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保育士になるには?資格をとる方法や目指せる大学を解説!仕事内容や保育園以外の就職先も紹介

2023.06.13

カテゴリー:
絵本の読み聞かせをする保育士

「子どもが好き」「子どもと触れ合える仕事がしたい!」と考えている高校生の中には、保育士の仕事に興味を持っている人もいるのではないでしょうか。0歳からの小さな子どもを相手にする保育士の仕事は、子ども好きにとっては魅力的な仕事ですよね。

しかし、実際保育士が毎日どのような仕事をしているのか?どのように子どもたちを相手に仕事をしているのか、想像しづらい部分は多いと思います。今回は、保育士の仕事内容から保育士を目指せる大学について解説していきますね。

保育士になるには?

子どもと一緒に笑顔を向ける保育士

保育士を目指している高校生のみなさんが、これから保育士になるにはどのような進路を歩めばよいのでしょうか?保育士になるには、以下2つの方法があります。

  • 指定保育士養成施設を卒業する(試験は必要なし)
  • 保育士試験に合格する

順番に解説します。

指定保育士養成施設を卒業する(試験は必要なし)

保育士になる方法のひとつに「指定保育士養成施設」を卒業することが挙げられます。指定保育士養成施設とは、厚生労働大臣が指定する大学・短期大学・専門学校です。学校卒業と同時に保育士資格が取得できるため、保育士試験を受ける必要はありません。

保育士養成施設では、専門知識を学ぶ座学から実践の場で使える保育実習まで、幅広いカリキュラムが組まれています。

全国の保育士養成施設は、以下のサイトから確認できます。
令和5年度指定保育士養成施設一覧.pdf (nippo.or.jp)

保育士試験に合格する

指定保育士養成施設以外の学校を卒業しても、保育士試験を受ければ保育士になれます。
保育士試験の受験資格は、短期大学卒業程度と明記されているからです。しかし、最終学歴が高校卒業でも、児童福祉施設での実務経験を2年以上積めば、保育士試験の受験資格を満たせます。

保育士試験の内容

保育士試験は、筆記試験と実技試験の2段階あります。筆記試験は、9科目から出題されます。

  • 保育の心理学
  • 保育原理
  • 子ども家庭福祉
  • 社会福祉
  • 教育原理
  • 社会的養護
  • 子どもの保健
  • 子どもの食と栄養
  • 保育実習理論

各科目、6割以上の点数を取れば合格となり、実技試験に進めます。全体の点数ではなく、科目ごとに6割以上をとらなければならないため、資格試験の中でも難易度の高い試験です。

実技試験は、保育実習の実技に関する内容の試験です。音楽・造形・言語に関する技術の中から、2分野選択します。
筆記試験を突破し、実技試験の合格基準を満たすと保育士資格が取得できます。保育士試験は前記と後期と1年に2回試験が行われているので、2度チャンスがありますよ。

保育士の1日の仕事の流れ

子どもと遊ぶ保育士を目指す男性

【保育園で働く保育士の1日の仕事の流れ】

700~9:00 (シフト制のため、出退勤時間には幅がある)・部屋の掃除や換気 スケジュールの確認 ・朝礼(職員同士での情報共有など)
7:30~登園する子どもたちの出迎え ・子どもたちの健康観察
9:45・朝の会(出欠確認・挨拶・歌・体操
10:30・クラス別活動(年齢や発達段階に合わせた活動を行う ・歌、体操、工作、散歩、外遊びなど
12:00・昼食 ・子どもと一緒に配膳を行う ・子どものアレルギーに注意しながら、一緒に昼食をとる ・離乳食を食べる月齢の子には食べさせてあげる ・食器の片づけ ・歯磨き
13:00昼寝 保育士は、連絡帳を書いたり、会議を行ったりする ・うつ伏せで呼吸が取りづらい子どもがいないか、様子が違う子どもがいないか適宜確認する
15:00・おやつタイム ・子どもたちを起こして、手洗い・うがい、トイレを済ませるよう促す
16:00・帰りの会 ・絵本の読み聞かせや簡単にできる手遊び ・帰り支度を行い、保護者が迎えに来るのを待つ
17:00~19:00 (シフト制のため、出退勤時間には幅がある)・保護者がお迎えに来たら、連絡帳を渡しながらその日の様子を伝える 子どもたちが全員帰った後は、部屋の掃除や明日の準備を行 職員会議を行ったり、運動会や発表会などの行事に向けて飾りなどの制作物を作成したりする 日誌を書いて退勤

子どもたちの安全を確保しながら、月齢にあった活動を行います。また、歯磨きやトイレなど、自立に向けた習慣をつけさせるのも保育士の大事な仕事になります。

保育士のやりがい

保育士は、子どもたちの命を預かるという大切な役目を担う仕事です。小さな子どもたちのお世話をするのは大変なことも多く、目が離せない状況に毎日奮闘するでしょう。子どもたちと直接接する仕事だからこそ、大変なことも多いですが、それ以上に子どもの成長を間近で感じられるやりがいがあります。

保育士は、子どもたちと長い時間を共に過ごすので、はじめて言葉を話す瞬間や、昨日までできなかったことが突然できるようになる瞬間に立ち会える機会がたくさんあります。子どもの成長を発見した時の喜びや驚きは、一つひとつが感動するほどかけがえのない瞬間です。お迎えに来た保護者にその日の成長を伝えられるのも、楽しみの一つとなるでしょう。

子どもと過ごすからこそ、保育士は他の仕事では経験できない、かけがえのない体験がたくさんできます。毎日「どうして、子どもってこんなことするんだろう」「その発想はなかった」というような面白い発見の連続です。子どもの純粋な気持ちに触れていると、大人では感じられない、忘れてしまった気持ちを思い出させてくれる時もあるでしょう。

保育士の仕事には、同じ毎日はありません。日々成長する子どもたちの様子を楽しめるのが、保育士にとっての大きなやりがいです。

保育士の想定年収

「厚生労働省の職業情報提供サイト」によると、令和4年度の保育士の平均年収は、391.4万円です。
年齢別の年収は、以下のとおりです。

引用:保育士 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)) (mhlw.go.jp)

保育士の仕事は、以前までは給料が安いのに責任が重くて待遇が悪い仕事といわれていました。平成25年以降、保育士の待遇の見直しが入り、一人あたり約14%、月当たり約4万4千円の給与改善が行われました。

さらに令和4年には、収入を3%引き上げる措置も取られ、今後保育士の年収が上がっていくことが想定されるでしょう。保育士の仕事の専門性や重要性が認知されるようになったため、働く環境や給与などの待遇が改善されています。高校生のみなさんが大学を卒業する頃には、今よりも保育士の待遇が良くなっているかもしれませんね。

保育士に向いている人

保育士を目指して子どもの面倒を見る女性

保育士に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 子どもとのふれあいを楽しめる人
  • 体力に自信がある人
  • 感受性が豊かな人
  • メンタルがタフな人

ここでは、向いている人の特徴をお伝えします。保育士を目指す高校生のみなさんは、今の自分には当てはまらないと思うことでも、これから意識していけるので、参考にしてくださいね。

子どもとのふれあいを楽しめる人

保育士に向いている人の一番の特徴は、子どもとのふれあいを楽しめる人です。保育士の仕事に興味がある人は、「子どもが大好き」「子どもを見ているだけで癒される」という人がほとんどだと思います。

しかし、実際に子どもが好きな人の中でも、子どもと一緒に遊ぶことや子どもに何かを教えることを楽しめない人もいるでしょう。遊んでいる姿を見ているのは楽しいけれど、自分が一緒に砂遊びをすることや、手遊びを子どもと楽しんでやるのは恥ずかしい、見ているだけでいいという人は、保育士の仕事には向いていないかもしれません。

保育士は、子どもと一緒になって遊ぶ時間を楽しめる人が求められます。なぜなら、子どもが「お絵かきを一緒にしたい!」「歌うたって」と言ってきた時に、保育士が嫌々やっていると、子どもは面白くなくなってしまうからです。

子どもと一緒に遊んだ時に、自分も子どもと同じように楽しめるだろうか?子どもに何かを教えることを楽しめるだろうか?と考えてみてください。わくわくする気持ちがあれば、保育士に向いているでしょう。

体力に自信がある人

保育士は、体力がいる仕事です。子どもたちと一緒に鬼ごっこやおいかけっこをして走ることがあれば、おんぶや抱っこを求められることもあるでしょう。時には子どもたちを連れて公園で一緒に遊ぶこともあり、元気いっぱいの子どもたちと一緒に過ごせるだけの体力が必要です。実際に保育所に通っているくらいの子どもと遊んだことがある人は、子どもの体力のすさまじさを実感したことがあると思います。

保育士は、出勤してから子どもたちが帰るまで、毎日子どもの前で疲れた顔を見せずに元気でいられるだけの体力が求められます。「体力には自信がある!」「子どもたちの相手をし続けられる!」という自信がある人は、保育士に向いているでしょう。

また、子どもたちに風邪を移さないためにも、健康への意識も欠かせません。インフルエンザなどの風邪が流行しやすい季節や、季節の変わり目など、みんなが体調を崩しやすい時には、特に健康管理が求められます。

感受性が豊かな人

感受性が豊かな人は、保育士に向いています。「感受性が豊かな人」とは、人の言葉で心が動かされやすく、人の気持ちを感じ取り、共感できる人のことをいいます。保育士は、毎日新しい発見をする純粋な子どもたちと接するため、子どもが「先生見て、すごいでしょう!」と自慢げに見せてきた時には「すごいねー!よくできたね」と褒めることや、「すごい!こんなことできたの!」と大きなリアクションで反応することが求められます。

そのため、子どもが今どういう気持ちで、何を求めているのかを感じ取れる人が保育士に向いています。また、機嫌が悪い子どもや、いつもより元気がない子どもがいた時に「今日は、遊びたくない気分なの?」と、子どもに寄り添って聞いてあげられる人も、保育士に向いていますよ。

メンタルがタフな人

保育士の仕事は、子どもとの関わり方や保護者に対する対応を心がけなければなりません。小さな子どもはその日によって気分が変わるため、昨日までは機嫌良くできていたことでも、突然嫌になってやらなくなることもあります。言うことを聞いてくれずに、ずっと嫌々と言ってどうしようもできない時もあるでしょう。

また、子どもへの対応に対して、保護者からさまざまな要望を伝えられることもあります。保育士は大切な子どもを預かっているからこそ、できるだけ保護者の要望に応えられるように努めます。しかし、時には応えられない要望や、納得のいかないクレームを受けることもあるでしょう。そうした状況でも屈することなく、その施設での方針や保育士として真摯に対応したことを伝え、保護者と向き合うことが大切です。

一つひとつのことに対して、いちいち落ち込んでしまう人は、保育士の仕事は向いていないかもしれません。辛いことを言われたり、上手くいかないことがあったりした時に、自分の気分で左右されずに適切な対応をできる人が保育士に向いていますよ。

保育士の就職先とキャリアプラン

子どもと楽しく英語の勉強する保育士

保育士資格を取得したら、各都道府県の保育士登録簿に名前が登録され、保育士として働けるようになります。保育士資格を取得すれば、結婚・出産・転職などライフステージが変わっても、保育士資格を利用していつでも保育士として働くことができます。

そんな保育士の就職先やキャリアプランには、どのようなものが考えられるでしょうか?それぞれ紹介していきます。

保育士の主な就職先

保育士の資格を活かして働ける就職先はたくさんあります。保育所や保育園はもちろんのこと、他にも子どもの保育を行っているさまざまな施設で活躍しています。

認定こども園幼稚園と保育園の両方を兼ねた施設
地域型保育事業地域に根ざした保育所よりも少人数の施設 0歳~2歳児が預かり対象
企業内保育所・院内保育所企業や病院内の施設や近隣で、その企業や病院で働く人の子どもを預かる施設
託児所商業施設や医療機関などで、一時的に子どもを預かる場所
乳児院  ・保護者と生活ができない子どもを預かって、養育する施設(0歳~2歳児が対象) ・24時間体制で子どもを保育し、心のケアを行う
児童養護施設・訳あって保護者と生活できない1歳~20歳までの子どもを預かる施設 ・児童指導員などの協力しながら、20時間体制で子どもを保育・支援する
母子生活支援施設・18歳未満の子どもを持つ母子家庭の親子の生活支援を行う施設 ・入所や一時入所している子どもの保育や学習、生活の指導を行う

上記で紹介したように、保育士を求めている施設はたくさんあります。保育士を目指している高校生のみなさんは、「自分はどういうところで子どもたちのお世話をしたいだろうか?」という視点で考えてみてください。大学での実習やインターンシップを利用しながら、自分が働きたい職場を見つけましょう。

保育士のキャリアプラン

保育士のキャリアプランとして、以下の2つを紹介します。

  1. キャリアアップ研修制度を利用してキャリアアップする
  2. 保育士資格を活かして転職する

待遇改善が行われている保育士の仕事は、以前よりもキャリアを重ねやすい仕事になっているので、確認してみてくださいね。

キャリアアップ研修制度を利用してキャリアアップする

保育士の昇格をサポートするために、政府による処遇改善制度の取り組みの1つとして「キャリアアップ 研修制度」が導入されました。

研修制度を受けることで、以下のようなキャリアアップが可能です。

【保育士に追加された役職と条件】

役職役職につくための条件
職務分野別リーダー勤務経験年数3年以上 担当する職務分野の研修修了していること
専門リーダー勤務経験年数7年以上 職務分野別リーダー経 4つ以上の分野の研修修了していること
副主任保育士勤務経験年数7年以上 ・職務分野別リーダー経験 ・マネジメント分野+3つ以上の分野の研修修了
主任保育士・勤務経験年数21年
園長・勤務経験念年数24年

参考:厚生労働省|保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ

以前までは、保育士のキャリアアップの仕組みが曖昧だったことから、キャリアアップし辛い環境でした。2017年に厚生労働省が「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」を制定したことで、キャリアアップしやすい状況が作られています。

2023年度には研修の受講が必須となり、保育士がより専門性を高められる状況です。研修には8つの分野があり、1分野15時間以上の研修を受講し、修了することでキャリアアップに活かせます。

キャリアアップ研修の研修分野は、以下の8つです。

  1. 乳児保育
  2. 幼児教育
  3. 障害児保育
  4. 食育・アレルギー
  5. 保健衛生・安全対策
  6. 保護者支援・子育て支援
  7. 保育実践
  8. マネジメント

保育士資格を活かして転職する

保育士はさまざまな施設で活躍できると紹介したように、経験を重ねて他の職場に転職するのも一つの道です。

子どもの保育経験は、子どものお世話をするさまざまな仕事に活かせるでしょう。例えば、以下のような仕事にキャリアチェンジする人もいます。

【保育士資格を活かせる転職先と仕事内容】

家庭的保育事業・3歳児未満の子どもを、自宅などの小規模な保育スペースで預かる事業 ・少人数なので、子ども一人ひとりとじっくり関われる
インターナショナルスクール・海外で育った子どもに対して、英語で保育や教育を行う施設 ・英語力が求められる場合がある
幼児教室未就学児を対象とし、語学・知育・音楽などの教育を主に行う教室
子育て支援センター子育て家庭の育児を支援する施設 育児相談に乗ったり、指導したりする

保育士としての仕事経験や知識、能力を活かせばさまざまな場面で子どもと接する仕事ができますよ。

保育士になりたいあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!

保育士の仕事についてお伝えしました。保育士は保育園や保育所をはじめ、子どもを預かるさまざまな施設で活躍できます。保育士の仕事は、指定保育士養成施設に該当する大学を卒業するか、保育士試験に合格することで目指せます。保育士の仕事に興味がある高校生のみなさんは、「JOB-BIKI」の就職先検索で「保育」と検索すると、保育士が活躍できる職場が一覧で見られますよ。その職場で働く先輩たちの出身大学についてもわかるので、進路選びの参考にしてくださいね。

「JOB-BIKI」の就職先検索で「保育」と検索する

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