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消防官(消防士)の年収や月収は?就職実績があるおすすめの大学

2024.01.24

カテゴリー:
収入の多い消防官

消防官(消防士)は、私たちが暮らす社会で火災や自然災害などが起こったとき、人の命を助ける重要な役割を担っています。仕事では危険な任務に従事することも少なくありません。また、いつ発生するかわからない危機に備えて、24時間勤務などの不規則な働き方をすることも!特殊な職種であるため、年収や月収について気になっている方も多いでしょう。この記事では、消防官の報酬についてお伝えします。

なお、消防官の正式名称は「消防吏員(しょうぼうりいん)」となります。一般的に使われている「消防士」という呼び方は、消防吏員の階級を指す用語でもあるため、この記事内では呼び方を「消防官」に統一して表記します。


消防官(消防士)の平均年収・月収は?

消防官は地方公務員です。そのため、給料形態は法律によって定められています。ここでは、厚生労働省の職業情報提供サイトで公表されたデータを基に、消防官の平均年収と、月額の求人賃金をご紹介します。

【全国の平均年収】

 消防官の平均年収月額の求人賃金
全国311.7万円20万円

消防官の平均年収は311.7万円、月額の求人賃金は20万円です。消防官には階級制度があり、勤務年数や能力に応じて報酬が上がる仕組みになっています。また、危険性の高い業務や難易度の高い業務を担う場合は、月給に加えて手当が加算されることも。そのため、階級や手当の内容によっては平均年収よりもさらに高い報酬が期待できるでしょう。その一方で、消防官としてまだ仕事の経験が浅いうちは、平均年収よりも報酬が低くなると考えられます。月額の求人賃金は、平均年収に対して低い金額となっています。消防官の階級や手当について、詳しくは後の見出しでも解説するため、ぜひ併せてお読みくださいね。

消防官の平均年収は、地域によって差があります。以下は、厚生労働省の職業情報提供サイトに基づく、消防官の地域別の平均年収データです。

【地域別の平均年収】

都道府県消防官の平均年収
北海道319.9万円
青森県244.3万円
岩手県327.9万円
宮城県321万円
秋田県264.8万円
山形県286.4万円
福島県333万円
茨城県309.6万円
栃木県266.3万円
群馬県240.1万円
埼玉県329.6万円
千葉県420.5万円
東京都435.6万円
神奈川県298万円
新潟県256.7万円
富山県307.7万円
石川県262.6万円
福井県255.6万円
山梨県392.4万円
長野県374.2万円
岐阜県291.6万円
静岡県333.8万円
愛知県503万円
三重県328万円
滋賀県395.5万円
京都府258.4万円
大阪府271.2万円
兵庫県271.7万円
奈良県444.9万円
和歌山県229.2万円
鳥取県259.9万円
島根県296.9万円
岡山県262.9万円
広島県308.6万円
山口県230.9万円
徳島県224.1万円
香川県266万円
愛媛県238.9万円
高知県337.4万円
福岡県383.8万円
佐賀県285.3万円
長崎県247.9万円
熊本県236.3万円
大分県286.8万円
宮崎県252.6万円
鹿児島県231.6万円
沖縄県267.7万円

【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)

URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/155

全国のなかでも特に消防官の年収が高い傾向にあるのは、愛知県(503万円)、奈良県(444.9万円)、東京都(435.6万円)、千葉県(420.5万円)をはじめとした都市部の地域です。地方公務員である消防官は、物価の高い都市部の地域で勤務する場合に「地域手当」が支給されます。そのため、地域によって年収に数十万円~百万円近い差が出ることも。公務員の地域手当には、勤務する地域ごとの給与水準の差を抑える意味合いがあります。高校生の皆さんは、将来消防官として働きたい地域の平均年収をチェックしてみましょう。


消防官(消防士)の年代別の平均年収

続いて、消防官の年代別の平均年収を見ていきましょう。以下の表は、厚生労働省の職業情報提供サイトで公表される、年代別の平均年収のデータをまとめたものです。消防官の平均年収は、年代によっても大きな差があることがわかります。

【年代別の平均年収】

年代消防官の平均年収
19歳以下257.73万円
20歳~24歳283.54万円
25歳~29歳325.94万円
30歳~34歳330.29万円
35歳~39歳324.38万円
40歳~44歳357.21万円
45歳~49歳346.94万円
50歳~54歳400.97万円
55歳~59歳324.98万円
60歳~64歳286.13万円
65歳~69歳253.09万円
70歳以上242.93万円

【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)

URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/155

消防官の平均年収がもっとも高いのは、50歳~54歳(400.97万円)です。大学卒業後の新卒就職者を含む20歳~24歳(283.54万円)の時点と比較すると、年収に約117万円の差があります。消防官がキャリアアップして階級を上げるには、勤務年数を満たし、仕事の経験を積むことが必須です。そのため、年代が高まるほど年収も高くなる傾向にあります。

一方で、55歳~59歳(324.98万円)以降は年収が下がる傾向にあることにも注目しましょう。そもそも消防官が従事する消火活動や救助活動などの業務には体力が必須です。こうした背景から、年齢を重ねた消防官は体力面の問題から担当できる業務が限られてきます。一定の年齢を超えると、現場での活動を離れて別の業務を担うケースも珍しくありません。たとえば、長年にわたり消防官として勤務した知識や経験を生かせる、火災原因の調査・消防訓練の指導・火災予防の啓発といった業務が挙げられます。

【参考】東京都「令和4年度等級及び職制上の段階ごとの職員数 公安職給料表」
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/03jinji/toukyu.html


消防官(消防士)の給与に男女差はある?

冒頭でもお伝えした通り、消防官は地方公務員であることから、給料形態は法律によって定められています。基本的に給与に男女差はありません。消防官の仕事では、消防ホースや空気ボンベなどの重たい設備を扱ったり、高い場所まではしごで上り下りしたりすることから、体力が不可欠です。そのため、採用試験では体力面でも高い基準をクリアする必要がありますが、これまでは女性にとってハードルが高い傾向にありました。しかし、近年では体力の男女差を踏まえて採用の際に適切な判断ができるよう基準の見直しが行われるなど、女性消防官の活躍へ向けて環境改善が始まっています。


消防官(消防士)の就職実績がある大学

名城大学

ここでは、消防官の就職実績が多く、在学中から仕事に役立つ学びができる大学をご紹介します。大学名をクリックすると、逆引き大学辞典のページが開きます。

国士舘大学

国士舘大学は、東京都世田谷区に本部を置く私立大学です。消防官・警察官の採用者数が多い大学として知られており、朝日新聞出版の「大学ランキング」では10年連続で消防官の就職者数が全国1位となりました。体育学部には、救急救命士の国家試験受験資格を取得できるスポーツ医科学科があり、医学・救急処置・人命救助の専門知識と技術を学べます。

日本大学

日本大学は、東京都千代田区に本部を置く私立大学です。16つの多彩な学部が設置され、幅広い選択肢から自分の学びたい分野を見つけられます。なかでも消防官を目指す上で役立つ危機管理学を体系的に学べるのが、「危機管理学部」です。消防官の仕事と関連性の高い、自然災害や事故をはじめとしたあらゆる危機を防ぎ、問題解決へと導く力を養えます。

帝京大学

帝京大学は、東京都板橋区に本部を置く私立大学です。医療技術学部のスポーツ医療学科には、救急救命士を養成する「救急救命士コース」が設置されています。救急救命士国家試験はもちろん、消防官採用試験の合格まで視野に入れたカリキュラム設計が特徴です。消防官採用試験対策では、緊急性の高い現場で冷静かつ論理的に話すスキルを養成できます。

帝京平成大学

帝京平成大学は、東京都板橋区に本部を置く私立大学です。将来、消防官を目指せるコースが2つあります。一つは池袋キャンパスにある健康メディカル学部医療科学科の「救急救命士コース」、もう一つは千葉キャンパスにある健康医療スポーツ学部医療スポーツ学科「救急救命士コース」です。模擬救急車やシミュレーターを用いて実践的に学びながら、救急救命士国家試験受験資格を得られます。

杏林大学

杏林大学は、東京都三鷹市に本部を置く私立大学です。保健学部には、救急救命士課程がある「救急救命学科」が設置されています。学内の医学部と連携しながら、就職後に即戦力となる救急医学教育を受けられるのが大きな特徴です。在学中は医学部付属の病院や高度救命救急センターを利用して、最新の設備が整った充実した環境で実践的に知識と技術を学べます。

名城大学

名城大学は、愛知県名古屋市に本部を置く私立大学です。消防官をはじめとした公務員試験の支援に力を入れており、愛知県で消防官の就職者数が多いことで知られています。支援は1年次から利用でき、3年次には消防官・警察官に特化した指導を受けることが可能です。また、法学部では「警察・消防法学特講」が開催されるなど、治安維持に関わる職種に必要な素養を身につけられます。


消防官(消防士)のキャリアアップや年収を上げる方法

人名を救助するレスキュー隊員

最後に、消防官のキャリアアップについて解説します。将来、年収を上げる方法をチェックしてみましょう。

キャリアアップの方法

消防官は10段階の階級でキャリアアップします。階級の流れは以下の通りです。階級を上げるには、一定の期間にわたり勤務して仕事の経験を積むことや、昇級試験に合格することなどが条件となります。最初の階級である消防士は、現場で消火活動や救助活動を担います。上位の階級になるにつれて、複数の消防官が所属する部隊を指揮する、リーダーの役割を担うようになりますよ。リーダーには、現場の状況に応じて速やかに判断を下し、消防官に指示を出す非常に重い責任があります。

【消防官の階級】

消防士

消防副士長

消防士長  

消防司令補

消防司令

消防司令長

消防監

消防正監

消防司監

消防総監

また、消防官のなかで特殊な仕事を担うスペシャリストとなる道もあります。たとえば、消防車や救急車といった特殊な車両を運転し、車両に搭載された消防ポンプなどの機器を操作する「機関員」が挙げられます。機関員の資格は、消防官の中から選抜されて、特殊な研修を受けた人に与えられるんです!ほかにも、消防官のなかでも特に優れた体力や能力を持つ人は、選抜によって大自然や災害現場などの過酷な現場で人命救助を担う「レスキュー隊員」となる道もあります。

年収を上げる方法

消防官は特殊な仕事を担うため、月給に加えてさまざまな手当が支給されます。たとえば、火災現場へ出動した場合は「火災出動手当」、救急患者の搬送で出動した場合は「救急出動手当」が支払われます。このほかにも、救急救命士の資格保有者が出動した場合に支払われる「救命士手当」、機関員に支払われる「機関員手当」、24時間勤務した場合に支払われる「夜間勤務手当」なども挙げられます。消防官はこれらのさまざまな手当によって年収を上げることが可能です!

また、消防官の採用区分による年収の違いも押さえておきましょう。消防官の勤務条件には区分が設けられており、区分によって待遇が異なります。たとえば令和5年度の東京消防庁のケースを見てみると、大学卒業程度に該当する「Ⅰ類採用者」の採用時の給与は約259,300円です。それに対して、高校卒業程度に該当する「III類採用者」の採用時の給与は約221,800円となっています。つまり、大学に進学すると、同じ消防官を目指す場合も年収の面で有利になるのです。


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ここまで、消防官の年収や月収についてお伝えしました。消防官は地方公務員ですが、火災や災害の現場に駆けつけて消火や人命救助にあたる、危険性の高い業務を担います。特殊な業務では手当が支給されるなど、報酬が高くなる仕組みがあります。また、階級が上がり部隊のリーダーとして責任の重い役割を担うことでも、報酬が高まりますよ。さらには、大学卒業後に消防官として採用されると、採用時から高い給与が期待できます!

消防官を目指して進路を考え始めたら、ぜひ逆引き大学辞典の「JOB-BIKI」を活用してください。「JOB-BIKI」の就職先検索画面に「消防」と入力すると、全国各地で消防官として活躍する先輩たちの出身校が調べられます!検索結果画面に表示される「〇〇県 消防」の候補の中から、皆さんがお住まいの地域のデータを探して、出身大学データ数をクリックしましょう。すると、消防官の先輩たちがどんな大学を卒業しているのかチェックできるので、進路選びの参考にしてみてくださいね。

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