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CEFRとは?大学入試や英語を使う職業に就くための英語資格試験活用法

2022.10.31

カテゴリー:
外国人留学生と会話する女性

CEFR(セファール)とは、日本で注目を集めている言語能力の評価基準です。
大学入試の出願条件に、CEFRのレベルを指定する大学も出てきています。しかし、「CEFRなんて初めて聞いた」「何なのかよくわからない」という人も多いのではないでしょうか?
この記事では、CEFRとは何か、CEFRの6つのレベル、日本でよく利用される英検などの英語資格がCEFRでどのレベルに相当するかなどをご紹介します。CEFRを活用すれば、英語などの言語能力のレベルを伝えやすくなりますので、ぜひ参考にしてください。


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CEFRとは言語能力を判断する国際基準

CEFRはCommon European Framework of Reference for Languagesの略で、「ヨーロッパ言語共通参照枠」という意味です。
一見、テストの名前のように思ってしまいますが、これは言語能力を判断するための国際的な基準のことです。CEFRは世界中で活用されており、英語をはじめ、中国語、日本語を含む全40言語に参照枠を提供しています。

CEFRを活用するメリットは、異なる英語資格の言語能力レベルを比べられること。
例えば、英検とTOEFL iBT。それぞれ評価方法が違うため、英検3級の人とTOEFL iBT 50点の人はどちらの英語能力が高いか、判断できませんでした。しかしCEFRのレベル評価を用いると、英検3級はCEFRでA1レベル(基礎レベル)、TOEFL iBT 50点はCEFRでB1レベル(中級レベル)といったように、異なる試験でも言語能力を比べられるようになるのです。

日本で1年に400万人以上が受験する英検(英語検定)は、日本ではメジャーでも、実は海外ではあまり知られていません。海外の人に「英検3級」だと伝えても、どの程度の言語能力かわかってもらえないはず。しかし「英検3級、CEFRではA1相当」だと説明すると、海外の人にもあなたの言語能力のレベルを伝えられるようになります。

これでもし、大学入試や会社の入社試験の受験基準が「CEFR B1以上」となっていたらどうでしょうか。CEFR B1以上のレベルに達していれば、英検でもTOEICでも保有資格は問われません。CEFRを活用すれば今まで受験した英語試験の結果をそのまま活用できるようになります。

CEFRの6つのレベル

CEFRは、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を、それぞれ6段階で評価します。6段階の評価は、最も基礎的なレベルをA1とし、A2、B1、B2、C1、C2という順に高くなっていくというもの。
ここでは、各レベルがどのような能力と定義されているのか見ていきましょう。

A:基礎段階(A1、A2)

A1とA2は「基礎段階の言語使用者」とされ、日常的な表現や言い回しで相手に伝えられ、答えられるレベルです。英検では、準2級または3級に相当します。
A1はゆっくり聞き、話すことで日常会話が成り立つ英語力です。A2は友人同士の深いコミュニケーションはできませんが、海外旅行で現地の人と日常会話ができるレベルです。

B:自立段階(B1、B2)

B1とB2は「自立した言語使用者」で、英検では2級がB1、準1級がB2に相当します。
B1は英語の基礎力があり、ビジネスなどの場で標準語であれば身近な話題は理解できるレベルです。B2になると、ネイティブとのビジネス会話も流暢かつ自然にできる英語力になります。

C:熟達段階(C1、C2)

C1とC2は「発達した言語使用者」で、英検1級だとC1、C2には英検に該当するものがない上級レベルです。
C1は複雑な話題であってもネイティブの会話が聞き取れ、自然に言いたいことをスラスラ話せます。C2は一番レベルが高く、ネイティブが早いスピードで話しても問題なく理解できる、慣用的な表現を使って細かいニュアンスを伝えられるなど、限りなくネイティブに近い英語力です。

■CEFR言語能力レベル

段階CEFR能力レベル別に「何ができるか」を示した熟達度一覧
熟達した言語使用者C2聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。
いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。
自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる
C1いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。
言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。
社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。
複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる
基礎段階の言語使用者B2自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。
母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。
幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる
B1仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。
その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。
身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる
基礎段階の言語使用者A2ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。
簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる
A1具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。
自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。
もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる

CEFRの特徴

CEFRは、英語だけでなく、全40言語に利用できる言語能力レベルの判断基準。さまざまな言語で活用できることから、ヨーロッパでは国外の企業や学校に入るときに「イタリア語はB1で、ドイツ語はA2」のように、言語能力レベルをCEFRで示します。CEFRの判断枠は同じなので、異なる言語でも言語能力レベルを把握しやすくなるという優れものなのです。

また、CEFRでは「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能それぞれで「何ができるのか」「どの程度できるか」の指標を、レベルごとに設定しています。ここで判断できるのは、単語や慣用句などの知識の量ではなく、会話や読み書きの総合的なレベル。留学や海外で就職するときなどにCEFRを活用すると、自分がどのくらいコミュニケーションがとれるのかも、相手に伝わりやすくなるのだとか!

CEFRを既存の英語資格にあてはめると?

英語の外部資格試験

 
CEFRで換算できる英語資格試験は、下記の8つがあります。

<CEFRで換算できる英語資格試験>
・ケンブリッジ英語検定
・実用英語技能検定(英検)
・GTEC
・IELTS
・TEAP
・TEAP CBT
・TOEFL iBT
・TOEIC L&R /TOEIC S&W

英検やTOEICなどのスコアをCEFRのレベルにあてはめる方法は簡単です。英語資格のレベルに相当するCEFRレベルを、下記の対照表で確認するだけです。
英検やTOEICのスコアが手元にあれば、あなたの現時点でのCEFRでのレベルを確認してみてはいかが?

■各英語資格試験とCEFRとの対照表

出典:文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(2018年3月)

この対照表を確認すると、各英語資格試験の言語能力レベルの評価がしやすくなるでしょう。下記にて、英検、TOEIC、TOEFLをCEFRにあてはめる際の具体例をご紹介します。

実用英語技能検定(英検)

英検については、上記の文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」から、さらに厳密に定義されています。それをまとめたのが下記のグラフです。

英検を受験すると合否判定に加え、CSEスコアが確認できます。受験した級のCSEスコアが下記の表のどのCEFRレベルに相当するかを見ていきます。例えば、3級の合格スコアは1,456なので、3級合格者はA1相当。3級合格者のCSEスコアが1,699以上だったとしても、3級のCSEスコアはA2以上の指標にはなっていないので、CEFRはA2とはならず、A1となるのです。

さらに、基本の給料に加え、さまざまな手当をもらえることもパイロットの特徴です。手当の種類は就職先によって違いますが、たとえば夜のフライトを担当したときの夜間手当や、往復のフライトの際に現地で泊まるときの宿泊手当などがあります。役職についた場合は役職手当が上乗せされることも。

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■英検のCSEスコアとCEFRの対照表

出典:公益財団法人日本英語検定協会「各種目的に応じて求められる英検の品質についての考え方、ならびにその活用に関するガイドライン

TOEIC L&R /TOEIC S&W

TOEIC L&RとTOEIC S&Wの合算スコアでの評価もありますが、それぞれの個別スコアでもCEFRで評価が可能です。
文部科学省の「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」に記載されているのは、合算スコアでの評価。TOEIC L&R+S&Wの合算スコアでは、320~620点がA1、625~1145点がA2といったように、A1~C1程度の英語力を測ることができます。
TOEIC L&RとTOEIC S&Wの個別スコアでは、下記の対照表のとおりそれぞれA1~C1程度の英語力を測定できます。

■TOEICとCEFRの対照表

出典:一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会「TOEIC Program各テストスコアとCEFRとの対照表

TOEFL iBT

TOEFL iBTでは「読書」「リスニング」「スピーキング」「書き込み」それぞれに、CEFRのどのレベルに相当するかが定義されています。TOEFL iBTのスコアは基本的に、B1からC2までのレベルに換算可能です。

■TOEFL iBTスコアとCEFRの対照表

出典:ETS Japan「スコア

受験生が大学入試でCEFRを意識すべき理由

大学入試は、ここ数年で大きく改革されました。それは、日本の人口減少やAI技術の発展など、社会自体が大きく変わっているのに対して、これまでの大学入試や高校教育ではそれらの課題を解決できる人材を育てられていなかったからです。

社会の大きな変化のひとつに挙げられるのが、グローバル化。ただ、世界を舞台に活躍する日本人を育てたいと思っても、これまでの教育や入試では英語の4技能「読む」「聞く」「書く」「話す」のうち「話す」「書く」力を育てたり、十分にチェックしたりすることができませんでした。

その力を正しくチェックするため、国は民間の英語資格試験を大学入学共通テストに導入しようと計画。結局、計画は実現しませんでしたが、英語資格試験に共通する「基準」として、あらためてこのCEFRが注目されるようになったのです。

今では、総合型選抜(旧AO入試)でCEFR A2レベル以上を出願条件にする大学も出てきました。今後はさらにCEFRを活用した入試が増えていくはず!

CEFRレベルを重視される職業

英語を使ってビジネスをする日本人女性

 
職業によっては、英語力が必須です。今後はCEFRで英語力を伝えなければならない場面が増えてくるかもしれません。英語力が求められる職業5つと、そのCEFRレベルの目安をご紹介します。

商社マン(商社パーソン)

商社マン(商社パーソン)は海外を飛び回る仕事です。総合商社ではあらゆる分野の原料や加工品などを取り扱い、国内外の売りたい人と買いたい人を仲介しています。そのため海外で仕事をする場面が多く、ビジネス英語が難なく利用できるレベルの英語力が求められます。
CEFRではB2相当とされ、英検準1級、TOEIC L&R+S&Wで1,560~1,840が必要です。

外資系投資銀行員

外資系投資銀行は、企業の資金調達や企業買収(M&A)の仲介などを行います。国内市場を取り扱うことが多く英語力はそれほど求められない日系投資銀行に対して、外資系の投資銀行では海外のクライアントを担当するだけでなく、海外で資金調達する機会も多いことから、高い英語力は必須です。
社内には帰国子女や留学経験者も多く、限りなくネイティブに近い英語力が求められます。そのため、CEFRではC1またはC2のレベルが必要で、英検では1級以上、TOEIC L&R+S&Wで1,845~1,990以上が必要でしょう。

通訳

通訳は、外国語を話す人と日本語を話す人が相互に会話ができるよう、それぞれの言語をわかりやすく訳して伝える仕事です。国際会議や講演などの仕事が多く、口頭で話した内容を理解し即座に訳す必要があるため、高い言語能力とコミュニケーション力が必要です。
CEFRではC1またはC2(英検1級以上、TOEIC L&R+S&W 1,845~1,990以上)が必須。英語好きな人にはやりがいのある職業ですね!

翻訳家

小説や映画などの英語を、わかりやすい日本語に訳して文章化するのが翻訳家です。ネイティブに近い英語力だけでなく、翻訳元の国の文化や歴史、生活習慣も理解しておきたいところ。そのため、帰国子女や留学経験がある人が活躍しやすい職業といえるでしょう。通訳同様、CEFRではC1またはC2レベルが必要です。

客室乗務員(キャビンアテンダント)

国内線や国外線問わず、客室乗務員(キャビンアテンダント)には英語力が必要です。国外線では乗客はもちろん、いっしょに乗務する外国人スタッフも多くいます。国内線であっても外国人は搭乗するため、英語でのコミュニケーション力は欠かせません。
とはいえ、ネイティブほどの高い英語力は必要ありません。CEFRでいえばB1(英検2級または準1級、TOEIC L&R+S&W 1,150~1,555)の英語スキルを身につけることをオススメします。

CEFRのレベルを意識しながら、入試方法やなりたい職業を調べよう

CEFRは、総合型選抜など大学入試の出願条件に取り入れられつつあり、今後はさらに入試で活用されると予想されています。自分に合う英語資格を選んで受験し、大学入試に活かすのがオススメです。

またCEFRは、実際に英語を使った仕事をするときにも役立つもの。英語を使う仕事に就きたいあなたは、ぜひ「JOB-BIKI」でなりたい職業を検索してみてください。今まで思いつかなかったような大学が見つかるかもしれません。まずはチェックしてみましょう!

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