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不動産コンサルタントになる方法は?仕事内容や必要な資格・就職先

2023.05.23

カテゴリー:
マンションを紹介する不動産コンサルタント

不動産コンサルタントという職業は、高校生のみなさんにとっては聞き馴染みのないものだと思います。コンサルタントとは、課題を解決するために提案や助言、指導などを行う仕事です。不動産コンサルタントは、その中でも不動産分野に特化した職業のことです。

具体的にどのような仕事をする人なのか、仕事内容や必要な資格について紹介します。不動産コンサルタントになるための方法についても解説するので、参考にしてくださいね。

不動産コンサルタントとは?

購入の相談に乗る不動産コンサルタント

不動産コンサルタントとは、不動産に関する悩みを持つ人をサポートする職業です。「不動産の相談に乗ってくれる人」と聞くと、家を探す時に訪れる不動産屋さんをイメージする人が多いかと思います。不動産コンサルタントとはどのような仕事をする人なのでしょうか。詳しく紹介していきますね。

不動産コンサルタントの仕事内容

不動産コンサルタントの仕事は、購入や売却を考えている人や、マンションオーナーとして不動産の経営を考えている人、物件の活用方法を悩んでいる人に専門的なアドバイスを行うことです。不動産にまつわる悩みを解決するために、客観的な立場からアドバイスを行います。

不動産は大きな資産となるため、購入や売却・活用方法に悩む人がたくさんいます。法律やお金の面など、知識が必要な場面も多いため、よく調べずに取引を進めてしまうと失敗するケースも少なくありません。実際「家を購入したいけれど、難しくて不安だ」という漠然とした不安から、家の購入に踏み切れない人もいます。

不動産コンサルタントは、そうした人たちが安心して踏み出せるようにサポートします。知識不足でお金を損することや、想定していなかった事態になる人をなくすのが、不動産コンサルタントの務めです。

基本的には、その人にとって最善な方法で、購入・売却・活用できる手段を提案するのが仕事です。また、場合によっては不動産取引時に伴う契約書の作成や立ち会いなどの取引関連や、金融機関で住宅ローンを組むお手伝いもします。

不動産コンサルタントのやりがい

不動産取引は、人生の中でも大切な場面です。不動産購入が、人生の中で最も高い買い物になる人も多いでしょう。今後の家族との人生を考えた時に、「どの物件を選ぶべきか」長期間悩む人も少なくありません。

また、住み替えなどで所有している不動産を手放す場合、売却や人に貸すなどの選択があります。どの方法が自分にとって最適な方法なのか、判断するのは難しいものです。不動産コンサルタントは、そうした重要な場面に寄り添って、依頼主にとって最善な方法で事が進められるようにサポートすることが、やりがいにつながります。

例えば、「悩んでいるんです」「この物件に決めていいのか不安なんです」と顔を曇らせていた相談者が、不動産コンサルタントのサポートによって「この物件を購入できて本当に良かったです!」「理想の形で売却が成功しました!」と相談者の安心した顔を見た時には、大きな達成感を味わえるでしょう。

直接不動産の取引を行う不動産会社の人と違い、不動産コンサルタントは客観的な目線で依頼者の悩みを解決できる仕事です。直接的な利害関係がないからこそ、依頼者も遠慮なく悩みを吐き出しやすいです。自社の利益を考える必要がないので、依頼者のためだけを思ってサポートできるのも不動産コンサルタントのやりがいにつながります。

不動産コンサルタントの想定年収

不動産コンサルタントの年収は、決まった給料をもらっている会社と、成果報酬制度を導入している会社で異なります。成果報酬制度を導入している会社では、依頼者が購入や売却などで契約できた数などで収入が変動するからです。

また、不動産コンサルタントの中には、独立開業して個人で仕事をしている人もいます。そうした状況から、不動産コンサルタントの想定年収は、約600万~800万円となっています。年収相場が比較的高い職業です。

また、人や働く会社によっては、年収1000万円を稼いでいる人もいるようです。どれだけ依頼者の悩みを解決できたか、成果次第で年収が変わる職業といえるでしょう。

不動産コンサルタントは、不動産に関する専門的な知識をもって、大切な瞬間をお手伝いする仕事です。重要な場面に携わる職業のため、平均よりも年収は高い傾向にあります。

不動産コンサルタントの仕事の流れ

不動産にまつわる悩みをサポートする、不動産コンサルタントの具体的な仕事の流れについて解説します。

  1. 調査・分析
    不動産コンサルタントにとって重要な仕事が、市場調査と分析です。依頼者にとって最適な提案を行うには、不動産市場がどうなっているのか調査が必要です。不動産市場は年々異なります。新しいショッピングモールなどの施設ができるなど、周辺状況が異なればその分市場価値も変化します。

そうした状況を踏まえたうえで分析し、依頼者にとって最適な形を提案します。調査や分析は、物件の購入や不動産投資などの活用を考えている人からの相談においては欠かせない業務です。現状いい状態でも、将来価値が格段に下がるような場所を選んでしまうと、依頼者が後悔する事態になりかねません。そうした事態を防ぐために、今だけではなくこの先まで分析した情報を依頼者に伝えます。

  1. 提案
    必要な調査や分析を終えたら、その内容に基づいて最適な方法を依頼者に提案します。例えば、不動産の売却を検討している人に対しては、不動産市場の動きを考えたうえで適正価格と売るタイミングを提案します。客観的な目線で伝えるため、依頼者の意思を尊重するというよりかは、状況によって最適な方法を提案するのが不動産コンサルタントの務めです。

また、土地や家を有効活用したいと考えている人に対しては、その土地の市場や賃貸の市場を踏まえたうえで、最適な活用方法を提案します。

  1. 実施
    依頼者が不動産の購入や売却などを行う際、さまざまな手続きが必要です。書類を揃えて提出する作業など、事務的な部分を不動産コンサルタントが担うこともあります。
    また、依頼者からの相談内容の中には、資格を持っている人しかできない専門的な内容が含まれる時もあります。そのような時には、専門家と協力しながら業務を進めることもあるんですよ。不動産コンサルタント一人ではできない時は、あらゆる人と連携をとりながら依頼者の悩みを解決します。

不動産コンサルタントに向いている人

家の外観を説明する不動産コンサルタント

不動産コンサルタントの仕事内容について見てきました。不動産に関する悩みを聞く不動産コンサルタントには、どのような人が向いているのでしょうか?向いている人の特徴について解説していきますね。

人に貢献するのが好きな人

不動産コンサルタントは、不動産にまつわる悩みを解決する仕事です。依頼者から直接話を聞いて最適な方法を提案する仕事のため、人と接する機会がたくさんあります。相手の利益やメリットになることを考えて、直接貢献できる仕事のため、人に貢献するのが好きな人ならば、依頼者に最適な方法を提案できるでしょう。

また、相手のメリットになることを率先して考えられる人は、依頼者との信頼関係も築きやすいです。不動産コンサルタントは、不動産に関する大事なことを相談してもらう職業です。だからこそ、「この人にならどんな相談をしても安心だ」「自分たちが損しないように考えてくれている」と思ってもらえる不動産コンサルタントになれますよ。

人の気持ちに寄り添える人

不動産の売却や購入時には、不安がつきものです。大きなお金が動く場面のため、信頼できる人に相談したいと考えるものです。そのため、ただ「契約を結んでほしいから」「実績のために依頼してほしい」という考えが先立っている不動産コンサルタントには、お願いしたいとは思いませんよね。

不動産コンサルタントは、人生の大きな決断に関わる仕事です。「結婚して子どもができ、生活が落ち着いたから、長年計画していたマイホームを購入しよう!」と考えている人や、「祖父や祖母との思い出が詰まった家を売却しよう」と、大切な財産を売却する決断をする人もいます。そのような大切な瞬間をお手伝いする仕事だからこそ、依頼者のことを一番に考えた提案をする必要があります。
「マイホームの理想をどう考えているのか?」「後悔が残らないように、大切な財産を売却するにはどのような形が理想だろうか?」と、依頼者目線で考えられる人は、人生の決断を後押しし、依頼者の笑顔が見られる不動産コンサルタントになれますよ。

自分の意見を積極的に伝えられる人

不動産コンサルタントは、不動産に関する悩みを解決する仕事ですが、依頼者の悩み事をただ聞く人ではありません。相手の要望や悩み事を聞きながらも、自分の意見を積極的に伝えられる力が求められます。

ただ依頼者の話にうなずいているだけでは、最適な提案はできません。不動産コンサルタントとしての意見を伝えることで、依頼者の間違った考え方を正せたり、新たな発見につながったりするでしょう。

高校生のみなさんは、友達の相談に乗る機会があれば、ただ話を聞くだけではなく「それなら、こうしてみるといいと思うよ!」と自分なりの解決策を伝えてみてください。押し付けるのはよくありませんが、友達のためになることを伝えることで、悩みが解決するかもしれません。

また、部活動で間違った練習方法をしている人や、やる気がなくて空気を悪くしてしまったりしている人がいたら、その人が良くなる方法を考えて積極的に伝えてみてください。周りの友達が「放っておこう」「何言っても無駄だよ」という空気になっていても、恐れずに伝えてあげることで、相手が変わるきっかけになるかもしれませんよ。

調べるのが得意な人

不動産コンサルタントの仕事は、最適な提案をするために調査や分析を行います。業務の際には、つねに調べ事が必要となります。日々移り変わる不動産業界では、知識をアップデートするために調べ物をする機会も多いです。

そのため、「これってどういうことだろう?」「どういう意味なんだろう?」と、わからないことがあれば積極的に調べる人は、不動産コンサルタントに向いています。

新しいことを知るのが好き、わからないことは調べて知るのが好きな人は、聞かれたこと以上のことを伝えられる素敵な不動産コンサルタントになれるでしょう。

不動産コンサルタントになるには?

不動産コンサルタントを目指して家の勉強をする人たち

不動産コンサルタントは、依頼者に最適な提案を行うために幅広い専門知識や、不動産業界に関連する法律面の知識など、さまざま知識が求められます。不動産会社の営業マンよりも専門的な知識やスキルが必要になる職業のため、大学を卒業してすぐに不動産コンサルタントになれるわけではありません。

不動産コンサルタントになるための勉強ができる大学

不動産コンサルタントを目指すならば、不動産業界で必要な知識が身につけられる学部・学科を選ぶのがいいでしょう。基本的には、どの学部・学科を選んでも問題ありません。

ただし、不動産コンサルタントを目指すならば、不動産にまつわる法律知識を身に着けておくと有利です。卒業後や不動産会社勤務後にも学べる内容ですが、在学中に学んでおくとよいでしょう。

また、売却や販売・活用方法を考える際は、お金に関する知識がなければ最適なアドバイスはできません。そのため、大学では以下のような学部・学科を選ぶ人が多いです。

  • 法律学部
  • 経済学部
  • 金融学科

また、埼玉と千葉にキャンパスを構える明海大学は、日本で不動産学を学べる唯一の大学です。不動産を専門に学べる大学なので、今から不動産コンサルタントを目指して頑張りたい人は明海大学も視野に入れてみてください。

不動産コンサルタントになるために必要な資格

不動産コンサルタントになるためには、「公認 不動産コンサルティングマスター」として国土交通省に登録する必要があります。公認不動産コンサルティングマスターに登録するには、公益財団法人 不動産流通推進センターが開催している不動産コンサルティング技能試験に合格し、5年以上の実務経験を積まなければなりません。

この試験を受けるためには、「宅地建物取引士」「不動産鑑定士」「1級建築士」のいずれかの国家資格を持っていなければなりません。不動産コンサルタントを目指すならば、まずは3つのうちのいずれかの資格取得を目指しましょう。

・宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産取引の専門家となれる国家資格です。毎年20万人以上の人が受験する日本最大規模の国家資格といわれています。

通称宅建士と呼ばれるこの資格は、不動産業界では欠かせない資格です。なぜなら、不動産の取引を行う際に必要な3つの業務は、宅地士の資格を持っている人だけが行える独占業務となっているからです。不動産売買や賃貸を行う会社では、従業員5人につき1人以上の宅地建物取引士の資格保有者の設置が義務付けられています。需要が高く、不動産関係の資格のなかでも挑戦しやすい資格です。

・不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を行う専門家となれる国家資格です。不動産鑑定士の資格を所有すると、土地や建物の価値を判定し、鑑定評価にもとづいて依頼者に適切なアドバイスを行えます。

不動産鑑定士資格も特別な受験資格はなく、誰でも気軽に受けられる試験です。試験は短答式試験と、論文式試験の二段階です。短答式試験に合格した後、論文式試験に合格できなかった場合は、2年以内であれば短答式試験が免除されます。免除された状態での試験は、3回まで再チャレンジできます。何度でも挑戦できる試験なので、受ける際は免除制度を上手く活用して合格を目指しましょう。

・1級建築士
1級建築士は、建築士資格の中で最高クラスの国家資格です。1級建築士の資格所有者は、商業施設や病院、学校など、どんな大規模な建築物の設計もできます。大きな規模の建物の設計は人命に関わるため、専門知識が必要です。建築士としての実務経験がなければ受けられない試験なので、まずは2級建築士の資格に挑戦しましょう。

ただし、1級建築士はほかの2つの資格試験とは異なり、建物を作る側の資格試験です。不動産コンサルタントを目指している方や、不動産購入や売買などのお手伝いをすることを目指している人は、建築士の資格取得から入るのは難しいかもしれません。建築も経験したうえで不動産コンサルタントになりたい人は、1級建築士を目指すといいでしょう。

不動産コンサルタントを目指せる就職先とキャリアプラン

不動産コンサルタントを目指して働く営業マン

不動産コンサルタントとして活躍するためには、どのような就職先を目指せばよいのでしょうか?不動産コンサルタントになってからのキャリアプランについても紹介していきますね。

不動産コンサルタントを目指せる就職先

不動産コンサルタントになるには、「宅地建物取引士」「不動産鑑定士」「1級建築士」のいずれかの国家資格を所有し、それらを活かした仕事で5年以上の実務経験が必要です。不動産コンサルタントを目指せる実務経験を積める就職先は、以下の2つが考えられます。

・不動産会社
不動産コンサルタントになるには、不動産会社に就職して宅建士を目指す方法があります。宅建士の資格は大学在学中にも取得できるので、大学生のうちに資格をとってから不動産会社に就職すると、資格を保有した状態で働けます。

不動産会社では、賃貸や売買などの不動産取引に直接携われます。さまざまな人の不動産取引を行う中で、どのような悩みを抱えることがあるのか勉強にもなるでしょう。実務経験を積みながら、不動産コンサルタントに必要なスキルも身に付けられますよ。

コンサルティング部門のある不動産会社に就職すれば、公認不動産コンサルティングマスターに登録した後、コンサルティング部門に異動できるかもしれません。

・不動産鑑定士事務所
不動産鑑定士の資格を所有して、不動産鑑定士事務所で働く方法もあります。不動産の適性価格を評価する仕事なので、不動産コンサルタントとして働くうえで必要な知識や能力が身につけられるでしょう。

不動産鑑定士事務所の中に、不動産コンサルタントが常駐しているところもあります。不動産鑑定士として実務経験を積んだ後、不動産コンサルタントに転身できますよ。

不動産コンサルタントのキャリアプラン

不動産コンサルタントになった後は、どのようなキャリアプランが考えられるでしょうか?考えられる2つのキャリアプランについて見ていきましょう。

・コンサルティング専門会社に転職する
不動産コンサルタントとして活躍できるようになったら、コンサルティング専門会社を目指す方法があります。不動産を扱うコンサルティング専門会社では、コンサルティング業務に特化して多くの人をサポートできます。

・独立する
不動産コンサルタントとして活躍できるようになったら、独立して自分の事務所を立ち上げる人もいます。事務所を構えずに、フリーランスとしてコンサルティングを行う人もいるんですよ。

独立した不動産コンサルタントは、さまざまな人や企業と顧問契約を結んで、不動産にまつわるあらゆる悩みごとを解決していきます。自分でお客さんを選べる点が、独立のメリットの1つです。

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不動産コンサルタントは、不動産に関する悩み事を解決するためのアドバイスやサポートをする人です。人の助けがしたい、人と話すのが好き、不動産業界に携わりたい人は、まずは不動産コンサルタントに関わる情報を集めてみませんか?

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