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電子部品業界とは?働く魅力や仕事内容、目指せる大学を紹介

2024.04.03

カテゴリー:
電子部品の設計

電子部品は、スマートフォンや自動車など、私たちの生活を便利にする機械に欠かせない存在となりつつあります。電子部品業界は、そのような電子部品の開発・製造に携わる業界です。しかし、電子部品は私たちの生活に身近な機械の必需品でありながら、その役割や構造はあまり知られていません。
そこで、この記事では、電子部品業界の特徴や作っている製品などについて解説します。また、「JOB-BIKI」で調べられる企業の例、主な職種、おすすめ学部などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

電子部品業界の魅力や代表的な企業の例

電子部品業界には、どんな特徴があるのでしょうか。ここでは、電子部品業界の基礎知識や働く魅力、代表的な企業の例をご紹介します。

電子部品業界とは?

電子部品とは、スマートフォンやパソコン、自動車、医療機器などにも使われる、電気に関わる部品のことです。電気を蓄えたり放出したりする役割の他、音などの振動を電気信号に変換する役割なども持っています。電子部品業界は、以上のような電子部品の製造に携わる業界です。基本的に電子部品メーカーは、卸売業者や販売店、電子部品を使う機器を生産するメーカーなどに製品を販売しています。そのため、直接個人のお客様と取引することはほとんどありません。
電子部品はその役割の違いから、大まかに以下の3種類に分けられます。
・受動部品
・能動部品
・機構部品
電気製品は、基本的にこの3種類すべての電子部品を備えているのが特徴です。それでは、具体的にどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

・受動部品
受動部品とは、外部からの電気や電流などを蓄えたり放出したりする機能を持つ部品です。例としては、コンデンサのような製品が挙げられます。コンデンサは、スマホやタブレット端末などのモバイル機器に使われているような部品です。主な機能としては、受け取った電気や電流をのノイズを除去して綺麗にし、機械の誤作動や電気に関する障害をが正常に動けるよう助ける働きを持っています防ぎます。また、受け取った電気や電流の電圧を安定させることも役割です。受け取った電気や電流は、そのまま使おうとすると電圧が不安定であったりノイズが入ったりするため、機械が故障する可能性が高いです。の変動によって不具合が起きる場合があります。たとえば「大規模工場などで一度にたくさんの電力を使用したことで電圧変動が起こり、照明がチラつく」というような不具合です。コンデンサには、このように電気や電流を整え、機械の不具合を防ぐな不具合の原因となる電圧の変動を抑え、安定した電気や電流を供給するという働きがもあります。以上のように、受動部品は、受け取った電気や電流を整えて蓄えたり、安定した状態にして放出したりする部品です。

・能動部品
能動部品とは、受け取った電気信号を処理する機能を持つ部品を指します。主な機能は、エネルギーの増幅や信号の発信、電流や電圧を調整することなどです。具体的には、トランジスタがあります。トランジスタは、オーディオのアンプなどに使われているような部品です。トランジスタには、外部から受け取った電気信号を増幅させ、大きな音にするという機能があります。トランジスタにこうした機能があるため、オーディオのアンプは、音を大きくできるというわけです。トランジスタ以外にも、外部から受け取ったエネルギーを他のデバイスで使う場合に増幅したり整えたりする処理が必要な時があります。その際には、トランジスタのような能動部品が必需品です。また、最近では技術開発が進み、受動部品の機能も備えた能動部品も増えています。

・機構部品
機構部品とは、部品自体は電気的な機能がないものの、受け取った電気または信号を目的の場所まで届ける機能を持つ部品です。具体的には、電源のオン・オフを切り替えるスイッチや、基盤とケーブルをつなぐコネクタなどが挙げられます。スイッチはオン・オフで電気信号を遮断・通過させ、コネクタはケーブルから来た電気信号を基盤へ橋渡しすることが役割です。このように機構部品は、目的の場所までエネルギーを伝える役割を果たしています。

電子部品業界で働く魅力

スマートフォンに使われている電子部品

電子部品は、スマートフォンや自動車など、さまざまな電子機器にとって必需品です。このような製品は日本国内だけでなく、海外でも広く使われています。そのため、自分の関わった電子部品が世界中で使われていることに対し、達成感を得られることが大きな魅力です。
また、幅広い分野の技術や知識を学べることも魅力だといえます。電子部品が使われる分野は、機械分野、医療分野、情報技術分野などのように多岐にわたるのが特徴です。そのため、電子部品の製造に携わる場合、広い分野の技術や知識を学ぶ必要があります。「自分の知らなかった技術や知識に出会いたい」「新しい知識を身につけて成長したい」という方は、やりがいを感じながら働けるでしょう。

電子部品業界の代表的な企業の例


同じ電子部品メーカーでも、得意とする製品の種類や電子部品が使われている分野などで、企業の特色は異なります。
「ニデック株式会社」は、電子部品の中でもモーターを得意とする企業です。私たちの生活に身近なモーターといえば、イメージしやすいのは自動車でしょう。自動車は一般的には、エンジンで動きます。しかし最近登場して注目を集めているのが、電気で走る電気自動車です。皆さんも、街中で電気自動車の充電スタンドを見かけたことがあるかもしれません。この電気自動車を走らせるモーターシステム「E-Axle」を世界で初めて量産し始めたのが、ニデック株式会社です。
「オムロン株式会社」は、電子部品の他に制御機器、ヘルスケア、社会システムなどの事業も展開しています。電子部品製品としては、とくにリレー(外部から受け取った電気信号に対し、電気回路のオン・オフや切り替えを行う部品)の生産が得意です。リレーは、私たちの身の回りのものでは冷蔵庫や洗濯機といった家電、自動車、自動販売機などに使われています。大規模なものであれば変電所や発電所にも欠かせない部品です。リレーのような電子部品は外からは目立ちませんが、家庭や道路、工場、発電所など、私たちの生活に密接した部分で関わっています。
「株式会社キーエンス」は、ファクトリーオートメーション(工場を自動化すること)に対して、さまざまな製品を開発・生産しています。製造業においては短時間でなるべく多くの製品を作ることが求められ、工場の自動化なら生産性を上げられます。株式会社キーエンスは、とくに電子部品においては、センサの生産を得意としていますです。センサには多くの種類がありますが、例としては画像判別センサが主な例ですが挙げられます。画像判別センサは、たとえば「部品が正しい位置にあるか」などを判別できるセンサを指しますです。従来では、画像判別センサを使っていなかったため、今まで人の目で確認していました。しかし、画像判別センサによってでないと確認できていなかったものが自動で判別できるようになり、検品が今までよりも楽になったのです。結果、時間短縮やミスの低下にも繋がっています。
「株式会社村田製作所」は、ハイブリット車や電気自動車などに採用されている、セラミックコンデンサを製造している企業です。設計技術、量産技術、評価・解析技術が世界的にも高く評価されており、宇宙航空研究開発機構「JAXA」から認定も受けています。そのため、株式会社村田製作所のセラミックコンデンサは、小惑星探査機や人工衛星にも採用されているのが特徴です。

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電子部品業界の職種

電子部品業界の研究者

電子部品業界の仕事には、具体的にどのような職種があるのでしょうか。ここでは、電子部品業界のおもな職種についてご紹介します。

研究

新製品を生み出すために、新しい技術や素材などの研究を行う仕事です。電子部品業界での研究職は、主に技術を研究する部門と素材を研究する部門の2つに分かれます。技術研究で行うのは、まだ世に出ていない新技術を見つけたり実現化したりするための研究です。たとえば、セラミックという素材を開発する技術を発見し、世に出そうと思った場合。セラミック開発の技術が、発見してそのまますぐ世に出るわけではありません。適切な用途や使い勝手、価格、品質、タイミングなど、さまざまな要素を検討する必要があります。技術研究は、それらの要素を含め、実用化にむけた研究を行う仕事です。一方、素材研究では、素材に新しい要素を取り入れたり他の素材とあわせたりして、素材の新たな機能を見つける研究を行います。たとえば、チタン化合物は、単体では何の機能も持ちません。しかし、高い誘電率を持つという特性があるため、その特性を利用して積層コンデンサと呼ばれる電子部品の原料として使われています。このような素材の機能を見つける研究が、素材研究です。

商品開発

研究で得た知識や理論、技術をもとに、実際に製品化を目指していく仕事です。製品化するためには「知識や理論、技術に基づくアイディアを、ただ形にすれば良い」というわけではありません。実用化に問題ない程度まで、問題点をなくしたり懸念点を減らしたりすることが必要です。たとえば、スマホ向けの通信モジュールの開発を行う場合、高速通信を行うといった新技術を実装するだけでなく「無線通信規格に沿っているか?」などの項目も満たさなければ、商品として販売できません。商品開発では、研究をもとにして誕生した商品を、実際に販売できるよう整えていく仕事です。また「量産可能な素材を用いること」なども考える必要があります。とくに電子部品は、壊れやすく精密であるため、実用化に耐えられる強度で開発しなければいけません。このような強度の問題も含め、考えられる限りのあらゆる問題点を探し、製品化できるレベルまで改善することが求められます。役立つ技術を世に出すためにも、重要な業務です。

設計

商品開発の結果をもとに製品の設計図などを作って具体化し、試作品を作るだけでなく試作品の動作確認なども行う仕事です。電子部品は、前述の通り、役割によってさまざまな細かい部品に分かれています。そのため、電子部品業界の設計職は、作る部品によって「機械設計」「電気設計」「システム設計」「ソフトウェア設計」などに分かれている場合がほとんどです。

生産技術

より効率よく生産するために、生産に必要な設備や工法を改善していく仕事です。電子部品業界では、質の高い製品を大量生産するために生産機械が導入されています。そのため、生産機械の精度を高めるための開発や、生産機械にデジタル技術を導入するなどの新機能の開発なども重要な課題です。生産技術では、日々進化する製品技術や需要に応えられるよう、以上のような生産機械の改善に努めています。また、精度を保ちつつ大量生産できるような工法の改善も、生産技術の大切な業務です。

生産管理

製品を安定して供給するため、生産ラインの管理や改善に向けた設計・開発などを行う仕事です。電子部品メーカーの中には工場を複数持っている企業も多く、現場だけでは生産にあたっての課題を解決するのが難しいケースもあります。そのため、生産管理職が課題を抽出し、生産工程に関わる各部門と連携しながら解決していくことが必要です。また、製品が安定して供給できるよう、各部門と連携して全体的な生産スケジュールを管理するという業務も行います。

調達

生産に必要な部品を仕入れ先から調達する仕事です。電子部品メーカーでは、研究・開発の段階からさまざまな部品や素材を使用します。そのため調達部門では、なるべく価格を抑えつつ仕入れられるよう、世界各国から調達先を探す能力が必要です。時には、調達先との価格調整や価格交渉も行います。また、調達する部品や素材を選定するためには、品質・コスト・納期・サービス・環境など、あらゆる観点からの検討が欠かせません。設計・製造など、各部門との連携も不可欠です。調達職では、社内外のさまざまな人々と関わり、調整していく能力が求められます。

製造

実際に製品を作る仕事です。また、製造現場での生産における不良品の解析や工程の改善に繋がる製造技術の開発なども行います。電子部品業界での製造職では、作る製品の種類が多岐にわたるケースや海外で生産しているものがあるケースも多いです。製造に関わる人も多くいるため、明確な製造方法や製造技術を確立しなければ統率が取れなくなる可能性もあります。そのため製造職にとっては、質の高い製品を作ることはもちろん、製造現場に関わる全員が同じ精度で製造できる体制を整えることも重要な業務です。

品質保証

製品の質を担保するため、製品の品質や安全性などの項目を検査する仕事です。品質工学や信頼性技術などを用いて、お客様から求められている品質をクリアできるよう品質管理を行います。また、以上のような検査・管理を行うために、品質をチェックするための試験技術や製品の分析・解析技術の開発を行うことも業務です。電子部品業界では、日々新たな技術が生まれています。たとえば、株式会社村田製作所が提供している、人が五感で認識している情報をセンシング技術によってデータ化する「NAONA」というサービス・事業がその例です。今までは、製品の不備がないことを目で確認することが主流でした。しかし「NAONA」は音声データを可視化する技術のため、目だけでなく音の確認も必要です。このように検査方法も見直し、新たな検査技術を開発していかなくてはいけません。品質保証には、以上のように、新技術に対応していく能力も求められます。

営業

製品を販売するため、「自動車メーカー」や「家電メーカー」などの電子部品を使用する企業へ向け、電子部品を購入してもらえるよう製品の紹介や提案を行います。また、電子部品メーカーでは、製品を販売する営業だけでなく、生産する技術を提案する営業がいるのも特徴です。電子部品の使用用途によっては、電子部品を購入するお客様にあわせて、受注したものを生産する場合もあります。その際、お客様の要望を伺い「当社の技術であれば、ご要望の商品を作れます」というように、技術を売り込むことも必要です。営業職は、以上のような製品や技術を広く知ってもらえるよう活動の他、販売戦略の考案や、お客様と社内の各部門との調整業務なども担っています。

電子部品業界で求められる人とおすすめの学部

電子部品業界に向いている男児

電子部品業界を目指す場合、応募段階で資格の取得は必要ありません。技術職では入社後に資格の取得が求められるケースがありますが、その場合は入社してから取得できるよう体制が整えられている企業がほとんどです。
それでは具体的に、電子部品業界に向いている人の特徴、おすすめの学部なども見ていきましょう。

電子部品業界に向いている人

電子部品業界に向いている人の特徴は、以下の3つです。
・新しい知識を学ぶことが好き
・新技術をどうやって世の中に役立てるかを考えることが好き
・課題解決のために試行錯誤することが好き

・新しい知識を学ぶことが好き
電子部品が使われる分野は、パソコンやスマートフォンといった情報機器の他、自動車や医療機器、航空宇宙関連など多岐にわたります。今後も電子部品が使われる分野は拡大していくでしょう。そのため、電子部品に関する知識はもちろん、電子部品が使われる分野についても学んでいく必要があります。新しい知識を学ぶことが好きな方は、楽しみながら働けるはずです。

・新技術をどうやって世の中に役立てるかを考えることが好き
電子部品業界は、技術進歩が速い業界です。本格的に電子部品が登場したのが1990年代頃と最近であることも関係し、まだまだ解明・発見されていない技術も多く、技術革新のペースが速くなっています。そのため、これからも新技術が続々と発見されていくでしょう。このような新技術を「どうやって世の中に役立てていくか」を考えることが好きな方は向いています。

・課題解決のために試行錯誤することが好き
電子部品業界は、まだまだ発展途上です。未だ発見されていない課題、今後影響する問題点なども多数出てくると考えられます。そういった課題にも、解決のために試行錯誤し、行動しなければいけません。このような課題は、発生段階では原因や改善部分がわからないケースがほとんどです。そのため、粘り強く究明する能力も求められます。実際の事例では、株式会社村田製作所が「インダクタ(コイル)の効率を維持しながら小型化する」という課題に対して、効率に影響する部分を解明し、小型化に成功しました。このような事例では「インダクタの効率が、インダクタのどこの部分から影響を受けているのか」を解明するために、根気よく検証・分析を繰り返す必要があります。「時間と手間がかかったとしても、課題解決のために試行錯誤するのが好き」という方には、とくにおすすめです。

電子部品業界で働くためにおすすめの学部

大学の電子工学科の様子

電子部品業界の研究・設計・製造などの技術系職種を目指す場合は、工学部で学ぶのがおすすめです。工学部では、自然科学の法則や理論、仕組みから得た知識を社会で実際に役立てるための、実用的な技術開発や研究を行います。電子部品業界で働きたい場合は、とくに電気工学や電子工学の学科で学ぶとよいでしょう。電子工学で学べることについて詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
電子部品業界の営業などの事務系職種を目指す場合は、文系の学部でも問題ありません。しかし、技術系職種と関わる機会も多いため、電気工学や電子工学についての知識がある方がよいでしょう。
電気工学や電子工学を学べる大学、学部・学科には、以下のようなものがあります。

電子部品業界への就職を目指すあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!

生活に欠かせない電子部品という製品を作り出し世界中の人々を支えられるのが、電子部品業界の仕事です。「さまざまな分野や新技術について学び、新しいアイディアを形にしていきたい」という方は、やりがいを感じながら働けるでしょう。
電子部品業界で働くための大学選びに悩んだ場合は「JOB-BIKI」の活用がおすすめです。「JOB-BIKI」の「就職先検索」にて、電子部品業界の企業が調べられます。検索方法は「就職先検索」の「業種から探す」を選択し「製造・機械」の「電気・電子機器」を選択しましょう。電子部品業界にはどのような企業があるのか確認でき、その企業へ就職している先輩の出身大学も調べられます。どのような大学・学部に行けばよいのかがわかり、具体的な進路がイメージできるはずです。

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