介護福祉士とは?必要な資格や合格率、おすすめの大学や学部も解説
2023.04.03
最終更新日: 2025.05.22

高齢化が進む日本では、介護のニーズがますます高まっており、「介護福祉士」として活躍する人材がこれからの社会に欠かせない存在となっています。
「人の役に立ちたい」「将来は福祉の分野で活躍したい」という想いを抱く高校生の皆さんの中には、大学で専門知識や技術を身に付け、国家資格の「介護福祉士」を取得したいと考えている人も多いのではないでしょうか。
介護福祉士になるためには、大学選びが非常に重要です。
大学選びを間違えてしまうと、介護福祉士の受験資格が取得できません。介護施設などでの実務経験が3年以上必要になってしまう場合もあり、貴重な時間のロスにつながる可能性があります。
本記事では、介護福祉士の仕事内容やキャリアプラン、資格取得の方法まで、将来を見据えた大学選びのポイントを詳しく紹介していきます。自分の強みや興味を活かせる進路を見つけるために、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
介護福祉士とは
介護福祉士とは、高齢者や障がいのある方など、日常生活で支援が必要な方々を専門的に介護する職業です。
実際の業務には、食事や入浴、排せつなどの身体介助だけでなく、利用者の心身の状態を観察してより良い生活環境を整えることも含まれます。また、ご家族の精神的なサポートなど、業務は多岐にわたります。
勤務先は、病院や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービス、グループホームなどがあり、それぞれの役割によって介護の方法や内容が異なります。日本は、世界の中でも特に高齢化が進んでいるため、介護が必要となる方の数は年々増え続けており、介護福祉士の需要もさらに高まると考えられます。
また、介護福祉士は国家資格のため、専門知識や実践力が一定の水準に達していると社会的に信頼されやすいことも、大きな魅力です。
将来、福祉・介護の分野で活躍したいと考えている方にとって、介護福祉士は注目すべき職業といえます。
ケアマネージャーと介護福祉士の違い
介護福祉士とよく混同される資格として「ケアマネージャー(介護支援専門員)」があります。両者とも介護に関わる仕事ですが、ケアマネージャーは利用者一人ひとりの状況を踏まえながらケアプランを作成し、必要な介護サービスを調整する役割を担います。
具体的には、利用者の希望や身体状態などを総合的に把握し、その方に合った事業所・施設を選び、サービスを滞りなく提供できるよう連絡や調整を行うのが主な業務です。
ケアマネージャーについては以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせて読んでみてください。
ケアマネージャー(介護支援専門員)とは?必要な資格や目指せる大学の学部も紹介
ケアマネージャーや介護福祉士などが働く介護業界については、以下の記事で詳しく解説しています。
介護業界とは?代表的な企業の紹介や、大学での学部学科の選び方
介護福祉士の仕事の内容や想定年収

介護福祉士とはどんな仕事で、働いている人はどのようなやりがいを感じられるのでしょうか?仕事内容ややりがい、給与について解説します!
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士は、介護の専門知識と技術を活かして、高齢者や障がい者などサポートを必要としている人を手助けします。介護福祉士が行うサポートの具体例として、食事や排泄などの動作を助ける介護や、掃除や洗濯などの家事を代わりに行う支援が挙げられます。ほかにも、介護を利用する方やその家族からの相談に乗って日常生活のアドバイスをしたり、地域活動へ参加するお手伝いをしたりするのも、社会福祉士の仕事です。
介護福祉士の仕事のやりがい
介護福祉士は、日常生活でサポートを必要としている人と直接関わり、自分の手で助ける仕事です。介護を利用する方の中には、自分の力ではできないことがあって困っている人や、孤独を感じている人もいます。介護福祉士はそんな人たちの力になって日々の暮らしを支える、やりがいのある仕事だといえます。介護を受ける本人はもちろん、その家族からも頼られる存在です!
介護福祉士の想定年収
厚生労働省が公表したデータによると、令和6年9月時点での介護福祉士の平均給与額は350,050円です。年収は約350~450万円が目安だといえます。
なお、令和5年9月時点での平均給与額は337,160円であり、年々上昇していることがわかります!介護業界の仕事は需要が高く、国の施策による賃上げが行われているのです。介護福祉士の給与に関しても、今後さらに高まると期待されています。
【参考】令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省) URL:
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/dl/r06gaiyou.pdf
介護福祉士に向いている人の特徴

介護福祉士に向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- 責任感がある
- 人と接することが好き
- 観察力がある
それぞれ解説します。
責任感がある
介護を利用する人は、介護福祉士のサポートがあってこそ、暮らしに必要なさまざまな動作ができるようになります。介護福祉士は、自分の仕事が人の生活を支えている自覚を持たなければなりません。強い責任感がなければ務めるのが難しい役割だといえるでしょう。
人と接することが好き
介護福祉士の仕事中は、介護する相手の身体に触れる機会も多くあります。介護の際にこまめな声がけをすることや、日常生活のなかで雑談を楽しんだりすることが、信頼関係の構築につながるでしょう。基本的に人と接するのが好きな人に向いている仕事です。
観察力がある
介護福祉士は、普段から介護する相手の様子を間近で見る立場にあります。本人の顔色や体調の異変をいち早く察知して、いざという時には同僚の介護職員や医師などの専門家と速やかに連携する必要があります。些細な違和感にも気づく鋭い観察力がある人は、介護福祉士の適性があるといえるでしょう。
介護福祉士になる方法

介護福祉士になる方法として、「大学などの養成施設を卒業する」「福祉系高校を卒業する」「介護業界で3年以上働いて実務経験を積む」の3つのルートがあります。これらのルートのいずれかで受験資格を満たした上で、国家試験に合格して、介護福祉士の資格を取得することが必須です!介護福祉士の養成施設には、厚生労働大臣から指定された大学や短大、専門学校などがあります。高校生の皆さんがこれから介護福祉士を目指すなら、大学をはじめとした養成施設を進路に考えましょう。
介護福祉士になるには、以下3つの方法があります。
- 大学などの養成施設を卒業する
- 福祉系高校を卒業する
- 介護業界で3年以上働いて実務経験を積む
これらのルートのいずれかで受験資格を満たした上で、国家試験に合格して、介護福祉士の資格を取得することが必須です!介護福祉士の養成施設には、厚生労働大臣から指定された大学や短大、専門学校などがあります。
高校生の皆さんがこれから介護福祉士を目指すなら、大学をはじめとした養成施設を進路に考えましょう。
介護福祉士を目指せる学部
介護福祉士の国家試験で受験資格を得るには、介護福祉士の養成施設に指定されている大学の学部を選ぶ必要があります。介護福祉士を目指せる学部の例は、以下のとおりです。
- 社会福祉学部
- 健康福祉学部
- 人間福祉学部
- 人間科学部
- 看護福祉学部など
介護福祉士の受験資格を得られる学部では、介護技術を着実に身に付けるために、4年間にわたり豊富な演習授業や介護施設での実習が行われます。介護の技術だけでなく、介護施設の運営や管理、心理学などの分野まで幅広い教養を身に付けて、介護業界で活躍できる人を育成しています。
国家試験の対策でも手厚いサポートを受けられるのが魅力です!
介護福祉士を目指せる大学
指定科目を履修して卒業すれば、介護福祉士の受験資格が得られる大学は全国に多数あります。それぞれの大学の特長を良く調べて、自分にあった大学を選びましょう。
【介護福祉士を目指せる大学の一例】
- 立正大学 社会福祉学部 社会福祉学科(埼玉県、東京都)
- 日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科(愛知県)
- 新潟医療福祉大学 心理・福祉学部 社会福祉学科(新潟県)
- 長崎国際大学 人間社会学部 社会福祉学科(長崎県)
介護福祉国家試験の概要
介護福祉士の国家試験は年に1回行われ、合格すると「介護福祉士」として登録できます。
受験資格を得るには、先述のとおり以下のいずれかが必要です。
- 大学などの養成施設を卒業する
- 福祉系高校を卒業する
- 介護業界で3年以上働いて実務経験を積む
試験内容
介護福祉国家試験は、以前は実技試験もありましたが、令和7年現在筆記試験のみで行われます。2025年1月に実施された第37回介護福祉士国家試験の場合、受験料は18,380円でした。
出題形式はマークシート式の5肢択一となっており、合格基準は「総得点の約60%程度かつ、すべての科目で1問以上正解していること」です。もし1つの科目でも全問不正解があった場合には、総得点が基準点を上回っていても不合格となるため注意が必要です。
試験内容は「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」など、多岐にわたる科目が出題されます。たとえば、2024年1月に実施された第36回(令和5年度)介護福祉士国家試験(筆記)では以下のような科目・問題数でした。
領域 | 試験科目 | 問題数 |
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 | 2 |
人間関係とコミュニケーション | 4 | |
社会の理解 | 12 | |
介護 | 介護の基本 | 10 |
コミュニケーション技術 | 6 | |
生活支援技術 | 26 | |
介護過程 | 8 | |
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解 | 8 |
認知症の理解 | 10 | |
障害の理解 | 10 | |
こころとからだのしくみ | 12 | |
医療的ケア | 医療的ケア | 5 |
総合問題 | 12 |
参考:介護福祉士国家試験 過去の試験問題|公益財団法人社会福祉振興・試験センター
試験のスケジュール
例年、試験のスケジュールは以下のとおりです。
受験申し込み受付期間 | 前年の8月上旬〜9月上旬 |
試験日 | 1月下旬 |
結果発表 | 3月 |
受験を検討している方は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの公式サイトや募集要項を早めにチェックし、余裕をもって手続きを行いましょう。
試験スケジュールは年度によって多少の変動があるため、必ず最新の情報を確認することが大切です。
介護福祉国家試験の合格率
2025年(第37回)の介護福祉士国家試験の合格率は78.3%でした。近年は70%~80%前後で推移しています。しっかりと対策を行い、模擬試験や問題集などを活用して知識を固めれば、十分に合格を目指せます。
参考:介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移(厚生労働省)
介護福祉士が働く場所とキャリアプラン

介護福祉士は、どんな職場で働くことになるのでしょうか?多くの介護福祉士が働く場所や、将来の働き方についてお伝えします!
介護福祉士が働く場所
多くの介護福祉士は、介護施設や介護サービスなどに所属して、介護職員として働いています。介護施設には、高齢者の方が施設で暮らす「特別養護老人ホーム」や「介護付有料老人ホーム」、高齢者の方が施設に通う「デイサービス」などの種類があります。また、介護職員が高齢者の方の自宅を訪問する「訪問介護」などの介護サービスで働くことも。ほかに、障がいを持つ方の介護を行う障がい者支援施設で働く介護福祉士もいますよ。
介護福祉士のキャリアプラン
介護福祉士として仕事で経験を積んだら、上位の民間資格の取得を目指して、自分の知識と技術に磨きをかけたり、専門性を高めたりする道があります。たとえば、介護職員のリーダーとして働く人向けの「認定介護福祉士」や、医療チームで活躍したい介護職員向けの「医療介護福祉士」などはその一例です。また、介護福祉士の受験資格を得られる大学の中には、同じく国家資格である「社会福祉士」の受験資格も同時に得られる学校もあります。社会福祉士は、社会福祉施設や地域包括支援センターなどに所属して、介護の利用に関して相談する人への指導やアドバイスをする仕事。介護業界で活躍の幅を広げるために、ダブルライセンス(=複数の資格を持つこと)にも挑戦してみては?
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ここまで、介護福祉士の仕事についてお伝えしました。介護福祉士になるには、国家資格の取得が必須。国家試験を受験するには、介護福祉士の養成施設を卒業するなど、受験資格を満たす必要があるので、大学進学では受験資格を得られる進学先を選びましょう。養成施設に指定された大学では、4年間で介護技術を着実に学べるだけでなく、介護業界の仕事に役立つ教養も身に付きます。国家試験のサポートを受けられるのも心強いですね!進路を考え始めたら、まずは「JOB-BIKI」で検索することから始めてみませんか?検索画面の就職先検索で、業種選択の「病院・福祉・介護」から「介護・福祉」を選ぶと、介護業界で活躍する先輩たちの出身大学がわかります。介護業界で活躍できる進学先を探してみましょう!