逆引き大学辞典逆引き大学辞典

大学の編入学とは?編入学の仕組みやメリット・デメリットを解説

2023.07.27

カテゴリー:

「大学の編入学って何だろう?転校みたいなもの?」と気になっている人もいるでしょう。大学の編入学は、大学や短大などで取得した単位を活かして、別の大学に2年次や3年次から編入できる制度です。
第一志望だった大学に再度チャレンジができることや、異なる専門分野の大学に進学ができるといったメリットがあります。
そこで本記事では、大学の編入学の仕組みや、メリット・デメリットなどについてご紹介します。

大学の編入学とは、現在とは別の大学へ入学すること

編入学した大学


大学の編入学とは、大学や短大、専門学校の学生・社会人が、別の大学に2年次や3年次から編入する制度のことです。一般的に「編入」といわれますが、正式には「編入学」といいます。
日本の国公立大学・私立大学の9割、専門学校の7割が編入学の制度を導入しているので、進路を見直すチャンスがあるのはうれしいですよね。

なお、大学の編入学を目指す理由には、下記のようなものがあります。

<編入学を目指す理由>
・第一志望ではない大学に入学したけれど、やっぱり希望の大学で学びたい
・大学に入学してから、あらためて学びたい分野を見つけた
・最初に入学した大学では、取りたい資格が取れない

第一志望の大学に再度チャレンジしたい場合や、大学に入ってからやりたいことが見つかった場合に編入学を目指す人が多いようです。

他学部・学科への編入学は可能?

現在学んでいる内容と、違う学部・学科への編入学も可能です。しかし、編入学の入試では、専門分野に関する小論文が課されることがほとんど。
また、3年次編入を目指す場合には、その大学で1年生から学んだ学生と同じだけの学力が必要です。

そのため今の大学での授業と並行して、入試に必要な専門分野を基礎から勉強しなければなりません。独学での受験勉強に自信がない場合には、塾・予備校の編入学コースや、編入学専門予備校を利用するのもひとつの手です。費用はかかりますが、編入学に関する豊富な情報を持っていたり、過去問による英語の試験対策や面接・小論文対策をしてくれたりするので、頼りになりますよ。

一般選抜より試験科目が少ないのが特徴

国公立大学の一般入試では、大学入学共通テストで5教科7科目の受験が必須です。一方、編入学では、国公立大学であっても大学入学共通テストを受験する必要はありません。
また、国公立大学・私立大学共に、編入学の入試科目は「英語」「小論文(専門科目)」「面接」と、一般入試に比べて試験科目数が少ないことがほとんどです。

大学の編入学のメリット

編入学した大学でキャンパスライフを楽しむ学生

 
大学の編入学には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。まずは、編入学のメリットから見ていきましょう。

行きたかった大学に再挑戦できる

編入学の一番のメリットは、行きたい大学に再チャレンジできることです。大学入試で第一志望の大学に進学しても、他の大学に入れる可能性があります。2年次編入がある大学では、大学1年生で編入試験の受験が可能です。2年次編入で不合格になったとしても、3年次編入で再チャレンジできます。
大学入試で第一志望の大学に合格したものの、学んでいくうちにやりたいことが明確になり、今とは別の大学・学部で学ぶ必要がある場合、編入学という選択肢があることを覚えておいてください。

4年間で大学を卒業できる

今通っている大学をいったん退学し、別の大学・学部に進学したいと考えた場合、あらためて受験する必要があります。すると、大学の在籍期間は4年以上になるでしょう。しかし編入学は、最初の大学で取得した単位のうち、編入先の大学が単位認定した分が互換(移行)されるため、4年間で卒業できるのです。

例えば、A大学からB大学に3年次編入した場合には、A大学に2年間在籍した後、B大学に2年間在籍すると卒業することが可能です。一方、A大学に1年在籍した後に、一般入試を受け直してB大学に1年生から入り直す場合は、卒業までに最短5年かかってしまいます。
つまりこの場合、就職するタイミングが1年ずれてしまうのです。編入学をしても、最初の大学に入学してから4年後に就職できるのは、大きなメリットでしょう。

また、大学によって、編入学の条件として卒業時の取得見込み単位数がそれぞれ決まっているため、詳しい内容は後ほど記事の中でも紹介します。

国公立大学でも併願できる

一般入試では、国公立大学の試験日程は「前期」「中期(公立大学のみ)」「後期」とあり、それぞれ同一日程に各大学の試験があります。そのため各期に1校ずつの受験となり、基本的には併願できません。
しかし、編入学では、国公立大学・私立大学共に試験日程は大学ごとにさまざま。そのため、試験日程が重複しにくく、一般選抜に比べて併願しやすい仕組みです。

専門学校・短大を卒業してからでも学び直せる

高校を卒業して2年制の専門学校・短大に入学したものの、卒業するタイミングになったとき、もっと専門的なことが学びたくなったり、別の分野について学びたくなったりすることもあるでしょう。そこで大学へ編入学すれば、さらに専門的な学びを得ることができます。

大学の編入学のデメリット

メリットが多い編入学ですが、デメリットもあります。具体的にどのようなデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

教職課程履修や長期交換留学が難しくなる

3年次編入の場合には、中学・高校の教員を目指す教職課程の履修や、長期交換留学ができなくなる可能性があります。というのも、大学によっては入学前に取得した単位の互換が30単位程度しか認められないケースがあるからです。

大学卒業までに必要な単位は、124単位を下限としている大学がほとんど。つまり単位互換が30単位程度の場合には、入学後の2年間で90単位程度を取得する必要があります。そのため、編入学後は卒業に必要な単位を取るだけで忙しくなり、追加で履修する教職課程や長期交換留学は難しくなるのです。
しかし、大学によってはすでに取得した単位がそのまま編入学先に移行できる場合もあります。編入学後のスケジュールに大きく関わるため、あらかじめ単位互換ができる単位数を確認しておきましょう。

受験勉強する仲間がいない

一般入試と同様、編入学の受験勉強は長期戦になるため「いかにモチベーションを保てるか」が重要です。編入学にチャレンジする人は少なく、周りに受験仲間がいないことがほとんどでしょう。そのため、一般選抜の受験と違って仲間と切磋琢磨しにくく、集中力が切れてしまう可能性があります。

ただし、最近ではSNSで受験生とつながって励まし合ったり、勉強を教え合ったりすることもあるようです。受験仲間と情報交換をしたい場合には、SNSで仲間を見つけてみるのもいいかもしれません。

編入後の環境適応や単位取得が大変

大学の編入学は、いわば「転校」です。今までとは違う環境の大学に通うことになるため、編入学後は授業や友人関係といった新しい環境に適応しなければなりません。特に、学部・学科では、多くの学生はすでに交友関係が出来上がっているため、積極的にコミュニケーションをとる必要があります。

また、先程お伝えしたとおり、大学によっては単位互換が30単位程度と少ないケースもあります。そのため、周りの3年生に比べて授業数が多くなり、忙しくなる可能性もあるでしょう。今までの生活リズムが崩れやすいので、バイトやサークルなどは様子を見ながら活動するのがオススメです。

大学の編入学の仕組み

編入学のために勉強する学生

 
大学の編入学とは、いったいどのような仕組みなのでしょうか。ここからは、編入学できる条件や入試日程などについてご紹介します。

編入学は主に2年次編入・3年次編入の2種類

大学の編入学には、主に2年次から編入する「2年次編入」と3年次から編入する「3年次編入」の2種類があります。しかし、2年次編入を実施する大学は少なく、3年次編入が一般的です。

編入学の条件

編入学の条件は、文部科学省により下記のいずれかに該当する者と定められています。

<編入学ができる条件>
・短期大学を卒業した者
・高等専門学校を卒業した者
・専修学校(専門学校)の専門課程を修了した者(ただし、修業年限が2年以上、総授業時数が1,700時間以上または62単位以上)
・修業年限が2年以上(4年制大学2年次修了者)、または高等学校専攻科修了者

参考:文部科学省「大学への編入学について

編入学は4年制大学からだけでなく、2年制の短期大学や専門学校、5年制の高等専門学校からも可能です。今までの学歴を活かして、大学にステップアップできるのはうれしいですね。

また、大学ごとに編入学の条件があることがほとんどです。一般的には、編入学前の大学や専門学校などで、下記の単位数を取得する見込みであることが条件になります。

<編入学に必要な取得見込み単位数>
・2年次編入:30単位以上
・3年次編入:60単位以上

編入学前の在籍年数の条件を満たしていても、大学が指定する単位数を満たしていない場合には、編入学できないので注意しましょう。

編入学の試験日程・定員

編入学の試験日程は、一般的に理系が5~7月、文系で9~12月に集中する傾向です。しかし、大学によって試験日程は大きく異なるので、事前に募集要項や志望大学のウェブサイトを確認しましょう。
編入学の募集人数は、5~20人以内となることがほとんど。一般選抜と違い、編入学の募集を行わない年もあるので注意が必要です。

大学の編入学試験の内容

編入学試験を受ける学生

 
編入学試験は簡単なものではなく、大学によって内容が異なるため、しっかりとした情報収集と対策が必要です。最後に、編入学の入試科目や難度、競争倍率、費用について確認しましょう。

編入学試験の科目

編入学試験は、一般的に「英語」「小論文(専門科目)」「面接」の3科目が課されます。ここでは、科目ごとの試験内容についてご紹介します。

・英語
英語は、長文問題を中心に出題されることがほとんどです。大学によっては、学部に関連する専門用語が英語で出題されることもあります。また、一部の大学では、英語の試験の代わりに、TOEICやTOEFLなどのスコアの提出が必要になることもあります。

・小論文(専門科目)
小論文では、学部・学科の専門分野に関連したテーマが出題されます。また、学部によっては時事問題が出題されることもあるため、ニュースや新聞をチェックしておくといいでしょう。

「小論文がわからない」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
大学入試の小論文とは?種類や構成、書く際のポイントを解説

・面接
面接では、ほとんどの学校で出願時に提出する志望理由書をもとに質問されます。そのため、志望理由書を入念に準備しましょう。特に、「なぜその大学で学びたいのか」「研究テーマは何か」「卒業後はどうなりたいか」などを明確にしておくと安心です。
自分の考えをまとめるのはもちろんですが、オープンキャンパスに参加するなどして大学を訪問すると、具体性が増してアピールしやすくなるはず。志望理由書を書く前に、大学や学部の特徴をしっかりリサーチするのがオススメです。

編入学試験の難度

編入学の試験は簡単ではありません。というのも、その大学の同年次の在学生と同程度の学力が必要だからです。
専門科目の試験の多くは記述式。専門知識がどれだけ身に付いているかを確認する内容となるため、専門科目について理解を深めておくことが重要です。

編入学試験の競争倍率

編入学試験の倍率は、国公立大学で3〜4倍、私立大学で1.5〜2倍程度です。一般選抜の倍率が3〜4倍のため、編入学試験のほうが倍率は低いといえるでしょう。

編入学にかかる費用

編入学では、受験時に1校あたり受験料3万〜3万5,000円と交通費、合格後に入学金が必要です。基本的に試験会場は大学のキャンパスとなるため、大学が遠方の場合には宿泊費が必要になります。交通費も含めると想定以上に高額になることもあるため、トータルでどのくらいの費用がかかるか事前に確認しておくことが大切です。
また、編入学専門の予備校に通う場合には、その学費も必要です。独学での受験勉強では不安な場合は、予備校の費用も確認しておくといいでしょう。

行きたい大学がある場合は編入学も考えてみよう

大学に入学するには、一般選抜や総合型選抜、学校推薦型選抜だけではなく、編入学という方法もあります。編入学の制度を利用することで、行きたかった大学に再度チャレンジできるのは大きなメリットですね。大学在学中にやりたいことが明確になり、別の大学・学部であらためて勉強し直したいときには、編入学を選択肢に入れるのもひとつの手です。

まだ第一志望の大学が見つかっていない場合には、JOB-BIKIを活用して大学をリサーチしてみましょう。なりたい職業から大学・学部を検索できるので、思いがけない発見があるかも?ぜひチェックしてみてくださいね。

「JOB-BIKI」の「大学検索」で職業から大学を検索する

よく読まれている記事

タグで記事を絞り込む