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プロダクトデザイナーはどのような仕事をするの?なる方法や求められる能力

2023.05.22

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デザイナーの仕事のイメージは浮かんでも、プロダクトデザイナーという職業は、聞き慣れない人が多いのではないでしょうか。プロダクトデザイナーとは、デザイナーの中でも製品のデザインに特化した人です。

この記事では、プロダクトデザイナーがどのような仕事をする人なのか、どういう場所で活躍する人なのか解説していきます。プロダクトデザイナーに憧れる人のために、なる方法や求められる能力についてもお伝えしていきますね。

プロダクトデザイナーとは?

打ち合わせをするプロダクトデザイナー

プロダクトデザイナーとは、身の回りにある家電や家具などの生活用品など、普段から多くの人が使っている製品をデザインする仕事です。プロダクトデザインとは、製品のデザインのことを指します。高校生のみなさんが日常的に使っている文房具や机、毎日食べているご飯を乗せる食器などもすべてプロダクトデザイナーがデザインしているのです。

具体的にプロダクトデザイナーはどのような仕事をしているのでしょうか?仕事内容や流れ、インダストリアルデザイナーの違いについても解説していきますね。

プロダクトデザイナーインダストリアルデザイナーの違い

プロダクトデザイナーを調べると必ず出てくるのが、インダストリアルデザイナーという職業です。インダストリアルデザイナーとは、工業製品や機械製品、医療機器などの工業分野の製品を専門にデザインする職業です。大量製品することを前提とした工業製品をデザインします。

それに対してプロダクトデザイナーは、企業が取り組む製品をデザインするのが仕事です。大きく見ると仕事内容は変わりませんが、手掛けるものが異なります。プロダクトデザイナーが手掛けるものは、文房具・家具・生活雑貨・玩具などです。高校生のみなさんも日々使っているものをデザインしています。

プロダクトデザイナーの仕事内容・流れ

それではプロダクトデザイナーは、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか?実際に仕事を行う時の流れと共に見ていきましょう。

1.製品に関する説明を受ける
プロダクトデザイナーの仕事は、商品企画の担当者から新商品に関する説明を受けるところから始まります。企画者が考えている新商品のコンセプトや、どういう人に向けた商品なのか、新商品の方向性を聞き取ります。

2.市場調査をしてコンセプトを明確にする
企画担当者の説明をもとに、商品の市場調査を行います。例えば、女子高生向けのボールペンのデザインを担当する場合、「今、女子高生の間でどのようなボールペンが流行っているのか?」「SNSでよく取り上げられているものはないだろうか?」というように、女子高生の好みやトレンドをリサーチします。利用者が利用しやすい商品をデザインするためには、リサーチがとても重要な仕事です。

それらを調べたうえで、そのボールペンを使うタイミングや目的から、どのような機能や形状が使いやすいのかコンセプトを明確にしていきます。

3.製品のラフスケッチを描く
コンセプトが決まったら、それにそってデザインのラフスケッチを行います。ラフスケッチは簡単にいうと、デザインの下書きです。まずは、商品の平面図をラススケッチで描きます。商品の全体的なデザインができたら、それをもとにパーツごとのラフスケッチも作成していきます。

ラフスケッチは、最終的に平面から立体的なデザインに仕上げます。商品によっては、実際の形や商品をわかりやすくするために、スケッチだけではなく模型を作ることもあるんですよ。

ラフスケッチで描くのは、見た目のデザインだけではありません。機能面や素材、安全性など、実際に商品を使用する時のことも考えて、商品の詳細情報を書き込んでいきます。実際に商品が目の前にあると想像できるような、具体的な内容が求められます。

4.ラフスケッチをもとにスタッフと話し合う
商品のデザインは、プロダクトデザイナーがすべて一人で行うわけではありません。ラフスケッチを仕上げたら、商品の企画者をはじめ、商品の設計担当者や、実際に商品を製作する技術者、商品販売に携わる営業担当者など、各担当者と話し合います。

この話し合いでは、ラフスケッチをもとに意見交換をします。プロダクトデザイナーは、なぜこのデザインに至ったかの内容を説明しながら、よりよい商品に仕上げるために他の人の意見を伺います。意見の中には「このデザインよりもこっちの方がいい」「素材は違うものがいい」「コンセプトがずれている」などの修正点を伝えられることがほとんどです。

基本的に一発でデザイン案が通ることはなく、意見を交わしながら修正を重ねていきます。「否定されるとへこんでしまうかも・・・」と考える人もいるでしょう。しかし、プロはより良いデザインを作るために、意見を交わし合う時間が大切だと考えています。何も意見を言ってくれずに通る方が、不安を感じるほどです。

なぜなら、それぞれの立場によって商品の見方が異なるからです。「春のイメージ」といっても、自分が描くイメージと友達や家族が描くイメージは違いますよね。それと同じで、プロダクトデザイナーの世界は、それぞれのイメージを固めていくために「修正点があるのが当たり前」な世界なのです。

5.ラフスケッチを清書する
デザインの方向性が決まったら、ラフスケッチを清書します。模型を作っていた場合は、デザイン完成後の形に作り直します。

6.最終デザインを決める
清書したデザインや模型は、再度各スタッフに確認してもらいます。問題がなければ、最終デザインが決定し、設計担当者が商品を設計していきます。

プロダクトデザイナーのやりがい

プロダクトデザイナーのやりがいは、生みの喜びが感じられるところです。仕事内容でも伝えたように、プロダクトデザイナーが自分のデザイン案が採用されるまでには、何度も修正を重ねていかなければなりません。試行錯誤を繰り返しながら、商品デザインを完成させます。だからこそ、完成させた商品デザインが採用され、実際に形となって店頭に並んだ時には大きなやりがいが感じられます。

また、プロダクトデザイナーが手掛ける商品は、多くの人が実際に使用するものばかりです。店頭に並んでいる様子や、SNSなどで商品デザインに対する評価が得られた時には、「このデザインが通って良かった!」「苦労して作ったかいがあった」と思えるでしょう。身近で使われるものの製作に携われるからこそ、やりがいを感じやすい仕事です。

プロダクトデザイナーに求められる資質・能力

プロダクトデザイナーを目指してデザインをする女性

さまざまな製品をデザインするプロダクトデザイナーには、どのようなことが求められるのでしょうか?プロダクトデザイナーに求められる資質や能力についてお伝えします。今自分に当てはまるものがなくても、今から意識して勉強すれば身に着けられるものもありますよ。

プロダクトデザイナーに求められる資質

プロダクトデザイナーが、さまざまな製品をデザインし続けるためには、どのような資質が求められるのでしょうか?当てはまるものがあるか確認していきましょう。

・物を作るのが好き
プロダクトデザイナーに求められる一番の資質は、なんといっても物作りが好きなことです。プロダクトデザイナーはさまざまな製品デザインを一から作り上げていきます。

物を作るのが好きな人ならば、「どういう機能をつけた方が喜ばれるかな?」「素材は何を使うのがいいかな?」「形はどれがいいかな?」とプロダクトデザインのすべての工程を楽しみながら行えます。物作りが好きな人は、プロダクトデザイナーに向いていますよ。

・好奇心旺盛
プロダクトデザイナーには、どんなことにも興味を持って取り組める好奇心旺盛さも求められます。日頃から、新しいものや出来事に興味を持って積極的に「やってみたい!」「行ってみたい」と思える人はプロダクトデザイナーに向いているかもしれません。

珍しいものや、まだ自分が知らないものに興味が持てる人は、プロダクトデザインするための市場調査にも興味を持って取り組めます。「もっと知りたい」という気持ちがある人ほど、プロダクトデザイナーに向いているでしょう。

・身近な物のデザインに興味がある
プロダクトデザイナーが手掛けるものは、文房具や日用品などの身近にあるものばかりです。自分が購入する時や使う時におしゃれな物を使いたい人は多いけれど、それを自分でデザインしたいと考える人は少ないでしょう。

だからこそ、プロダクトデザイナーには身近な物のデザインに興味を向けられる人が向いています。プロダクトデザイナーとして活躍する人は、「こんな文房具あったらいいなー」「今使っているペンをもっと使いやすくするには、どうすればいいだろうか?」といったことを日常的に考えられる人です。まずは、今自分が身近に使っているもののデザインや機能を考えてみてください。そこに楽しさを見いだせる人は、プロダクトデザイナーに向いていますよ。

プロダクトデザイナーに求められる能力

プロダクトデザイナーとして活躍するためには、どのような能力が求められるのでしょうか?プロダクトデザイナーを目指す人は、今から紹介する能力を意識して身につけていきましょう。

・コミュニケーション力
プロダクトデザイナーは、商品を作る各担当者と意見を交わしながらデザインを完成させます。自分が思うデザイン案を出すだけでは、プロダクトデザイナーの仕事はうまくいきません。

それぞれの担当者がどのような物を求めているのか、相手の要望を理解したうえで新しいデザイン案を提案する必要があります。そのためには、各担当者の意見も聞き入れながら、自分の考えを伝えなければなりません。自分の考えを伝えきれずに、相手の意見をただ聞いているだけでは、いざデザイン案を作った時に意向とずれたものができあがる可能性があります。

そうなると「ちゃんと話を聞いてくれない」「要望通りのデザインを作れない人」と思われてしまいます。各担当者が納得できるデザインを作るためには、コミュニケーションが欠かせないのです。

・リサーチ力
プロダクトデザイナーは、製品のデザインをする前にリサーチを行います。リサーチでは、商品を使う消費者がどのようなことを求めているのか、今どういうものが流行っているのか、トレンドやニーズを調査します。

1つの物を作り上げるために徹底的に必要な情報を調べ上げられる人は、消費者のニーズを満たしたデザイン製作ができるでしょう。調べるのが苦手な人や、表面的な情報だけで満足してしまう人は、本当に消費者が求めていることをつかむのは難しいです。プロダクトデザイナーには、リサーチ力が欠かせません。

・デザインセンス・感性
プロダクトデザイナーには、デザインセンスや感性が求められます。プロダクトデザイナーが行うデザインは、ただキレイな見た目のものや、真新しいものを作ればいいわけではありません。企画担当者が考えている商品ターゲットに届くように、その人達が思わず手に取りたくなる、使い続けたくなるデザインを考える必要があります。

そのため、見る側がどのように感じるのかを予測して、目的にあったデザインをするセンスが問われます。デザインセンスや感性は、いつからでも磨けるものです。磨くためには、自分の中でデザインを選択するための知識を増やすことが大切です。

プロダクトデザイナーになりたい人は、高校生の今のうちから、身の回りにある商品をただ見るのではなく、どういうデザインがされているのか、形や色使い、素材などを意識して見てみてください。色んなものを見て、自分ならどうするか、何を足したらどう変わるのかなど、あらゆる角度からデザインについて考える習慣をつけるといいかもしれませんね。

プロダクトデザイナーになるには?

プロダクトデザイナーを目指しておもちゃを触る人

プロダクトデザイナーになるには、どのような進路を歩めばいいのでしょうか?プロダクトデザイナーの仕事に興味を持っている高校生のみなさんが、これからどのような勉強をしていけばいいのか、目指せる大学や資格について解説していきますね。ぜひ、これからの進路の参考にしてください。

プロダクトデザイナーを目指せる大学・学部

プロダクトデザイナーを目指すならば、「プロダクトデザイン学科」や「プロダクトデザイン専攻・コース」がある大学を選ぶのがよいでしょう。プロダクトデザイナーに必要な知識や技術を専門的に学べます。

プロダクトデザイン学科がある大学は、卒業後の就職を視野に入れた大学が多いです。そのため、「今はまだデザインのことは何もわからない」、「興味はあるけど、自分に製品のデザインなんてできるのだろうか?」と不安を感じている人も、活躍できるプロダクトデザイナーになれますよ。

プロダクトデザインを学べる大学の一例を紹介します。興味のある人は、詳細を調べてみてくださいね。

  • 京都芸術大学(京都)
  • 東北芸術工科大学(山形)
  • 多摩美術大学(東京)
  • 大阪芸術大学(大阪)
  • 京都精華大学(京都)

プロダクトデザイン学科がある大学は、芸術大学や美術大学、工業大学などが多いです。また、プロダクトデザイン学科の他に、工学部や造形学部でもプロダクトデザインを学べる場合があります。プロダクトデザインを学べる大学の中から、自分が興味を持てる大学を見つけてくださいね。

プロダクトデザイナーを目指せる資格

プロダクトデザイナーになるために、資格は必須ではありません。しかし、プロダクトデザインに関わる資格を持っていると、知識や技術の裏付けになります。自分の自信にもつながるので、ぜひ大学で資格取得を目指してみてください。

・プロダクトデザイン検定(PD検定)
通称PD検定と呼ばれるプロダクトデザイン検定とは、公益社団法人「日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)」が主催する検定試験です。プロダクトデザイン唯一の検定試験で、プロダクトデザインや商品開発に関わるすべての人のために作られました。

PD検定では、魅力的な商品作りやデザインの活用、効率的な商品開発のための幅広い知識が得られます。1級・2級の試験があり、検定に合格することでデザイナーとしての専門性の確率、社会的信頼性を上げることにつながります。プロダクトデザイナーを目指す人が、学習目標とする検定試験です。

・色彩士検定
色彩士検定とは、「全国美術デザイン教育振興会」が立ち上げた検定です。デザイナーやアーティストを目指す人のための試験です。色彩についての基礎から応用まで、プロダクトデザイナーに必要な色彩技術や知識が身に付けられます。

1級から3級の試験があり、理論・演習・実技問題で構成されています。魅力的な製品を作るために必要な知識が得られるでしょう。

プロダクトデザイナーを目指せる就職先

プロダクトデザイナーは、どのような場所で活躍できるのでしょうか?プロダクトデザイナーを目指せる就職先について解説していきます。

・文房具メーカー
文房具メーカーで、一つ一つの文房具のプロダクトに携わる道があります。近年、Instagramでも文房具を紹介する人が多く、おしゃれで可愛いものの他に、一風変わった文房具が求められています。付箋一つとっても、可愛い動物のものから、ソーセージ付箋や、じゃがりこの蓋が付箋になっているものなど、ユニークなアイデアのものが豊富です。面白いアイデアを活かしやすく、使用シーンも想像しやすいでしょう。

文房具メーカーの代表的な会社は、ボールペンなどのペンでおなじみのパイロットコーポレーション、CampusノートやMONO消しゴムが有名なKOKUYOなどです。

・家具・生活雑貨メーカー
家具・生活雑貨メーカーでは、家具やキッチン用品など、生活に欠かせない物をプロダクトデザインできます。家具・生活雑貨メーカーで思い浮かべるのは、ニトリや無印良品ではないでしょうか。

ニトリは取り扱っている商品の90%が自社製品で、シンプルで使いやすい商品が特徴です。お手軽に手に入れやすいため、家の生活用品はニトリで揃えている人も多いでしょう。

また、無印良品は有名なデザイナーさんが手掛けた商品が多く、シンプルなのにおしゃれなデザインが特徴的です。グッドデザイン賞を受賞した商品も多く、プロダクトデザインにこだわりが強い企業です。

・玩具メーカー
玩具メーカーでは、キャラクターをモチーフにした可愛い玩具から、子供の成長を目的とした知育玩具と、幅広い玩具に携われます。

知育玩具メーカーで有名なのは、学研やくもんです。子供の頃に学研やくもんの学習ドリルを使っていた人は多いでしょう。子供の成長に特化している企業です。子供が手に取りやすい見た目はもちろんのこと、知育として子供の成長につながるプロダクトが考えられます。

・デザイン制作会社
デザイナーが就職する場所といえば、デザイン制作会社を思い浮かべる人もいるかもしれません。デザイン制作会社は、さまざまな企業からデザイン制作の依頼を受けてデザインを行います。その中でも、プロダクトデザインに特化しているデザイン制作会社に就職すれば、デザイン業務に集中できます。

メーカーでは、就職した業界の製品に特化してデザイン業務を行いますが、デザイン制作会社ではさまざまな業界のデザインに携われるのが大きな特徴です。

プロダクトデザイナーのキャリアプラン

プロダクトを考えて組み立てるプロダクトデザイナー

プロダクトデザイナーとして就職した後に、考えられるキャリアプランについてお伝えします。さまざまな道があるので、自分ならどんな道を歩むのが楽しそうか想像しながら読んでくださいね。

・専門性を高める
プロダクトデザイナーとしての経験を積み上げたら、プロダクトデザインの知識や技術を高めて、専門性を高めていくのが主な道です。メーカーで働いていた人が、デザイン業務だけに集中するためにデザイン制作会社に転職する道もあるでしょう。反対に、デザイン制作会社で自分の得意な分野を見つけて、メーカーで1つの業界に特化したプロダクトデザイナーになる道もあります。手掛けたデザインが「グッドデザイン賞」などの賞を受賞すれば、その商品の売上にも貢献でき、期待されるプロダクトデザイナーとなれるでしょう。

・独立する
プロダクトデザイナーとして働く中で技術と知識を深めた後、独立して個人事務所を作る人もいます。自分が取引する相手を選んで仕事ができるので、自分の得意分野を活かせるでしょう。

・マネージャーになる
プロダクトデザイナーとして就職した後、マネージャーに昇進する道もあります。マネージャーになると、チームメンバーの管理や制作管理などを任されます。5年ほど働いた後に、マネージャーにキャリアアップする人が多いようです。

・教える側になる
プロダクトデザイナーとしての自分の経験や技術、知識をもとに教える側に転身する人もいます。大学や専門学校で教える人が多く、プロダクトデザイナーを目指す学生たちの力になれます。

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プロダクトデザイナーは、身近なもののデザインを作ることで、商品開発に携われる仕事です。家で普段使っているもの、学校にあるもの、何気なく使っているものや、見た目や使い心地が良くて使っているものの多くに、プロダクトデザイナーが携わっています。商品開発を行う企業や使用する多くの人の役に立てるのが、プロダクトデザイナーの仕事です。

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