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学校推薦型選抜とは?公募・指定校推薦、総合型選抜との違いを解説

2022.12.28

カテゴリー:
面接試験を受ける高校生

大学受験には学力で競う一般選抜のほかにいくつかの入試制度があります。その中のひとつが「学校推薦型選抜」です。この学校推薦型選抜の出願条件や試験内容など、詳しい内容は知らないけれど、興味がある人も多いのではないでしょうか?
この記事では、学校推薦型選抜とは何か、一般選抜や総合型選抜との違い、メリット・デメリットなどについて解説します。ぜひ参考にしてくださいね!

学校推薦型選抜とは出身高校の校長からの推薦で受験できる入試方法

学校推薦型選抜とは、在籍する高校の校長からの推薦により、大学を受験できる入試方法のこと。以前は「推薦入試」と呼ばれていました。そちらの名前のほうが聞き馴染みがあるという保護者も多いのでは?推薦入試は2021年度入試から学校推薦型選抜という名称に変わっています。

学校推薦型選抜は評定平均値(高校3年間の全科目の成績を5段階で評価した場合の平均値)などを基準に合格者を決める選抜方法で、なんと大学入学者のうちおよそ40%が、推薦入試を利用しているそう。

では学校推薦型選抜で受験できるのは、どんな人でしょうか?それは推薦入試と同じように、高校の成績や部活動、課外活動などの成果によって、高校の校長から推薦された生徒のみです。
学校推薦型選抜には、大きく分けて指定校推薦と公募推薦の2種類があります。詳しく紹介しましょう。

指定校推薦

指定校推薦とは、大学から各高校に割り当てられた推薦枠の範囲内で、生徒を推薦する方法。「指定校推薦は合格率が高いぞ」と先輩から聞いている人もいるかもしれませんね。

この指定校推薦は、評定平均値などの出願条件を満たし、校長からの推薦があれば出願できます。
大学の学部・学科からの推薦枠は高校ごとに決まっており、希望者が多い場合には校内選考によって推薦者を決定。校内選考では、評定平均値のほか、部活動や課外活動の実績などから総合的な判断を行うのが一般的です。

指定校推薦で注意したいのは、大学入学後の学業成績や生活態度によっては、母校の推薦枠がなくなること。高校の名前を背負って推薦されているので、期待に応えるように頑張ってくださいね!

公募推薦

公募推薦とは、大学の出願条件を満たした生徒が高校の校長からの推薦を得て受験する入試方法のこと。
公募推薦には、「公募制特別推薦選抜」と「公募制一般選抜」があります。
公募制特別推薦選抜は、スポーツや文化活動などの実績や資格取得などを出願条件としています。評定平均値が出願条件となることはあまりないのが特徴。部活動で大会出場などの実績がある人はぜひ活用したいですね!

一方で、公募制一般選抜は、評定平均値など大学が求める出願条件を満たしていれば、誰でも受験できるのがポイント。ただ全国から受験生が受けるため、指定校推薦に比べると大学合格へのハードルはだいぶ上がります。

学校推薦型選抜とほかの入試方法との違い

高校の校長

学校推薦型選抜は、高校の校長推薦が必要となるなどいくつかの特徴があります。「ほかの入試方法との違いを具体的に知りたい!」という人も多いのでは?ここでは一般選抜、そして総合型選抜(旧AO入試)との違いについて見ていきましょう。

一般選抜との違い

一般選抜は、いわゆる学力試験を中心に合否を判定するもの。一方で学校推薦型選抜では評定平均値などが記載され調査書や学校推薦書のほか、自己推薦書や面接、小論文などをもとに選考を行います。面接準備もしなければならないので、試験勉強とは別の苦労があると感じるかも。
学校推薦型選抜の選考は11~12月頃がほとんどで、1~3月頃に実施する一般選抜に比べ、選考時期が早いのが特徴といえます。

総合型選抜(旧AO入試)との違い

総合型選抜は公募制の入試なので、高校の推薦がなくても受験できます。学校推薦型選抜は高校からの推薦書がなければ受験できないのです。
「学校推薦があるかないかだけの違いなの?」と疑問に思われるかもしれませんね。実は総合型選抜は「大学側が求める学生像か」を重視する入試。「高校側が生徒を推す」学校推薦型とは大きな違いがあります。

総合型選抜では志望理由書をはじめ、面接、小論文、プレゼンテーションなど、さまざまな角度から合否判断を行います。そのため選考期間が長くなる傾向も。選考時期も9~2月と大学によって違ってきます。選考期間が短く、11~12月に行われる学校推薦型選抜とは似ているようで別物なのです。

学校推薦型選抜のメリット

学校推薦型選抜には、一般選抜で狙えるレベル以上の大学も狙えることなどのメリットがあります。学校推薦型選抜を利用するかどうか判断するためにも、まずはメリットについて確認していきましょう!

一般選抜で受けるレベル以上の大学に受かることも

一般選抜では、基本的には受験日当日の学力試験で合否が決まります。志望校の問題レベルが自分の学力以上であれば、当然不合格になりますよね。
これが学校推薦型選抜では、評定平均値が1つの合否基準となるのが大きなポイント。受験科目以外の成績なども含めて評価されるため、一般入試より難しい大学へもチャレンジできます。多くの受験生にとって非常に魅力的な話なのでは?
当日勝負の面接や小論文、プレゼンテーションなどが課される大学もあるものの、しっかり対策すれば合格の確率は飛躍的に高まります。

選考期間が短い(約1ヵ月)

学校推薦型選抜の受験日に行われる選考から、合否発表まではおよそ1ヵ月。合否結果が出るのがとても早い点も、学校推薦型選抜の大きなメリットです。
一方で比較されることの多い総合型選抜では、書類選考から始まり、面接・プレゼンテーションなどの複数の選考を経て、合否発表までおよそ2ヵ月もかかります。
早く合格が決まるので、その時間的な余裕を活かして自分の好きな勉強や活動に打ち込めますね!

不合格でも一般選抜で再チャレンジ可能

学校推薦型選抜の指定校推薦は合格率が高い傾向にありますが、かたや公募推薦は不合格になるケースも珍しくありません。ただし、学校推薦型選抜は不合格になっても、一般選抜でのリベンジが可能なのは嬉しいところ。
スケジュールで見ると、学校推薦型選抜の合格発表は12月で、一般選抜の出願はその後の1月です。チャレンジの機会が再び得られるというのはうれしくもあるし、安心もできますよね。

学校推薦型選抜のデメリット

大きなメリットばかりのように思える学校推薦型選抜ですが、デメリットもあります。ここでデメリットを解説します。メリットとデメリットをよく理解し、自分に合った受験スタイルなのかを確認するようにしてください。

学校推薦をもらうハードルが高い

国公立大学の学校推薦型選抜では学力試験を課す大学も多いですが、私立大学の学校推薦型選抜では、学力試験を課されることはあまりありません。そのため、「評定平均値4.0以上」といった出願条件をクリアしていれば、学力試験のない指定校推薦に応募したいと考える人が多いのは当然でしょう。

ただし、大学が高校側に提示する推薦人数枠は「1学科あたり1人」など、ごくわずかなケースがほとんど。そのため、みんなが行きたい人気の大学・学部ならば高校内の競争倍率が高くなります。自分より学校の成績が良い人が同じ大学を志望していた時点で、チャンスそのものが得られないことも。

合格したら入学辞退できず併願不可

学校推薦型選抜では、ほかの大学との併願は原則的にNGです。1つの大学だけの出願に絞ることになるため、公募制の場合には、プレッシャーがかかるかもしれませんね。
出願条件をクリアしているというだけで、学校推薦型選抜に出願・合格する受験生もいます。合格したのはいいけれど、後になってからほかの大学や学部のことを知って魅力的に感じても、受けることも合格辞退することもできないという点は、学校推薦型選抜のデメリットといっていいでしょう。
大学を選ぶときには合格のしやすさだけでなく、「何を学べるのか」をしっかりチェックしてから応募してくださいね。

一般選抜合格者との学力差を埋める努力が必要

学校推薦型選抜は一般選抜と比べて早い時期に進学先が決まります。すると、どうなるか。受験勉強から解放されて机に向かう時間が大幅に減ることになり、結果として一般選抜で合格した学生とのあいだで学力に差が生じてしまうことも。

学校推薦型選抜合格後も、高校で習った内容を復習したり、大学入学に向けて勉強したりすれば、学力差が大きく開くことはありません。とはいえ合格後に勉強のモチベーションを保つのは難しいもの。大学入学してから周りの学生との学力差に気づき、愕然とすることも。大学入学までは気を引き締めて!

学校推薦型選抜の出願・選考方法

学校推薦型選抜は、高校と受験生自身が準備する書類・面接などによって合否結果を出します。「学校推薦」とはいえ、受験生自身も書類を準備しなければならないというのは、意外に思うかもしれませんね。
ここでは学校推薦型選抜の出願条件や選考方法などについて、確認します。

学校推薦型選抜の出願条件

学校推薦型選抜は、評定平均値が出願条件になることがほとんど。評定平均値とは、高校1年生から高校3年生の1学期までの学業成績について、全教科・科目を1~5の5段階で評価した成績の平均のこと。大学ごとに「評定平均値4.0以上」といったような出願条件が定められています。

出願書類として、評定平均値などが記載された調査書や学校長推薦書の提出が必要になります。これらは高校が準備するので、受験生は志望動機を記入する自己推薦書や英語資格試験の証明書などを準備しましょう。

学校推薦型選抜の選考方法

学校推薦型選抜は、調査書や推薦書といった出願書類による書類選考のほか、面接や小論文での選考を併せて行うのが一般的。さらに学力試験や実技試験、プレゼンテーション選考を行う大学もあります。
国公立大学の中には、学校推薦型選抜でも大学入学共通テストを活用する大学も!大学入学共通テストが課されることを試験直前で知っても対策のしようがないので、学校推薦型選抜の受験を考えているなら、選考方法のチェックはお早めに。

学校推薦型選抜の受験スケジュール

学校推薦型選抜は、出願が11月1日以降、合格発表が12月1日以降と定められています。大学入学共通テストでの選考も行われる国公立大学では、合格発表は1~2月にずれこみます。
学校推薦型選抜のうち、指定校推薦と公募推薦の受験スケジュールの例を見てみましょう。

・指定校推薦
指定校推薦では、6~8月頃に高校内で大学・学部・学科の推薦枠の人数や出願条件などが公表されます。校内選考の時期は、7~10月頃となるのが一般的。高校3年生の夏休み前からは忙しくなりそうですね!
10月までに高校から推薦される生徒が決定した後は11月1日以降に出願・選考、12月1日以降に合格発表という流れです。
高校や大学によって日程は変わるので必ず確認しましょう。

・公募推薦
公募推薦の募集要項が配布される時期は、私立大学は6月下旬頃から、国公立大学は7月下旬頃からがほとんど。8~10月に願書が配布され、11月1日以降に提出します。11~12月に選考を実施し、合格発表は12月1日以降となる流れです。こちらも、夏休み前から確認と準備をお忘れなく。

学校推薦型選抜の受験料

国公立大学の受験料は、およそ1万7,000円と考えておいてください。学校推薦型選抜で大学入学共通テストを利用するときには、さらに1万8,000円(3教科以上受験)が追加で必要になります。
私立大学は約3万円が受験料の目安。一般選抜の受験料と同じぐらいです。
いずれも大学によって受験料は異なることがあるので、入試要項などによるチェックを行いましょう!

学校推薦型選抜の注意点

思慮にふける高校生

学校推薦型選抜を使った大学受験では、いくつかの注意点があります。最後にここで詳しく確認していきます。

学校推薦をもらうまで気が抜けない

学校推薦型選抜は、指定校推薦も公募推薦も、学校からの推薦がなければ受験自体ができません。そのため、学校からの推薦がもらえるまでは、校内選抜の対策もしつつ、一般選抜での受験も視野に入れた勉強が必要なのです。一般選抜対策ならば受験科目だけに絞り込めますが、学校推薦を得るために全教科に目配りするのはなかなか大変かも。
高校によって校内選抜にかかる期間は変わってくるため、あらかじめ先生に確認しておくようにしたいものです。

出願条件のチェックを怠らない

高校内の選抜基準は、高校ごとに違います。評定平均値を基準にして校内選考を行うのが一般的ですが、部活動の実績や課外活動、出席日数などを基準とするケースも。
また学校推薦型選抜では大学ごとに「評点平均値4.0以上」といった出願条件を定めています。大学により「全体の評定平均4.0以上、英語の評定平均4.2以上」などと特定教科の評定平均値を指定することも。さらに私立大学では、英検やTOEICなどで一定以上の成績取得を条件とするケースもあるのです。
志望校が求める基準を自分がクリアできているのか、気になりますよね。出願条件はしっかりチェックしておきましょう。

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不合格だったときの次のプランも考えておく

学校推薦型選抜も試験である以上、合否結果が出るもの。あまり考えたくないとは思いますが、指定校推薦の校内選考で落選したり、大学の面接選考で不合格になってしまったりすることも、考えておかねばなりません。学校推薦型選抜では1つの大学しか受けられないため、不合格になったときには気持ちを切り替えて、別の方法で受験することも視野に入れておきましょう!

選択肢としては、公募推薦の2次募集にチャレンジする、出願が間に合う総合型選抜を目指す、一般選抜を受験するといった方法が挙げられます。ポイントは、不合格になってから慌てて検討するのではなく、事前にプランを立てることです。
特に一般選抜の対策は、学校推薦型選抜で不合格になってから再スタートしてもちょっと遅いかも…?学校推薦型選抜の合否結果が出るまでは、並行して一般選抜対策をしておくようにしてくださいね。

学校推薦型選抜で受験できる大学を事前に調べておこう

学校推薦型選抜は、早く進路が決められる上、指定校推薦では合格しやすいこともあって、受験生には人気です。ただ、入学してから後悔しないようにするためには、大学や学部で何を学べるのか、しっかり調べてから出願しましょう!

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