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大学入学共通テストとは?試験の仕組みや受験時の注意点などを解説

2022.11.01

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大学入学共通テストの看板

大学入学共通テストは、大学入試センター試験を引き継いで、2021年度から実施されている試験です。この記事では、大学入学共通テストの仕組みや内容、メリット・デメリットのほか、ほかの大学入学試験との違いや勉強方法などについてご紹介します。

大学入学共通テストとは、高校基礎レベルの学習達成度を判定する全国試験

大学入学共通テストは、高校レベルの基礎学習の達成度を判定するために、全国いっせいに同一日程、同一問題で実施される試験です。独立行政法人大学入試センターと各大学の共同開催で、1990年度から2020年度まで実施された「大学入試センター試験」を引き継ぎ、内容を見直しました。

国公立大学は一次試験として大学入学共通テストを利用していて、私立大学でも500校以上が「大学入学共通テスト利用方式」を採用中。2022年度の志願者数は約53万人と日本最大規模の試験となっています。これまでテレビのニュースで観ていたこの試験、いよいよ皆さんが受ける番ですね!

大学入学共通テストの仕組み・内容

毎年同じ時期に、同じ形式で開催されている大学入学共通テスト。この大学入学共通テストの日程、出題教科・科目、出題形式、難度についてご紹介しましょう。

日程

大学入学共通テストの出願期間、試験日、大学への成績提供、成績通知の日程は下記のとおりです。

■大学入学共通テストの各種日程

出願期間9月下旬~10月上旬
試験日1月中旬の土日(2日間)
大学への成績提供2月上旬以降
成績通知(希望者)4月以降

大学入学共通テストは、毎年秋頃、9月下旬~10月上旬に出願します。現役生は在学する高校経由で、過年度生は個人での出願が必要です。

試験日は1月中旬の土日で、2月上旬以降に受験した大学に成績が提供されます。この時点では、受験者への成績通知はないのでご注意を!
試験で配られる問題冊子を持ち帰ることができるので、自分の解答をメモしておくと、後日公表される正答で自己採点できる仕組みなのです。
ちなみに、大学入学共通テストの出願時に希望すれば、4月以降に成績通知をもらうことができます(手数料800円がかかります)。

出題教科・科目

出題教科・科目は下記の6教科30科目で、志望する大学が指定する科目を受験します。国公立大学は一般的に5教科7科目の受験が必要ですが、私立大学は大学によって異なります。大学のウェブサイトなどを確認してくださいね。

■大学入学共通テストの出題教科・科目

出題教科科目
国語国語
地理歴史世界史A/世界史B/日本史A/日本史B/地理A/地理B
公民現代社会/倫理/政治・経済/倫理、政治・経済
数学数学I/数学I・数学A/数学II/数学II・数学B/簿記・会計/情報関係基礎
理科物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎/物理/化学/生物/地学
外国語英語/ドイツ語/フランス語/中国語/韓国語

出題形式

出題形式は、いずれもマークシート方式です。記述式の問題はありませんが、大学入学共通テストは「思考力」「判断力」を重視する試験。過去の大学入試センター試験に比べて知識だけで対応できる問題は減っているので、「テストは暗記力勝負でしょ?」と油断している人は注意しましょう!

難度

平均点は6割程度です。複数のグラフや地図などから考察する問題もあり、大学入試センター試験と比べてやや難しくなってしまいました…。とはいえ大学入学共通テストは、高校の基礎学習の習熟度を判定する試験。基本的には基礎をしっかり固めて、模擬試験などで応用問題に慣れておけば大丈夫でしょう。

大学入学共通テスト受験のメリット・デメリット

テストを受ける受験生

 
大学入学共通テストは、複数の大学・学部の受験で利用できるなどのメリットがある反面、勉強する科目が多いといったデメリットも。詳しく確認していきましょう。

大学入学共通テスト受験のメリット

大学入学共通テストのメリットは「複数大学・学部に受験できる」「地元で受験可能」「受験料が安価」の3点です。ひとつずつ解説します。

・大学入学共通テストを利用して複数大学・学部に受験できる
私立大学の大学入学共通テストを利用した入試方式では、個別試験を実施しない場合がほとんど。大学入学共通テストを1度受けるだけで、複数の大学・学部の受験に活用できるのはありがたいですよね。

・地元で受験可能
大学入学共通テストの試験会場は、受験者が在学する高校の所在地または現住所をもとに決まります。つまり、生活圏内で受験できることがメリット。交通費がかからないのが嬉しい!

・受験料が安価
受験料は、3教科以上を受験する場合は1万8,000円、2教科以下であれば1万2,000円です。一般的に私立大学の受験料は3万~3万5,000円なので、大学入学共通テストの受験料は結構安いといえるのでは?

大学入学共通テスト受験のデメリット

大学入学共通テストにはいくつかデメリットもあります。それぞれ下記で解説していきますので、ご確認を!

・国公立大学受験者はほぼ必須で指定科目も多い
国公立大学の一般選抜を受験する場合は、一次試験として大学入学共通テストの受験が必要。大半の国公立大学では5教科7科目を指定しています。勉強する科目が多いので、そのぶんしっかり頑張らないといけませんね。

・私立大学の大学入学共通テスト利用方式では、早めに出願先を決める必要がある
国公立大学は大学入学共通テスト後に出願します。しかし私立大学入試の当テスト利用方式では、このテスト前に出願が必要なケースも。その場合、テスト結果で出願先を検討することができないのです。お金もかかるので、事前に出願するかどうかは判断に悩む人もいるのでは。

・大学入学共通テスト利用方式は倍率が高く競争が激しい
私立大学の大学入学共通テストを利用した入試方式は、実は一般選抜よりも募集人数が少ない傾向アリ。競争が激しく合格の難度は高めなので、注意したいところです。

大学入学共通テストとほかの大学入試との違い

大学入試では、大学入学共通テストのほかにも試験があるのをご存じですか?ここでは国公立大学の2次試験や私立大学の一般選抜、旧大学入試センター試験との違いについて解説します。

国公立大学の2次試験との違い

国公立大学では、大学入学共通テストに加えて、2次試験の合計点で合否が決まります。2次試験は「前期日程」「後期日程」(公立大学の一部は「中期日程」も実施)に分かれ、それぞれ1つの大学・学部を受験できます。
前期日程は、大学入学共通テストと違い記述式の問題がほとんど。教科数は2、3教科が一般的です。

<国公立大学2次試験前期日程の試験科目例>
・文系学部:「外国語」「数学」「国語」「地理歴史・公民」から2、3教科
・理系学部:「外国語」「数学」「理科」から2、3教科

後期日程では、教科数を減らして小論文や面接、総合問題などを設定する大学が多くなっています。

私立大学の一般選抜との違い

私立大学の一般選抜は大学入学共通テストと違って、試験内容が大学ごとに異なるのが特徴。
入試科目は、文系は「英語」「国語」に加え、「数学」または「地理歴史・公民」から1科目選択の合計3教科、理系は「英語」「数学」「理科」の3教科というのが一般的です。
中には、入試科目が1教科や2教科の大学も。試験会場で「この教科の試験はなかった…」とショックを受けないように、募集要項をよく確認してください!

旧大学入試センター試験との違い

旧大学入試センター試験は正解を1つだけ選ぶ方式でした。ところが大学入学共通テストでは、正解が1つとは限りません。
「え?どういうこと?」と思ったあなた、ちょっと落ち着きましょう。実は、「正しいものをすべて選ぶ」といったように、思考力や判断力を問う問題が出るのです。
さらに1つの資料だけではなく、複数のグラフや地図などをもとにした考察が必要な問題も。いずれにしても知識だけで回答するのは難しく、「知識をどう活用するか」が重要な試験なので、対策はしっかり行いたいものですね。

大学入学共通テストの勉強方法

リスニングの対策を行う受験生

 
大学入学共通テストの勉強で何より重要なのは、総復習とリスニング対策、過去問対策!
ほかの試験と同様に、何度も問題を解くことは重要なのですが、特に大学入学共通テストで高得点を取るためには、どのように勉強をしていけばいいのでしょう。詳しく知りたいあなたのために、ここでご紹介します。

高校で学ぶ内容を総復習する

大学入学共通テストでは、思考力・判断力を重視した問題が出ます。つまり、あなたの頭の中に基礎がしっかり定着していなければ対応できないテスト。だからこそ、すべての内容を復習して、基礎を固めることが重要です。
また、大学受験は学力レベルの近い受験者が多いため、大学入学共通テストの1点の差で合否が分かれることも。1点差で悔し涙を流したくはないですよね。そのために、繰り返し問題を解いて、弱点を克服しましょう!

英語のリスニング対策を十分に行う

大学入学共通テストの英語では、大学入試センター試験から配点が変更されています。中でも注目は英語。リーディングは200点から100点に、リスニングは50点から100点になり、リスニングの比重が増えました。「リスニングが苦手…」という人にはショックかもしれません。
さらにリスニングの問題には、2つの変更点があります。1つ目は、大学入試センター試験ではリスニング問題はすべて2回ずつ読まれていたのが、大学入学共通テストでは1回のみの問題もあること。2つ目は、大学入試センター試験に比べて、図や表を使った問題が増えたことです。
大学入学共通テストのリスニングでは、より集中して英語を聞き取る力が求められます。苦手意識が強い人は、何度も練習するようにしてくださいね!

過去問を解く

大学入学共通テストの試験対策では、本番同様の時間帯、制限時間で過去問を解くのがオススメ。各科目の試験開始時間から解き始め、制限時間内に解き終わるようにして、時間配分を後で確認します。
間違えた問題は、「なぜ間違えたのか」「どうしたら解けるのか」をチェックして、繰り返し復習しましょう。間違いを恐れないでください。「失敗は成功の母」です!

大学入学共通テスト出願時の注意点

大学入学共通テストの出願時には、受験科目や出願時期などのほか、どのように大学入学共通テストの結果を合否判定に採用しているかといったことを確認しておく必要があります。間違えてしまうと志望大学の受験に役立たない科目を受けてしまったり、ほかの試験対策が遅れてしまったりすることも。最後に、出願時の注意点をご紹介します。

受験教科・科目が指定されていないか

大学入学共通テストを利用して受験するときには、志望大学が指定した教科・科目を出願時に選ぶ必要があります。
多くの大学では、「理科」や「地理歴史」「公民」などの教科は、複数科目の中から自由に選べます。しかし、特定の科目が受験必須として指定されているケースや、反対に下記科目が受験科目として指定されないなどの落とし穴があることも。事前にチェックしておきましょうね。

■受験科目として指定されない可能性のある教科・科目

教科指定されない可能性のある科目
地理歴史世界史A、日本史A、地理A
公民現代社会、倫理、政治・経済、倫理 政治・経済
数学数学I、数学II、簿記・会計、情報関係基礎
外国語ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語

私立大学は「単独型」「併願型」に注意

私立大学の大学入学共通テスト利用方式には、大学入学共通テストの結果で合否が決まる「単独型」と、プラスして個別試験の合算で合否が決まる「併願型」があります。
ほとんどは単独型で、指定される受験科目は大学によってさまざま。受験者にとって単独型は個別試験対策が必要ないのが嬉しいところ。
一方で、併願型は個別試験の対策があらためて必要!ただし、大学入学共通テストの点数が思うように取れなかった場合、個別試験で逆転することも可能なので、マーク式が苦手な人はこちらを選ぶというのもアリかも?

出願時期をチェックする

出願時期が大学入学共通テストの試験日前に設定されている私立大学もあります。出願時に焦るといいことはないので、早めに確認しておいてくださいね。

大学入学共通テストを受ける前に、志望校やなりたい職業を固めよう

大学入学共通テストは、国公立大学の一次試験または、一部の私立大学を受験する際に利用されるテストです。大学によって指定教科・科目はさまざまなため、大学入学共通テスト対策を始める前に志望校を決めておきましょう。
「まだ志望校が決まっていない…」という人には、JOB-BIKIの活用がオススメ。なりたい職業から大学を探すことができますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

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