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気象予報士になるには?求められる資質・能力などを紹介

2022.12.16

カテゴリー:
日本の天気予報 を伝える気象予報士

突然の大雨や気温の変化、台風、大雪など多くの人 の生活に影響する天気を予報する気象予報士は、現代の生活になくてはならない存在です。
テレビなどのメディアに出て人気者になる 気象予報士も増えています。
皆さんにも、 よく見かける 気象予報士が一人はいるのではないでしょうか。

この記事では、気象予報士の仕事内容や求められる資質や能力のほか、気象予報士を目指すための進路について解説します。

気象予報士とは?

気象予報士は、気象庁から提供される雨や風、雲の動きなどの気象データや観測データから天気を予測する職業です。
合格率5% 前後という気象予報士試験に合格が必要な国家資格で、合格後に気象庁長官に登録申請し、登録を受ける ことで気象予報士になれます。
天気予報は毎日の生活だけでなく、交通機関や農林水産業や販売業など幅広く活用されている重要な情報です。
近年の大型台風の接近情報などで、鉄道や飛行機が運行を中止するということも増えていますよね。
このように、気象予報士は皆さんの毎日の生活から防災まで、多方面に 渡って必要とされる存在です。

気象予報士とお天気キャスターの違い

気象予報士と同じように天気予報を伝える職業にお天気キャスターがあります。
テレビなどでよく見かける人が、気象予報士とお天気キャスターのどちらかまで、あまり気にしたことがない人も多いかもしれませんね。

お天気キャスターの仕事は、天気予報を伝えることです。
資格も特に必要なく、テレビでもタレントやアナウンサーがお天気キャスターとして天気を伝えているところをよく見かけると思います。

気象データにもとづいた予報を行うのが気象予報士で、その予報を伝えるのがお天気キャスターという点が大きな違いです。

気象予報士の仕事内容

気象予報士が使用しているノートパソコン

気象予報士の多くは、民間気象会社 や放送局に勤務しています。
そこで、気象衛星から送られてくる画像や気象データ、各地の気象台の観測データなど、気象庁が提供するデータをもとに天気を予報します。

気象庁にも気象予報士がいて、気象予報を行っていますが、民間の気象予報士も同じデータを使って、地域に特化した予報や所属する企業に必要な情報を提供することも大きな役割です。
なお、気象庁で気象予報を行っている職員は気象予報官と呼ばれています 。

また、気象予報をするだけでなく、お天気キャスターとして天気予報を伝える気象予報士も増えていて、気象予報士を身近な存在と感じている人も多いかもしれませんね。

気象予報士の仕事のやりがい

気象予報士の仕事のやりがいとして大きいのは、多くの人の生活に役立つ天気の情報や、台風や大雨、大雪など人々の安全を守る情報の発信をすることです。

気象予報士が発信する天気の情報をもとに、いろいろな職業の人がその日の仕事の進め方を決めています。
例えば、コンビニなどで夏に気温が高い日が続くことがわかれば、冷やし麺や冷たいドリンクを多めに用意し、秋から冬にかけて気温が下が り始めることがわかれば、中華まんやおでんを用意するということができるようになりますよね。
ほかにも、工事現場で1週間後から雨が続くということがわかれば、早めに工事を進めるなどの対策をとることもできるようになります。
また、災害につながるような天気の情報を発信して、危険を未然に防ぐことも可能です。

ほかにも、元々 空や天気を見ることが好きな気象予報士も多く、気象データをもとに予測した天気が当たったときの喜びもやりがいのひとつとなっているようです。

気象予報士の仕事の流れ

気象予報士の仕事は、勤務先によって変わります。
大きくはメディアなど天気予報を発表する放送局と一般の企業の違いです。

放送局に勤務する気象予報士の場合

ニュースなどの天気予報の放送時間までに気象庁が提供している気象データなどを分析して天気予報をまとめていきます。

放送局によっては、早朝から深夜まで天気予報を放送しています。
常に最新の情報をもとに天気予報をしていく スピードと正確性が求められる 仕事です。

企業に勤務する気象予報士の場合

企業に勤務する気象予報士は、主にその企業に必要な天気の情報を発信することも重要な仕事です。
例えば、飲食関係のメーカーの場合は、夏の始まりや暑くなる日に合わせてアイスや冷たいドリンクの出荷量を増やしたり、春の桜の開花や秋の紅葉など行楽シーズンに合わせて、おにぎりやお弁当の種類を増やしたりします。
また、イベント会社の場合も、野外のコンサートやライブの前日までの天気を確認して準備を進めたり、当日の台風の進路などを確認して開催の判断を行ったりします。
このように、気温や天気の変化が売上に影響するため、いろいろな条件に応じて、詳細な天気予報を行っていきます。

気象予報士の年収

気象予報士の年収は平均で500万円前後といわれています。

放送局や民間企業、気象庁など勤務先はさまざまな ため、ばらつきがありますが、派遣社員など非正規雇用で働いている気象予報士も多く、年収は300~500万円が多いようです。

一方でフリーランスの気象予報士になると、メディアへの出演や気象に関するセミナーの開催など仕事が多岐にわたり、年収1,000万円の気象予報士もいます。

気象予報士に必要な資質と能力

天気予報を中継先から伝える気象予報士

気象予報士に必要な資質と能力は、次の3点です。

データの分析力

気象予報士は基本的にデータと向き合って分析をすることが仕事です。
気象データや観測データなど膨大なデータをもとに、気象予報士は天気を予測して発表します 。

データや数字に向き合って分析することが好きだったり、疑問に思ったことをすぐに調べたりする人が向いているかもしれませんね。

継続的な自己研鑽力

気象予報は過去のデータや現在のデータをもとに行いますが、近年の地球環境の変化なども考慮する必要があります。

現在の地球環境の変化 が将来何に影響するのか、現時点で何が起こっているのかなど、過去のデータだけでなく、現在や未来にも目を向けて最新の情報を収集し、学び続けることが必要です。

わかりやすく伝える力

気象予報は専門的な分野ですが、その予報を伝える相手の多くは天気について詳しいわけではありません 。
専門用語を使って話すよりも、今日の天気のポイントや気をつけた方がいいことなどをわかり やすく伝えるために 嚙みくだ く力も必要です。
専門家としての知識と一般的な感覚の両方を持ち合わせていることが大切かもしれませんね。

気象予報士になるための方法とは?

気象予報士になるには、どのような進路を選択すれば良いのでしょうか。気象予報士の世界の現状と併せて、気象予報士を目指すための進学先や就職先についてご紹介します。

気象予報士の世界の現状

合格率5% という難関の国家試験に合格している気象予報士ですが、実は仕事の募集はあまり多くありません。

年々増えていく気象予報士の人数に対して、AIやSNSの発達により天気予報の予測システムや伝達方法が変化し、需要は伸びていない状況です。
現地にいる人のSNSによるリアルタイムの情報など、これまでの天気予報ではなかなか伝えられなかった情報を気象予報士以外の人でも入手できるようになっています。

では気象予報士の仕事がなくなっていくかというとそんなことはありません。

例えば、マーケティングや農業、水産業のような独自の強みを持つことにより、本当に必要とされる予報ができるかもしれません。
このように、気象予報士が独自の力を身につけられれば、仕事も増えていくでしょう。

気象予報士になるための勉強ができる大学・学部

気象予報士になるためには気象学を学べる学部の ある大学を 選 ぶのもキャリアパスのひとつです。
気象学について学べる学部の ある大学には 次のようなところがあります。

北海道大学:理学部地球惑星科学科(北海道)
弘前大学:理工学部地球環境防災学科(青森)
東北大学:理学部地球科学系(宮城)
東京大学:理学部地球惑星物理学科(東京)
日本大学:文理学部地球科学科(東京)
立正大学:地球環境科学部気象・水文コース(東京)
筑波大学:生命環境学群地球学類(千葉)
名古屋大学:理学部地球惑星科学科(愛知)
富山大学:都市デザイン学部地球システム科学科(富山)
近畿大学:理工学部情報学科(大阪)
京都産業大学:理学部宇宙物理・気象学科(京都)
岡山理科大学:生物地球学部生物地球学科(岡山)
広島工業大学:環境学部地球環境学科(広島)
福岡大学:理学部 地球圏科学科(福岡)
琉球大学:理学部物質地球科学科地学系(沖縄)

気象予報士に必要な資格や受験すべき試験

気象予報士は国家試験に合格することが必須の条件です。
この国家試験に受験資格は設けられていないため、年齢・性別・学歴・経験に関係なく誰でも受験可能になっています 。

高校生でも受験することはできますし、なんと最年少は11歳で合格しています。
受験に制限はありませんが、試験に合格するためには、 気象学や物理学など幅広い知識が必要です。

また、大学の一般教養レベルの数学や物理の問題も出題されるため、大学で勉強してから受験することをおすすめします。

気象予報士になるために目指すべき就職先

気象予報士の就職先として代表的なものとして次のようなところがあります。

• 気象庁や防衛省、地方自治体などの公的機関
• 気象庁の許可を受けた民間気象会社
• 放送局などのメディア
• 気象が影響するような事業を展開している一般の企業

どこに就職しても、気象データや観測データをもとに天気を予測することが気象予報士の仕事です。
その予報する範囲や予報 した情報の用途などが異なるため、気象予報士としてどのような面で役に立っていきたいかなどから目指すべき就職先を決めていくといいかもしれませんね。

気象予報士になった後のキャリアプラン

気象予報士として各地を飛び回る女性

気象予報士としてのキャリアアップは、次のような方向 があります。

防災士など別の資格を取得してさらに専門的な分野に進む

気象予報士として活躍している時点でかなり専門的な分野に進んでいますが、気象予報士の中にはさらに資格を取得してほかの気象予報士との差別化を考えている人もいます。

気象予報士と相性のいい資格はいくつかありますが、防災士の資格などは気象予報 が関わる部分が多くあります。
台風や大雨、大雪など災害発生の予測 に関する情報を発信するだけでなく、どうすれば災害を防げるかを考えるようになれば、防災の分野に進 むことで、多くの人に防災について伝えることができるかもしれません 。

お天気キャスターになる

天気予報を自分自身で伝える気象予報士も増えています。
放送局などで天気予報を行い、そのままテレビ番組に出演して天気を伝える気象予報士などです。

お天気キャスターとして天気予報を伝える場合、淡々と伝えるのではなく、視聴者に伝わりやすく工夫している気象予報士も多く、この工夫が独自の色を出すポイントになっています。

天気に関するコンサルティング業務に携わる

農林水産業をはじめ、天気が大きく影響する業界はとても多くあります。
天気の専門家がいないため、農家の人が急な気象の変化に適切な対応ができず、農作物の収穫に影響 が出てしまったり、交通の状況が読めずに 輸送コストが大きく膨らんだりと影響する業界は広がっています 。

そこに気象予報士がコンサルティングに 入ることもあり、今後の天気について情報を共有したり、適切な対応を提案したりして、業務改善を行うことも可能です。

フリーランスとして独立する

気象予報士の中でも フリーランスになる人もいます。
メディアなどに露出の ある人が独立する場合や、ほかにも気象予報士の知識や経験を活かしてセミナーや講演などの仕事を行う場合もあります。

防災や今後の地球環境など天気が影響する問題は多く、情報を得たいと思っている 人も増えてきているため、今後も需要が伸びていく可能性も大いにあるでしょう。
セミナーや講演を行うとなると、気象予報士としての経験をしっかり積む必要があり、気象予報士になった後も勉強を続け、幅広い知識も身につけていく必要があります。

気象だけではなく幅広い知識を得て、自分なりの予報ができるようにしておくと、気象予報士として活躍できるはずです。

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気象予報士はいろいろな業界や業種、たくさんの人の生活に直結する情報を伝える職業です。
合格率5% 前後という狭き門をくぐり抜けて就ける職業でもあります。
天気に関する知識を今 から身につけて、国家試験の受験の準備だけでなく、気象予報士としてすぐに活躍できるように勉強していきましょう 。

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