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スクールカウンセラーとは?仕事内容や必要な資格について解説

2022.11.14

カテゴリー:
生徒と面談をする女性のスクールカウンセラー

学校に通う子どもたちから、学校に関わる大人たちまで、みんなが健やかでいるためには心のケアがなくてはなりません。スクールカウンセラーは、生徒・教師・保護者などさまざまな立場の人のメンタルケアを行う職業です。そんなスクールカウンセラーになるには、どのようなことを勉強して、何の資格を取ればいいのでしょうか?

今回は、スクールカウンセラーの主な役割や、スクールカウンセラーになるために知っておきたい資格、進路などをお伝えします。高校生の皆さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね!


スクールカウンセラーとは?

生徒の話を笑顔で聴いている女性のスクールカウンセラー

スクールカウンセラーとは、学校に配属され生徒や教師の心のケアを行う仕事です。具体的には、学校に通う児童生徒や教師、保護者などに対して心のケアを行います。「School Counselor」の頭文字をとって「SC」と表記されることもあります。

さまざまな人が集まる学校では、いじめ・不登校・虐待など、心に関わる問題が起こることがあります。こういった悩みを解決するため、幅広い場面でスクールカウンセラーの援助が必要とされているのです。

スクールソーシャルワーカーとの違い

学校には、スクールカウンセラーのほかにもスクールソーシャルワーカーという人もいます。スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーは、両者とも学校で生徒たちをサポートするプロフェッショナルですが、アプローチが異なります。

スクールカウンセラーは心理的な側面に焦点を当て、学業や個人の問題に対して相談やカウンセリングを行います。一方で、スクールソーシャルワーカーは主に社会的な側面に焦点を当て、家庭環境などに対処します。生徒や家族が抱える社会的な課題の支援を行います。

簡潔に言えば、スクールカウンセラーは心の健康に、スクールソーシャルワーカーは社会的なサポートに焦点を当てています。

ソーシャルワーカーの仕事について詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。

ソーシャルワーカー(社会福祉士)になるには?|年収、やりがい、資格や大学や学部など解説 – 逆引き大学辞典 (gyakubiki.net)

スクールカウンセラーの仕事内容5つ

スクールカウンセラーの仕事内容は、以下の5つです。

  • カウンセリング
  • コンサルテーション(面談アドバイス)
  • 学校生活の問題点を取り除くための研修や講習会
  • カンファレンス(話し合い・協議)
  • アセスメント(心理検査)

順番に解説します。

カウンセリング

スクールカウンセラーの主な仕事のひとつはカウンセリングです。学校での人間関係や家庭での問題など、その相談内容はさまざま。一人ひとりの話をしっかりと聞きながら、相談者の抱える悩みやストレスを解消していきます。

カウンセリングのやり方は、学校ごとに異なります。例えば、定期的に面談を行っている学校もあれば、困った人が自主的に相談する仕組みの学校もあります。どちらのケースでも、スクールカウンセラーと学校が協力していくことが大切です。

コンサルテーション(面談アドバイス)

コンサルテーションとは、専門家の立場から、問題を解決するための助言をすることです。ただ相談を聞くだけでなく、さまざまな支援の選択肢を挙げながら、解決へと導くお手伝いをします。具体的なアドバイスをするためにも、心理学の専門知識がなくてはなりません!

学校生活の問題点を取り除くための研修や講習会

学校生活の改善が必要な場合は、生徒・教師・保護者・地域の方々などへ向けて、スクールカウンセラーが研修や講習会をすることがあります。セミナーを開催できる知識や能力を身に付けることはもちろん、誰にでもわかりやすく専門知識を説明できるスキルがあるといいですね!

カンファレンス(話し合い・協議)

カンファレンスとは、関係者による会議や協議会などを意味します。スクールカウンセラーは心のケアの専門家として参加して、子どもたちの学校生活で発生した問題に対して、専門的な立場からの意見を述べます。学校で開催するカンファレンスには、生活指導員や学級担任などのほかに、保健師や医師などが参加することがあります。

アセスメント(心理検査)

アセスメントは、心理検査を用いた査定を意味します。心理検査には「YG性格診断」「エゴグラム」「ロールシャッハテスト」などのさまざまな種類があります。よく使われる検査を活用することで、問題を解決へ導けるようになりたいですね。


スクールカウンセラーになるには

スクールカウンセラーになるために資格の勉強をする女性


スクールカウンセラーの仕事には、心理学の専門的な知識が必要とされます。そこで、就職にあたって必要な資格や、役立つ資格はあるのでしょうか?ここでは、スクールカウンセラーの資格や、スクールカウンセラーになりたい人のための進学先、主な就職先などをご紹介します!

スクールカウンセラーに求められる資格

スクールカウンセラーになるために必須とされる資格はありません。ただし、文部科学省の「スクールカウンセラー活用事業」を実施するためには、スクールカウンセラーとして働く人は「臨床心理士」や「精神科医」などのいずれかの職業であることが必要とされています。そのため、学校によっては臨床心理士などの資格を持つ人を募集していることがあります。以下の3つの資格を持っていると有利なので、スクールカウンセラーを目指すならぜひチェックしてみてくださいね。

【参考】文部科学省 資料6スクールカウンセラーについて
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/066/shiryo/attach/1369883.htm

スクールカウンセラーになるための進学先

・国家資格「公認心理師」を取る
公認心理師は、日本初の心理職の国家資格です。資格を得るためのルートはいくつかありますが、代表的なのは、必要な科目を履修できる大学や大学院に進学すること!学校で必須科目を修めた上で、筆記試験を受けて、合格することで公認心理師を名乗ることができます。

<公認心理師になるための勉強ができる学部>

  • 教育学部
  • 心理学部
  • 社会福祉学部
  • 医学部
  • 生活科学部
  • 人文学部
  • 人間学部 など

公認心理師になるために必須とされている科目は、心理学に関するものが中心です。そのため、基本的には心理学について学べる学部・学科を目指すことになります。

・民間の「臨床心理士」の資格を取る
臨床心理士は、心理専門職であることを証明できる資格です。民間資格ですが、1988年から続く信頼性の高い資格として知られているので、取得しておくとスクールカウンセラーの業務で役に立つでしょう。

受験するには、日本臨床心理士資格認定協会によって指定された大学院や専門職大学院を修了している必要があります。ここへ入学するためにも、まずは心理学を学べる大学を目指して、基礎的な知識を習得しておくことがおすすめです!公認心理師の養成にも対応している大学なら、両方の資格取得を目指すこともできます。

・精神科医になる
精神科医は、心の病気の治療をする医師のことです。医師免許を取るには、大学の医学部に進学して6年間学んだ後、医師国家試験に合格することが必要です。その後、研修医として2年間の臨床研修を行ってから、精神科医の資格を持ったスクールカウンセラーとして働き始めます。

スクールカウンセラーの就職先

スクールカウンセラーの基本的な勤務場所は、小学校・中学校・高校・大学などです。それぞれの自治体で、教育委員会や学校法人などの機関が、スクールカウンセラーの募集を出している場合があります。自分が就職したい都道府県の学校に募集がないか調べて、将来の就職先をイメージしてみては?

スクールカウンセラーの働き方

・非常勤講師として働く
スクールカウンセラーは、非常勤職員として働くケースがよく見られます。非常勤では、毎日のように勤務するのではなく、週に何日か限定して働きます。また、ひとつの学校で働くのではなく、複数の学校を掛け持ちする働き方もあります。

・兼業のスクールカウンセラーとなる
スクールカウンセラーのなかには、心理カウンセラーや精神科医、大学教員など、別の職業と掛け持ちして働いている人もいます。 複数の職業の経験を積みながら、自分に合った働き方ができます。

スクールカウンセラーの年収

カウンセラー※の全国平均年収は584.4万円、月収24.5万円です。 スクールカウンセラーは非常勤講師として働くことが多いので、給料は時給や日給で計算されて、金額は学校によって変わります。また、勤務日数や労働時間も、掛け持ちする仕事の数によって異なります。どのような働き方をすることになるのか気になったら、求人情報をチェックして将来をイメージしてみましょう。

※学校カウンセラー、学校臨床心理士、青少年カウンセラー(教育委員会)

【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/412


スクールカウンセラーの将来性

面談で生徒にアドバイスをしている女性のスクールカウンセラー

学校に通う子どもたちを取りまく問題は、ますます複雑になってきています。いじめや不登校、ストレスによる不安や不眠で、心身の健康が脅かされている子もいるでしょう。そんな中で、誰もが充実した学校生活を送るために、心のケアの専門家であるスクールカウンセラーが活躍しています。これからの社会でも引き続き必要とされる、教育現場に欠かせない仕事だといえるでしょう。

また、近年では発達障害を持つ子どもの問題が注目され、学校においても支援の必要性が考えられるようになってきました。このように、さまざまな悩みや困りごとを抱える子どもたちのために、スクールカウンセラーが大いに力になれるでしょう。


スクールカウンセラーを目指せる大学を「JOB-BIKI」でチェックしよう!

スクールカウンセラーは、学校に通う子たちの精神的なサポートができる職業です。教師や保護者とは異なる立場から、生徒の成長の手助けができるのは、大きな魅力ですよね!

スクールカウンセラーに役立つ資格を取るためには、特定の学部の大学や大学院に進学することがあります。そこで、ぜひ「JOB-BIKI」を活用してカウンセラーの仕事について調べてみましょう。人物検索で「カウンセラー」と検索すると、学校以外で活躍するカウンセラーの情報も含め、進路選びで役立つ情報が見つかりますよ。

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