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社長になるための道のりや大学選びは?求められる資質や能力と共に解説

2023.04.19

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高校生のみなさんの中には、「社長になってみたい!」と憧れている人もいるかと思います。なかには、「お金持ちになれるから!」という理由でなりたい人もいるかもしれませんね。

しかし、社長が実際どのような仕事をしているのか、どのような道のりで社長になれるのか?イメージできない部分があるでしょう。この記事では、そんな高校生のみなさんに社長になるための道のりや大学、求められるものについてお伝えしていきますね。

社長とは?

社長とは、会社の代表者として会社経営を行う人のことです。高校生のみなさんは、「社長」と聞くと、「偉い人」「責任があって大変そう」 というイメージがあっても、実際どのような仕事をする人なのか、何をしている人なのか想像しづらいですよね。

社長の仕事は、会社をあるべき方向に導くことです。会社がどのような方向を目指していくのか、事業として何をしていくのかを考え、そのために動いていきます。大きな規模の会社であれば、会社経営を行う立場の人たちと話し合いながら会社の方向性を決める場合もあります。

ベンチャー企業 や中小企業など、社長が社員たちと一緒に働く小さな規模の会社であれば、社員と一緒に実務を行う場合もあるんですよ。ベンチャー企業とは、成長過程にある企業のことをいいます。社員は100名以下の規模の会社がほとんどです。ベンチャー企業の社長は、1から自分で会社を立ち上げて社員を雇っている人がほとんどです。会社のトップであるため社長といわれますが、自ら起業して会社を立ち上げているため、起業家とも呼ばれます。起業家と社長の違いや、起業家について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてくださいね。
https://www.gyakubiki.net/readings/employment/1443/

それでは実際、社長はどのような仕事を行うのでしょうか?仕事内容について詳しく紹介していきますね。

社長の仕事内容

社長の仕事内容は、会社の運営のために必要なことばかりです。会社のトップとして、最終的な決定権を持つため、大きな決断をする機会がたくさんあります。一社員では関わることのない仕事内容ばかりなので、一つひとつ解説していきますね。

・経営方針を決める
会社の経営方針を決めるのは、社長に任せられた大切な役目です。経営方針とは、会社がどのような方向性の事業を行っていくのかがわかるように、事業内容や、それを遂行するための計画を表したものです。例えば、飲食店を経営する会社であれば、「老若男女に楽しんでもらえる、気軽に来店できるお店にする」というような方向性を決め、そのためには「カジュアルなレストランにする」「従業員の接客は親しみやすくする」というように、方向性に伴った事業内容を決めていきます。

経営方針を固めると、それに向かってどのような業務を行っていくのか、目標が明確になりますね。会社の目指す道が決まれば、会社で働く社員たちの目指す方向性も決まります。また、経営方針を決めると、売上目標やそれを達成するための事業計画も明確になります。社長が会社を導いていくためにも、大切な業務です。

・対外的な業務を行う
社長は会社のトップとして立つため、その企業の顔として活動をします。銀行からの資金繰りを行う時や、大切な取引先の重役と会う時など、会社外部の人の対応も積極的に行います。そのため、大手企業の社長でも、大事な商談の場には社長が赴くこともあるんですよ。

社長自らが取引先や新規営業先に赴くこともあります。中小企業やベンチャー企業では、営業活動が生命線となります。まずは会社のことを知ってもらう必要があるため、営業マンではなく、社長自らが営業の最前線に立ち、大手企業会社との契約を交わすのです。

・資金繰り・資金調達を行う
社長の仕事には、資金繰りや資金調達を行うというものがあります。資金繰りとは、会社の資金がどのように動いているのかを管理することです。会社を運営するために必要となる資金を管理しなければ、資金不足になった時にすぐに対応できません。

資金繰りがうまくいかない状態が続くと、社員に支払う給料が不足したり、取引先への支払いが滞ったりする可能性があります。そうした事態を避けるために、社長は会社の収入と支出の管理を行い、資金が不足してしまった場合には資金調達を行います。

資金調達では、銀行や信用金庫からお金を借りるのが一般的な方法です。ただし、会社に信用がなければお金は借りられません。資金調達ばかりを行う赤字の状態が続くと、銀行や信用金庫からお金が借りられなくなります。そうなると、倒産してしまう事態にもなりかねません。そのため、社長には資金繰りを適切に行う、計画を持ってお金を管理する能力が必要なのです。

・労働環境を整えて社員を育成する
会社を大きくしていくためには、社員の力が欠かせません。社長一人だけが頑張っても、会社の事業目標を達成するのは難しいでしょう。そのため、社員たちが働きやすいように労働環境を整えて、スキルアップできるような環境作りが求められます。

そのひとつが、社員の教育・研修です。新入社員の研修や、適宜勉強の機会を設けるなど、スキルアップできる機会を用意するのも社長の仕事のひとつです。実際に教育や研修を行うのは人事部署に携わる人が行うことが多いですが、教育内容やその体制作りには社長も関わります。

ほかにも、社員が働きやすい環境を整えるために、社員の生の声を聞くのも大切な仕事です。中小企業やベンチャー企業では、社長と社員の距離が近いため、社員の声を反映させて労働環境を整えている会社もあります。働きやすい環境の職場ができれば、長く働いてくれる社員が増え、教育制度でスキルアップを重ねて優秀な社員が育つでしょう。社員を育てられれば、会社の売上に貢献してもらえるので、会社の発展につながります。

補足が欲しい
実際のところ、労働環境の整え方は会社によって異なるため、社長が行う仕事内容も変わってきます。それによって、社長がどこまで社員の教育や採用に携わるかも変わるものです。どのような関わり方でも、社長は会社が潰れないように経営し、発展させていくために行動しています。

社長のやりがい

社長になると、会社のトップだからこそ経験できることがたくさんあります。社長に憧れる人の中には、地位や名誉、報酬の高さなどの条件面ばかりに目が向く人もいるでしょう。確かに、それらも社長になったからこそ得られるものではあります。しかし、条件面をやりがいにしていると、社長業の大変さに潰れてしまいやすいです。

会社のトップに立ち会社を動かしていくのは、大きな責任とプレッシャーが伴うものです。特に自分で会社を立ち上げた場合は、最初のうちは上手くいかずに赤字が続くこともあります。大きな企業の社長に就任できても、それまでの会社の歴史を崩すわけにはいかないので、重い責任がのしかかります。

そんな社長のやりがいは、自身の会社で定めた企業理念にもとづいて行動し、それが達成できた時です。企業理念とは、「なぜこの企業を経営しているのか」企業のあり方を示したものです。それに基づいて経営方針や目的が定められています。

例えば、日本航空 では「お客様に最高のサービスを」という企業理念を掲げています。そのために、企業価値を高め、社会の進捗発展に貢献していくことが日本航空の目的です。

ほかにも、アマゾン では「お客様を起点に」という企業理念のもと、地球上で最もお客様を大切にする企業、そして地球上で最高の雇用主となり、地球上で最も安全な職場を提供することを目指しています。

このように、社長のやりがいは会社によって異なるものです。会社ごとに目指している方向性ややりがいが異なるので、「社長はこれを達成するのがやりがいだ!」と決まったものはありません。

また、大洞印刷株式会社 が掲げる経営理念「ここで働くすべての人とその家族が幸せになるために」というように、従業員や家族の生活を第一に考えている社長もいます。社長にとって売上を上げて会社を大きくするのは大事なことではありますが、それよりも身近な人を守り、取引先や株主からの信頼を受け、会社のサービスを求めてくれるお客様に貢献することの方がやりがいにつながります。地位や名誉、お金を稼ぐことだけがやりがいにはならないということですね。

社長の想定年収

社長の仕事に興味を持っている人の中には、「とにかくお金持ちになりたいから、社長を目指したい!」という人もいるかもしれません。そんな社長の気になる年収を紹介します。

一般財団法人労務行政研究所の「2021年役員報酬・賞与等の最新実態」 の調査によると、企業の社長を行っている人の年収は、会社の規模によって以下のような結果が出ています。

  • 1,000人以上の会社の社長:年収6,771万円
  • 300~999人の会社の社長:年収4,410万円
  • 300人未満の会社の社長:年収3,295万円

1,000人以上の大手企業の社長は、なんと年収6,771万円もの報酬に達するそうです。大手企業になると抱える従業員の数や、サービスの提供数などが異なるため、その分責任が大きくなります。それに見合うように、年収も高いということですね。

社長に必要な資質と能力

オフィスで働く社長

社長の仕事内容や、社長の想定年収について解説しました。社長の想定年収を見て、「やっぱり社長になって稼ぎたい!」と目を輝かせている高校生もいるかと思います。

ここからは、社長に必要な資質と能力についてお伝えしますね。稼げる金額が大きい仕事だからこそ、社長に求められるものはたくさんあります。社長を目指したい人は、これから紹介する能力を身につけられるように頑張りましょうね。

社長に必要な能力

社長は会社経営を行っていくために、さまざまな能力が必要です。会社の規模や経営する会社の分野によって必要な能力は異なりますが、ここでは社長全般に必要な能力に焦点を当てて解説していきますね。

・経営力
社長として会社を経営していくためには、経営力は欠かせない能力です。会社の全体像を把握し、会社を成長させるためには何が必要なのか考える力が求められます。社長の仕事内容でも伝えたような、経営方針をもとに「今、会社に改善すべきポイントはあるか?」「社員は問題なく働けているか?」「事業の目標を達成するためには何が必要か」というように多角的な目線で会社について考えていく力が必要です。

そのためには、経営の知識が欠かせません。日本の中小企業の生存率は低いといわれており、幻冬舎が調べた中小企業庁のデータ にもとづいた統計では、1年で約3割、3~5年で4~6割の企業が廃業に追い込まれているという事態が明らかになっています。倒産理由の1位は資金がなくなってしまうことです。資金がなくなると事業が回らなくなるため、資金がなくならないように上手く経営していく力が必要になります。社長を目指すならば、大学で正しい経営の知識と能力を身に着けておきたいですね。

・財務管理力
社長にはお金を管理する能力も必要です。資金繰りや資金調達を行うように、社長は会社のお金を把握し、適切なタイミングで使い、上手く資金を回していく必要があります。

基本的に会社の収支の把握や管理は、経理担当者が行いますが、社長が会社の財務状況を把握しておかなければ、事業を成長していくための計画が立てづらいです。専門的な会計の知識を習得する必要はありませんが、お金を管理できるくらい数字に強い人が求められます。

・マーケティング力
社長には、サービスや商品を売る仕組みを作るために必要な、マーケティング力が求められることがあります。マーケティングに関する知識や能力があれば、商品を魅力的に見せられ、どのような人がその商品を求めているのかがわかります。

どのような商品が求められているか把握できるようになれば、売れる商品やサービスが作れるようになるでしょう。売上を上げるためには、マーケティングへの知識が欠かせません。

高校生の今のうちから、SNSで流行っている商品やお店などを見て、「なぜこれは流行っているのだろうか?」「自分だったら、この商品をどうやって広めるだろうか?」といった視点で考えてみてください。マーケティングと聞くと難しく感じられますが、みんなが欲しいもの、みんなの求めるものを考えることがマーケティング力を高めることにつながりますよ。

・営業力
会社によっては、社長が営業を行う機会もあります。そうした場面では、社長にも営業力が求められます。相手が求めていることを把握して、それを解決するための提案をするのが営業です。

相手の悩みや求めていることがどこにあるのかを把握する力と、提案力が必要になります。大学で営業現場での基礎知識やビジネスマナーなどを身につけておくと、いざ営業が必要になった時に対応できる人になれますよ。

社長に求められる資質

社長に必要な能力についてお伝えしました。ここでは、社長に求められる資質について紹介します。どのような人が社長に向いているのか、自分と照らし合わせながら読んでみてくださいね。

・社会を変えたい思いがある
社長は、会社の経営理念を掲げて、それを達成するために事業を行っていくというお話をしました。社長が会社を経営していくのは、自分の会社が社会に貢献することによって叶えたい思いがあるからです。

例えば、ボードウォーク・キャピタル株式会社 の社長は「世界が驚くようなグローバル企業を、日本から創出させたい」という思いを掲げています。

今の世の中や社会を見て、「こういう社会を実現したい!」「こういう人たちをサポートできる世の中にしたい」といった思いがある人は、社長に向いているでしょう。あなたが社長になったら、どのように貢献し、何を実現したいですか?高校生の今のうちから考えてみると、世の中の見方も変わってくるかもしれませんね。

・自己責任で考えられる人
社長は会社の最終決定健を持つ人です。会社で何か問題が起きた時や、失敗してしまった時に「社員が勝手にやったことだから」「社長の私は関係ない」と考えるような人は、社長に向いていないでしょう。

例えば、部活でチームメイトが失敗した時に、「あいつが失敗したのが悪い」と考えてしまう人は、責任転嫁をするくせがつきがちです。反対に、自分以外の誰かが失敗しても、「あの子が失敗しないようにする方法はないかな?」「自分には何かできないかな?」と考えられる人は、自己責任で物事が考えられる人です。

普段から、自分や友達ができなかったことや、失敗してしまったことを改善しようと考えられる人は、社長に向いていますよ。何事にも責任感を持って、行動できるようにしておくといいですね。

・決断力がある
社長は会社の最終決定権 を持つ人です。社長の決断によって、会社全体の動きが決まります。そのため、社長には決断力が求められます。「やろうと思っているけれど、後回しでいいか」と考えていると、ライバル企業に先を越されてしまうかもしれません。タイミングを逃して、せっかく考えた商品やサービスが台無しになることもあるでしょう。

そのような自体にならないために、「いつまでにこれをしよう!」と決断をして、行動できる力が必要です。優柔不断な人には、社長は難しいかもしれませんね。

社長になるための勉強ができる大学・学部

社長になるための勉強をする学生たち

社長になるためには、経営力・財務力・マーケティング力・営業力が必要だとお伝えしました。これらの能力を身につけられる大学・学部に進学するのが、社長になる近道です。

実際、社長として活躍している先輩たちが学んでいた学部は、「経済学部」「経営学部」「商学部」が多いようです。これらの学部・学科を選ぶとよいのではないでしょうか。

例えば、経営をメインに学べる四国大学の「経営情報学部」では、仕事の現場から直接学べる機会があります。2年生では企業見学、3年生ではインターシップと15人の社長から直に学ぶ「社長塾」を備えています。大学生のうちから現場を実際に経験できるので、実践的な力が身につけられるでしょう。

参考までに、株式会社帝国データバンクが調べた「2019年全国社長出身大学分析 」結果を見てみると、卒業後社長となっている人の総数が多い大学がランキング形式で発表されています。

  1. 日本大学:2万741人
  2. 慶應義塾大学:1万669人
  3. 早稲田大学:1万84人
  4. 明治大学:8697人
  5. 中央大学:7528 人

ランキングの結果は上記のようになっています。ただし、このランキングはその年度によって順位の変動があります。大学の規模や生徒の総人数の多さも関係してくるところなので、こちらはひとつの参考程度に見てくださいね。

社長になるための道のり

フランチャイズでお店を開いた社長

ここまで、社長の仕事内容や社長になるための勉強ができる大学について紹介してきました。それでは、実際に社長になるためには、どのような道のりを歩めばよいのでしょうか?社長になるための4つの道のりを紹介します。

チェーン店やフランチャイズのオーナーになる

社長になるための1つ目の方法は、すでにチェーン展開しているお店のフランチャイズオーナーになることです。フランチャイズオーナーになれる代表的なものは、コンビニエンスストアか飲食店業界です。

フランチャイズのオーナーになれば、すでに成功しているビジネスモデルのノウハウが学べます。フランチャイズ展開している本部と、加盟店として契約をするため、自分の会社を持つわけではありません。しかし、お店を経営するために自分で経営戦略を立て、運営していくという点では会社の社長と同じです。

会社で昇進を重ねて社長になる

2つ目の方法は、会社に社員として所属した後に、昇進を重ねて社長になる道です。この方法は、さまざまな経験を積んだうえで社長になれるので、経験豊富な社長となれるでしょう。その会社のことを把握できているのも、ひとつの強みとなります。

また、取引先との関係がすでに作られていたり、会社の知名度があったりと、会社の基盤が できています。これまで一緒に働いてきた優秀な社員も引き継げるので、安心した状態で社長になれるでしょう。

ただし、社員から社長になるのは難易度が高い方法でもあります。実際、会社に長く勤めて 昇進できたからといって、必ず社長にまで上り詰められるとは限りません。まわりよりも大きな成果を上げ、まずは経営メンバーとして社長に近づくことを目指すとよいでしょう。

M&Aで会社を購入する

3つ目の方法は、M&Aで会社を購入する方法です。M&Aとは、会社を合併・買収するという意味をもちます。企業が行うのが基本的なので、実際に社長を目指して行う方法として選ぶ人は少ないです。しかし、個人でも会社を購入できるため、その会社の資産や従業員も同時に手にできる方法です。

ただし、M&Aで会社を購入するには、数千万円の資金が必要です。購入する場合は、会社選びと社長としての能力が問われるでしょう。

起業して自分の会社を作る

社長になるには、起業して自分の会社を立ち上げる方法もあります。ベンチャー企業の社長は起業家ともいわれると前述しました。最近では、学生起業家もいるくらい会社を自分で立ち上げることが一般的な方法になってきましたね。

起業は、法務局で設立登記を行い、法人設立届出書の提出や各種手続きを行えば、法律上は誰でも会社が作れます。しかし、ただ会社を立ち上げればいいというものではありません。それぞれの会社の社長が企業理念にもとづいて行動しているとお伝えしたように、起業した後に、会社で実現したかったことや、やりたかったことができなければ不完全燃焼となるでしょう。

社長になりたいあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!

社長の仕事内容と、社長になるための道のりがわかりましたね。「自分も社長になりたい!」「社長になるための勉強が知りたい」と思った人は、高校生の今のうちから情報収集しておきましょう。好奇心を持って気になることを調べていけば、社長に向いている人に近づけるかもしれませんよ。

まずは、「JOB-BIKI」の人物検索で「経営者」 と検索してみると、ダイキンの社長「十河政則さん」や、伊藤ハムの社長「柴山育朗さん」など、さまざまな会社の社長の出身大学が見られますよ。先輩の出身大学から、社長になるための道のりを参考にしてくださいね。

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