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宇宙飛行士になるには?なるための方法と年収や必要な能力、日本人宇宙飛行士の出身大学も紹介

2023.01.10

カテゴリー:
宇宙で作業をする宇宙飛行士たち

なるのが難しい職業の一つである宇宙飛行士。宇宙に興味のある人にとっては、特に憧れの仕事といえますね。ただ、具体的にどういった方法で宇宙飛行士を目指せば良いかわからないという人も多いかもしれません。

宇宙飛行士になるためには、専門的な勉強や体力づくりなど、さまざまな努力が必要です。今回は、宇宙飛行士の仕事内容やなるための方法、求められる資質、宇宙飛行士の出身大学などをご紹介します。


宇宙飛行士はどのような仕事をする?

地上で働く宇宙飛行士

宇宙飛行士は、宇宙と地上の両方でさまざまな任務をこなします。まずは、宇宙飛行士の仕事内容ややりがい、想定年収などをご紹介します。

宇宙飛行士の仕事の内容

宇宙飛行士の仕事には、主に「搭乗業務」や「訓練業務」などがあります。搭乗業務では、宇宙空間につくられた国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在します。期間は数カ月から半年ほどです。滞在中は、微小重力や高真空などの宇宙ならではの条件のなかで、医学や生物学、物理学など幅広い分野の実験を行います。ISSにある日本の実験棟「きぼう」を管理したり、修理したりすることも宇宙飛行士の役目です。ときには宇宙服を着て船外活動を実施し、ロボットアームではできない作業を引き受けることもあります。

ただ、宇宙飛行士として働く期間の大半は地上での勤務になります。ISSに滞在するミッションは期間が限られているため、5~10年に1回の搭乗が基本です。地上にいる間は、宇宙に滞在中の宇宙飛行士をサポートしたり、ISSで使う実験装置を開発したりといった仕事を行います。宇宙飛行士の活動や宇宙開発などについて紹介するため、講演を行ったり、メディアに出演したりといった仕事を担当することもあります。

また、宇宙へ行くための訓練も大事な仕事です。宇宙飛行士候補者として採用された後は基礎的な訓練を受け、宇宙飛行士として認められた後は個別の訓練を受けます。日常的に多くの訓練をこなしながら宇宙滞在の準備を進めていきます。

宇宙飛行士の仕事のやりがい

宇宙へ飛び立ち、自分の目で青い地球の姿を見られるのは、宇宙飛行士の特権です。厳しい選抜試験や訓練を乗り越えた末に得られる感動は、宇宙飛行士ならでは。また、宇宙飛行士は最先端の実験や研究に携われることも大きな魅力です。人類の進歩のために貢献できるのも、宇宙飛行士のやりがいといえるでしょう!

宇宙飛行士の想定年収

日本では「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」という国立の機関が宇宙開発を担っています。宇宙飛行士を目指す場合、基本的にはJAXAの宇宙飛行士募集に応募することになるでしょう。合格したら、JAXA職員として採用されて給料をもらえるようになります。30歳なら月額は約32万円、35歳なら約36万円が目安です。

また、採用されてからしばらくは候補生の扱いですが、訓練を終えると正式に宇宙飛行士として認められます。そうなると宇宙飛行士手当が付き、もらえる給与の額が増えていきます。年齢や経験などの条件で異なりますが、想定年収は700万円~900万円程度です。


宇宙飛行士になるまでの道のりと訓練内容

宇宙飛行士を乗せて宇宙へと飛び立つスペースシャトル

こちらでは、宇宙飛行士になるまでの具体的な道のりや主な訓練内容などをお伝えします。どんなことをすれば宇宙飛行士として働けるようになるのか確かめていきましょう。

宇宙飛行士までの道のり

宇宙飛行士になるためには、宇宙飛行士候補者の選抜試験に合格する必要があります。ただ、募集は定期的に実施されるわけではありません。実際、2021年にも募集がありましたが、前回の2008年からおよそ13年ぶりの試験となりました。宇宙飛行士になりたい人は、募集情報をチェックしながらチャンスを待つことが大切です!

選抜試験を受けるためには多くの条件を満たさなければいけません。たとえば、JAXAの2021年度の募集要項では、社会人として3年以上働いた経験があることに加えて、身長が149.5~190.5cmの間であることや、矯正視力が両目とも1.0以上あることなどが条件となっています。

条件を満たしている人が書類選考に通れば選抜試験を受けられます。試験では英語力や一般教養などのほか、科学や数学などのさまざまな知識を問われるため、幅広い分野の勉強が欠かせません。ほかにも、ストレスの多い環境でどれだけ耐えられるか、チームワークに必要な協調性やリーダーシップはあるかなど、宇宙飛行士としての適性もチェックされます。

宇宙飛行士候補者の訓練内容

厳しい選抜試験を突破できた後は、宇宙飛行士候補者として約2年間の基礎訓練を受けます。科学・技術の知識やISSのシステムに関することなど、さまざまな分野について学びます。ほかの国の宇宙飛行士ともコミュニケーションをとれるよう、英語やロシア語を学ぶ機会も多いことが特徴です。不測の事態に対応できるようになるためのサバイバル訓練なども行われます。

候補者としての訓練を終えたら、JAXAの宇宙飛行士として認定されます。その後も訓練は続き、日本や海外の専門機関でISSのシステムや操作に関することなどを学んでいきます。ISSの搭乗が決まったら、ミッションに合わせたさまざまな訓練も必要です。


宇宙飛行士に求められる資質やスキル

体力をつけるために走り込みをする宇宙飛行士

宇宙飛行士として働くためには、どのような資質やスキルが必要なのでしょうか。ここでは、主なものを4つご紹介します。

精神力

宇宙飛行士は、宇宙という特殊な空間の中で働かなければいけません。通常とは異なる状況に大きなストレスがかかるのはもちろん、多くの人々の期待を背負っているというプレッシャーも発生します。さまざまなトラブルが発生しやすいなかで、冷静な判断を下すための精神力が必要です。

体力

宇宙飛行士として働く際は、さまざまな場面で体力や筋力が必要とされます。代表的なのが宇宙服を着るときで、船外で何時間も作業するとかなり消耗してしまうことも。日常的なトレーニングで体を鍛えることが重要です。また、地上よりも重力の低い宇宙では、健康面に悪影響が見られます。ISSの滞在中も健康的に過ごせるよう、毎日運動することも仕事の一部です。

専門的な知識

ISSに滞在している間は、物理学や医学・生物学などの専門知識を生かして実験を行います。2021年のJAXAの募集では学歴不問になっているものの、専門性の高い知識を持っていることが重視されるのは変わりません。宇宙飛行士になるには、専門性を高めるために大学へ進学することが基本といえるでしょう。

高い協調性

宇宙開発の現場では、さまざまな立場や国籍のメンバーと協力しながら働きます。また、ISSに滞在するときは、限られた空間のなかで特定のメンバーと何カ月も一緒に過ごします。宇宙飛行士になるなら、高い協調性は欠かせません。相手を尊重しながらコミュニケーションをとり、任務成功のために動いていける能力が求められます。


宇宙飛行士の出身大学

宇宙飛行士を目指して工学の授業を受ける大学生

JAXAでは、これまでに10名以上の方々が宇宙飛行士として活躍してきました(2022年11月現在)。以下のように、出身大学や大学院はさまざま。「宇宙飛行士になりたいけれど、どんな大学を目指せば良いかわからない」という人は、ぜひ参考にしてみてください。

  • 毛利衛さん:「北海道大学大学院理学研究科化学専攻修士課程」修了(1972年)
  • 向井千秋さん:「慶應義塾大学医学部」卒業(1977年)、同大学で博士号取得(1988年)
  • 若田光一さん:「九州大学大学院工学研究科応用力学専攻修士課程」修了(1989年)、「九州大学大学院工学府航空宇宙工学専攻博士課程」修了(2004年)
  • 野口聡一さん:「東京大学大学院工学系研究科航空学専攻修士課程」修了(1991年)
  • 金井宣茂さん:「防衛医科大学校医学科」卒業(2002年)

【参考】JAXA宇宙飛行士(JAXA)
URL:https://humans-in-space.jaxa.jp/space-job/astronaut/


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