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ジュエリーデザイナーになるには?仕事内容や必要な資質・能力を紹介

2022.08.30

カテゴリー:
デザインの仕事に携わるジュエリーデザイナー

特別な贈り物の代表格ともいえる宝石や、金・銀・プラチナなどの貴金属によって構成されるジュエリー。あなたの周りの大人が持っているジュエリーをひと目見て虜になり、その美しいデザインを手掛けるジュエリーデザイナーを目指したいと思った人もいるのではないでしょうか?
ジュエリーデザイナーは、この高品質な装飾品の造形美を創り出す仕事です。この記事ではジュエリーデザイナーの仕事内容や求められる資質・能力のほか、目指すための進学先や就職先について解説します。
有名なジュエリーデザイナーの経歴についても紹介しますので、ぜひ進路選択に役立ててくださいね!

ジュエリーデザイナーとは?

美しくデザインされたジュエリー

 
ジュエリーデザイナーとは、貴金属や宝石を加工したジュエリーのデザインを手掛けるのが仕事です。宝飾デザイナーと呼ばれることもありますが、仕事内容はジュエリーデザイナーと同じと考えていいでしょう。

ジュエリーデザイナーは、貴金属や宝石を加工するためのデザイン画(設計図)を描く役割を担います。貴金属や宝石は、素材によって硬さや強度が異なるため、金属や鉱石それぞれの特性を熟知していなければデザインを提案することはできません。美的センスだけでなく、素材に関する知識を併せ持っている必要があります。
ジュエリーデザイナーによっては製図だけでなく、加工を手掛ける人も。加工の技術があれば、ジュエリー完成までさらに自分のこだわりを込められるでしょう。

ジュエリーデザイナーとアクセサリーデザイナーの違い

ジュエリーデザイナーとよく似た職種として、アクセサリーデザイナーが挙げられます。装飾品のデザインを手掛ける点は共通ですが、使用素材に制限がない装飾品を「アクセサリー」と呼ぶのが一般的です。
一方、金や銀・プラチナといった貴金属や、宝石のような希少性の高い天然鉱物を素材として用いたアクセサリーが、「ジュエリー」と呼ばれています。

ジュエリーデザイナーの仕事内容

ジュエリー制作の仕事は、大きく分けて「デザイン」「クラフト」「商品管理」の3つがあります。すべての工程を一人のジュエリーデザイナーが手掛けるケースはあまりありません。それぞれの業務を別々のプロが担うのが一般的です。ここでは、大まかにジュエリーデザイナーの仕事を紹介しましょう。

・ジュエリーデザイン
ジュエリーデザインは、ジュエリーの価値を大きく左右するデザインを手掛ける仕事です。ジュエリーに使用するダイヤモンドやサファイアといった宝石、あるいは貴金属も、素材自体はそれほど輝きを放っていません。どのようにカットや研磨をするかをデザインで指定することによって、素材が持つ輝きを引き出すのです。ジュエリーデザイナーは素材に関する知識を最大限に活用しながら、ジュエリー用CADソフトなどを使って、ジュエリーのデザイン画を描いていきます。

・ジュエリークラフト(ジュエリー製作)
ジュエリークラフトは、デザイン画をもとに宝石や貴金属などの素材を加工し、ジュエリーへと仕上げていく工程です。素材のカットや研磨、ロウ付け、石留めなどには極めて高度な技術を必要とすることから、基本的にはプロのジュエリー加工職人に委ねます。ジュエリーデザイナーはイメージどおりに製作が進んでいるか逐次確認しながら、ジュエリーを完成へと導きます。

・商品管理
ジュエリーデザイナーは、商品管理を行うこともあります。なぜなら、ジュエリーは使用素材の質や加工技術のレベルによって、価値が大きく変動するからです。一点ごとの商品の価値を把握し、販売店へと出荷するにはジュエリーに関する専門知識が必要となるでしょう。
また、オーダーメイド品であれば、顧客のオーダーどおりに仕上がっているかのチェックも重要な仕事のひとつ。高価な商品だけに、最後まで細やかな気配りが求められます。

ジュエリーデザイナーの仕事のやりがい

ジュエリーを購入する人は、何らかの節目の記念品や特別な贈り物など、ジュエリーに強い意味やメッセージを込めています。ジュエリーを受け取った人は、思い出の象徴としていつまでも大切にするでしょうし、それはほかの品では決して代わりがきかないもの。
みずからデザインを手掛けたジュエリーによって、人の暮らしにかけがえのない彩りを添えていくことは、ジュエリーデザイナーにとって大きなやりがいとなるはずです!

ジュエリーデザイナーの仕事の流れ

デザインを考えるジュエリーデザイナー

 
ジュエリーデザイナーは、どのような仕事をしているのでしょうか?手掛けるジュエリーやジュエリーデザイナーの方針によって、仕事の工程が変わる場合ももちろんありますが、ここではジュエリーショップに在籍するデザイナーがお客様からオーダーを受けた際の仕事の流れをご紹介します。

1. お客様へのヒアリング

お客様の要望をヒアリングし、デザインに取り入れていきます。お客様の要望に対して柔軟に対応するのも、ジュエリーデザイナーに求められる能力です。

2. ジュエリーの企画立案

どのようなジュエリーを製作するのか、コンセプトを決めます。ジュエリーに込められたメッセージがデザインの土台となることも少なくないため、企画立案はジュエリーデザイナーにとって重要なプロセスです。コンセプトをもとにラフスケッチを描いて具現化していきましょう。お客様の希望とマッチしたら、製作開始です。

3. デザイン画製図

ジュエリーのデザイン画を製図します。手書きでデザイン画を製図する個人デザイナーもいますが、近年はPCのCADソフトなどで製図する方法が一般的です。完成したデザイン画をクライアントに提示し、合意を得たら実際の製作へと移ります。

4. 製作コスト計算

ジュエリー製作にかかるコストを事前に計算しておくことも、ジュエリーデザインの大切なプロセスです。販売予定価格に対し、デザインとコストを考えながら使用素材を選定するのはジュエリーデザイナーの仕事です。

5. ジュエリー製作

デザイン画にもとづいて素材を取り寄せ、加工していきます。プロのジュエリー加工職人に製作を委託し、ジュエリーデザイナー自身は監督するケースが一般的ですが、自身が加工を手掛けるジュエリーデザイナーも。こうして仕上がったジュエリーは、お客様の手に渡ることになるのです。

ジュエリーデザイナーの年収

ジュエリーデザイナーの働き方には、大きく分けて3つのパターンがあります。ジュエリーデザイナーの働き方のパターンと、それぞれの年収について見ていきましょう。

・ジュエリーメーカーに勤務する
ジュエリーメーカーなどで会社員のジュエリーデザイナーとして働く場合は月給制となるため、年収は他業種の会社員と大きな差はありません。勤務先の企業規模や業績にもよりますが、年収300万〜500万円となることが多いでしょう。

・ジュエリーデザイナーとして独立する
ジュエリーメーカーでデザイナーとして働き、一定の経験・実績を重ねることで、ジュエリーデザイナーとして独立することもできます。会社員時代に自分の名前の仕事が評判を呼べば、そのまま独立して活動できるようになっていくはず。さまざまなクライアントからジュエリーデザインの依頼を受けるようになると、年収1,000万円以上を得ることも可能です。

・副業ジュエリーデザイナーとして活動する
副業ジュエリーデザイナーは、インターネット上のクラウドソーシングを通じて、本業のかたわら、ジュエリーデザイン製作を手掛けるというものです。時給にして2,000〜3,000円程度で仕事を請けている人が多く見られます。仮に、本業が休みの土日にジュエリーデザインをした場合、1日4〜5時間×8日で月あたり6万4,000〜12万円程、つまり76万~144万円程度の副業年収を得られるでしょう。

ジュエリーデザイナーに必要な資質と能力

ジュエリーを制作するジュエリーデザイナー

 
ジュエリーデザイナーには、どのような資質や能力が求められるのでしょうか。高校生の皆さんも参考にしてみてくださいね。

ジュエリーへの愛情と知識

ジュエリーデザインを職業とするなら、ジュエリーへの愛情と深い知識はとても大切です。
貴金属や宝石は古くから身分の高い人の権威の象徴として扱われ、素材ごとに特別な意味を見いだされてきました。ジュエリーを扱うプロフェッショナルであるジュエリーデザイナーには、宝石や貴金属が持つ物質としての特性はもちろん、歴史的背景に対する深い理解も求められます。あなたにジュエリーに対する愛情があれば、きっと興味を持って深く学ぶことができるはず!

美的センス

ジュエリーデザインに優れた美的センスが求められるのは、ここで言うまでもありませんよね。多くの人を魅了するデザインを考えること、世に送り出すまでに細部までこだわり抜く美意識は、欠かせない資質です。
ジュエリーは、身につけた人を引き立てるデザインが好まれます。デザインが斬新すぎたり個性的すぎたりするものでは、独りよがりなアート作品になってしまいます。ジュエリーは強い個性で勝負するアート作品ではなく、身につけるシーンを想定し、人の顔や体に違和感なく溶け込むデザインであることが重要なのです。ジュエリーデザイナーには、そんなバランスのとれた美的センスが求められます。

製図・加工技術

ジュエリーデザイナーにとって、完成品をイメージできるようなデザイン画の製図技術は非常に重要です。手書きでデザイン画を描く際には、絵画の技術も学んでおく必要がありますね。PCを用いる場合には、ジュエリー用CADソフトなどのデザインソフトで製図する能力が求められます。ジュエリーのデザイン画は実際のサイズで描くので、細かい装飾を描いたり、繊細な色付け作業をしたりするのが好きな人に向いているでしょう。

また、ジュエリーデザイナーはデザインのみを担当することが多いですが、デザイナーによっては加工作業まで行うこともあります。細部まで丁寧に仕上げるには、手先が器用であることは当然のこと。細かい作業を少しずつ、根気強く進めることが得意な人が向いています。

コミュニケーション力・提案力

ジュエリーデザインには、多くの人が関わります。仕事を進める上で必要なのは、ジュエリーメーカーの商品企画・マーケティングの担当者やジュエリー加工職人、店頭でジュエリーを扱う販売員などとのコミュニケーション。各人との円滑な仕事を進めていくためにも、一定のコミュニケーション力が求められるのです。

デザイナーのあなたが考えたジュエリーデザインを実現させるため、企画会議で相手を説得する提案力も問われます。デザインコンセプトや商品に込めたストーリーなどをわかってもらう必要があるからです。
デザインのポイントを相手に理解してもらうための提案力は、高校生のうちから磨いておきましょう!

ジュエリーデザイナーになるための方法とは?

ジュエリーデザイナーへの道を考える女性

 
ジュエリーデザイナーになるためには、どのような進路を選択すべきなのでしょうか。ここでは、ジュエリーデザイナーの世界の現状と併せて見ていきます!

ジュエリーデザイナーの世界の現状

皆さんも好きなファストファッションのように、できるだけお金をかけずにおしゃれを楽しむ人が増えています。それは、ジュエリーに関しても例外ではなく、高額商品であるジュエリーが飛ぶように売れる時代ではなくなっているのは確かです。
それでも、ジュエリーデザイナーの仕事の需要そのものがなくなることはないでしょう。ジュエリーを購入する人の数や価格帯は変わることがあっても、「美しくありたい」「美しく見られたい」という人の欲求は変わることなく、ジュエリーを購入する人は今後もいるからです。

企業や個人がインターネット上で不特定多数の人に仕事を発注するクラウドソーシングが普及したことにより、フリーランスや副業のジュエリーデザイナーとして活躍できる道も広がりつつあります。これまでの常識にとらわれることなく、変化に柔軟に対応していくことができる人にとって、ジュエリーデザイナーは将来性のある職業といえそうですね!

ジュエリーデザイナーになるための勉強ができる大学・学部

ジュエリーデザイナーになるための勉強ができる学校としては、芸術大学や芸術学部・美術学部が設置されている大学が挙げられます。下記はその一例です。

<ジュエリーデザイナーになるための勉強ができる学部・学科>
・学芸学部生活デザイン学科
・芸術学部芸術学科デザイン領域
・造形学部工芸工業デザイン学科
・造形学部デザイン・造形学科
・デザイン学部プロダクトデザイン学科

また、ジュエリーデザイナーとして活躍している人は、実際にどのような学校で学んできたのでしょう。有名なジュエリーデザイナーの出身校をピックアップしてみました。

<有名なジュエリーデザイナーの出身校>
・青木敦子(武蔵野美術大学 造形学部芸能デザイン学科)
・石川暢子(東京藝術大学 大学院彫金科)
・小寺智子(京都芸術短期大学 日本画科)
・古澤朋子(上智大学→ベルギー・アントワープ王立美術アカデミー ジュエリー科)
・水野薫子(学習院大学 英米文学部)
・村松司(山梨県立宝石美術専門学校)
※50音順・敬称略

大学でジュエリーデザインを専門に学んできた方々ばかりではないですが、芸術・美術大学で美的センスを磨き、学びを深めてきたことがわかりますね。

ジュエリーデザイナーに必要な資格や受験すべき試験

ジュエリーデザイナーになるために、必ず取らなければならない資格や免許はありません。ただし、ジュエリーデザイナーには美的センスはもちろん、スケッチや製図の技術のほか、宝石・貴金属の素材の特性や歴史的背景に関する知識が求められます。
ジュエリーデザイナーを目指す上では、下記の資格が役立つでしょう。

<ジュエリーデザイナーを目指す上で有効な資格>
・英国宝石学協会(Gem-A)「英国宝石学協会特別会員(FGA)」
・貴金属装身具製作技能士
・シルバージュエリー検定
・ジュエリーコーディネーター
・ジュエリーデザイン画検定
・宝石鑑定士
・米国宝石学協会(GIA)「宝石学修了者(GG)」
・ワックスジュエリー検定

ジュエリーデザイナーになるために目指すべき就職先

ジュエリーデザイナーを目指せる就職先は、ジュエリーメーカーやジュエリーショップなどさまざま。ジュエリーデザインに入社時から携われるケースばかりではありませんが、ジュエリーを扱う中で、ジュエリーデザインを手掛けるチャンスはあるでしょう。ジュエリーデザイナーを目指せる主な就職先は、下記のとおりです。

<ジュエリーデザイナーを目指せる就職先の一例>
・ジュエリーメーカー
・宝石店・ジュエリーショップ
・アクセサリーショップ
・ジュエリーの加工・リメイク専門店

ジュエリーデザイナーになった後のキャリアプラン

ジュエリーデザイナーになった後には、どのようなキャリアプランがあるのでしょうか。代表的な進路としては、下記のようなものがあります。

・ジュエリーメーカーでマネジメント職に就く
ジュエリーメーカーのデザイン部門でマネージャーとなるキャリアです。在籍するジュエリーデザイナーの指導や育成、他部門との調整や予算管理など、デザイン部門のマネジメントを担います。ジュエリーメーカーのデザインの方向性を決めるマネージャーの責任は重大ですが、その分裁量ややりがいは増すでしょうし、それに伴って収入もアップするでしょう。

・ジュエリーデザイナーとして独立する
ジュエリーメーカー所属デザイナーとして経験を積んでから、ジュエリーデザイナーとして独立する道もあります。作品に対するこだわりが強く、そんな作品にファンがついているような場合は、自分のブランドを立ち上げることもあるようです。またフリーランスのデザイナーとして、メーカーや百貨店などのクライアントから仕事を請け負うケースも。

・個人でジュエリーをデザイン・加工して販売する
技術を持っていれば、個人でデザインから加工、販売まで行うこともできます。個人販売の場合、ECモールにネットショップを開く以外にも、コンセプトを立ち上げ、クラウドファンディングで出資者を募る方法なども。

かつては、ジュエリーメーカーに勤務するのが王道パターンだったジュエリーデザイナーですが、キャリアの選択肢は増加中。ジュエリーのデザインに関わりたいという想いさえあれば、現代では夢を叶える手段はいくつもあるのです!

ジュエリーデザイナーへの進路を探究してみよう

ジュエリーデザイナーは、美しいジュエリーを創り出して人を魅了し、その人の人生に彩りを添えるすばらしい仕事です。美的センスやデザイン力、製図技術だけでなく、素材に関する知識や歴史など、幅広い知識も求められる職業ですが、特別な日に素敵なジュエリーを求める人がいる限り、いつまでもニーズがある仕事といえそうです。
ジュエリーデザイナーになる進路について、この記事を参考に探究してみてくださいね!

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