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大学の学部をどうやって選ぶ?学部別に学ぶ内容と主な就職先を紹介

2022.09.08

カテゴリー:
大学の授業で学ぶ大学生

日本の大学数はおよそ800、大学の中にある学部数は2,500以上もあります。多種多様な大学・学部の中で、進学先を選ぶのはとても大変です。受験を前にしてもなかなか決められない人も多いのは、仕方がないことかもしれません。
とはいえ、どの学部に所属するかによって将来の職業が決定付けられることもあるため、大学の学部は慎重に選びたいもの。それには、どんな学部があるかという知識が必要です。

今回は、学部ごとに学ぶ内容や主な就職先、取得できる資格についてご紹介します。興味のある学部を探すのに役立つはずですので、ぜひ最後まで読んでみてください。

大学の学部・学科の違いとは?

「学部」とは、大学内で学問ごとに分けられた教育・研究組織のひとつの単位です。学部をさらに細分化した専門分野を「学科」といいます。例えば、「文学部」は、「哲学科」や「史学科」などの学科で構成されるといったように、1つの学部に複数の学科が紐付いて存在するのです。
同じ学部であっても学科が違えばカリキュラムは異なり、さらに在学中に取得できる免許や資格も変わることも。進学時には学部だけでなく、どの学科を選ぶかも大きなポイントといえます。

「やりたいことも決まっていないのに、入学前に学科まで決められない!」と思う人も多いかもしれませんね。でも、心配しなくても大丈夫。多くの大学では学部単位で入試を行い、学科は入学してから選択するからです。まずは、どの大学のどの学部を受けるのかについて、考えてみましょう。

高校までの学問分野は文系・理系で分けられていましたが、大学の学問分野は、「人文科学系」「社会科学系」「自然科学系」の3つに大別されます。それぞれどのような学部・学科があるのか、そして、各学部・学科から目指せる主な就職先についてご紹介します。

人文科学系の学部・学科と主な就職先

文学について語らう大学生男女

 
人文科学は、人類が脈々と作り上げてきた言語や思想などの文化を研究する学問です。ここでは、人文科学系の学部についてご紹介します。人文科学系の学科や取得可能資格などをぜひ参考にしてみてくださいね。

文学部

文学部は、日本文学や西洋文学などの文学のほか、思想、歴史などを学ぶ学部があります。例を挙げると、各国の哲学の歴史やその思想を学ぶ「哲学科」や、日本や東洋、西洋などの政治経済の歴史を学ぶ「史学科」などです。

文学部では主に、国語科や社会科の教員免許のほか、学芸員、図書館司書、社会教育主事といった各種資格取得を目指せます。就職先は、国家公務員や地方公務員、民間企業とさまざまですが、文字に携わることから、出版社などマスコミ関係への就職は比較的多く見られます。

人文学部

人との関わりや生き方に関することを学ぶ人文学部。人間の体や心を分析して「人間とは何か」を探究する「人間学科」、人間の心の動きや行動を中心に調査・分析する「心理学科」、児童や老人などをサポートする社会の仕組みや方法論を学ぶ「福祉学科」などで構成されます。

人文学部では社会科の教員免許、心理学科では公認心理師や臨床心理士(大学で必要科目を修めた後、大学院修了か2年以上の実務経験が必要)、児童福祉司(大学で必要科目を修めた後、1年以上の実務経験が必要)などの資格取得が可能です。
卒業後は、資格を活かして心理カウンセラーなどの専門職に就く人もいますが、就職先は幅広く、金融系やメーカーやサービス業など、さまざまな企業に就職するのが特徴です。

外国語学部

外国語学部は、専門の外国語のうち「読む・書く・聞く・話す」の4技能を学習し、外国語が使われる国や地域の社会や政治、文化について研究する学部です。学科は言語ごとに分かれ「英語学科」「フランス語学科」「中国語学科」などがあります。大学によっては、「国際関係学科」という国際問題の原因や解決法について研究する学科があることも。

大学の授業で学ぶ外国語だけでなく、当該国へ長期留学をすると、さらに高いレベルの語学力が習得できるでしょう。英語学科であれば英語科の教員免許を取得し、中学校・高校教師になることも可能です。
外国語を中心に学ぶため、卒業後は商社や外資系企業、旅行会社、通訳など、語学力を活かせる職業を希望する傾向があるようです。

社会科学系の学部・学科と主な就職先

グループで議論する大学生たち

 
国や地域、企業、家族など、さまざまな集団、つまり「社会」について学ぶのが社会科学系の学部です。社会科学系学部には、どのような学部があるのか解説します。

社会学部

社会学部は、社会の制度や人と社会がどのように関わるのかについて研究する学部です。現代のさまざまな社会課題について研究するため、現地に出向いてフィールドワークを実施することも。
社会学部の中には、現代のさまざまな文化について学ぶ「現代文化学科」、新聞やテレビなどのメディアの歴史や特性、役割について学ぶ「メディア・情報学科」、社会学と心理学をもとに社会課題を研究する「社会心理学科」、環境問題について学ぶ「社会環境学科」などがあります。

在学中に、社会科の中学校・高校教員免許や社会教育主事などの資格取得が可能です。就職先は、テレビ局や出版社などのマスコミ系企業が比較的多い傾向ですが、金融系やメーカー、サービス業など、就職先は多岐にわたります。

経済学部・経営学部・商学部

経済学部・経営学部・商学部は、経済や企業経営、会計などについて学ぶ学部です。経済活動について総合的に扱う「経済学科」、企業経営や雇用、商品開発などを研究する「経営学科」、世界経済などを学ぶ「国際経済学科」、マーケティングや商品流通、サービス動向などを身につける「マーケティング学科」などがあります。

簿記検定やファイナンシャル・プランナーなどの資格を取得し、金融系企業に就職する人も。また、メーカーや商社、IT系など、卒業生はさまざまな業界で活躍している傾向があります。

法学部・政治学部

法学部・政治学部は、社会の秩序を保つための法律や、政治について学ぶ学部です。法学部では、法の歴史をはじめ、法律の条文そのものや裁判所が下した判断事例(判例)を学びます。
法律・政治学部には「法律学科」、法律をベースに行う政治について学ぶ「政治学科」、政治や経済について学ぶ「政治経済学科」などがあります。

法学部出身者は、司法試験に合格して弁護士や裁判官になる人もいますが、法律の知識を活かして司法書士、行政書士として活躍することも可能です。一方で、公務員志望者が多いことも法学部・政治学部の特徴。多くの大学で公務員対策講座を実施しています。
法律の知識はどの業界や企業でも活かせるため、さまざまな業種の企業の法務部門に就職しているようです。

自然科学系の学部・学科と主な就職先

白衣とゴーグルを着用して実験中の大学生

 
物質、生物、地球、宇宙の原理や相関関係について研究する学問が、自然科学です。続いては自然科学系の学部について解説します。

理学部

理学部は、地球上に起こるさまざまな現象を、数学や化学、物理などで解明する学部です。高校で学んだ数学や化学、物理、生物をさらに深く研究すると考えると、イメージがわくかもしれません。
理学部にあるのは、力学や電磁気学などを学ぶ「物理学科」、観察や実験であらゆる生命を研究する「生物学科」、物質の分子や化学反応などを研究する「化学科」、解析学や幾何学などを学ぶ「数学科」など、多種多様な学科です。

理学部では、毒物劇物取扱責任者や理科の教員免許などが取得できます。理系については多くの卒業生がそのまま大学院に進学し、研究者への道や就職するのが特徴。学部を出て半導体・総合化学メーカーや製薬会社などに就職する人、中学校・高校の数学科や理科教師になる人もいます。

工学部

工学部は、建築や土木、機械や情報などのものづくりに関する学部です。ものづくりの基礎知識を学ぶだけでなく、実験や演習を通して実践力を養うのがカリキュラムの特徴です。
工学部にはさまざまな学科があります。例えば、建築の設計について学ぶ「建築学科」、情報通信や自動制御などの研究をする「電子・電気工学科」、コンピューター技術を学ぶ「情報工学科」、道路などの整備や災害対策などの技術を究める「土木工学科」、工場機械やカメラなどの精密機械、医療機械などを作る技術を習得する「機械工学科」などです。

学科によって取得できる資格は異なりますが、中学校・高校の教員免許や電気主任技術者などの取得が可能です。卒業後は、多くの人が大学院に進学しますが、自動車・電機・鉄鋼メーカーの研究職やエンジニア、ゼネコンなどの民間企業に就職する人も多くいます。

農学部

農作物の栽培や品種改良など、農学に関することを学ぶのが農学部です。農学部は、農作物や家畜について学ぶ「農学科」、生物や食品などを分子レベルで研究する「応用生命化学科」、動物の生理現象や機能、行動、生産性を研究する「動物科学科」などで構成されています。

在学中に取得できる資格は学科によって異なりますが、土壌汚染調査技術管理者や食品衛生管理者、教員免許などの取得を目指せます。卒業後は、食品メーカーや種苗メーカー、化学メーカー、製薬メーカーのほか、農協や農業法人など幅広く就職しています。

医学部

医師として必要な知識や技能を学ぶのが医学部です。医師に必要な治療や予防に関する知識・能力を身につける「医学科」、臨床検査技師など医療チームで活動する人材を育成する「保健学科」などがあります。

医学部で取得を目指す資格は、もちろん医師免許。保健学科では、臨床検査技師、診療放射線技師、看護師などの免許取得も目指せます。6年間、医療について幅広く学んだ後は、医師国家試験に合格し、大学病院や総合病院で研修医として診療経験を積みます。

看護学部

看護師として患者をケアするための知識や技能を身につけるのが看護学部です。
看護学部で必修単位を漏れなく取得することで、看護師の国家試験を受ける資格が得られます。看護師の資格だけでなく、保健師や助産師資格を目指したり、養護教諭免許を取得したりすることも可能です。看護学部の卒業生の多くは、総合病院などの医療施設に就職しています。

薬学部

薬学部は、医療薬の製造から効果までを6年間かけて幅広く学ぶ学部です。
薬学部では、薬に関する知識を習得するだけでなく、病院と薬局でそれぞれ11週間、合わせて22週間の実務実習を通して、薬剤師としての姿勢やチーム医療での働き方を学びます。
学部出身者の多くが薬剤師国家試験に合格し、病院や薬局の薬剤師、または新薬の開発研究者を目指しています。

歯学部

歯学部は、歯科医療に関することを総合的に学ぶ学部です。6年の教育ののち、歯学部生は歯科医師国家試験の合格を目指す人がほとんどです。
国家試験を合格したら、臨床研修1年間を経て、歯科医院や総合病院などに勤務します。卒業後そのまま大学院に在籍し、研究者を目指す人もいます。

その他の学部・学科と主な就職先

体育・スポーツ学部

スポーツによる健康づくりに関するさまざまな研究を行うのが、体育・スポーツ学部です。「体育学科」では、現役アスリートとして特定の競技を極めつつも、結果を出すための体調管理やケガ予防などについて学びます。また、運動やスポーツを通して健康維持をサポートする人材を育てる「スポーツ健康学科」も注目です。

教職課程を修了すれば、中学校・高校の保健体育科の教員免許取得が可能。卒業後にプロのアスリートになる人もいますが、民間のスポーツクラブでトレーナーとして活躍したり、体力を活かして警察官や消防士として働いたりする人も。

教育学部

教育学部では教師となることを目指し、子供に対する教育・指導方法や教育の歴史などを学びます。教育制度や教育心理など教育に関する幅広い知識を身につけ、さらに学校現場で教育実習を経験するのです。
教育学部には小中高の教師になるための「教育学科」があるだけではありません。保育士資格や幼稚園教諭を目指す「幼児教育学科」、特別支援教育を学ぶ「障害・福祉教育学科」などもありますよ。
取得を目指せる免許は、下記のとおりです。

<教育学部で取得できる主な教育職員免許状>
・小学校教諭一種免許状
・中学校教諭一種免許状
・高等学校教諭一種免許状
・幼稚園教諭一種免許状
・特別支援学校教諭一種免許状

教師を目指す学部ではありますが、メーカーや学習塾などの教育系企業に就職する人もいます。

芸術学部

美術や音楽などの芸術を専門的に学ぶのが、芸術学部。油絵や版画などの「絵画学科」、彫刻の「彫刻学科」、陶やガラス、金属などの素材を扱う「工芸学科」、イラストやポスター、生活用品のデザインを専門にする「デザイン学科」などがあります。「音楽学科」は、楽器の技能を習得したり音楽理論を学んだりする学科です。

美術系の学科では、中学校・高校の美術科の教員免許や学芸員資格が取得可能ですが、芸術家やデザイナーとして活躍する人はもちろん、広告制作会社などのクリエイティブ系の企業に就職する人が多いようです。
一方、音楽学科では、中学校・高校の音楽科の教員免許のほかに小学校教諭二種免許状、音楽療法士一種の資格取得可能です。
卒業後は、プロの演奏家や指揮者、作曲家として活躍する人、さらに中学や高校で音楽教師や音楽教室の講師になる人もいます。

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