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検察官(検事)になるには?検察官になるための方法や気になる年収を紹介

2023.09.05

カテゴリー:
検察バッジをつけた女性検察官

検察官は、裁判の執行および判決確定後の刑執行の指揮管理をおこない、適正な裁判がおこなわれるようにする仕事です。検察官という名前を聞いたことはあっても、具体的な仕事内容や検察官になる方法などはよく知らない、という人が多いでしょう。

この記事では、検察官になるための方法や検察官の具体的な仕事内容、年収についても紹介します。検察官を進路のひとつと考えている人は、参考にしてみてください。

検察官とは?

六法全書を抱える検察官

検察官は、裁判所での被疑者の起訴、法廷での事件の立証がメインの仕事です。法律で「公益の代表者」と定められており、適正な裁判をおこない正しく刑を執行するために、各種活動をおこなう権限が与えられています。

どんな犯罪でも捜査することができ、必要に応じて警察を指揮することもできます。検察官自ら被疑者や参考人の取り調べをおこなったり、関係者の取り調べ、証拠品の押収をおこなったりすることも可能です。

検察官と警察官の違い

検察官は、警察から送られてくる被疑者について、法廷で判決をおこなうための各種活動をおこないます。そのために、必要に応じて警察に対し補充捜査を指示する指揮権を持ちます。
一方で警察官は犯人を見つけ証拠を収集して、事件を裁判にかけるかどうかを検察官に依頼する、といった役割の違いがあります。
検察官は刑事裁判の専門家、警察官は犯罪調査の専門家、といえるでしょう。

警察官について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
警察官になるための道のりは?向いている人の特徴や採用試験の種類

検察官と検事の違い

検事は検察官の中の役職のひとつです。

上から順に「検事総長」「次長検事」「検事長」「検事」「副検事」という役職に分けられ、それぞれ役割が異なります。検事総長はすべての検察官のトップで、高等検察庁の長を務めます。検事は最高検察庁や地方検察庁、高等検察庁など各種の検察庁に配属され、業務にあたります。

副検事は、副検事選考試験に合格した人がなれる役職です。検事は地方裁判所、副検事は簡易裁判所と所属する場所の違いはありますが、仕事内容に違いはありません。

検事になるには司法試験に合格して司法修習を受ける必要がありますが、総合的に検察上層部で認められた人のみが検事になれます。3年以上副検事を経験し、検察官特別考試に合格すると検事になれる可能性もあるため、検事になれなかったけれど諦めきれない、という人が副検事選考試験を受けて副検事の役職に就く事例もあります。

役職によって仕事内容は若干異なりますが、総じて検察官と呼ぶことができるでしょう。

検察官と検察事務官の違い

検察事務官は、検察官と同様に捜査官としての権限がありますが、「検察官の指揮を受けた上で捜査や事務をおこなう」という違いがあります。検察官のサポートをする仕事と覚えておくと良いでしょう。

検察事務官について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
検察事務官になるには?仕事内容や求められる資質・能力などを紹介

検察官の仕事内容

検察官の仕事は刑事事件について捜査をおこない、裁判所で容疑者を起訴し、法廷で事件についての立証をおこなうことです。被疑者の起訴・不起訴を決定する権限を持ち、そのために必要な捜査や取り調べをおこなうことが許されています。

法廷で立証する際の証拠集めや書面準備もおこない、法廷で起訴状を朗読するのも検察官がおこなう仕事です。必要であれば司法解剖をおこなったり、証拠を追加で集めるよう警察を指揮することもあります。

また、裁判の内容に不服があった時の上訴手続きなどもおこないます。

検察官の仕事のやりがい

検察官のやりがいは、主に下記の3つがあります。

1.困っている人の力になれる
検察官の仕事は、事件を解決に導く仕事です。事件を解決することで困っている人や被害を受けた人を助けることができ、世の中をよりよくしていけることにやりがいを感じる、という人は多いようです。

2.法律家として真相を解明できる
検察官は、法律家として平等に真相を解明できるという魅力があります。検察官は公務員として国から給料を支給されるため、被疑者との金銭のやりとりは発生しません。お金のために判断を許すようなことがなく、公平に真相の解明を進められるでしょう。

3.事件を解決に導いた時に達成感が得られる
検察官は、裁判の判決・刑の執行のためにさまざまな活動が許されています。証拠集めや資料の読み込みなどに奔走し、無事に事件を解決に導いたときに得られる達成感は大きいでしょう。もちろん責任も伴いますが、それ以上の達成感を得られます。

検察官の仕事の流れ

裁判に立ち会う検察官

検察官の大まかな仕事の流れは、下記の通りです。

1.警察などから共有された事件について調査する
検察官が扱う事件は、基本的に警察から送られてきます。被疑者への取り調べや身辺調査などをおこなって、実際に事件を起訴するかどうかを決めます。

2.事件を起訴するかどうか決める
法廷で裁判を開くときは「公判請求」、裁判を開かないときは書面で刑を言い渡す「略式命令請求」となります。起訴されれば「公判請求」となります。重大な犯罪の場合は、裁判員裁判の対象です。裁判員裁判は一般の人が判決を言い渡す裁判方式のため、わかりやすく立証できるよう工夫する必要もあるでしょう。

証拠不十分で罪が立証できなかったり、被疑者の年齢や境遇を配慮して刑罰に値しないと判断したりした場合、検察官はその事件を不起訴にすることができます。「略式命令請求」と書面のみの対応になり、捜査機関による捜査も終了となります。

3.公開請求した裁判の立ち会い、刑の執行をサポート
公開請求によって起訴した場合、その裁判に立ち会う必要があります。また一度判決が下った後は正しく刑が執行されるよう、必要に応じて指揮をとります。

検察官の年収

検察官の年収は約600万〜約2900万円です。検察官の等級によって月収が変わるので、平均年収の数字は幅ひろくなっています。
国家公務員に該当する検察官は、月給やボーナス、その他の手当についても法律で決められており、「裁判官・検察官の給与月額表(令和5年1月1日)」に具体的な数字が記載されています。

検察官に必要な資質と能力

検察官に必要とされるのは精神的・肉体的なタフさ、的確な判断力や、正義感・使命感です。

検察官は事件の捜査、裁判などやることが多く、肉体的にも精神的にもかなりハードな仕事です。それをこなせるだけの強靭な体力・精神力が求められるでしょう。捜査や裁判の時間は限られるため、的確で俊敏な判断力をもって仕事を進める必要があります。

ハードな仕事量であっても、困っている人を助けたい、事件を解決に導きたい、という正義感・使命感があれば乗り越えられるでしょう。

検察官になるための方法とは?

検察官になるために六法全書で学ぶ

検察官になるには必要な経験と取得すべき資格があります。詳しくご紹介しましょう。

検察官の世界の現状

検察官は現状、人手不足に陥っています。採用人数自体はそれほど変わっていませんが、途中で弁護士にキャリアチェンジしてしまう検察官も多いようです。

しかし日本の国際社会化が進むにつれて、日本国外での犯罪も増えてきているといいます。英語が使える検察官などが重宝されるようになるでしょう。また、検察官の仕事は人間の内面を相手にする仕事なので、AIなどの機械化が進む可能性は低いです。

社会にとって、検察官の需要は今後も変わらず高い状態が続くでしょう。

検察官になるための勉強ができる大学・学部

検察官になるには法科大学院を修了するか、司法試験予備試験に合格し、司法試験に合格する必要があります。
学歴はあまり影響しませんが、法学科など法律の知識が身につく分野が学べる大学を選ぶと良いでしょう。

検察官を輩出している大学の一例は下記です。
・大阪大学(法学部/法学科)
・明治大学(法学部/法律学科)
・一橋大学(法学部/法律学科)
・静岡大学(人文社会科学部/法学科)
・東北大学(法学部/法学科)

検察官に必要な資格や受験すべき試験

検察官に任命されるには、下記のいずれかの条件を満たしている必要があります。

・司法試験に合格した後,司法修習を終えた者
・裁判官(判事・判事補)
・弁護士
・3年以上特定の大学において法律学の教授又は助教授の職にあった者
・3年以上副検事の職にあって,検察官特別考試に合格した者

大学卒業から検察官を目指すには、予備試験・司法試験・司法修習をクリアする必要があります。法律系の学科で学びながら、試験対策を綿密におこなうと良いでしょう。

検察官になるために目指すべき就職先

検察官は検察庁に所属しています。そのため目指すべき就職先は検察庁となります。国家公務員となるため、給料が決められていることなどを注意しましょう。

検察官になった後のキャリアプラン

検察官がつける検事バッジ

前述したように、検察官には下記のような等級があります。

新任検事:検事任官1年目の検事。
A庁検事:検事任官後4~5年目の検事。
シニア検事:A庁検事期間を終えた検事。
三席検事:地方検察庁において、次席検事に次ぐ立場
次席検事:属する庁の長に次ぐ立場
検事正:地方検察庁の長
検事長:高等検察庁の長
検事総長:最高検察庁の長

司法試験を合格し、司法修習、二回試験、検事採用試験を経た人は最初から検事として任官されます。検察事務官から検事になった場合、まずは副検事からスタートします。

最も高い等級は検事総長なので、キャリアパスとしては検事総長を目指して順調にキャリアアップしていく道があります。まずは東京地検や大阪地検を任されるA庁検事から目指してみましょう。

また、前述したように裁判官や弁護士などにキャリアチェンジするという道もあります。裁判官も弁護士も、法律の勉強をしていて司法試験に受かっていればキャリアチェンジできる可能性が広がるでしょう。

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検察官の仕事内容やなり方、気になる年収について解説しました。

検察官の仕事は警察から送られてきた事件を捜査し、被疑者を起訴・刑を執行することがメインになります。精神的・肉体的タフさが求められる仕事ですが、困っている人を助ける使命感や事件を解決に導く達成感を得られる仕事といえるでしょう。

検察官になるには、法律を充分に学んで司法試験などの試験に受かる必要があります。
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