逆引き大学辞典逆引き大学辞典

日本語教師になるには?なるための大学と学部学科、求められる資質・能力などを紹介

2023.10.03

カテゴリー:
日本語学校で授業をする男性の日本語教師

海外から日本に来た人など、日本語が母国語でない人に日本語を教えるのが日本語教師です。
普段から日本語を話していれば誰でも日本語教師になれるかというと、もちろんそうではありません。
日本語教師になるには必要な試験があり、合格した人だけがなることができます。

この記事では、日本語教師の仕事内容や求められる資質や能力のほか、日本語教師を目指すための進路について解説します。

日本語教師とは?

日本語教師とは、母国語が日本語ではない人に対して日本語を教える仕事です。
みなさんが通っている学校でいうと、国語の教師ではなく、英語の教師の方が近い存在に当たるかもしれませんね。

日本語を教えるわけですから、当然正しい日本語を理解して使えることが必要です。
また、日本語の文法や正確な発音なども教えるため、日本語教師になるにはしっかりとした勉強も必要になりますよ。

日本語教師と国語教師の違い

国語教師は日本語を扱える人に対して「国語」を教えることが仕事です。
「国語」は、母国語が日本語の人に日本語を教えることで、文章の読解や、日本語の歴史、古文、漢文などの勉強も含まれます。

対して日本語教師は、日本語が扱えない人に対して正しく扱えるようにするのが目的です。母国語について、正確な理解や正しい使い方を教える国語教師と、母国語ではない言葉を普段の生活でも困ることなく使えるようにする日本語教師では、教え方も考え方もまったく異なります。

日本語教師の仕事内容

日本語を教えている男性の日本語教師

日本語教師の仕事内容は、主に以下の4つです。

• 日本語を教える
• 学習計画を立てる
• 授業前後の準備
• 生徒のフォロー

日本語を教える

日本語教師のメインの仕事です。
授業で生徒に日本語の会話や読み書き、文法などを教えて、日本語でのコミュニケーションが問題なくできるようにします。
日常会話を教える場合もありますが、ビジネス会話を教える場合も。日本語教室のコースや、生徒の要望によって会話の内容は違います。
日本語がどのくらいできるかは、生徒によってバラバラなため、生徒の理解に合わせて、日本語を教えていくことが大切です。

学習計画を立てる

日本語がまったくできない人から、仕事で日本語を使っている人、すでに日本に住んで何年も経っている人など、その人に合わせた日本語の学習計画を立てます。

授業前後の準備

授業に必要な資料の準備やテストの作成、採点などを行います。

生徒のフォロー

義務教育の学校とは異なるため、いろいろな生徒がいます。
なかなか理解が進まない生徒、仕事などの事情で授業をあまり受けられていない生徒などもしっかりと日本語を身につけられるようにするためのフォローも大事な仕事です。

日本語教師の仕事のやりがい

秋葉原で日本語での会話を楽しむ生徒たち

日本語教師のやりがいは以下の4つです。

生徒の成長に喜べる

いろいろな国や文化の人が来るため、はじめはスムーズに授業が進まないなどもあるかもしれません。
しかし、日本語を学びに来る生徒の多くは、日本に興味がある人や日本語を覚える必要がある人です。
授業や日本の文化に慣れて、どんどん成長して日本語も上手くなっていく姿を見れば、日本語教師をやっていて良かったと感じられると思います。

国際的な交流ができる

生徒は母国語が日本語以外の人のため、いろいろな国の人が集まってきます。さまざまな背景の個性豊かな生徒たちがひとつのクラスにいるのは、社交性の高い人にとっては魅力的な職場でしょう。
日本にいながらにして、とても国際的な交流ができそうですよね。
日本語の授業を通して、たくさんの国の人と話ができることも日本語教師の魅力のひとつです。

海外でも働ける

日本語教師は日本以外でもできます。
海外で日本語を勉強している人も多く、ベトナムやタイ、台湾などのアジア圏でも需要があります。
海外で日本語を教える場合は、英語など他の言語での生活になるため、相当の語学力が必要です。
日本で海外の人に日本語を教える場合も、英語などは必要になってきますので、海外で日本の文化を広めることもできることを考えると、海外で仕事をしたい人の選択肢のひとつになるのではないでしょうか。

日本の魅力を再認識できる

日本語を教えようと思ったら、まず自分が日本語や日本の文化について理解しておくことが大切です。
今まで当たり前と思っていたことや、あまり興味がなかったことでも、授業のために調べていく中で、知らなかった日本の魅力に気づけるかもしれません。

日本語教師の仕事の流れ

日本語教師が行う仕事は 次のような流れで行っていきます。

朝礼

授業の前に朝礼により、事務的な連絡事項や生徒の情報の共有などを行います。
共有された情報を基に、その日の授業の準備や事務作業を行うこともあります。

授業

その日の時間割に合わせて授業を行います。
授業の1コマの時間や間の休憩時間は、学校によって違います。

デスクワーク

事務作業や生徒の宿題のチェック、テストや授業の資料の作成など、授業以外にも日本語教師の仕事はいろいろあります。
ほかにも、文化祭など催事の準備や、生徒との面談やコミュニケーションを行うことも日本語教師の仕事です。

日本語教師の年収

日本語教師の年収は平均で300~400万円前後といわれています。

常勤講師であればボーナスなどもありますが、年収は地域によって差があるのが現状です。
非常勤講師は、フルタイムでの勤務ではない場合が多く、ほとんどが時給で働いています。
時給も1コマの授業で1,500~2,000円前後といわれています。

非常勤の場合は常勤講師に比べて授業数も少ないため、年収も少なくなる傾向があります。

日本語教師に必要な資質と能力

日本語の授業をしている女性の日本語教師

日本語教師に必要な資質と能力は、日本語教育を実践するチカラと柔軟な対応力が求められます。
さらに、以下のような能力があれば日本語教師として活躍できるでしょう。

・生徒の日本語の習得状況を分析し、適切な指導ができる
・決められた期間内に生徒全員が一定の目標まで到達できるようにプログラムを作ることができる
・作成したプログラムに対して、生徒の学習状況に応じて修正して対応できる
・授業で使用する教材に対しての理解や分析ができる
・日本語に対して常に勉強する姿勢を持っている
・生徒からまた授業を受けたいと思われるような教え方ができる

日本語教師になるための方法とは?

日本語教師になるには、どのような進路を選択すれば良いのでしょうか。日本語教師の世界の現状と併せて、日本語教師を目指すための進学先や就職先についてご紹介します。

日本語教師の世界の現状

日本語教師の需要は国内外問わずに増えています。

海外で日本語を勉強したいという人が増えているだけでなく、日本に留学生や技能実習生、仕事で来る人や日本で就学する外国人児童などにより、日本国内でも増えています。

一方で、日本語教師の人材が不足しているという現状もあり、これから日本語教師を目指す人にとってはいい傾向です。
さらに2023年5月26日、日本語教師の国家資格化に関する法案「日本語教育機関認定法」が成立され、2024年5月には「登録日本語教員」という国家資格になります。

国内外で日本語学習や日本語教師の需要は高まっているための措置ですから、日本語教師になりたい人には朗報と言えるでしょう。

日本語教師になるための勉強ができる大学・学部

日本語教師になるために、現在大学卒業は必須条件ではありません。
ただ、大学で日本語と外国語などについてしっかりと学ぶことは日本語教師として活躍する上でプラスになります。
日本語教師になりたいと考えている人は進路のひとつとして大学進学も視野に入れておくことがおすすめです。

日本語教師に必要な勉強ができる大学には以下のようなところがあります。

・札幌大学:地域共創学群人間社会学域日本語・日本文化専攻・日本語教師養成課程(北海道)
・宮城学院女子大学:学芸学部日本文学科・日本語教員養成課程(宮城)
・文教大学:文学部・日本語教員養成コース(埼玉)
・日本福祉大学:国際福祉開発学部・日本語教師養成プログラム(愛知)
・大阪大谷大学:文学部・日本語日本文学科・日本語教育コース(大阪)
・武庫川女子大学 文学部・日本語日本文学科・日本語教員養成課程(兵庫)
・京都外国語大学:外国語学部・日本語教員養成プログラム
(京都)
・環太平洋大学:国際・教養教育センター 日本語教師養成課程(岡山)
・西南学院大学:外国語学部・外国語学科・日本語教員養成プログラム(福岡)

日本語教師に必要な資格や受験すべき試験

現在、日本語教師になるために必要な資格はありません。
ただし、実質的に試験の内容が学習目標として活用されるほど普及している資格があります。
日本語教育能力検定試験
日本語教育について必要最低限の知識と能力を測定する試験です。日本語教師になりたい人、日本語教育に携わる人が受験しています。
令和元年の合格率は約28.3%で、2,600人以上が合格しています。

また、2024年4月は日本語教師になるための国家資格「登録日本語教員」が作られます。

登録日本語教員
登録日本語教員を取得していなくても、日本語教師として働くことはできるといわれています。ただ、取得しておくことで勤務先の待遇が変わるかもしれません。
大学では「日本語教師養成課程」で登録日本語教員の資格が得られますので、受験前に確認しておきましょう。

日本語教師になるために目指すべき就職先

日本語教師の就職先は、日本国内と海外で違いがあります。
代表的なものとして次のようなところがあります。

国内
日本語学校をはじめ、大学、高校、中学、小学校、インターナショナルスクールなどの学校、海外からの従業員を受け入れている企業や技能研修の場で募集もありますよ。
自治体での日本語教室や家庭教師などでも日本語を教えることができます。

国外
アジアを中心に現地での日本語学校や、海外進出している日本企業で日本語教師を採用しています。青年海外協力隊でも日本語教師は活躍しています。家庭教師などもあります。また、近年ではオンライン授業も普及しています。

日本語教師になった後のキャリアプラン

フリーランスになって日本語を教える女性の日本語教師

日本語教師としてのキャリアアップは、次のような方向があります。

主任講師

専任講師として3年以上の経験を積んだ人がなることができます。
主任講師になると、授業のほかに進路指導や生活指導も業務の対象となり、仕事の幅が広がります。
日本語を勉強して活躍する生徒を増やしていきたい人は、主任講師を目指してみることもおすすめです。

海外勤務

日本語教師は海外でも需要があるため、海外で働くことも実現しやすいのではないでしょうか。
アジア圏でも日本語の勉強をしている人が増えていることから、その土地の生活に慣れれば安定した生活を送ることができます。
給料面では、その国によって異なるため、事前に調べておくことをおすすめします。

フリーランス

企業や学校に所属せず、フリーランスで活動する日本語教師もいます。
個人で家庭教師などを行っている日本語教師です。
フリーランスで日本語教師をしている人の中には、オンラインで授業を行っている人もいます。
自宅など場所を選ばず、自分でスケジュールを組んで日本語を教えていきたい人は、フリーランスも考えてみてはいかがでしょうか。

校長

日本語学校の校長、経営者になることも視野に入れてみては?
自分が理想とする日本語教育をしたり、日本にいるのにまったく日本語ができなくて困ってる生徒に教えたりすることもできますよ。

日本語教師への道を「JOB-BIKI」で検索しよう

日本語教師は需要が伸びている仕事です。
日本語を教えることで、海外の人とも仲良くなれて、日本のこともさらに深く知ることができるのが楽しいと感じる人は、日本語教師を目指してみてはいかがでしょうか。

さらに日本語教師の仕事について知りたい人は、「JOB-BIKI」の「就職先検索」で「外国語会話」の教育をしている会社を検索してみてはいかがでしょうか?日本語教師を目指すための、進路選択に役立つ情報がきっと見つかりますよ!

「JOB-BIKI」の「就職先検索」で「外国語会話」の教育をしている会社を検索する

よく読まれている記事

タグで記事を絞り込む