児童厚生員とは?仕事内容や役立つ資格、目指せる大学の学部を紹介
2024.09.09
児童厚生員とは、児童館や放課後児童クラブで活躍する、子どもたちの遊びと成長を支える専門家です。あなたも子どもの頃、児童館で楽しい時間を過ごした経験があるかもしれませんね。遊びを通じて子どもたちの心身の発達を促し、安全な居場所づくりをする重要な仕事です。
本記事では、児童厚生員の仕事内容や1日の流れ、児童指導員との違い、なるための方法などについて解説しています。
児童厚生員は子どもの健全な育成を支援する重要な役割を担っていますが、これは業種でいうと「介護・福祉」の分野になります。将来、児童厚生員をはじめとした福祉の分野で活躍したい人は、「JOB-BIKI(ジョブビキ)」で進路検索してみてください!検索画面の業種選択で「病院・福祉・介護」から「介護・福祉」を選択すると、介護・福祉業界で働く先輩たちの進路がわかりますよ!
目次
児童厚生員とは?
児童厚生員とは、別名「児童の遊びを指導する者」と言われており、子どもたちの健全な育成を支援する専門職です。主に児童館や放課後児童クラブなどの児童福祉施設で働き、子どもたちの遊びや活動を通じて、心身の成長を促進する役割を担っています。子どもたちの安全を守りながら、創造性や社会性を育む環境づくりに努めるのが主な仕事です。
児童厚生員の仕事内容
児童厚生員の主な仕事は、遊びや文化活動の企画・実施、安全管理、生活指導です。
子どもたちに図画工作やさまざまな道具を使った遊びを教えたり、演劇や音楽会などのイベントを開催したりもします。
夏休みには地域の子どもたちを連れてキャンプに行くこともあり、自然体験を通じて社会性や自立心を養います。
児童厚生員が活躍している職場
児童厚生員の主な職場は以下のとおりです。
施設 | 施設概要 |
児童館・児童センター | 乳幼児から中高生まで幅広い年齢層の子どもたちが利用できる総合的な施設 |
放課後児童クラブ(学童保育) | 小学生を対象に、保護者が就労等で昼間家庭にいない間、放課後に適切な遊び及び生活の場を提供する施設 |
子育て支援センター | 乳幼児と保護者のための支援施設 |
児童遊園 | 屋外で遊びを提供する公共施設 |
これらの施設で、児童厚生員は子どもたちの安全を守りながら、遊びや活動を通じて心身の健全な発達を支援しています。
児童厚生員の1日の流れ
ここでは、児童館で働く児童厚生員の1日の流れを見てみましょう。
8:45 – 9:00 | 施設オープン準備(安全確認、環境整備、遊具セッティング) |
9:00 – 10:30 | 業務開始、情報共有(連絡事項確認、日報チェック) |
10:30 – 12:00 | 未就学児と保護者向けプログラム実施 |
12:00 – 13:00 | 休憩時間 |
13:00 – 13:30 | 児童クラブの受入準備 |
13:30 – 14:00 | スタッフミーティング |
14:00 – 15:00 | 午後の活動準備 |
15:00 – 15:30 | 放課後児童クラブ開始、連絡帳チェック |
15:30 – 16:15 | 小学生向けアクティビティ実施 |
16:15 – 17:15 | 児童の帰宅準備、保護者への引き渡し |
17:15 | 退勤 |
参考:児童館職員募集案内|公益財団法人 仙台ひと・まち交流財団 子ども育成課
未就学児と保護者向けプログラムでは、手遊び歌やリズム体操などのふれあい遊びや読み聞かせ、七夕会などの季節のイベントなどを開催します。
小学生向けアクティビティでは、スポーツ活動や工作・折り紙などの創作活動のほか、オセロ大会やコマ回しなどの文化活動などを行います。
児童厚生員と児童指導員、放課後児童支援員との違い
児童厚生員と児童指導員、放課後児童支援員は、どれも子どもの福祉に関わる専門職ですが、その活動場所や必要な資格には違いがあります。
児童厚生員 | 児童指導員 | 放課後児童支援員 | |
活動場所 | ・児童館 ・子育て支援センター ・放課後児童クラブ ・児童遊園 など | ・児童養護施設 ・乳児院 ・知的障害児施設 ・盲ろうあ児施設 など | ・放課後児童クラブ ・放課後子ども教室 ・民間学童保育 |
対象となる子ども | 主に0歳から18歳未満の子ども | 家庭環境等の理由により施設で生活する子どもや障害のある子ども | 主に小学生(保護者が就労等で昼間家庭にいない児童) |
必要な資格 | 児童厚生指導員、保育士資格、社会福祉士資格 など | 児童指導員任用資格 | 保育士資格、社会福祉士資格、教員免許など |
児童指導員の仕事の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
児童指導員になるには?主な仕事内容やキャリアプラン (gyakubiki.net)
児童厚生員の勤務形態
児童厚生員の勤務形態には、以下のようなものがあります。
【常勤講師】
児童厚生員は60歳定年制の職種で、長期的なキャリア形成が可能です。主任や館長への登用制度があり、自身のビジョンを描きながら成長できます。事業企画や地域連携など、児童館の中核を担う重要な役割を果たします。
【非常勤講師】
非常勤から経験を積んで常勤を目指す例もあります。一般的には、週30時間・週休2日の変則シフト制などが採用されており、個人の生活スタイルに合わせやすく、多様な背景を持つ職員の働き方に適しています。
【アルバイト】
常勤・非常勤職員の育休時に代替として募集されます。経験を積み、非常勤を経て常勤を目指す人もいます。小学校の長期休業中限定のアルバイトもあります。
児童厚生員の年収
indeedによると、児童厚生員の平均年収は約318万円、月収はおよそ22万円です。(2024年7月現在)
市町村の嘱託職員で6時間勤務なら年収200万円程度の場合もあります。
日本の平均年収461万円と比較すると児童厚生員の年収は低いですが、やりがいや社会貢献など、個人の価値観に応じた働き方が可能な職種といえるでしょう。
参考:平均給与|国税庁
児童厚生員になるには?
児童厚生員になる方法は、勤務先によって異なります。
勤務先 | 児童厚生員になる方法 |
公立施設 | 地方公務員試験に合格し、自治体職員として採用される必要がある |
私立施設や民間企業 | 各組織の採用試験に合格する必要がある |
どの勤務先で働くとしても、取得していると有利になる資格があるので、次の章で紹介します。
児童厚生員になるのに役立つ資格や条件
児童厚生員になるためには、法律上必須の資格はありません。しかし、実際の採用では、多くの場合、募集要項に資格要件が設けられています。一般的に求められる資格や条件としては、以下のようなものがあります。
- 保育士資格
- 教員免許(幼稚園、小学校など)
- 社会福祉士資格
- 児童福祉事業での実務経験
- 関連分野の大学卒業(心理学、教育学など)
- 認定児童厚生員資格
これらの要件は組織によって異なり、必須ではなく「望ましい」とされることもあります。
「認定児童厚生員資格」とは、児童厚生員としての専門性を証明する資格です。一般財団法人児童健全育成推進財団が認定しており、指定する教育機関で、定められたカリキュラムを修了することで取得できます。
全国の児童厚生員養成校は、以下から確認できます。
養成校一覧 | 児童健全育成推進財団
児童厚生員を目指せる大学の学部
児童厚生員を目指す上で、大学進学には以下2つの大きな利点があります。
ひとつは、保育士や教員免許など、応募時に有利となる資格を取得できる点です。もうひとつは、厚生労働省の児童館関係法令等(抜粋)では、児童厚生員として認められる条件の一つとして、「社会福祉学、心理学、教育学、社会学、芸術学、体育学を専攻する学科または同等の課程を修了すること」と示されているからです。
大学に進学することで、法令で認められる専門知識と採用に有利な資格を同時に得られ、児童厚生員としての基盤を築けます。
【児童厚生員を目指せる大学】
- 立正大学 社会福祉学部(東京都)
- 九州医療科学大学 社会福祉学部(宮崎県)
- 関西学院大学 教育学部(兵庫県)
- 京都女子大学 発達教育学部(京都府)
- 駿河台大学 心理学部(埼玉県)
児童厚生員に向いている人
児童厚生員に向いている人の特長は、以下の3点です。
- 子どもとの交流を楽しめる明るい性格
- 臨機応変な対応力
- 子どもの成長と福祉に対する強い関心
順番に解説します。
子どもとの交流を楽しめる明るい性格
児童厚生員に向いているのは、子どもたちとの関わりを心から楽しめる明るい性格の人です。「今日は何して遊ぼう?」とワクワクしながら、子どもたちの笑顔を引き出せる明るさと創造力を持つ人が、この仕事で輝けます。子どもの成長に心から喜びを感じられる人にぴったりの職業です。
臨機応変な対応力
児童厚生員には、予期せぬ状況に柔軟に対応する力が不可欠です。計画した活動に興味を示さない子どもたちに新しいアイデアを提案したり、突然のケガや体調不良に冷静に対処したりする能力が求められます。状況を素早く判断し、最適な対応ができる人が向いています。
子どもの成長と福祉に対する強い関心
児童厚生員には、子どもの成長を見守る献身的な姿勢が求められます。「今日はどんな発見があるかな?」と、子どもの小さな変化に気づく目を持つ人が向いています。また、一人ひとりの子どもの背景を理解し、その子に合った支援を考えられる温かい心も必要です。子どもの笑顔を増やしたい、幸せな未来を作りたいという思いを原動力に、日々の仕事に取り組める人が、児童厚生員として輝けるでしょう。
児童厚生員になったあとのキャリアプラン
児童厚生員として経験を積むと、様々なキャリアアップの可能性が広がります。多くの場合、まず主任指導員への昇進があり、児童館の運営により深く関わるようになります。さらにキャリアを重ねると、児童館長として施設全体の管理や方針決定を担う立場に就くこともあります。
自治体や大規模な組織では、係長や課長といった管理職へのステップアップも可能です。これらの役職では、複数の児童福祉施設の統括や、地域全体の子育て支援策の企画立案などを担当します。経験と実績を積み重ねることで、子どもの福祉に関するより広い視野と影響力を持つ立場へと成長できます。
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児童厚生員を目指す方には、大学進学がおすすめです。大学では、児童の発達や福祉に関する専門知識を深められるだけでなく、教員免許や社会福祉士などの資格取得も可能です。これらの資格は、多くの児童館や放課後児童クラブで児童厚生員の必要条件や優遇条件として認められています。つまり、大学で得られる知識と資格は、就職時に大きな強みとなり、将来のキャリアの可能性を広げる重要な要素になります。
児童厚生員の仕事は子どもに特化していますが、これは社会福祉の重要な一分野です。将来、児童厚生員をはじめとした福祉の分野で活躍したい人は、「JOB-BIKI(ジョブビキ)」で進路検索してみてください!検索画面の業種選択で「病院・福祉・介護」から「介護・福祉」を選択すると、介護・福祉業界で働く先輩たちの進路がわかりますよ!