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ホテルマン(ホテルスタッフ、ホテリエ)における仕事のやりがいは?求められる資質と能力、目指せる大学と学部学科を紹介

2023.09.21

カテゴリー:
ドアパーソンとして働くホテルマン

旅行の際、ホテルマン(ホテルウーマンを含む)のていねいな接客に好印象を抱いた経験がある方は多いことでしょう。

現代では男女の区別を付けない「ホテリエ」の呼び名も一般化しつつあります。

お客様に快適な空間とおもてなしを提供することが、ホテルマンの仕事です。

この記事ではホテルマンの業務内容や仕事の流れ、やりがいと年収、ホテルマンを目指すための進路についてご紹介します。

ホテルマンとは?

ホテルマンは、ホテル業務に携わるすべての人の総称です。
まず、ホテルマンの仕事は「お客様に直接おもてなしをする人」「ホテルの外で運営を支える人」の2つに大きく分けられます。

ホテルマンといえば、案内係の「ベルパーソン」やお客様のあらゆる相談に対応する「コンシェルジュ」を思い浮かべませんか?
意外に思われるかもしれませんが、ホテル運営を支える広報や営業、企画をする人もホテルマンに該当します。

上述したことからホテルマンの業務は多岐にわたり、ひとつのホテルに多くの職種の方が集まるイメージです。

ホテルマンとグランドスタッフの違い

ホテルマンが「ホテル業務に携わる人の総称」なのに対し、グランドスタッフは「空港業務に携わる人の総称」です。
近年グランドスタッフという言葉は「空港で接客業務を担当する人の総称」とされていますが、本来の意味では「航空整備士などを含んだ空港で働くすべての人」がグランドスタッフにあたります。

グランドスタッフについての詳細は「グランドスタッフになるには?求められる資質と能力を紹介」をご覧ください。

ホテルマンと仲居さんの違い

ホテルマンは一人または一組のお客様に対し、フロントやベルパーソン、コンシェルジュなどの担当者がそれぞれの業務の範囲で対応します。
一方仲居さんの担当業務はお客様のお出迎えから衣食住のサポート、お見送りといったおもてなし全般で、ホテルマンのように業務の範囲が明確ではありません。

ホテルマンの仕事内容

部屋を案内するホテリエ

ホテル業務は多岐にわたり、担う仕事の種類によって異なります。
この項目では、ホテルマンにおける仕事の種類と仕事内容について見てみましょう。

ホテル宿泊のご案内

主にホテル宿泊に関するご案内や、サポートに携わる仕事には以下のようなものがあります。

【フロント】
チェックイン・アウトや会計などの受付を行います。

【クローク係】
イベント時などにお客様の荷物を預かり、厳重に管理する係です。

【ベルパーソン】
チェックインを終えたお客様を案内します。

【ドアパーソン】
お客様の送迎やお出迎えの際にドアを開ける係です。

【コンシェルジュ】
車の手配やレストランの予約などお客様のあらゆる相談に対応します。

そのほか施設内におけるレストランで料理の案内をする「レストランスタッフ」、お客様が部屋を出た後に清掃する「ハウスキーピング」などがあります。

ホテル運営のサポート

ホテル運営をサポートする仕事は、以下のようなものです。

【広報】
テレビやウェブメディア、SNS、雑誌などを通してホテルの魅力を宣伝する業務です。

【営業】
多くの方にホテルを利用していただけるよう、ホテル内の施設や客室に関する商品、またはホテル自体を営業先(セミナーの実施場所や出張先の宿泊を必要とする企業)に交渉します。

【企画】
ホテルが実施するイベントや宿泊プランを企画し、販売促進を図る業務です。

いずれもお客様との直接的な関わりはありませんが、業務によってはほかの部署の方や営業先の企業など多くの方と関わる機会があります。

ホテルマンにおける仕事のやりがい

ホテルマンの業務形態に関わらず、お客様から感謝していただけることは大きなやりがいといえるでしょう。
特にホテルで直接お客様と会話を交わすフロントやベルパーソン、コンシェルジュなどはお客様から直接感謝の言葉をいただけます。

ホテルマンの仕事は決して楽ではありませんが、感謝の言葉に喜びを感じ、さらに接客や対応、企画などに磨きをかけるホテルマンの方も多くいらっしゃいます。
向上意識の高い環境に身を置くことは、自身の接客スキルやビジネススキル、コミュニケーション力などの向上につながるでしょう。

ホテルマンにおける仕事の流れ

タクシーからスーツケースを取り出すベルボーイ

ホテルマンの業務は多岐にわたりますが、各業務によって仕事の流れは異なります。
この項目では、代表してホテルの顔となる「フロント」と「ベルパーソン」の仕事の流れをご紹介。
どちらの業務も早番、遅番、夜勤の3シフト制が多い傾向です。

フロント業務の流れ

前シフトの方から引き継ぎを受け、チェックイン・チェックアウトの窓口対応や会計業務を行います。
そのほかの主な業務は、お客様の予約確認や部屋割りなどの事務作業、電話対応などです。

シフトによってはレジを締め、精算。
業務日誌の記入と次シフトの方への引き継ぎなどを済ませ、退勤します。

中でも夜勤は、早番や遅番と比べスタッフが少ない傾向です。
そのためお客様の体調不良や、夜間にありがちなトラブルへ臨機応変に対応するスキルが欠かせません。

ベルパーソン業務の流れ

ベルパーソン業務の基本は、お客様のお出迎えと、お部屋へのご案内です。

お客様をお出迎えする際は手荷物を丁重にお預かりし、ご案内する中でホテルの設備について説明します。
例えばレストランや大浴場、非常口の場所などをお伝えすることが一般的です。
室内では空調設備や備え付けの電話の扱い方、ルームサービスの概要などを必要に応じて説明します。

またベルパーソンはロビーにいるお客様一人ひとりに目を配り、困っている方をサポートする役割も担います。
ときにはドアパーソンなど、ほかの業務のサポートに入ることもあるでしょう。

ホテルマンの年収

厚生労働省の「民間給与実態統計調査結果(令和3年)」によるとホテルマンの平均年収は約260万円です。

またホテルマンを含む宿泊業や飲食サービス業の給与分布は200~300万が18.2%、300~400万が13.8%、500~600万が9.6%となっています。

ホテルがお客さんへ提供しているサービスの水準、およびホテルが求めている能力やスキルにより年収が異なります。
実際に大手ホテルや外資系ホテルで役職に就いた場合、大きな収入が得られることも珍しくありません。
特にマネジャーや支配人クラスになると、1,000万以上の収入を得られる場合があります。

ホテルマンに必要な資質と能力

海外からのお客様に接客するホテルスタッフ

お客様に心地よい環境と質の高いサービスを提供するホテルマンには、どのようなチカラが求められるのでしょうか?
この項目では、ホテルマンに必要な資質と能力についてご紹介します。

おもてなしの心

快適に過ごせる部屋やお風呂、豪華な食事などを提供するだけでは、ホテルという場所は成り立ちません。
お客様が特別な時間を過ごすためにはホテルマンのホスピタリティ精神が必要不可欠です。

ホスピタリティとは「お客様に喜んでほしい」「より特別な時間を過ごしてほしい」という思いやりの心です。
ホテルマンは常日頃から、お客様のニーズとともに「今どのようなおもてなしができるか」などについて考える必要があります。

英語などの語学力

観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、ホテルや旅館における外国人宿泊者数は943万人です(令和5年6月のみの数値)。
そのため外国のお客様に対応できる、高い語学力が求められるでしょう。

また言語に限らず、国の文化や習慣などについてもよく理解しておくことが大切です。
文化や習慣を理解した上で接客することは、ホテルマンとしての大きな強みになります。

コミュニケーション力

コミュニケーション力は「聴くチカラ」と「話すチカラ」に大きく分けられます。

ともに大切なのは言うまでもありませんが、ホテルマンの業務において聴くチカラは非常に重要です。
聴くチカラを備えておくことはお客様の潜在的ニーズ(お客様が心の中で最も求めているもの)を引き出し、充実したサービスの提供につながります。

またお客様が満足できるサービスを提供するためにも、ホテルマン間で状況を報告し合うことは欠かせません。
ほかの業務にあたるスタッフの状況まで把握することで、さらなるお客様へのニーズに応えられる場合があります。

ホテルマンになるための方法とは?

ホテルマンになるためには、どのような進路を選べばよいのでしょうか?
ホテル業界の現状とあわせて、ホテルマンを目指すための進学先についてご紹介します。

ホテルマンの世界の現状

入国制限の影響から、一時期は稼働率や売り上げが大きく減少したホテルもありました。
しかし、さまざまな制限が取り払われた今、ホテル業界では国内からも海外からもお客さんが来るようになり活気を取り戻しつつあります。

実際に「国土交通省」の調査によると、入国制限があった令和2年6月におけるホテル宿泊者数は1,578万人。
その後、令和5年6月の宿泊者数は約4,626万人(うち外国人宿泊者数943万人) にものぼるとのこと。

上述したことから、今後もますますホテルマンの需要が高まるほか、よりグローバルに対応できる語学力が必要になるでしょう。

ホテルマンを目指せる大学・学部

ホテルマンを目指すなら、大学の観光学部やグローバル観光学科などへの進学がオススメです。

<ホテルマンになるための勉強ができる学部・学科 >
・札幌国際大学(観光学部・観光ビジネス学科)/北海道
・共栄大学(国際経営学部・国際経営学科・観光ビジネスコース)/埼玉
・桜美林大学(ビジネスマネジメント学群・ビジネスマネジメント学類)/東京・神奈川
・名古屋文化短期大学(生活文化学科第1部・ビジネス専攻・観光コミュニケーションコース)/愛知
・京都外国語大学(国際貢献学部・グローバル観光学科)/京都
・大阪観光大学(観光学部・観光学科)/大阪
・長崎国際大学(人間社会学部・国際観光学科)/長崎

ホテルマンの必要資格や受験すべき試験

基本的にホテルマンになるための資格は必須ではありません。
しかし語学力や高い接客スキルが必要であることから、取っておくと優遇される資格はあります。

観光英語検定

「観光英語検定」は、観光業に必要な英語力が身に付く資格です。
34年の歴史を持つ検定試験で、現在では企業が社員に観光英語検定資格の取得を促すため受験料を負担するほか、取得によって優遇を与えるケースも珍しくありません。
従来の英語検定資格にはない文化や地理、歴史など、実際に必要な観光業に関する教養が幅広く身に付けられます。

接客サービスマナー検定

「接客サービスマナー検定」は、サービス業全般の就職や転職に強い検定試験です。
質の高い接客が求められる大手企業の多くが受験することから、信頼される資格試験のひとつといえます。
接客サービスの基本はもちろんのこと、ビジネスマナーやクレーム対応など「ワンランク上のホテルマン」に必要な知識と技能の習得が可能です。

ホテルビジネス実務検定

「ホテルビジネス実務検定(以下H検)」は、1999年に開始されて以来7万人近くが受験している検定試験です。
ホテルマンが提供する宿泊や飲食、宴会といったサービスの知識とあわせて、マネジメントに必要な問題管理能力や総務人事、経理会計といった総合的な実務知識をアピールできます。

ホテルマンを目指す人にオススメの就職先

沖縄のリゾートホテル

ホテルマンを目指す人の就職先は「シティホテル」「ビジネスホテル」「リゾートホテル」の3つに分けられます。
この項目では、それぞれの特徴や違いを比較してみましょう。

シティホテル

シティホテルは主に都市部に設けられた宿泊施設です。
ビジネスホテルとの違いについて、疑問を持つ方も多いですよね。
シティホテルには宴会場や結婚式場、ときには高級レストランやラウンジが備え付けられるなど、宿泊以外の用途があります。
また、上述したサービスは宿泊をしなくても利用できることから、比較的お客様に対応する機会が多い形態です。

ビジネスホテル

ビジネスホテルは宿泊だけを求める方が利用するホテルです。
そのためシティホテルやリゾートホテルのように幅広いサービスを提供しない分、ホテルスタッフが行うサービスは少ない傾向です。
上述したことから比較的少人数体制で運営されます。

リゾートホテル

旅行を目的としたお客様を迎えるリゾートホテルは、主に観光地やテーマパークの近くにあります。
またなかにはレストランやバーカウンター、大浴場のほか、カラオケやビリヤードなどの娯楽施設が備わっている場合も。
エステやマッサージなどが受けられることも多く、ホテルを出なくても楽しめるサービスが充実していることが特徴です。

ホテルマンになった後のキャリアプラン

ホテルマンになった後は、ゼネラリストやスペシャリストとしてマネジャーや支配人、コンシェルジュといった役職を目指せます。

ゼネラリスト

「ゼネラリスト」は幅広いスキルや知識を偏りなく備えた人を指します。
ゼネラリストを目指すにはさまざまな分野で経験を積みながら、マネジメントの知識や能力などを総合的に身に付ける必要があるでしょう。
スキルや知識を偏りなく備えることで、マネジャーや支配人といった役職を目指せます。

スペシャリスト

「スペシャリスト」はゼネラリストの対義語で、特定分野に関する深い知識と技術を極めた人のことです。
ホテル業界でいえばシェフやソムリエ、コンシェルジュなどがスペシャリストにあたります。
スペシャリストになることで評判や人気を得られれば、昇給や昇進を狙うことやヘッドハンティングなども期待できるでしょう。

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