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製鉄会社の魅力はどのようなところ?主な職種とおすすめの学部

2024.05.09

カテゴリー:
溶鉱炉

「製鉄」と聞いて、鉄だけ作っていると思っていませんか?また、具体的にどのような鉄をつくるのかイメージできないのではないでしょうか。製鉄業界は、私たちの日常生活や産業界全体を支える重要な役割を担っています。鉄鋼製品は、建築から自動車、最先端の技術まで、あらゆる場所で使用されているんですよ!この記事では、将来製鉄業界で活躍したいと考えている高校生や中学生に向けて、製鉄業界の多彩な職種や業界で働くためにおすすめの学部、業界大手企業の魅力について紹介します!また、日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所など、国内の名だたる製鉄会社がどのように社会へ貢献しているのかや、技術や環境への取り組みについても解説します。

製鉄会社の魅力や代表的な企業の例

製鉄会社は、私たちの生活に必要なさまざまなものを作るうえで不可欠な”鉄”を作る会社です。そこで以下では、製鉄業界の特徴や魅力、代表的な企業例について詳しく解説します。

●製鉄会社とは
製鉄会社は、鉄を作っていろんな鋼材に加工している会社です!製鉄には、高炉と呼ばれる溶鉱炉で鉄鉱石を溶かして鋼鉄製品を作る製法と、人工的に放電させた放電熱で融解・成分調整・製鉄を行う電炉という製法が用いられます。高炉は一から鉄を作るので、品質が高いのが特徴です。鋼材とは、板、棒、管の形状に加工された建築・機械の材料を指します。その鋼材や鋼鉄を加工・製造し、家電製品や自動車、建物、さらには橋や道路などにさまざまなものに使用されています。
例えば、自動車に使われる鉄は、製鉄会社が鋼材を特定の形状や特性を持つように加工して提供されているんですよ。製鉄会社は、自動車メーカーが求める厳しい要件を満たす鋼材を提供するために、耐熱性や耐食性を持たせるための合金元素を加えた特殊鋼を開発しています。そして板状に加工された鋼材は、自動車メーカーに届けられます。自動車メーカーは、これらの鋼板をさらにプレス機で形を変えたり、溶接して車の部品やフレームにしたりしていくわけです。私たちがよく目にする製品はもちろん、身近な街並みまでもが、製鉄会社の作る鉄でできあがっている部分が大きいんですよ!製鉄会社は、高品質な鋼材で日本だけでなく世界の産業や経済を支える企業として日々活躍しています。たとえば、耐熱性や耐食性のある合金元素を加えた特殊鋼なども開発して、産業の発展に貢献しています!

製鉄会社の魅力

製鉄業界は、社会の大きな柱の一つ!製鉄業界があるからこそ、私たちの生活に欠かせない自動車や建物、橋が作られて、毎日がもっと便利で豊かなものになっています。そして、日本製鉄グループやJFEホールディングス、神戸製鋼所といった日本を代表する有名な製鉄会社は、ただ鉄を作っているだけではありません。これらの企業は世界最高レベルの技術で、社会の発展に貢献しています。例えば、建物や橋などに利用される鉄は、地震があっても倒れにくい特性を持つように製鉄技術を進歩させています。このように、お客様や社会に役立つ鉄製品を提供し続けることで、歴史と共に信用や信頼を大切に育んでいるのです。また、自動車に使われる鉄には、車を軽くして燃費を良くするための高強度鋼板を開発して提供しています。そのため、環境への負担を減らしつつ安全性を保つなど、私たちの日常生活の発展に貢献しているんですよ。製鉄業界は、技術革新の最前線で活躍し、地球や社会と共に生きる道を選ぶことに、大きな魅力がありますよ!

製鉄会社の代表的な企業の例

製鉄会社の技術の結晶であるアーチ橋


数ある製鉄会社の中でも、代表的なのが以下の5つの会社です。

日本製鉄株式会社
日本製鉄株式会社は創業から、建物や橋、高速鉄道から自動車まで、さまざまなところで使われる鋼材を作っています。特に自動車用の高強度鋼板の開発によって自動車の軽量化を進めているのが特徴です。高強度鋼板は、環境への負荷も抑えられるので、地球にも優しい会社なんです!さらに日本製鉄の技術を使って、40%も軽量化を実現させた業界最軽量のスチール缶を開発して、CO2排出量の削減につなげています。また、電磁鋼板という磁石の特性を活かした材料を用いて、風力発電機や電気を家庭に送るための変圧器、家庭用エアコンや冷蔵庫のモータなど、エネルギー分野や家電製品にも技術力を発揮して、私たちの毎日をもっと便利に、もっと快適にしてくれています。

JFEスチール株式会社
JFEスチール株式会社は、国内に2つの大きな製鉄所を持っていて、技術力は世界でもトップクラスです。JFEスチールの強みは、鉄鋼分野において世界最大級のスチール研究所があることです。世界最先端の技術とノウハウを活用して、鉄だけでなく、環境分野の研究開発にも力を入れています。また、JFEグループでは、エネルギーや社会インフラ、さらには船を作る事業にも力を入れています。世界中で活躍しているJFEスチールは、私たちの未来を形作る超重要な役割を担っているんですよ!

株式会社神戸製鋼所
神戸製鋼所は、多岐にわたる製品を提供する大手総合鋼材メーカーです。航空機や自動車、エネルギー関連の分野で使われる高品質な製品を製造しています。神戸製鋼所は鉄とアルミを製造している唯一のメーカーです。アルミ缶全体で国内の約30%以上のシェアを誇っていて、複雑な加工が求められるボトル缶材だと約70%のトップシェアに立っています。

大同特殊鋼株式会社
大同特殊鋼は、特殊鋼製品の製造を専業に100年以上の歴史がある企業です。特殊鋼は、強さや硬さ、錆びにくさなど特殊な性質を持った鋼のことで、構造用綱・工具鋼・その他特殊用途綱の3つに分類されます。大同特殊鋼は特殊鋼製造に長けており、その技術やノウハウを通じて自動車や工業機械に不可欠な部品の材料を提供しています。例えば、高音で摩耗しにくい特殊鋼の特性を活かして航空機のエンジン製造に使われたり、硬く変形しにくく摩耗しにくい特性を活かして、切削工具や金属の金型などに使われたりしているんです!

山陽特殊鋼株式会社
山陽特殊鋼は、自動車や産業機械用の特殊鋼製品を製造する企業です。山陽特殊鋼は、ニッケルやモリブデンなどの、元素を単独もしくは複合して含有して、強度や耐疲労性などに優れた特性を持つ機械構造用鋼の製造が有名です。山陽特殊鋼の機械構造用鋼は、高清浄度鋼製造技術を駆使して鋼材の中の非金属を少なくした高品質の製造方法を有しています。このような独自の技術開発により、高機能な鋼材を提供しており、多くの産業で重宝されています!中でも軸受鋼の生産では、国内No.1のシェアを誇ります。山陽特殊鋼は、品質と環境への配慮を大切にし、持続可能な製造活動を行っている環境に優しい企業です!

製鉄会社の職種

生産技術職による製鉄

製鉄業界では、鉄鋼製品の生産からその販売に至るまで、多様な専門職種が存在しています。以下では、製鉄業界でのキャリア形成を目指す方々に向けて、特に注目すべき職種を紹介します。

●原料購買
原料購買は、製鉄所の基盤を支える極めて重要な職種です。鉄鉱石や石炭といった、製鉄プロセスに不可欠な原材料をオーストラリアやブラジルなど世界各地から調達します。大手鉄鋼メーカーでは、最良の取引条件を探すために、綿密な市場の分析と細やかな価格交渉が求められるんです!原料購買の戦略は、製品の価格と会社の収益性に直接影響を及ぼします。つまり、原料購買の職種では、世界中の市場動向をしっかり分析し、最適な価格で質の高い原材料を確保するために、巧みな交渉を行うことが日々の仕事なんです。広い視野と優れた交渉能力、市場動向を正確に捉える分析力や相手との信頼関係を築きながら、お互いにとって良い合意点を見つける交渉力が必要とされています。

●研究開発
研究開発では、新しい鋼材の開発や既存製品の品質向上が主な目的です。自動車産業や建築業界など、多岐にわたるメーカー企業などのお客様の要求に合った特殊鋼や高強度鋼板の開発が行われます。例えば、低燃費の自動車開発をしたいメーカー向けに、高機能に仕上げた棒鋼や綿材の開発を行い低燃費化に貢献できるのが研究開発職です。また、持続可能な鉄の製造プロセスを追い求めながら、環境負荷の軽減に向けた技術開発も重要な役割を担っています。だからこそ研究開発では、創造性と深い技術的知識が求められるんです!

●生産技術
生産開発職は、高炉や製鋼設備、生産設備などのオペレーション業務を通して、鉄が出来上がるまでの過程で効率化できる部分がないか改善に焦点を当てた職種です。製造設備の運用改善や、コスト削減と品質向上の両立を目指す革新的なアプローチが求められます。生産技術の職では、技術的知識に加えて、生産にかかわる問題を発見して、解決へと導く能力が重要になるんですよ。

●生産管理
生産管理は、製鉄所での製造工程をスムーズに進めるための計画と管理を行います。以下のような製造工程によって、生産業務の進行の遅れや危機トラブルなどの生産の課題に対応します。

*生産スケジュールの策定
*原料の供給計画
*品質管理

組織的な計画立案と効果的なコミュニケーション能力が、生産管理の成功には不可欠ですよ。

●保全
保全は、高炉や転炉など製鉄所全体の機械設備が適した状態で稼働し続けるようにする職種です。製鉄所の機械に不具合が生じてしまうと鉄の生産がストップしてしまい、会社の売り上げに影響を及ぼしてしまいます。定期的なメンテナンスや迅速な修理を通して、製鉄設備の故障による鉄の生産が止まるのを最小限にとどめて、製造効率を維持するのが目標です。技術知識と緊急事態への対応能力が、保全という職種では求められます。実は製鉄業界において保全は、業界の持続的な成長に不可欠です。

●営業
製鉄業界における営業職は、ただ製品を販売するだけではありません。鋼材や特殊鋼、鉄鋼製品をはじめとする製品の販売を通して、顧客との橋渡し役としての重要な役割を担っています。営業職の人は、自動車産業や建築業界など、さまざまな産業に向けて、例えばコスト削減や環境負荷低減など付加価値のある製品を提案・提供して、工場で生産された鉄材などを販売する職種です。営業活動によって製品の新しい用途や市場を開拓することで、製鉄業界の可能性を広げて、国内外の産業発展に貢献しているんですよ!

製鉄会社で求められる人

製鉄所でつくられた大量の鉄のシート

製鉄業界は、日本経済の基盤を支える重要な産業のひとつです。製鉄業界で活躍するためには、特定の経験や資格が求められる場合が多く、また、特定の性格や能力を持つ人材が向いています。以下では、製鉄業界でのキャリアを目指す高校生や中学生に向けて、求められる経験や資格や向いている人の特徴、おすすめの学部について解説します。

求められる経験や資格

製鉄会社では、安全管理や品質管理に関する資格、プロジェクトマネジメントや生産管理に関する専門知識が重要視されます。製鉄業界は世界にも輸出していて国際的なビジネスも増えているので、英語をはじめとする外国語能力も有利に働きますよ。

製鉄会社に向いている人

製鉄業界は、新しい製造技術を世界も視野に入れて産業全体を引っ張っていく業界です。以下のような人はこの業界に向いていますよ。

創造性と革新性を持つ人
鉄は建築業や自動車・鉄道などの製造業など、多くの業界で必要な材料です。製鉄業界の製鉄技術の進化によって私たちの暮らしもより良くなってきました。そして、製鉄技術の進歩には、新しい製造技術や製品の開発が重要です。そのため、常に「より良い製品を、より環境に優しく」という考えを持つ人は、この業界を引っ張っていける素質があります!新しい鋼材の開発や省エネルギーの製造プロセスなど、革新的なアイデアを実現できるイメージ力と創造性は、製鉄業界で大きな成功を収めるために不可欠なんです。

強い責任感とリーダーシップを持つ人
製鉄工場で作られた鉄材は、自動車や道路、家電など私たちの日常的な生活で使われるため、製鉄業界では、製品の品質の高さと生産の安全を守ることが、最優先事項です!社会を支える製鉄に強い誇りと責任を持ち、安全で高品質な成果を出せるようにチームを導かなければなりません。そのためには、強いリーダーシップが求められます。安全基準を守り、高い品質を守ることに全力を尽くせる人材は、製鉄業界で高く評価されますよ!

技術的な問題解決が得意な人
鉄を作る製鉄プロセスには、多くの技術的な課題があります。特に高炉や電炉は製鉄業界で核となる機械であり高稼働な機械なので、設備の不具合や製造プロセスの改善など、日常的に発生する問題に対して効率的な解決策を見つけ出せる能力は、製鉄業界で非常に重宝されます。技術的な挑戦を楽しめる人にとって、製鉄業界は魅力的なフィールドなんです!

コミュニケーション能力が高い人
製鉄業界では、様々な部署や会社が協力して作業を進めます。例えば、研究開発や製造技術職と営業職がうまくコミュニケーションをとって連携すれば、メーカー企業などの需要に合わせた製品を的確に伝えるなどが可能ですよね。社内の他部署だけではなく、鉄を加工する会社や販売会社など他社との関わりも多くなることでしょう。そのため、異なる専門分野を持つメンバーや管理層と効果的に情報を共有して、協働で問題を解決できる力が求められます。個人で黙々と取り組むことよりも、コミュニケーションを取りながらチームで行う作業が得意な人に向いています。

環境への配慮に興味関心がある人
製鉄業界は、環境保護への取り組みも積極的に行っています。製鉄するにあたって、CO2排出は切っても切り離せない課題です。自然環境問題は世界的に注目されている中で、製鉄業界も、環境ほどへの興味関心を高く持っています。だからこそ、排出削減やエネルギー効率の改善など、持続可能な製造方法の開発に貢献できる人は、製鉄業界でとても価値があるんです!環境に配慮した製造プロセスを追い求める意識は、製鉄業界が社会的な責任を果たすうえで重要な素質なんですよ。

製鉄会社で働くためにおすすめの学科

製鉄業界に向いている女性

製鉄業界では、技術的な知識やスキルが高く評価されます。特に、以下のような専門分野の知識が必要になるケースが多く見受けられます!

*機械工学
*材料工学
*環境工学

製鉄業界で働くのに、おすすめの学科は主に3つです。工学部か、理工学部に多く設置されています。なぜおすすめなのか解説するとともに、おすすめの学科が設置されている大学を紹介します!

機械工学科
機械工学科は、製鉄業界で働くうえでとても重要な学問領域です。なぜなら、製鉄プロセスにはさまざまな機械が使われていて、その操作や保守、改善に深い知識が必要だからです。機械工学を学ぶと、製鉄所で使われる高炉や電炉(電気炉)などの機械の設計からメンテナンスまで、幅広い知識を身につけられますよ。

千葉工業大学 工学部 機械工学科

芝浦工業大学 工学部 機械工学課程

近畿大学 工学部 機械工学科

材料工学科
材料工学科では、金属やセラミックスなどの材料の性質や加工方法について学びます。製鉄業界では、高品質な鋼材を生産するために材料の特性を正確に理解して、材料に適した加工ができる知識が必要です。材料工学を専攻すれば、新しい鋼材の開発や既存の鋼材の品質改善に貢献できるようになりますよ。

九州大学 工学部 材料工学科

東京工業大学 物質理工学院

横浜国立大学 理工学部 機械・材料・海洋系学科

環境工学科
環境工学科は、製鉄業界での環境保護活動に貢献するためにおすすめの学科です。製鉄プロセスはエネルギーを多く消費してCO2を排出するため、環境に配慮した製造方法の開発が求められています。環境工学を学べば、製鉄業界の環境負荷を低減する技術や、持続可能な生産システムの構築に貢献できますよ。

大分大学 理工学部 理工学科

名古屋工業大学 工学部 生命・応用化学科 / 社会工学科

弘前大学 農学生命科学部 地域環境工学科

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