進学EXPO2025講演会レポート 『総合型選抜・学校推薦型選抜「合格」戦略』の講演
2025.05.16

2025年3月8日、土曜日。埼玉県の大宮ソニックシティにて、進学EXPOが開催されました。
個別に大学と相談をすることができるイベントですが、大学進学に役立つ講演会も実施しています。講演会のひとつ『総合型選抜・学校推薦型選抜「合格」戦略』のレポートをいたします。
実際には資料やスライドを活用してわかりやすくなっておりますし、この記事には記載していない内容もあります。興味のある方は、機会があれば講演会に参加してみてください。
目次
はじめに
15時からヘルメスゼミ® ULTRA® Master Trainerのクロイワ 正一先生による『総合型選抜・学校推薦型選抜「合格」戦略』の講演がスタートしました。
クロイワ先生: 特別選抜で入学する人のほうが日本では多くなりました。特別選抜とは、総合型選抜、学校推薦型選抜、帰国子女選抜、社会人選抜の4つです。帰国子女選抜と社会人選抜は募集人数も「若干名」なので、説明は省きます。
特別選抜の割合は増えており、国立大学で18.5%。公立は約3割。私立は約6割です。行きたい大学・学部が決まっているのに特別選抜を使わないのは損だと考えます。
学力の三要素とは?
クロイワ先生:では、総合型選抜は何を見るのか。学力の三要素を総合的に見るから、総合型選抜というわけです。実は学校推薦型選抜でも同じことを言っています。ということは受験生が知っておくべきことは、学力の三要素とはなにか、ということですね。これは覚えておきましょう。
- 知識・技能
- 思考⼒・判断⼒・表現⼒
- 主体性・多様性・協働性
クロイワ先生:学力の三要素がなにかはわかりました。次はそれらをどうやって見るのかという話です。1の知識・技能は書類審査です。評定平均で見ます。2の思考⼒・判断⼒・表現⼒は、小論文と面接で。3の主体性・多様性・協働性は志望理由書と自己推薦書、そしてこれも面接で判断するわけです。
国公立大学でも、共通テストの結果を見ない大学はあります。ということは、評定平均が足りているならば、小論文と志望理由書と自己推薦書の書き方と面接で成功すれば国公立大学にも入れるということです。
今回の講演では、志望理由書の書き方と、面接対策に絞ってお話しします。
志望理由書の書き方

クロイワ先生:どう書けばいいのか。もちろん、大学や学部によって違うわけです。ですが、共通していえることはこの3つに絞られます。
- 遠未来
- 近未来
- きっかけ
クロイワ先生:わかりやすく言うと、わたしはこんな人生を歩んできて、こういうことに興味があります(きっかけ)。なので、貴学でこういうことを学びたいです(近未来)。そして、学んだことを活かして将来こういうことで社会貢献したいです(遠未来)。という感じですね。
きっかけはみなさんが持っているものです。将来何になりたいのか、その理由ですね。近未来をどう書くのか。つまり大学で学びたいことですが、大学で何を学ぶのかについては高校では教えてくれません。調べるしかないんです。
――逆引き大学辞典や進学EXPOがそのためのツールです。教科の受験勉強だけでなく、大学受験についてよく調べてください。学部についての記事もたくさんありますよ。
近未来の調べ方
クロイワ先生:近未来。つまり大学についてといってもどう調べたらいいのか。これも3つのポイントにまとめられます。
- ハード
- ソフト
- 人
クロイワ先生:ハードとは大学の設備などです。図書館とか実験室のようなものですね。ソフトは制度などです。留学制度や単位交換制度のような。人は大学の教員、または卒業生ですね。こういったところを調べて、魅力を感じたものを書けばよいのです。
事前に調べれば調べたほうが、絶対に合格しやすくなります。AIを使うのも手ですが、間違った情報もあるので注意してください。
遠未来の調べ方
クロイワ先生:遠未来。つまり卒業後のことですが、これも書いてあります。大学案内に、卒業後の進路が。卒業生がどう活躍しているのか。これを読んでください。職業や企業名を見てもわからなかったらそれも調べる。そして、自分が就職したいものに近いものを選ぶということです。たまに市長になりたいというような、遠すぎる未来を言う人がいます。大学を出てもすぐには市長にはなれませんから。そのステップとして第三セクターに進みたいと書いたらいいとアドバイスをしたことがあります。
――逆引き大学辞典の記事コンテンツでは、将来の職業選びに役立つものも多数公開されています。ぜひ職業についての記事や業界についての記事を読んでみてください。
きっかけの書き方
クロイワ先生:ここだけは個性が出る場所です。近未来と遠未来は、合格した人たちは似通ったことを書いています。なぜならその大学の学部のことだから。よく調べたら同じような内容になるわけです。きっかけだけは、その人の個人的なことです。
合格している人に共通しているのは、問題意識があることです。社会の問題点に気づくこと。そしてその解決を考えることです。
まだ何も思っていない。という人はこれから探してください。総合型選抜が始まるのは9月ですから、それまで時間があります。
実際の例をあげます。地元の観光業が衰退しているのをなんとかしたい。だから観光学を学んで地元を活性化したい。近所に日本語のできないヒスパニックの労働者が多くいて、日本での生活に困っているのを見ていた。だからスペイン語を学びたいと考えた。こういった方たちは合格しています。
志望理由書の書き方
クロイワ先生:こう書きなさいという指示がある場合もありますが、ない場合は未来から書けばOKです。貴学に入ってこういうこと学びたい。なぜなら将来こういうことがしたいから。なぜそう考えたかというと……という感じですね。先に将来でも構いません。
つまり、下記の2パターンということになります。
近未来→遠未来→きっかけ
遠未来→近未来→きっかけ
面接対策

クロイワ先生:従来は個人面接が主流でしたが、集団面接が増えてきました。面接を受ける生徒が複数いるということですね。このときの注意点のひとつが気配りです。
自分の回答が終わったからと言って、気を抜かないように。他の生徒の邪魔になるようなことにならないようにしてください。他の生徒が話しているときの態度も見られています。
また、関連付けるというのも効果的です。前の生徒が話していることに対して、同意見だと言うとかですね。理解力があるという評価になりますので。
志望動機が前の生徒と被ってしまったらどうしましょう。これは嘘をついてもしょうがないので、堂々と彼と同じです、私もこういう理由ですと言えば大丈夫です。
グループディスカッション対策
クロイワ先生:グループディスカッションをする大学は増えています。そして苦手だ、できないと自信がない生徒が多いです。しかしそれは、やったことがないからで、練習すれば大丈夫です。
人の話を聞く、とりあえず手を上げる、そういう小さなことからで大丈夫です。それで積極性という点数がつきます。
また、自分の意見が思いつかないときは、ファシリテーションで時間を稼ぐという方法があります。
「Aさんはこういう意見、Bさんはこういう意見なんですね。Cさんはどうですか?」というような回しですね。これはテクニックではありますが、最後までこれでは自分の意見を言っていないと判断されてしまいますので、高い評価は望めません。はっきり自分の意見を主張しましょう。しかし、どうしても自分の意見が出ないという場合もありますね。そのときの奥の手もありますが……聞きたい人は手を上げてください!
――ここで奥の手が披露されたのですが、奥の手が気になる方は、ぜひ講演会への参加をご検討ください。
クロイワ先生:総合型選抜、学校推薦型選抜は情報収集と練習が大事ということです。この進学EXPOであったり、オープンキャンパスやWebなど活用してください。
――すべての内容は書ききれないのですが、このようなためになるお話を40分に渡って講演していただき、大きな拍手で講演会は終了しました。大学進学に関する情報収集は早いほうが良いことがわかります。高校一年生のうちから、逆引き大学辞典を使って情報収集を行い、進学EXPOに足を運ぶことをオススメします。