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インテリアプランナーとは?資格の詳細や合格率、大学の学部学科を紹介

2023.04.25

カテゴリー:
提案するインテリアプランナー

インテリアプランナーは、建築物のインテリア設計を総合的におこなう仕事です。高校生の皆さんのなかには、インテリアプランナーの名前を聞いたことはあっても仕事内容については知らないという人もいるでしょう。

この記事では、インテリアプランナーの具体的な仕事内容や年収、インテリアプランナーになる方法について解説します。インテリアプランナーに興味がある人は、ぜひ読んでみてくださいね。

インテリアプランナーとは?

インテリアプランナーは、建築物のインテリア設計を総合的におこなう仕事です。商業施設や公共施設、オフィス、住宅など建築物が対象で、内装の設計だけでなく工事監理まで幅広くおこないます。

クライアントの要望やコンセプトを正しく理解し、インテリアと建築の知識を合わせたプランニングをおこなうので、建築士とデザイナーの中間にあたる仕事といえるでしょう。内装の設計もデザインの美しさだけでなく、防災や安全性も配慮して人々が生活しやすい空間をつくる観点が求められます。

インテリアプランナーとインテリアコーディネーター・インテリア設計士の違い

インテリアプランナーは建築物の設計から工事監理までを総合的におこなう仕事ですが、インテリアコーディネーターは特に内装をスタイリングする仕事です。既製品の照明器具や家具をつかって室内をコーディネートする仕事で、ときには必要な家具を提案・販売、オーダーメイドすることもあります。

一方インテリア設計士は、インテリアのデザインにかかわる仕事です。インテリアプランナーのように企画段階から入ることもなければ、インテリアコーディネーターのように販売を手がけることもありません。

インテリアプランナーとインテリアデザイナー、空間デザイナーの違い

インテリアプランナーもインテリアデザイナーも、建築物の企画段階から携わります。工事監理までおこなうインテリアプランナーはどちらかといえば建築士に近い仕事ですが、室内のデザインに特化したインテリアデザイナーはどちらかといえばデザイナー寄りの仕事です。

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インテリアデザイナーになるには?求められる資質・能力などを解説

似たような仕事に空間デザイナーがあります。インテリアプランナー・インテリアデザイナーは建築物を対象としますが、空間デザイナーはビルや商業施設などの建築物に加えイルミネーションやショーウインドーなど幅広く空間を演出します。

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インテリアプランナーの仕事内容

図面をつくるインテリアプランナー

インテリアプランナーの具体的な仕事内容は、建築物の室内空間のプランニングです。クライアントの要望にこたえ、企画段階から工事監理まで一貫して携わります。

インテリアプランナーが対象とする建築物は、一般住宅から商業施設、オフィス、公共施設に至るまで幅広く、それぞれの空間に適したプランニングが求められます。クライアントの要望やコンセプト、使用用途に合わせた壁紙などの材料や家具を選定し、最適なものを配置していきます。

空間の快適さはもちろん安全性にも配慮しながら、インテリアと建築に関する知識・技能を活かしたプランニングをおこないます。

インテリアプランナーの仕事のやりがい

インテリアプランナーの仕事は、下記のようなやりがいが感じられる仕事といえます。

クライアントの要望を叶える
インテリアプランナーは、クライアントの希望する建築物を企画段階から完了まで担当します。クライアントの要望を叶えて感謝されたときには、言葉にしがたい喜びを感じられるでしょう。

大きい建築物をつくることは、クライアントにとっては期待すると同時に理想のものが出来上がるか不安にも感じるはずです。製作途中でクライアントの要望に寄り添い、ときには軌道修正する必要もあるかもしれません。しかしクライアントが理想の形に仕上がったと喜んでくれれば、そんな製作課程にすらやりがいを感じられるでしょう。

インテリアを形にする喜びを感じられる
クライアントの要望にこたえることは第一条件ですが、インテリアプランナーとしても自分の思い描いたデザインを理想の形に完成させることで喜びを感じられるでしょう。

クライアントの要望を叶えるには、デザイン性だけでなく安全面などの機能性においても満足してもらう必要があります。自分の知識や技術をフル活用して、クライアントの要望通りのインテリアのイメージができ、それを形にできたときの喜びは何ものにも代えがたい経験となるはずです。

人々が喜ぶ空間を演出できた実感が得られる
インテリアプランナーが手がけるのは、商業施設や公共施設、オフィスや住宅といった人々の生活に彩りを添える建築物です。自分がデザインや設計を担当した商業施設で家族が買い物を楽しむ姿を見れたり、担当した住宅をそこに住む人が気に入ってくれたりしたときは、自分の手がけたインテリアの演出で人々が喜ぶ空間づくりができたと実感を得られるでしょう。

インテリアプランナーの大変なところ

インテリアプランナーは、クライアントが求める空間を理解し、それを形にする仕事です。ときには、自分の提案やアイデアが、クライアントに受け入れられないこともあるでしょう。クライアントの期待に応えつつ、予算内で納期に間に合うようプロジェクトを進めることに、大変さを感じる人もいるでしょう。

また、インテリアデザインは常に変化しており、新しい素材やトレンドが登場します。これらの動向を把握し、クライアントに最新かつ適切な提案をするために、常に学習と情報収集が必要な職業です。

大変な仕事だからこそ、建物が完成したときやお客さんから感謝の言葉をもらったときは、喜びも大きいようです。

インテリアプランナーの仕事の流れ

インテリアプランナーの仕事は、職場によって異なりますが、基本的には下記の4つの流れでできています。

1.基本計画(コンセプト設計)
クライアントの依頼内容を調べて詳しく分析したうえで、インテリアプランのコンセプトを設計します。クライアントや施工担当者と相談しながら計画を進めますが、商業施設や公共施設を担当するときは大きな設計事務所の建築家やゼネコン(総合建設業者)と連携をとることもあります。

2.デザイン業務(基本設計・実施設計)
設計したコンセプトにもとづいて、家具の配置図面やデザイン案などをプレゼンテーションに落としこみます。プレゼンテーションの作成が「基本設計」、工事費用や設備、仕様なども併せて決定するのが「実施設計」です。

基本設計段階でデザインを決定する際はクライアントの要望にもとづいた設計であること、実施設計段階ではそこにもとづいた図面、使用する材料などが明確になっていることが重要です。

3.マネジメント業務(工事監理)
インテリアプランナーが作成した図面通りに工事がおこなわれているか、現場でチェックします。建造物の工事監理は建築士の仕事ですが、インテリアの工事監理はインテリアプランナーの仕事です。

4.アフターメンテナンス
完成後は、定期的にメンテナンスをおこないます。時間が経って古くなれば修理する必要がありますし、実際に使ってみて不足している部分をリフォームすることもあります。

インテリアプランナーの年収

インテリアプランナーの年収とは

インテリアプランナーの平均年収は正社員で300〜500万円程度ですが、実際には勤務先や経験、求められるスキルによっても異なります。フリーランスなど独立すれば年収1,000万円までいく可能性はあるでしょう。

インテリアプランナーの将来性

インテリアプランナーは、現代社会において需要が高まっている仕事です。人々が過ごしやすい空間にするため、商業施設でも住宅でもインテリアデザインを重視することは増えてきました。省エネやバリアフリーなど時代の流れにあわせ、既存の施設や住宅を増築・リフォームする人も増えています。

今後多様化するクライアントのニーズにこたえるためにも、インテリアプランナーの仕事は幅広く、重宝されることでしょう。

インテリアプランナーに必要な資質と能力

インテリアプランナーには、下記のような資質や能力が求められます。

  • コミュニケーション力
  • 想像力
  • 提案力

順番に解説します。

コミュニケーション力

インテリアプランナーは、クライアントの要望を的確にくみ取り周囲と連携をとるためにコミュニケーション力が必要となります。

クライアントが求めるニーズやコンセプトを細部まで聞き取ることで、クライアントの理想とするインテリアを完成させられます。また、施工業者や建築士と連携をとることもあるため、業務をスムーズに進めるためにもコミュニケーション力は必須です。

想像力

インテリアプランナーの仕事には想像力が必要です。インテリアの設計にはデザイン性とセンスも求められますが、人々の生活を支える場として過ごしやすい空間であることも大切です。例えば見た目が良くても子どもやお年寄りが転ぶかもしれないと思う部分は修正する、オシャレに見えても階段を降りたところで部屋を出た人とぶつかるかもしれないから構造を見直す、など想像力を働かせたうえでデザインを考えなければなりません。想像力を働かせたうえで、使用する材料を選んだりプランニングしたりする必要があります。

提案力

インテリアプランナーはクライアントの要望を聞き入れ、自分の知識を駆使して理想の形に仕上げます。ただ言うとおりにするのではなく、クライアントの要望を叶えるためには何が必要なのかを考え、提案する力が必要になるでしょう。

インテリアプランナーになるための方法とは?

インテリアプランナーになるための方法をご紹介します。インテリアプランナーになるには必要な資格はありませんが、インテリアプランナーとして仕事をするうえで役立つ資格や勉強内容を知っておきましょう。

インテリアプランナーになるための勉強ができる大学・学部

インテリアプランナーの仕事で活かせる知識を学べるのは、「インテリア」や「空間デザイン」を学べる学部や学科です。主に建築デザインや伝統建築、インテリアや空間デザインのスキルを学ぶことができます。

下記はインテリア・空間デザインを学べる大学の一例です。そのまま学部・学科の名称になっていることは少ないので、建築系の大学や芸術系の大学に絞り込んで探してみると良いでしょう。

星槎道都大学(北海道)/芸術学部 建築学科
東北文化学園大学(宮城県)/工学部 建築環境学科
八戸工業大学(青森県)/デザイン工学部 建築・環境デザイン学科
日本大学(東京・福島・千葉・神奈川・静岡)/工学部 建築学科
千葉工業大学(千葉県)/創造工学部 建築学科・デザイン科学科
名古屋文化短期大学(愛知県)/生活文化学科第1部 ビジネス専攻 インテリアデザインコース
静岡理工科大学(静岡県)/理工学部 建築学科
金沢工業大学(石川県)/建築学部 建築学科
福井工業大学(福井県)/環境学部 デザイン学科
京都美術工芸大学(京都府)/芸術学部 デザイン・工芸学科 インテリア・空間デザインコース/芸術学部 デザイン・工芸学科 CULTUREデザインコース/建築学部 建築学科
徳島文理大学(徳島県・香川県)/人間生活学部 建築デザイン学科
鳥取短期大学(鳥取県)/生活学科 住居・デザイン専攻
久留米工業大学(福岡県)/工学部 建築・設備工学科
尚絅大学短期大学部(熊本県)/総合生活学科

インテリアプランナーに必要な資格や受験すべき試験

お客様の要望を聞くインテリアプランナー

インテリアプランナーになるために必要な資格はありませんが、資格があると業務の幅が広がり、スキルアップにもつながります。

ここでは、インテリアプランナー資格と、その他インテリアプランナーを目指す人におすすめの資格を紹介します。

インテリアプランナー資格

インテリアプランナー資格は、インテリア設計などをおこなううえで必要な知識や技術を有していることを証明する、インテリアプランナーになるために最も代表的な資格です。ちなみに国家資格ではなく、公益財団法人 建築技術教育普及センターが実施する民間資格です。

試験内容には、学科試験と設計製図試験があり、設計製図試験に受かって登録を受けるとインテリアプランナーの称号を得ることができます。受験資格に指定はなく、基本的に誰でも受験できます。

インテリアプランナー試験の合格率は毎年25%前後で、令和5年度の合格率は、26.5%でした。一次の学科試験は合格率が60~70%程度あるため、二次の製図試験で手こずる人が多いようです。

参考:インテリアプランナー試験データ:建築技術教育普及センター (jaeic.or.jp)

インテリアプランナーを目指す人におすすめの資格

インテリアプランナーになるために必要な資格はありませんが、資格があると業務の幅が広がり、スキルアップにもつながります。インテリアプランナーの仕事に役立つ資格をまとめました。

インテリアプランナー資格
インテリアプランナー資格は、インテリア設計などをおこなううえで必要な知識や技術を有していることを証明する、インテリアプランナーになるために最も代表的な資格です。学科試験と設計製図試験があり、設計製図試験に受かって登録を受けるとインテリアプランナーの称号を得ることができます。受験資格に指定はなく、基本的に誰でも受験できます。

「インテリアプランナー資格」は難易度が高く、実務経験があったほうが受かりやすいといわれています。まずは学生のうちから取得できる下記の資格を目指してみましょう。

建築士
建築士の資格は、住宅規模の設計や工事監理をおこなううえで必要とされる国家資格です。二級建築士は令和2年に制度が見直され、大学等で建築関連の指定科目を修了していれば実務経験がなくても受験できるようになりました。建築士二級の資格を持っているとインテリアプランナー試験の学科試験が免除されるので、取得しておくとインテリアプランナーにもなりやすくなるでしょう。

インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーター資格試験は、インテリアに関する幅広い知識を持っていることを証明する資格です。受験資格は年齢・性別・国籍・学歴・職業・経験を問わないので、学生のうちからチャレンジしやすいでしょう。

インテリアデザイナー
インテリアに関する商品知識や販売技術、インテリアデザイナーとしての理解力や表現力が問われる資格です。資格を取得すると講師活動もできます。こちらも受験資格は特にありません。

カラーコーディネーター
カラーコーディネーター資格は、業務で活かせる実践的な色彩の知識を学べる資格試験です。こちらも受験資格はなく、通信講座もあるので勉強もしやすいです。

CAD利用技術者
CAD(キャド/Computer Aided Design)は、設計現場で手書きしていた図面をデジタル化し、コンピューターで再現したものです。CAD利用技術者試験はCADの基礎知識習得を目指す試験で、2次元CADと3次元CADがありますが、2次元CADを学べばインテリアプランナーの作図に活かせるでしょう。こちらも受験資格は特にありません。

福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは、高齢者や体の不自由な方にとって住みやすい環境を提案するアドバイザーです。インテリアプランナーは仕事によってはバリアフリーのリフォームを依頼されることもあるので、資格試験を通じて知識を得ておくと役立つでしょう。

インテリア設計士
インテリア設計士はインテリアに関する知識があることを証明する国家資格です。2級は建築・インテリア関係の大学や専門学校に在籍中でも受験できるので、チャレンジしてみると良いでしょう。

インテリアプランナーになるために目指すべき就職先

インテリアプランナーが活躍できる就職先は多岐にわたります。主に下記のような会社・業界を目指すと良いでしょう。

インテリア業界・エネルギー業界
家具メーカーをはじめとするインテリア業界や、キッチン・ガス機器を扱うエネルギー業界では、インテリアプランナーが活躍するチャンスがあります。商業施設や住宅の企画段階から工事監理までできるうえに、設計のプランニングと提案も求められるでしょう。

ハウスメーカー
インテリアプランナーの知識が活かしやすいのがハウスメーカーです。特に個人宅のインテリア設計・プランニングにおいてはお客様によって多種多様な要望があるので、幅広いインテリアと建築の知識が役立つでしょう。

リフォーム専門会社
リフォーム専門会社は地域ごとに店舗をかまえることが多く、受注からプランニング、工事監理まで一通りできるインテリアプランナーは即戦力として重宝されるようです。リフォーム業界は臨機応変な対応力も求められるため、独立を意識している人におすすめです。

インテリアプランナーになった後のキャリアプラン

インテリアプランナーのキャリアパスとして、独立・起業の道という選択肢もあります。就業先の企業で経験を積み、自分で仕事がとれるくらいの人脈を増やし、知名度をあげてからインテリアのデザイン会社などを立ち上げると良いでしょう。

インテリアプランナーを「JOB-BIKI」で検索しよう

インテリアプランナーは、商業施設や住宅のインテリアデザインを担当する仕事で、企画段階から工事監理までおこなう建築士に近い仕事です。インテリアプランナーになるのに特別な資格は不要ですが、今後も必要とされ続ける仕事なので、建築や空間デザインに関する学部・学科で学び、資格を取得するなどすれば、業務の幅も広がるでしょう。

「JOB-BIKI」の「就業先検索」で「ハウスメーカー」などのキーワードで検索すれば、関連企業に就職した人がどんな大学・学部を卒業したのかを知ることができます。インテリアプランナーを目指す人は、大学選びに役立ててみてくださいね。

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