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放送作家になるには?目指せる大学や就職先・仕事内容を紹介します!

2023.03.20

カテゴリー:
収録現場に立ち会う放送作家

「テレビが好き」「番組制作に携わってみたい!」と考える高校生の中には、放送作家の仕事に憧れている人もいるでしょう。放送作家はテレビの企画を考え、構成や台本を作る職業です。この記事では、放送作家の仕事内容やなるための方法を紹介します。放送作家に求められる資質や能力についても解説するので、参考にしてくださいね。

放送作家とは?

放送作家は、テレビ番組の企画を考え、構成や台本を作る職業です。担当するジャンルは幅広く、バラエティ、音楽番組、ドキュメンタリーなどを担当します。お笑い専門、クイズ番組だけを手掛けるなど、特定のジャンルに特化した放送作家もいます。ドラマや映画は台本をもとに撮影していることはわかりますが、バラエティ番組などは出演者が好きに話しているように見えますよね。しかし、こうした番組も、台本をもとに番組が作られているのです。

番組の企画づくりは、プロデューサーやディレクターと一緒にアイデアを出し合いながら行います。放送作家はレギュラー番組をいくつか受け持ち、情報集めから企画の考案、台本作成までを一貫して行うのが基本です。

放送作家は、番組の具体的な構成作りも行うため、構成作家と呼ばれる場合もあります。以前は、放送作家と構成作家は区別されていました。放送作家が演出やセリフなどの台本を作り、構成作家が番組全体の流れや各コーナーの企画を考えていたのです。しかし、最近ははっきりとした線引きがなくなっています。

このコラムでは、放送作家が主に台本を作る役割として記述します。構成作家との違いを知りたい、構成作家は主にどのような仕事をする職業なのか知りたい方は、以下のURLからご覧ください。構成作家の仕事内容について紹介していきます。

構成作家についてのコラムはこちら

放送作家と脚本家の違い

テレビ番組を作る仕事といえば、放送作家のほかに脚本家を思い浮かべる人も多いと思います。どちらもセリフや番組の構成を作る仕事ですが、手掛けるジャンルが異なります。放送作家がバラエティ、音楽番組、ドキュメンタリーなどの番組を手掛けるのに対し、脚本家は映画やドラマなどストーリーのある脚本を作るのが仕事です。

お笑い芸人から脚本家としての才能を開花させたバカリズムさんは、多くのドラマや映画でヒット作品を残しています。2017年に放送された「架空OL日記」では、「第36回向田邦子賞」を受賞しています。OLたちの無意味でリアルで、可笑しさに溢れたセリフ劇が面白い作品です。

バカリズムさんが手掛ける脚本は、独特の世界観や伏線、先がわからない面白い展開、これまでにない形の物語作りが魅力だといわれています。これらの面白さはストーリーのある作品だからこそ引き立つものでしょう。バラエティやドキュメンタリーの企画やセリフ作りとなれば話は別です。

バラエティでは、バラエティだからこその面白さや企画作りが必要です。そのため、放送作家と脚本家はそれぞれの専門分野でわかれているのです。

脚本家の仕事内容について詳しく知りたい方は、以下よりご覧いただけます。

脚本家についてのコラムはこちら

放送作家の仕事内容

放送作家の仕事内容は、主に4つにわかれます。それぞれの仕事内容について、詳しくお伝えしていきますね。

・リサーチ
放送作家は、番組の企画を作るために、まずリサーチを行います。例えばグルメ番組を手掛ける場合、最近流行っているお店やグルメについて調べる必要があります。その中から、視聴者が関心を寄せそうな一風変わったものや、視聴者が「食べてみたい」と思えるような企画を想定しながらネタ集めをしていかなければなりません。

放送作家にとっては、企画を考えるためのネタ集めが一番重要な仕事といえるでしょう。リサーチ力によって、面白い企画が作れるかどうかが変わってきます。SNSで流行っているものや、若者の最近の流行、お父さん世代の関心事など、年代によって調べる内容はさまざまです。どのような番組を作るかによって、リサーチの幅は広がっていくでしょう。

企画内容が決まれば、その番組を成立させるための情報を集めていかなければなりません。時には関係者に取材をして回り、必要な情報を集めます。

また、放送作家はネタ集めのリサーチ以外に、裏どりリサーチを行います。これは、番組の内容が決まってから、実際に放送する内容が正しいのかどうかを調べるためのリサーチです。

ただし、リサーチ業務に関しては、リサーチャーと呼ばれるリサーチを専門とした人が行う場合もあります。リサーチャーが膨大な量の調べ物を行い、その情報を元に放送作家が企画づくりに入ることも珍しくありません。

・番組の企画
番組の企画は、放送作家が一人ですべて行うわけではありません。企画会議を行い、放送作家とディレクター、プロデューサーで意見を交わし合いながら企画を固めていきます。

放送作家は、自分が考えてきた企画を企画会議で披露し、ディレクターとプロデューサーの意見を交えて形にしていきます。ときには、放送作家の企画がディレクターやプロデューサーが納得できるものに仕上がらず、やり直しになることもあるでしょう。いかに面白い企画を用意し、ディレクターとプロデューサーを納得させるかが放送作家の腕の見せ所です。

・台本作成
企画会議で企画が決まったら、いよいよ放送作家が番組の台本を作っていきます。台本では出演者が何を話すのか、司会はどのように進行を進めるのか、出演者に話を振るタイミングまで細かく決めていきます。番組の全体構成や場面設定、ナレーションを入れるタイミングやどのようなナレーションを入れるかなども、放送作家が決めているのです。

台本作成は、平面上では完結できません。実際の放送時にうまくいくよう考えるため、制作現場スタッフと打ち合わせしながら進めていきます。

・収録の立ち会い
放送作家は、収録現場にも立ち会います。自分が手掛けた台本で滞りなく撮影できるのか、収録を最後まで見届けるのも放送作家の大切な仕事です。台本では伝わりづらい部分などは、放送作家が実際に細かく指示を出す場合もあります。

また、現場でうまくいかない場面があった場合は、その場でディレクターと打ち合わせをしながら進行をサポートします。ときには現場で台本を書き換えるときもあり、臨機応変な対応が求められます。番組制作を最後まで見守り、手助けするのも放送作家の役目です。

放送作家のやりがい

放送作家の1番のやりがいは、多くの人に面白い番組を届けられることです。放送作家は1つの番組を作るだけでも、リサーチから企画作り、企画会議を通して台本作りに入り、収録を見届けるというように、時間と労力を使います。

人気放送作家にもなると、一度にいくつもの番組を手掛けることも多く、寝る間を惜しんで仕事をする人もいます。それほど時間をかけてでも番組を作り上げるのは、自分の作った番組で多くの人を喜ばせられるからです。

テレビ番組は、視聴率が数字として顕著に現れます。特に最近は、面白い番組が放送中にSNSでトレンド入りすることもあり、視聴者の反応を直に感じられます。多くの人に番組内容が届いている様子が実感できるため、やりがいを感じやすい仕事です。

ほかにも、放送作家は出演者のイメージアップに貢献できます。「あの番組に出たときのあの子が可愛かった!」「まさかあんな一面を持っていると思わなくて、余計好きになった」というように、自分が手掛けた番組がきっかけで出演者が高評価につながることもあります。出演者を輝かせられるのも、放送作家の大きなやりがいです。

放送作家の想定年収

放送作家の年収は、人によって大きく差が開きます。放送作家は、能力や実績が収入に大きく反映されやすい職業なので、平均年収を算出するのが難しいのです。

放送作家に支払われる金額は、番組内容や時間にもよりますが、1番組あたり2~20万円程度といわれています。支払われる金額は実績によってランクわけされ、助手2~3万円、駆け出し5~10万円、中堅10~15万円、大御所20万円というようにわけられます。必ずしもこの金額でわけられるわけではないので、1つの目安と考えてください。ここから1年で手掛けた本数分が、放送作家の年収となります。

放送作家に求められる資質と能力

自分のアイデアを伝える放送作家

ここまで、放送作家の仕事内容について紹介してきました。放送作家は1つの番組を作るために、さまざまな仕事を行っています。そのような放送作家になるためには、どのような資質や能力が求められるのでしょうか?放送作家に求められる5つの資質と能力についてお伝えしますね。

自由な発想力

放送作家には、たくさんの企画を考える発想力が必要です。何もないところから新しいものを作り上げるのが好きで、常に新しいことや面白いことを追い求められる人は、放送作家に向いています。

反対に、頭でっかちで、自由な想像をするのが苦手な人には難しいかもしれません。高校生の今のうちから、さまざまな価値観や物事にふれ、「自分だったらどう考えるだろうか?」「自分ならどういうものを作るだろうか?」と想像する習慣を作ってみてください。

想像することに慣れていない人は、普段話す機会のない、価値観が合わないと感じている人と話してみるといいですよ。自分では思いつかない新しい考え方に出会えるので、頭が柔らかくなっていき、柔軟な発想ができるようになるでしょう。

企画を楽しむ気持ち

企画力は、何よりも放送作家に求められる能力です。文化祭の実行委員会や部活でのイベントなど、何かを企画するのが好きな人は放送作家に向いているといえるでしょう。自分の企画で人に喜んでもらいたい、自分のアイデアを世の中にどんどん出していきたい気持ちがある人は、楽しみながら仕事に取り組めます。

視聴者は目新しいものや、今までにない斬新な企画を求めています。放送作家は、常に新しい企画を考えるチカラと楽しむ気持ちが必要です。

自分の考えていることを表現する力

放送作家には、頭の中に浮かんでいるものを形にする表現力が求められます。面白いことを思いつくのが得意でも、それを表現できなければ放送作家は務まりません。

例えば、企画書の段階では面白かったことが、台本として出演者のセリフや動きなどを考えたときに面白くなければ、その企画は採用されないでしょう。

放送作家は「どう表現したら面白いか?」を考えて、演出やセリフを作る必要があります。見せ方ひとつで番組の見え方は大きく異なるので、表現方法が異なれば番組のイメージは変わります。高校生の今のうちから、どのように番組が作られているのかを研究し、ほかにどんな表現方法があるだろうか?と考えてみるといいですね。

リサーチ力

放送作家には、リサーチ力が欠かせません。仕事内容でもお伝えしたように、放送作家は1つの番組を作り上げるためにさまざまなリサーチを行ないます。

リサーチ力の高さは、いかに多くの情報を調べられるかだけではありません。「面白い企画を作るために必要な情報は何か」、「どういう点にフォーカスすれば面白い企画は生み出せるのか」というように、企画を生み出すために必要な情報を素早く集められる人が、リサーチ力が高いといえます。

常にさまざまなことに興味を持ち、「今流行っているものはなんだろうか?」「なぜ、この物はこんなにも人の注目を集めているのだろうか?」といった目線で深く追求していく習慣をつけてみてください。そうすると、自然とわからないことや知らないことを調べるのが日課となり、リサーチ力が高められますよ。

コミュニケーション力

放送作家には、コミュニケーション力が求められます。もしかしたら、今まで放送作家はひとりで黙々と台本を考える仕事だと思っていた人もいたかもしれません。しかし、仕事内容でもお伝えしたように、実際は企画会議でプロデューサーやディレクターとアイデアを出し合いながら、番組を作っています。

1つの番組制作には、大勢の人が関わっています。現場で、番組収録がうまく進行するようにサポートする必要もあり、多くの人に番組企画の方向性やうまくいかせるためのアドバイスを伝えていかなければなりません。

撮影後にディレクターから意見を求められる場合もあり、自分の意見を話す機会があります。言葉足らずでは、うまく自分の考えが伝えられないでしょう。

放送作家になるには?

企画を考える放送作家

実際に、放送作家になるにはどうすればよいのでしょうか?ここからは、放送作家になるための方法を紹介します。

放送作家を目指せる大学・学部

放送作家を目指せる大学は、文学部やメディア学部など文章力やメディアについて学べる学部があげられます。以下の大学では、放送作家に必要な知識や技術が学べますよ。

● 大手前大学(兵庫・大阪)
● 大阪芸術大学(大阪)
● 淑徳大学(千葉・埼玉・東京)
● 東北芸術工科大学(山形)
● 法政大学(東京)

ほかにも放送作家を目指せる大学はあります。以下の学科がある大学ならば、放送作家の勉強ができますよ。

● 文学部
● メディア・社会学
● 芸術学部
● 現代社会学部
● 人文学部
● デザイン工学部
● 表現学部

まずは興味のある学部を見つけてから、その学部のある大学を選んでみるといいですね。

放送作家養成スクールで学ぶ

放送作家養成スクールで学び、放送作家を目指す人もいます。養成スクールでは、放送作家に必要な企画の出し方や台本の書き方などを専門的に学べます。しかし、養成スクールは半年~1年と学べる期間が短く、授業は週1回のところがほとんどです。

一部では芸能事務所やテレビ局が主催している養成スクールもあり、人脈を作って放送作家としての仕事をもらう人もいます。コネクション作りや、即戦力となる能力を身につけるためにはおすすめです。

まずは大学で全般の知識を学んでから、さらに専門性を深めるために通うのがいいですね。実際、週1回夜間受講やオンライン受講できるところもあるため、社会人として働きながら受講される方が多いようです。

放送作家になるために目指すべき就職先

放送作家は、どこかに就職すればすぐに仕事がもらえる職業ではありません。自分で書いた企画書を制作会社に持ち込んでデビューする人や、テレビ局で番組制作スタッフとしての経験を積んでから放送作家に転身する人もいます。放送作家になる方法はさまざまですが、ここでは放送作家になれるチャンスを掴める就職先を紹介していきますね。

・放送作家事務所
放送作家を目指すには、すでに放送作家として活躍する人が立ち上げた事務所に就職する方法があります。入社したら、リサーチャーとして、放送作家が企画作りに必要なリサーチ業務を中心に行います。経験のあるベテラン放送作家のもとで仕事できるため、放送作家としてのスキルが学べるでしょう。

晴れて放送作家として認められるようになれば、事務所が仕事を回してくれます。ただし、放送作家事務所の試験は狭き門となりやすく、多くの場合は事務所が主催するスクール生から採用するパターンが多いようです。

・テレビ局や番組制作会社
テレビ局や番組制作会社に就職し、番組作りに携わる関連職業に就く方法もあります。特に番組制作会社では、直接テレビ制作に携われる職種に就けるチャンスがあります。ディレクターの助手として番組制作の実務補佐をするAD(アシスタントディレクター)や、プロデューサーの補佐として番組制作全体の補佐を行うAP(アシスタントプロデューサー)を目指せば、番組制作の全体像が掴めるでしょう。

番組制作会社では、番組の収録や制作に携われるため、番組制作の勉強になりますよ。働く中でコネクションができれば、ディレクターやプロデューサーに自分の企画を見てもらえるかもしれません。

放送作家のキャリアプラン

アイデアを出し合う放送作家たち

放送作家として活躍している人の多くは、フリーランスとして活動しています。フリーランスで放送作家の仕事をするには、人脈やコネクションが必要です。何の経験もなくいきなりフリーランスからはじめても、放送作家としての仕事は得られないでしょう。

放送作家には、必ず下積み経験がつきものです。これから放送作家を目指そうと考えている高校生のみなさんは、まずは活躍できる放送作家となれるように知識や技術を磨いていきたいですね。

放送作家として活躍できるようになれば、ゴールデンタイムの番組からも声がかかるかもしれません。面白い番組を生み出せるような放送作家を目指しましょう。引く手あまたな放送作家になれば、収入も上がり、自分の作りたい番組が作れる機会が増えますよ。

ベテラン放送作家になれば、事務所やスクールを開く人もいるので、将来は教える側になるのもいいですね。現役で番組を作り続けるか、放送作家を育てる先生となるか、放送作家によって目指すキャリアプランはさまざまです。

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放送作家は、多くの人を楽しませられる番組が作れる、とてもやりがいのある仕事です。放送作家への道のりは険しいものではありますが、まずは大学でメディアについて学び、知識や技術を磨いていきましょう。

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