟に対応できるでしょう。

トラクターなどの機械の運転が好き

農作業では、畑を耕すためにトラクターを動かしたり、収穫したものを運ぶために軽トラックを運転したりといった機会が多くなります。また、農地がある場所は電車やバスなどが通っていないこともあり、畑に通うために自家用車の運転が必要なことも。運転が嫌いという人は、農業を続けていくのが難しくなるかもしれません。

農家になりたいあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!

農家になりたいと思ったら、農学部や園芸学部などで専門知識を学ぶことも検討してみましょう。どんな大学で農学部を目指せるか、興味がわいた人はぜひ「JOB-BIKI」で調べてみてください。たとえば、「大学検索」で「業種から探す」を選び、「農林水産」で調べると、農林水産系の仕事に就いた人の出身大学を調べることができますよ。

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