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研究者になるには?仕事内容や就職先・求められる能力について解説

2023.04.18

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高校生のみなさんの中には、「化学の授業で行う実験が好き」、「普段から興味のあることを研究するのが好き!」という理由から、研究者に興味を持っている人もいるかもしれません。

しかし、研究者が「何かを研究している人」というイメージはあっても、実際にどのような仕事をしている人なのか、イメージするのは難しいでしょう。

この記事では、研究者の仕事内容や就職先、求められる能力について、詳しく解説していきます。研究者の仕事に興味がある人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

研究者とは?

研究者として働く二人

研究者は、新しい技術や知識を発見するために研究を行う人のことです。研究分野は多岐にわたり、研究者は自分の専門分野を決めて、その分野に関わる研究を行います。実際にどのような仕事をする人なのか、技術者との違いと共に見ていきましょう。

研究者と技術者の違い

研究者と技術者は、どちらも新しい技術を生み出す職業であるため、違いがわかりづらいかもしれませんね。技術者は自分が取り扱う分野において、専門的な技術を持っており、研究者は専門的な知識を有しています。

研究者が専門分野で研究を行い、「新たな技術を発見する人」であるのに対し、技術者は「発見した技術を実践する人」です。つまり、研究者が生み出したものを実際に行うのが技術者ということです。技術者は、研究者が発見した技術や知識が実現できるのかどうか、実験を行います。

研究者と技術者の協力のうえで、生活を豊かにするための技術開発が行われているということですね。

研究者の仕事内容

研究者は、研究所や企業、大学などの研究部門で、新たな発見をするために研究活動を行います。研究者は、まだ発見されていない新しい知識や技術を見つけ、それを活用する方法を考えるのが仕事です。

研究する分野は、人文科学、社会科学、自然科学などさまざまな学問の中から、専門分野を取り扱います。研究者が取り扱う分野の中で多いのは、科学技術分野です。科学技術分野では、例えば病気を治すための新しい医療技術や食品加工技術などを研究します。

実験や調査を行い、新たな技術の開発や、既存の技術面の改善策などを考えて技術発展へとつなげます。研究で発見したことは、論文として世の中に発表し、その内容にもとづいて新しい製品が作られるという流れです。研究者が新たな技術を発見することで、人々の暮らしが便利になっていくのです。

研究者の仕事内容は、職場や研究する分野によって異なります。先程紹介した科学技術分野を研究する研究者でも、扱う分野は医学 、宇宙開発、工業技術、農業・食品技術というように研究分野は多岐にわたります。

医学の研究に興味がある人は、医者についての仕事内容や、学べる大学がわかるこちらの記事も参考にしてください。
https://www.gyakubiki.net/readings/employment/1345/

また、研究者の専門分野は理系分野だけではありません。経済研究、歴史研究、文学研究など文系のものもあります。文系分野を研究する研究者は、大学で働いている場合が多いようです。ひとつの分野を深く研究し、論文を書いて学術発表をしたり、大学教授として講義を行ったりすることもあります。

研究者のやりがい

研究者の大きなやりがいのひとつは、誰も見つけていない新しいものを発見することです。普通に生活している中では、私達は誰かが考えて生み出した既存のものを使っています。誰もが思い描いていないような物や技術を生み出すということは、簡単なものではありません。これまで見つからなかったものを見つけた時には、胸が踊るでしょう。

新たな製品を生み出すことにつながるような発見をすれば、それによって人の命が救われたり生活が豊かになったりするかもしれません。例えば、自動運転技術が発達し、除々に車の自動化が進んでいます。人や物を検知すると自動でブレーキがかかり、車が止まる機能が搭載されたことで、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故が減っているのです。人が操作しなくても、すべて車が自動で運転してくれる車も出始めています。

交通事故を減らせられれば、悲しむ人も減らせます。世の中をいい方向に変えられる手助けができるのが、研究者の仕事です。

研究者の研究結果は、すぐには結果が見えないこともありますが、自分の研究が何かの役に立つのだと実感できた時には大きなやりがいが感じられますよ。

ほかにも、歴史や経済などの文系分野での研究では、自分の発見によって歴史ががらりと変わることもあるでしょう。実際、長い年月をかけて鎌倉幕府の年号が1192年から1185年に変わったり、実在していたと思われていた人物が架空だったとわかったりと、日々新たな発見がされています。研究者の研究成果により、実際に教科書も書き換えられているんですよ。

研究者の論文によって、世の中は変化していきます。「社会をもっと豊かにしたい」「人に喜んでもらえるような仕事がしたい」という思いがある人は、研究者の仕事ではやりがいがたくさん感じられますよ。

研究者の想定年収

研究者の想定年収は、約713万円です。この年収の数字は、厚生労働省が行う「令和3年賃金構造基本統計調査」で行われた生命工学・病理学研究者 のデータに基づいています。ただし、研究者は職場や研究する専門分野によって年収が異なるため、あくまでもひとつの目安です。興味のある専門分野を研究する研究者や、就職する職場によって年収は大きく変わります。

研究者に求められる資質・能力

研究者に興味を持って勉強する学生

研究者は、新しい技術や知識を生み出す専門的な仕事です。そんな研究者には、どのような資質や能力が求められるのでしょうか?それぞれ詳しくお伝えしていきますね。

探究心・好奇心がある人

研究者に一番欠かせないのは、探究心と好奇心です。研究者は、新しい発見をするために研究テーマに基づいて、日々研究をしていきます。研究を重ねるためには、「知りたい」、「なぜそうなったんだろう?」と興味を持って、探究していく必要があります。

新しいものを発見するためには、あらゆる角度から自分の仮説を用いて研究していかなければなりません。自分が「こういう結果になるだろう」と立てた仮説が当たる時もあれば、外れる時もあるでしょう。そんな時に「思っていたのと違うから興味をなくした」と思ってしまう人や、「失敗したからもうやりたくない」と思う人は、研究者の仕事は辛く感じられるかもしれません。

反対に、「想定と違うものが出て面白い」、「どうしてそうなったのか、余計に研究したくなった」と思える人は、楽しんで研究をし続けられるでしょう。普段からさまざまなことに興味を持ち、わからないことや知らないことは調べずにいられない人は、研究者に向いていますよ。

根気がある人

研究者には、根気が必要です。なぜなら、ひとつのテーマを研究し始めても、すぐに結果が出るとは限らないからです。特に研究テーマが大きい時は、なかなか結果が出ずに、何度もあらゆる角度から研究を重ねなければならない時もあるでしょう。

そうした時に根気よく挑戦できる人は、研究者に向いています。何度もチャレンジを重ね、結果が出るまで辛抱強く我慢できる人は、研究を成し遂げられるでしょう。難しい問題にぶつかった時に「もういいや」「諦めた」と思ってしまう人は、研究者の仕事には向いていないかもしれません。

普段から、「結果が出るまで、とにかく頑張ってみよう!」と目標を達成するために頑張れる人は、研究者に向いています。高校生の今のうちから、わからないことや難しいことにも積極的にチャレンジし、調べながら「どうすれば解決できるだろうか?」と考えてみてください。そうした経験を重ねていけば、忍耐力が身につき根気ある人になれますよ。

論理的に考えられる人

研究者には、論理的に考えられる力が必要になります。なぜなら、研究を行う時には仮説を立てて、その仮説を裏付けるために必要な実験や調査を行い、仮説が正しいかどうかを研究していくからです。

論理的に考えられる人は、物事を結論と根拠にわけて整理し、つながりを捉えながら道筋を立てて考えていきます。研究を行ううえでは、効率よく進めるための方法を順序立てて考えていかなければなりません。がむしゃらに研究を行うだけでは、回り道をしてかえって時間がかかってしまいます。

論理的に考えられるようになれば「なぜそのような研究結果になってしまったのか?」を考えて解決する力が身につきます。また、複雑にからまった内容をわかりやすく説明する力もつけられるので、仲間と共有したり論文を書いたりする時にも役立つでしょう。

高校生の今のうちから、自分が知りたいことの研究テーマを決め、順序立てて論理的に考える練習をしてみてください。実際に研究したことを身近な人に話してみると、わかりやすく説明できているかどうか判断してもらいやすいですよ。

分析力

研究者には、分析力も必要です。分析力があれば、仮説に基づいて実験や調査を行った中で「なぜ、このような結果になったのか?」あらゆる角度から考えられます。分析力がなければ、目の前で起こった結果をそのまま受け止めるだけになります。

しかし、分析力のある人は、目の前に起こった結果を見て、「なぜその結果が起きたのか?」といった原因や要素を分析して、新しい情報を得られます。研究者は、さまざまな角度から起きた事象を分析していくことで、誰もが発見していないものを発見できるようになります。例えば、ニュートンはりんごが木から落ちる様子を見て、万有引力というものを発見しました。「りんごが木から落ちるのは、りんごが地球の引力によって引っ張られているからだ」と、物体と物体の間には引き付け合う力が働くことを発見したのです。

ニュートンが、りんごが落ちる様子をただ眺めているだけでは、万有引力の法則は見つけられなかったでしょう。このように、研究者には目の前で起きた出来事がなぜ起きたのか、細かく分析していく力が必要です。

英語力

研究者の仕事では、英語を使う機会があります。論文は世界に発表されるものもあるので、論文を読む時や書く時に英語を使う場面があります。研究分野によっては、論文作成が英語必須のところもあるでしょう。

また、企業によっては海外企業とやりとりをするところもあります。海外赴任を行うなど、グローバルな分野に直接携わるようなところでなければ、読み書きができる最低限の英語力があれば問題ありません。大学生のうちに、英語の読み書きができるくらいの英語力は備えておきたいですね。

研究者になるには?

大学で研究者の勉強をする学生

研究者の仕事内容や、研究になるために必要な能力についてお伝えしました。ここからは、研究者になる方法を紹介していきます。

研究者になる人の多くは、大学で研究したい分野についての知識を深めるのが一般的です。より専門的な研究を行いたい人は、大学を卒業して大学院へと進む人もいます。大学院には、5年制の博士課程のある大学院と、2年の修士課程と3年の博士課程にわかれた大学院があります。

大学や国の専門機関の研究者となる場合は、博士号取得が必須です。しかし、企業の研究者ならば、大卒や高専卒で働いている人もいます。まずは、自分が研究したい分野がある大学を目指し、大学在学中にその後の進路を考えていくのがよいでしょう。

研究者を目指せる学部

研究者になるには、どの大学や学部を目指すべきか?と悩んでいる人は多いでしょう。研究者になるなら「この大学を目指そう!」というものはありません。

なぜなら、研究者は自分の研究したい分野、好きな分野を追求していくからです。「この分野についてもっと研究したい!」と、自分が今思い描いている分野が学べる大学の中から選びましょう。

研究者を目指せる就職先

研究者を目指せる就職先は、大きく3つにわかれます。国が行っている公的研究機関、民間企業、大学です。それぞれ、どのように研究者として活躍できるのでしょうか。一つひとつ解説していきます。

・公的研究機関
理化学研究所や産業総合研究所などの大規模な研究開発法人や、特定の分野に特化した研究を行う少人数の組織など、国が行っている研究機関で研究者を目指せます。国の発展のための研究や、まだ見ぬものを追求していきます。

公的研究機関では、採用された後にポスドクとして2~3年の任期付きの研究員を経て、正規職員として雇われる場合がほとんどです。研究する分野が専門的な内容であるため、専攻や経験とマッチしているのか、じっくりと見極めるためにポスドクという制度が設けられています 。

また、希望する就職先が文部科学省、厚生労働省、農林水産省など、各省庁所轄の研究所の場合は、国家公務員試験を突破しなければなりません。これらの公的機関では、国家公務員として働くことになるからです。

国家公務員試験や、国家公務員について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
https://www.gyakubiki.net/readings/employment/924/

・民間企業
民間企業で研究者となる場合は、研究職を募集している企業に応募しましょう。公的研究機関とは異なり、採用されればすぐに研究者として働けます。

民間企業の研究職は、その企業の製品や技術開発のために研究を行います。多くの業界のメーカーが研究開発部門をもっており、研究者はそこで働くのが一般的です。主にあげられるのは、医薬品、食品、AI、自動運転な どです。

「自分が研究開発した製品や技術を世の中の人たちに使ってもらいたい!」、という人は民間企業の研究者を目指しましょう。

・大学
大学で研究者として働く場合は、専門分野の大学教員として働きます。学生たちに講義を行い、自身の研究分野を深めていきます。文化系の研究を行いたい人は、大学教員として働く人がほとんどです。大学も公的研究機関と同じく、はじめはポスドクとして働きます。

その後、助教、講師、准教授 、教授とキャリアアップしていくのが一般的な流れです。しかし、助教になれるのは100人の1人と言われるほど狭き門といわれています。

研究者のキャリアプラン

大学で研究者として働く場合は、教授になって独立する方法が考えられます。自分の好きな研究を行っていきたいのであれば、大学教員になってからも勉強と努力を重ねる必要があるでしょう。

民間企業の研究者として働く人のキャリアプランは、大きくわけて2つあります。管理職にステップアップするか、研究者として研究をし続けるかです。ずっと研究をし続けたい人は、生涯現役の研究者を貫く道もあります。

また、民間企業の研究者として働いた後に、大学に戻る人もいます。自分の専門分野の大学教員のポスト募集があり、条件を満たせば大学教員に転身することもできるのです。研究者には、さまざまな活躍の仕方がありますね。

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研究者の仕事内容や求められる能力、研究になるための方法についてお伝えしてきました。研究者に憧れている人は、ぜひ高校生の今のうちから積極的に情報収集してみてくださいね。

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