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アナウンサーになるには?仕事内容ややりがい、必要な資質などを紹介

2023.04.26

カテゴリー:
カメラに向かって手を振るアナウンサー

アナウンサーは、世間で起こっていることや最新情報について、テレビやラジオ、いわゆるマスメディアと呼ばれる媒体で自分の声と姿を通じて伝える仕事です。テレビで見かける機会も多く、皆さんの中には憧れている人もいるでしょう。

この記事では、アナウンサーの仕事内容ややりがい、アナウンサーになるために必要な資質や選ぶべき進路について解説します。

アナウンサーとは?

アナウンサーは、世の中で起きているできごとや視聴者にとって必要な情報を正しく的確に伝える仕事です。災害時のニュースや事件の報道など緊急性の高い内容や、スポーツニュースやバラエティ番組などエンタメ性の強いものまで、ジャンルは多岐にわたります。

仕事内容によっては自ら現地取材に赴いたり、与えられた時間を活用するために自分で構成を考えたりすることもあります。テレビ局 やラジオ局に入社すれば、一般社員と同様に事務作業などもおこないます。

アナウンサーとリポーター(レポーター)の違い

アナウンサーとよく似た仕事にリポーター(レポーター)があります。

リポーターの仕事は、現場に出向いて取材や中継をおこない、現地から報告することです。英語の「report(報告する)」が語源となっています。

アナウンサーは英語の「announce(公表する)」が元になっており、テレビ局の中にいて情報を発信・公表する仕事です。ただし局によってはアナウンサーがリポーターを兼任することもあり、現地取材などリポーターの仕事が含まれることもあるようです。

アナウンサーの仕事内容

原稿を読み上げるアナウンサー

アナウンサーの具体的な仕事内容は、主に下記の5つです。

● 原稿チェック・読み上げ
● 実況
● 番組の司会
● 現地取材
● CMナレーション・提供読み

1つずつ簡単にご紹介します。

原稿チェック・読み上げ
アナウンサーはニュース原稿を読み上げるのがメインの仕事です。原稿はただ読み上げるのではなく、視聴者に伝わるように読み上げる必要があるため、言葉の区切り方や発音にも配慮します。

また伝わりやすくするために、自分で原稿をチェックします。事前に渡された原稿をチェックし、何度もイントネーションや流れを確認し、スムーズに読めるように練習します。専門的な分野では用語や背景など、下調べも充分におこないます。

実況
スポーツ実況など、目の前で起きていることを伝える仕事です。試合で起きている様子をそのまま視聴者に伝えるだけでなく、試合の見どころやポイントを伝えることも必要になります。事前に原稿が用意されていないことがほとんどなので、臨機応変な対応が求められます。

番組の司会
アナウンサーは番組の司会を務めることもあります。

司会原稿は用意されていますが、共演者に話を振ったり補足説明を加えたり、番組をスムーズに進行するために様々なアドリブ対応が求められます。番組の雰囲気をつくる立役者ともいえるでしょう。

現地取材
前述したように、アナウンサーもリポーターのように現地取材することがあります。

よりリアルな情報を発信できるよう、実際に自分で体感したり、スポーツ選手や俳優へのインタビューで現地に出向いたりするのもアナウンサーの仕事です。

CMナレーション・提供読み
「CMナレーション」は映像に合わせて言葉を吹き込む仕事です。テレビやラジオ、インターネット放送で番組の合間に流れるCMは15秒ほどの短いものが大半で、映像だけで伝えるのには限界があります。映像を声で補う仕事がCMナレーションで、アナウンサーは自局のCMナレーションを担当することがあります。

「提供読み」は、番組のスポンサーを読み上げる仕事です。「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りします」という文言を聞いたことがある人も多いでしょう。提供読みは声のみの業務なので、身ぶり手ぶりを交えて話すときとは異なる繊細さが求められます。

スポンサー企業の名前を読み上げるのにも、ただ読み上げるだけでなくどんな企業で何を提供しているのか、など細かい部分を調べて読み上げるのとでは聞こえ方も異なるといいます。また、番組の雰囲気や放送時間に合わせ、声のトーンを変えたり誰に聞かせるのか意識を変えたりすることもあるようです。

アナウンサーの仕事のやりがい

アナウンサーの仕事のやりがいを、4つにまとめました。

  1. 最新情報をキャッチできる
  2. 多くのファンから支持される
  3. 正しい日本語知識と発声法が身につく
  4. 社会的意義を感じられる

1.最新情報をキャッチできる
アナウンサーは最新の情報を発信するのが仕事なので、一番最初に最新の情報に触れることができます。常に人々の注目が集まる現場の最前線に身を置き、自分から発信して人々に伝えていくことにやりがいを感じられるでしょう。

2.多くのファンから支持される
高校生の皆さんにも好きなアナウンサーや、見ていると元気をもらえるようなアナウンサーがいるのではないでしょうか。アナウンサーは多くの人の注目を浴びる仕事です。自分の仕事ぶり次第ではファンがつき、ファンからの応援や支持が励みとなるでしょう。

3.正しい日本語知識と発声法が身につく
アナウンサーは情報を正しく、わかりやすく伝える仕事です。そのため適切な発声法を訓練し、正しい日本語の知識をつける必要があります。聞き取りやすい発声法や日本語の知識は、大きな財産となるでしょう。

4.社会的意義を感じられる
アナウンサーが情報を発信する場であるマスメディアは、人々の生活インフラです。災害時のニュースによって人々が無事に避難できたり、国の制度情報を発信することで生活に困る人が救われたりすることがあるでしょう。自分の発信したニュースが人々の命を救えることもある、という社会的意義を感じられます。

アナウンサーの仕事の流れ

アナウンサーの仕事の流れは担当する番組によって異なります。ここでは、テレビ局で夕方から放送されるニュース番組のメインアナウンサーの仕事の流れを例としてご紹介します。

1.出勤
当日のニュースチェックや打ち合わせなど、放送に向けた準備をおこないます。

2.原稿チェック・下読み
読み上げる原稿をチェックし、下読みをおこないます。読み間違えしやすい言葉を調べたり、イントネーションを確認したり、与えられた時間の枠内に収まるよう話すスピードを調整したりします。

3.スタジオ入り
メイク担当のスタッフに顔のメイクや髪型を整えてもらってから、早めにスタジオに入りカメラの位置などを確認します。

4.本番
放送中や番組の収録中は、基本的に台本どおりに進行するよう気を配ります。生放送中に緊急ニュースが入った場合は、臨機応変に対応します。

5.終了
放送・収録が終わったら、反省会をして終了します。

24時間365日緊急ニュースに対応できるよう、早出・日勤・夜勤・泊まりなどのシフトを組んでいることが大半です。
放送・収録以外の時間は、早出や日勤の場合は帰宅して家族と時間を過ごすこともできます。また、自分の担当番組のために取材に行ったり、資料を読み込んだりする時間にあてているアナウンサーもいます。

アナウンサーの年収

厚生労働省の調査によると、アナウンサーの平均年収は600〜1200万円ほどです。

地域によっては500万円を若干下回ることもある一方、都心部では平均年収600万円を超えることが大半のようです。年間賞与を加えると年収800万円ほどになったり、大手の局で働くと年収1200万円ほどになったりします。

新人アナウンサーの平均月収は25万円前後です。基本的には年齢に応じて給料が上がる傾向にあるため、堅実に経験を積んでいけば30代で45万、50代で60万円程度まで上がることもあります。

人気があって仕事が途切れないアナウンサーであれば、放送局で会社員として働くより自営業やフリーランスで仕事をしたほうが収入が高くなる可能性もあります。

アナウンサーに必要な資質と能力

アナウンサーになるために必要な資質と能力を、大きく3つにまとめました。

1.話す力
アナウンサーの仕事は話すことなので、「話す力」があることが第一条件です。

日常生活や仕事において、どんな場面でも話す力は重要ですが、アナウンサーの場合は特に伝わりやすい話し方を意識する必要があります。明瞭な発音、滑舌の良さ、正しいイントネーションや適切な間のとり方などが求められるでしょう。

また、ただ原稿を読み上げるだけでなく内容を理解する読解力や内容についての適切な受け答えも求められるため、政治経済や歴史、国際問題などの知識を持っておくことも大切です。
2.見た目
アナウンサーはテレビに出る機会も多いので、好感度の高い見た目であることが求められます。清潔感は服装や身だしなみを整えるだけで変えられますし、人の好さは顔つきに出るものです。 。 現役のアナウンサーをお手本に、髪の長さや髪型は顔が見えるように調整する、スキンケアにも気を配る、などの身だしなみに気をつかい、普段の所作も丁寧に心がけましょう。

3.人間性
アナウンサーはたくさんの人と関わる仕事なので、人柄・人間性が良いことは大切です。

多くの人に自分の声を届ける仕事ですが、芸人や声優のように個性を出す仕事ではありません。そのため初対面の人とでも打ち解けられる親しみやすさ、嫌味がなく謙虚であることなど、誰にとっても嫌われないような振る舞いが求められます。普段の人間関係も良好に保てるよう意識してみたり、言葉の選び方や笑顔の見せ方などにもこだわってみると良いでしょう。

アナウンサーになるための方法とは?

アナウンサー養成学校の様子

アナウンサーになるには、大学を卒業後に放送局へ就職するのが一般的な方法です。会社で実施するアナウンサー採用試験に受かるとアナウンサーになれますが、一般社員の就職試験とは異なるため事前に準備しましょう。

放送局によってはアナウンサーの養成講座やスクールを開講しています。話し方の基礎や試験対策をおこなってくれるところもあるので、大学在学中にスクールで基礎を学んでから採用試験に臨むこともできます。

アナウンサーの世界の現状

活躍する場は大きく変わってきていますが、アナウンサーの仕事自体は依然として需要が高いといえるでしょう。

2020年にNHKがおこなった調査では、「10〜20代の半数がテレビを観ない」という結果になりました。ラジオを聞く人の数も、60歳以上は6~7割がラジオを聞くと回答した一方、10代では3割程度です。しかし実際に皆さんの生活はどうでしょうか。

他の調査で、確かにSNSは普及しましたが、結果的にテレビを視聴する時間は短くても毎日は観る10〜20代が大半という結果が出ました。SNSを見ながらテレビをつけているという人や、個人が自由に発信するSNSよりテレビの情報に信頼性を高く感じる人が多いためです。

一方、ラジオもテレビが普及してからは聞く人が減ったように思われましたが、2010年からインターネットを介してラジオを聞ける「radiko」がスタートし、スマートフォンでも聞けるようになりました。翌年の東日本大震災でもラジオの有用性が高まり、年齢問わずラジオを聞く人は少しずつ増えています。

インターネット配信でも放送されるニュース番組があることを考えると、テレビやラジオ、インターネットのどこにおいてもアナウンサーが活躍する場は減っていないのが現状です。

人工知能(AI)を活用してニュースを読み上げるAIアナウンサーも登場してきています。しかしAIアナウンサーは原稿をすらすらと読み上げることはできますが、現地で取材をおこなうことや実際に体験してみることはできません。人の心に響く言葉を届けるアナウンサーの仕事は、今後も必要とされ続けるでしょう。

また、従来はニュース番組の出演がメインだったアナウンサーですが、地域のイベントに登場するなど活動の幅が広がってきました。フリーアナウンサーの中にはYouTubeで自分の番組を配信したり、SNSで発信したり、放送局ではできないフリーならではの自由な活動を始める人もいます。

アナウンサーになるための勉強ができる大学・学部

アナウンサーになるために必要な勉強は特にありません。しかし最低限一般的な教養は必要であり、アナウンサーの応募条件も「4年制大学卒」としているところが大半なので、4年制大学は必須で卒業しておく必要があります。

特にこの学部がいいということはありませんが、法学部や政治経済学部などで学べば、ニュース番組を担当するときに内容を理解しやすくなるでしょう。自分が携わりたい番組があるなら、その分野の学部を選ぶという選択肢もあります。

参考に、テレビで活躍しているアナウンサーの出身大学をいくつかご紹介します(敬称略)。

東京大学【フリー】 桝 太一(農学部)
早稲田大学【フジテレビ】 軽部 真一(法学部) 三宅 正治(商学部) 【フリー】 羽鳥 慎一(政治経済学部)
福岡大学【フジテレビ】 生野 陽子(法学部)
明治大学【TBS】 安住 紳一郎(文学部) 【テレビ朝日】 斎藤 ちはる(文学部)
上智大学【TBS】 田村 真子(文学部)
慶応義塾大学【テレビ朝日】 坪井 直樹(法学部) 【日本テレビ】 水卜 麻美(文学部) 辻岡 義堂(総合政策学部)
立教大学【日本テレビ】 上重 聡 【テレビ東京】 福田 典子 【フリー】 古舘 伊知郎
東京女子大学【テレビ東京】 森 香澄
成城大学【テレビ東京】 田中 瞳
国立音楽大学【フリー】 加藤 綾子

JOB-BIKIの人物検索を使うと上記のようなアナウンサーなどの出身大学が簡単にわかります。使ってみてくださいね。

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アナウンサーに必要な資格や受験すべき試験

アナウンサーになるためには、放送局がおこなう採用試験を受ける必要があります。必要な資格はありませんが、「4年制大学を卒業していること」を条件とするところが多いのでよく確認しましょう。

また、下記のような検定を受けておくとアナウンサーの業務に役立ちます。

アナウンス検定
アナウンス検定は民間の資格で、「話し言葉」の技術を客観的に評価することができます。NPO法人日本話しことば協会が主催する検定で、年に1回実施されます。試験は筆記と実技のみで、受験資格は特にありません。

1級を持っていると「音声言語の表現者としてプロフェッショナルな活動ができる」とされるため、1級の資格を持つ現役アナウンサーもいるようです。

日本漢字能力検定
「漢検」「漢字検定」と呼ばれることもある、漢字の検定です。公益財団法人 日本漢字能力検定協会が主催する検定で、学生からお年寄りまで幅広い世代が受験します。

放送局によっては、漢字検定1級を持っておくと有利になることもあります。1級に出題されるような難しい漢字を読めるようになると、原稿を読むときもスムーズに読めるからです。

しかし1級は難易度が高く、2018年度の合格率は5%だったといいます。アナウンサーになるために必須ではないですが、漢字の勉強のために受験しておいても良いでしょう。

英検・TOEIC
英検やTOEICである程度英語能力をつけておくと、外国人相手に通訳を介さずに取材できるので重宝します。もしかしたら、金メダリストや、ハリウッドのスターにインタビューする機会がもらえるかもしれませんよ。

アナウンサーになるために目指すべき就職先

アナウンサーになりたい人が目指すべき就職先は、大きく分けて2つです。

放送局
ニュースやスポーツなどの報道を行うテレビやラジオなどの放送局 は、一般的なアナウンサーの就職先です。

よく知られているのは公共放送を担う日本放送協会(NHK)、キー局と呼ばれる主要な民放5局(日本テレビ放送網、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョン)です。ニュースや情報番組は地域に根ざしているものが多く、現地にも仕事はあるため、地方に住んでいる人でもアナウンサーを目指せます。

他にもCS放送局・インターネット放送局 、ラジオ局など選択肢は豊富です。

芸能事務所・番組制作会社
芸能事務所や番組制作会社など、放送局以外にもアナウンサーとして活躍できる場があります。基本的には書類選考やオーディションが実施されているので、応募してみると良いでしょう。芸能事務所に所属する場合、社員ではなくフリーランスとして所属することもあります。

アナウンサーになった後のキャリアプラン

アナウンサーとして経験と知識を身につけた後のキャリアプランは、主に下記のとおりです。

フリーランス・独立
放送局のアナウンサー、いわゆる局アナとして就職して経験を積んでから、フリーランスで独立する道です。

フリーランスになると収入を上げやすくなる、 仕事の幅が広がるというメリットがあるため、フリーランスになりたいと考える局アナは多いようです。自分の所属する局以外の仕事をしたい、タレントとして活躍したい、という想いからフリーランスに転向する人もいます。
フリーランスのアナウンサーになるには、どこかの事務所と契約したり、自身で法人を立ち上げたりする必要があります。

ある程度局アナとして経験を積み、人気もあるアナウンサーであれば、フリーランスになっても仕事が途切れずアナウンサーとしてキャリアアップしていけるでしょう。

講師
アナウンサーを育成するために、講師の道に進むという人もいます。

自分が現役のアナウンサーとして得てきた経験やノウハウを、後続の若い世代に伝えていく仕事です。 すでにあるアナウンサーの養成学校に所属する、自分で養成学校を経営するなどの方法があります。

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アナウンサーは 正しい日本語や伝わりやすい話し方が重視される仕事です。特別な資格は不要ですが、アナウンサーの採用試験は狭き門といわれており、希望すれば誰でもなれる仕事ではありません。大学選びから慎重におこない、知識と教養、人としての魅力を磨いていくと良いでしょう。

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