高校生のみなさんの中には、郵便局で働く人をみて興味を持っている人もいるでしょう。郵便局といえば配達や荷物の受付のイメージが強いかもしれません。しかし、実は郵便局員は生活に必要なさまざまな役割を行っています。この記事では、郵便局員の仕事内容やなるための方法について紹介します。

郵便局員とは？

郵便局員とは、全国約2万4000か所にある郵便局で郵便・貯金・保険に関わる業務を行う人のことです。郵便局員といえば、切手やはがき、郵送などの郵便業務を行う人のイメージが強いかもしれません。しかし、郵便局員はゆうちょ銀行や資産運用に関する貯金業務、かんぽ生命保険の保険業務と、生活に欠かせないさまざまな業務を担っています。

郵便局員は、以前は日本郵政公社の公務員として働いていました。その当時は、1つの窓口で郵便・貯金・保険のすべての業務を担当していました。しかし、2007年10月郵政民営化法により日本郵政公社が解散し、日本郵政グループの会社員となりました。

その際に分社し、郵便・貯金・保険は、それぞれの専門分野ごとに会社がわかれています。

• 郵便業務：株式会社ゆうちょ銀行
• 保険業務：株式会社かんぽ生命保険
• 郵便業務：日本郵便株式会社

上記のように郵便局員と一言でいっても、それぞれ専門分野が異なります。

また、地域に根ざした郵便局のネットワークを利用して、お客様の家を訪ねて見守る「郵便局の見守りサービス」も行っています。郵便局員は、社会的インフラとして重要な役割を担う仕事だといえるでしょう。

それでは実際、郵便局員はどのような仕事をしているのでしょうか。詳しい仕事内容について、それぞれ紹介していきます。

郵便局員の仕事内容

郵便局員の専門分野ごとに、仕事内容をお伝えしていきます。郵便局員を目指している高校生のみなさんは、自分ならどの仕事内容をメインに行いたいか想像しながら読んでみてください。

・郵便業務
郵便業務では、手紙や荷物の受付、切手の販売などが主な仕事内容です。郵便局で受け付けている郵便・荷物サービスである「ゆうパケット」や「ゆうパック」、「レターパック」、「国際郵便」などを受け付けます。

窓口でお客様から受け取った荷物は、配達員が配達しやすいように住所ごとに仕分けします。また、郵便業務では、切手などのオリジナル郵便関連商品や、年賀状などのはがきを案内する営業活動も大事な仕事です。

・貯金業務
貯金業務では、主にゆうちょ銀行に関わる業務を担当します。ゆうちょ銀行での通常貯金、定額貯金、定期貯金などの預貯金の取り扱いや、通帳の発行などを行います。時には、ATMの操作がわからない人のために、窓口から離れてATM操作を教える時もあるでしょう。

また、窓口からの送金や決済サービスの取り扱い、公的年金などのお支払いなど、窓口でお金のやりとりを行うことがほとんどです。ほかにも銀行窓口では、国債（国庫債券）や投資信託などの資産運用の販売や相談に乗ることもあります。サービスを求める方に販売するのはもちろんのこと、お客様にあった最適なサービスをおすすめするのも貯金業務の一環です。

・保険業務
保険業務では、かんぽ生命保険の保険サービスの提供や保険金の支払いを行います。万が一に備えた終身保険や、病気やけがに備えたがん保険や自賠責保険、子どものための学資保険など、幅広い保険商品を取り扱います。

窓口業務では、お客様に求められたサービスを提供するだけではなく、その人にあった商品を提案するなどの営業活動も大切な仕事です。郵便局には保険商品を検討している人や、相談したい人が訪れることもあります。保険商品への深い知識と、その人にあった最適な商品を提案できる提案力も必要になるでしょう。

郵便局員のやりがい

郵便局員は、地域に密着して人々の生活に役立つ仕事です。手紙や荷物を送る郵便、ゆうちょ銀行での預貯金やお金に関する相談ごと、各種保険などインフラとして人々の生活を支えています。自分の提案によって、お客様の生活や将来に対する不安を改善できる仕事です。将来のための貯金や保険の提案は、責任を伴う立場です。だからこそ、お客様の悩みに応えられる提案がぴったりとでき、喜んでもらえた時は、やりがいを感じられるでしょう。地域の人たちの悩み事に、親身になって乗れるのが郵便局員の魅力です。

また、地域に密着しているからこそ、郵便局内に訪れるお客様の中には常連となる人もいます。何度も窓口で顔をあわせているうちに、信頼関係を築くことができます。荷物の受け取りなどの郵便業務でしか関わっていなかった人から、「今度お金のことで相談したいんだけど」と営業につながることもあるでしょう。地域密着だからこそ、お客さんとの距離を縮めやすいのが郵便局員の良いところです。その人の生活を支えられる提案ができ、そのサービスを通じて少しでも生活が豊かになってもらえれば、それほど嬉しいことはないですね。

郵便局員に向いている人

ここまで郵便局員の仕事内容について紹介してきました。ここでは、どのような人が郵便局員に向いているのか、適性についてお伝えします。

細やかな作業が得意な人

郵便局員は、大切な荷物やお金に関する業務が多いです。貯金業務では、お客様の大切な資産を取り扱うことになります。預貯金に関する窓口サービスを行う際、数字が一桁違うだけでも大問題です。お金の送金の際に支払い先を間違えたり、金額を間違えたりすると、お客様にとっては大きな問題となります。

支払い業務などは、月末が混み合いやすいです。人が多く並んでいるからといって、あまり確認せずに業務を行ってしまうと、大きな失敗をする可能性があります。

また、郵便業務では年末の年賀はがきの仕分けや、お歳暮などの行事のタイミングは忙しくなりやすいです。どんな状況でも、常に確認をしながら細やかな作業でも苦にならない人が、郵便局員に向いているといえるでしょう。大雑把な人や、細かな作業が苦手な人にとっては、大変な仕事になるかもしれません。

親しみやすい接客ができる人

郵便局には、さまざまなお客様が訪れます。ただ荷物の受け取りや販売を行うだけの時もあれば、投資信託などの資産運用の相談、かんぽ生命保険の保険商品の相談にくるお客様もいます。若い人から年配の人まで、老若男女を相手にするため、親しみやすくわかりやすい接客が求められます。

忙しくても、相手がたくさんのことを聞きに来ても、常に明るく笑顔で接客できる人は向いているでしょう。人と話すのが好きで、親しみやすいと言われる人は郵便局員に向いています。

手際よく仕事ができる人

年末年始の年賀状の時期など、郵便局にとっての繁忙期には、大量の荷物を処理しなければなりません。仕分け作業を行いながら、ほかの業務を普段通りにこなす必要があります。効率よく丁寧に仕事ができる人は、郵便局員としてさまざまな業務を任せてもらえるでしょう。マイペースに仕事をしたい人よりかは、手際よく仕事ができる人が向いている仕事です。

郵便局員になるには？

郵便局員になるためには、高校卒業後どのような進路をたどるのが良いのでしょうか？郵便局員になるためにおすすめの大学や活かせる資格、目指すべき就職先についてお伝えします。

郵便局員になるためにおすすめの大学・学部

郵便局員は、貯金業務や保険業務などお金に関する業務を行います。資産運用や保険に関する商品を提案する際は、自分自身がその分野の知識を得ておかなければお客様に伝えられません。商品に関する知識は入社後に勉強するものですが、資産運用の仕組みや最適な保険を提案するための各種保険の知識については、大学で基礎知識を抑えておきたいところです。

そのため、経済学、金融学、商学科などのお金の勉強ができる学部を選ぶのがいいですね。金融学では、金融機関や企業の財務部で働く人々に求められるような専門知識や、金融機関の業務について学べます。実践的に学べるため、大学在学中から金融業界で身につけられるような知識が得られるでしょう。

また、経営学ではお客様が何を求めているかのニーズ把握や最適な提案をする力、何かを生み出す企画力が身につけられます。郵便局員はサービスの営業を行うのも仕事の一環なので、経営学部でも郵便局員をまた、経営学ではお客様が何を求めているかのニーズ把握や最適な提案をする力、何かを生み出す企画力が身につけられます。郵便局員の中でも総合職の仕事をする場合は、経営企画や営業企画・商品開発などを行います。郵便局の事業経営に携わるような後方業務に就く場合は、経営学で企業の管理や運営に関する知識を学ぶとよいでしょう。目指せますよ。

郵便局員に活かせる資格

郵便局員として、保険や貯金業務を行う際に活かせる資格を紹介します。資産運用などの金融商品や保険商品はその人の人生を左右するものです。なかには資格を持っていなければできない業務もあります。専門的な知識を学ぶためにも、知識の証明のためにも資格勉強も視野に入れておくといいですよ。

日本郵政グループ会社では、教育研修制度として業務に関係する資格取得をサポートしてくれる制度もあります。郵便局員になる前に資格を持っていなくても、入社後にチャレンジできますね。

・証券外務員
証券外務員資格とは、日本証券業協会が認定する公的な資格です。金融関係の仕事をするには必須の資格といわれています。証券外務員資格は、金融商品の販売ができる証明となる資格です。そのため、ゆうちょ銀行で金融商品を扱う際や、かんぽ生命保険で保険商品を扱う時には必要になります。

資格試験では、金融商品に関わる法律面での知識や基礎知識、金融商品業務にまつわる知識が問われます。特別な受験資格は必要ないため、大学在学中に資格取得を目指せますよ。

・生命保険募集人
生命保険募集人とは、生命保険協会が行う生命保険の営業をするために必要な資格です。一般過程の資格試験に合格したあと、金融庁に登録されると生命保険募集人の資格が得られます。

生命保険の販売や営業を行う際に必要な資格のため、郵便局員としてかんぽ生命保険の販売を行う場合は、必須の資格です。

・損害保険募集人
損害保険募集人とは、日本損害保険協会が行う資格です。万が一の事故に備えた自動車保険や、自賠責保険などの損害保険を取り扱うために必要な資格です。試験は、基礎単位・自動車保険単位・火災保険単位・障害疾病保険単位とそれぞれわかれています。

勤める郵便局によって取り扱う損害保険の種類は異なります。まずは1単位から挑戦し、順番に資格を取得していくのもひとつの方法です。

・ファイナンシャル・プランニング（FP）技能検定
ファイナンシャル・プランニング（FP）技能検定とは、日本FP協会が認定する資格試験です。ファイナンシャルプランナーとは、将来の夢や目標にあわせてお金の面でさまざまな悩みをサポートし、解決策をアドバイスする専門家のことです。

FP技能検定では、年金や保険、資産運用、税制、住宅ローン、相続など、お金にまつわる幅広い専門知識が身に付けられます。将来のライフプランにあわせた資金計画や金融資産運用、それにともなったリスク管理などが学べる試験です。郵便局員としてお客様の相談に乗る際に役立つでしょう。

FP技能検定は1級～3級とわかれています。誰でも受験できる資格試験なので、まずは3級取得を目指しながらお金にまつわる勉強をするのがいいですね。

お金の専門家であるファイナンシャルプランナーについての仕事内容は、こちらの記事で詳しく紹介しています。興味のある方は読んでみてください。

ファイナンシャルプランナーの記事

郵便局員になるために目指すべき就職先

郵便局員として働くには、日本郵政グループ会社のいずれかに勤めることになります。

• 株式会社ゆうちょ銀行
• 株式会社かんぽ生命保険
• 日本郵便株式会社

上記のいずれかに就職することで、郵便局として働けるようになります。ただし、株式会社ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険ではエリア基幹職、日本郵便株式会社では地域基幹職か一般職として採用されなければ、郵便局内では働けません。

各社では総合職の募集も行っており、総合職では郵便局でお客様の前に立つことなく、支社や本社で業務を行います。全国の郵便局の管理運営、経営企画などの後方業務を担当します。総合職では、新しいサービスや商品を企画・開発するのが主な仕事です。世の中の人が喜んでくれる、生活に必要なサービスを考えたい方に向いている業務といえるでしょう。

郵便局の中で直接お客様にサービスを提供するのか、サービスを新しく考える人になりたいのかによって、目指す就職先が変わってきます。

郵便局員のキャリアプラン

郵便局員として就職したら、自分の専門業務への知識を深めながら仕事をしていきます。就職してから業務に関連する資格を取得する人も多く、実務経験を積みながら知識を高められるでしょう。窓口でお客様と対面していくうちに、実際にお客様から聞かれることが多い内容や、困っていることなどがわかってきます。「こういう人の場合は、どういう提案をしてあげるのがいいのだろうか？」「何をおすすめするのが、この人のためになるのだろうか？」といった視点で考えていけば、お客様の悩みを解決できる郵便局員となれるでしょう。

地域基幹職・エリア基幹職は、将来の役職者や管理職として期待がされています。最初は一般社員から就職するのが基本ですが、その後は評価に伴って、主任・統括部長・局長というようにキャリアステップを踏めるでしょう。ステップアップの仕方は局の大きさによって異なりますが、評価に伴ってキャリア形成ができます。

また、郵便局員で地域基幹職・エリア基幹職として働いていた場合、総合職へのコース転換が可能です。郵便局での業務経験が評価されれば、企画部門への異動もあります。郵便局の窓口勤務として就職をしても、本社で後方サポート側にまわることもできます。本社で働くのがいいのか、郵便局で地域に密着した仕事をするのがいいのか、悩んだ時はどちらにも転身できる点を覚えておきましょう。

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郵便局員の仕事内容や、なるための方法についてお伝えしました。郵便局員は郵便・貯金・保険と3つの専門分野にわかれる仕事です。まずは自分がどの分野の郵便局員として働いてみたいのか考えてみてくださいね。

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