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彫金師になるには?仕事内容ややりがい、年収や必要な資格を解説

2023.07.14

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彫金師の手元

彫金師は、金属をつかってアクセサリーや工芸品、建物の装飾品などをつくる職人です。自分でつくったアクセサリーを露店などで販売している人もいるので、見かけたことがあるという人もいるでしょう。

この記事では彫金師の仕事内容や年収、彫金師になるための具体的な方法についてまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

彫金師とは?

彫金師は、金属をつかってアクセサリーや工芸品、建物の装飾品などをつくる専門家のことです。金・銀・銅・プラチナなど、それぞれの金属の特徴を活かし、専門的な技術で彫る仕事です。

「彫金(ちょうきん)」とは本来、「タガネ」と呼ばれる工具を用いて金属の表面を彫る技術そのものを意味します。近年ではアクセサリーやジュエリーをつくる技術全般を彫金と呼ぶようになりました。

彫金師とジュエリー職人、ジュエリーデザイナーの違い

彫金師はアクセサリーやジュエリーをつくる職人ですが、彫金という名前の意味するとおり金属全般が対象なので、建物の装飾品なども手がけることがあります。

一方ジュエリー職人はジュエリー専門の職人、ジュエリーデザイナーはジュエリー製作に関するデザイン画を作成する人で、基本的にジュエリー以外は専門外です。

ジュエリーデザイナーについてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事も読んでみてください。
ジュエリーデザイナーになるには?仕事内容や必要な資質・能力を紹介

彫金師の仕事内容

仏壇や仏具をつくるのも彫金師の仕事

彫金師の仕事は、主に下記の3つです。

● ジュエリーやアクセサリー、建物の金属製装飾品の製作
● ジュエリーやアクセサリーなどの修理
● 彫金教室の講師

ジュエリー製作において彫金師が関わるのはヤスリがけやロウ付け、石留めなど、ジュエリーを彩る金属部分の加工です。本来は「飾り職」と呼ばれる職人の仕事でしたが、現在ではすべて「彫金」とひとくくりにして、彫金教室などで学ぶ内容に含まれています。

また、仏壇や仏具につかわれる装飾用金具をつくるのも彫金師の仕事で、仏壇・仏具の世界においては「錺金具師(かざりかなぐし)」と呼ばれています。

彫金師の仕事のやりがい

彫金師の仕事は、基本的にお客様の依頼を受けておこないます。そのため、自分のつくったものでお客様に喜んでもらえたときにやりがいを感じられるでしょう。

特に彫金師は結婚指輪など、お客様の大事なライフイベントに用いられるアクセサリーやジュエリーの製作を手がけることも多いです。お客様の要望を聞き、要望以上のものをつくって喜ばれたときの達成感は、彫金師ならではのやりがいといえます。

また、彫金師は仏壇や仏具の装飾部分なども担当します。結婚指輪や仏壇・仏具など、お客様の人生にずっと寄り添えるものに自分が携われたという喜び、自分の手がけたものが形に残る喜びを感じられるでしょう。

彫金師の仕事の流れ

彫金師の仕事の流れは、何をつくるかによって変わります。ここではあくまでも一例ですが、アクセサリーを彫金するときの手順を簡単にご紹介します。

1.素材を切り出す
金属の中から素材を決め、カットします。素材を決めるときは金属の特性を考え、つくりたいものに適した素材を選びます。

2.焼き鈍し(やきなまし)
「焼き鈍し(焼鈍/やきなまし)」は、バナーをつかって金属素材を赤くなるまで熱する工程です。硬い状態の金属を熱によって緩めて、自由に形を変えられるようにやわらかくします。

3.成形
やわらかくなった金属素材を、希望の形に成形します。金属同士をつなぎ合わせるときは、断面がぴったりと合うように成形します。断面が合わずに隙間が広く空いてしまうと、次の「ロウ着け」でつなぎ目が目立ってしまいます。

4.ロウ着け
金属素材をつなぎ合わせた部分を溶接する工程を「ロウ着け」といいます。ロウをバナーで溶かしながらつなぎ目に流し込んでいき、水に入れて急速に冷やします。

5.サイズ出し
ロウ着けによってつなぎ目からはみ出したロウをやすりで削っていく工程です。そのあと金属を型にはめ、木槌で叩いて形の歪みを直していきます。

6.磨きをかける
金属を磨く専用の磨き材(コンパウンド)を使用し、金属に磨きをかけていきます。ぬるま湯と洗剤といった身近なものでも研磨していきます。

7.彫り留め
装飾が必要な場合は「彫り留め」をおこないます。彫り留めは主に金属の土台にダイヤモンドなどの石を埋め込む作業で、石の数が多いほど時間はかかりますが、石を維持するために大切な作業です。

8.模様彫り
熟練した職人は、金属に直接模様を彫りこむ「模様彫り」の工程もおこないます。繊細で美しい模様を彫りこんでいく作業は、限られた彫金師のみができる匠の技です。

彫金師の年収

彫金師の平均年収は、300~400万円です。厚生労働省の調査では彫金師も含む貴金属装身具製作の仕事の平均年収は390.1万円です。メーカー勤務で月収20万円程度、工場などでアルバイトからスタートすると時給1,000~2,000円となることが多いようです。

彫金師に必要な資質と能力

彫金中の彫金師

彫金師の仕事は細かく繊細な作業が多いので、集中力がある人や体力に自信がある人に向いています。基本的に先輩職人から学ぶことで仕事の質を高めることができるので、先輩から素直に学ぼうという謙虚な性格の人も彫金師に向いているといえるでしょう。

また、すべての仕事において大切ではありますが、責任感のある人に向いています。お客様の要望に合わせたデザインや細工を施す必要があるので、自分のやり方にこだわらず仕事をやり遂げることにこだわりを持てる資質が求められます。

彫金師になるための方法とは?

アクセサリーづくりに取り組む彫金師

彫金師になるために、必要な資格はありません。学歴もあまり問われない仕事ですが、彫金について独学で学ぶのは限度があるため、職人に弟子入りするか、きちんと設備や学ぶ環境が整った大学や専門学校に入学するのがおすすめです。

彫金師の世界の現状

彫金師が活躍する貴金属業界は、原材料の高騰が続くため不況に陥っているといわれています。しかしアクセサリーやジュエリー、仏具などはもともと高級品であり必要な人は購入します。また趣味としてアクセサリーづくりは需要が高まっているため、教室を開くなど活躍の幅を広げることもできるでしょう。

彫金師になるための勉強ができる大学・学部

彫金師に必要なことを勉強するには、彫金や彫刻が学べる学科やコースが設置されている大学を選ぶと良いでしょう。

日本で彫金・彫刻が学べる大学は数が限られており、下記の9大学のみです。

● 京都美術工芸大学(芸術学部 デザイン・工芸学科)
● 武蔵野美術大学(造形学部 彫刻学科)
● 秋田公立美術大学(美術学部)
● 日本大学(芸術学部 美術学科 彫刻コース<地域芸術専攻>)
● 名古屋芸術大学(芸術学部 芸術学科 美術領域 工芸コース)
● 文星芸術大学(美術学部 総合造形専攻/デザイン専攻)
● 多摩美術大学(美術学部 彫刻学科)
● 崇城大学(芸術学部 美術学科)
● 大阪芸術大学(芸術学部 工芸学科 金属工芸コース)

どの大学も彫金の作業などができる環境が整っているので、通いやすさや大学の雰囲気なども含め、逆引き大学辞典で詳しく調べてみてくださいね。

彫金師に必要な資格や受験すべき試験

彫金師になるために必要な資格は特にありません。彫金師としての活動の幅を広げたいという場合は、下記のような資格を取得すると良いでしょう。

貴金属装身具製作技能士
貴金属装身具製作技能士は、貴金属や宝石類を扱うジュエリー製作に求められる知識や技術において一定以上のレベルであることを示す技能検定資格です。1〜3級の等級があり、学科試験と実技試験があります。

受験するにはジュエリー製作の実務経験があることと、専門学校で関連学科を受講していることが条件になります。

ジュエリーコーディネーター
ジュエリーの歴史や製造、販売やコーディネートに関する知識を問われる資格です。一般社団法人日本ジュエリー協会がおこなう試験で、1〜3級の等級があります。1級はジュエリーの店舗経営ができるほどの高度な知識が試されます。

シルバージュエリー検定
シルバーアクセサリーの加工技術や知識を評価する検定です。検定を実施しているNPO法人宝石宝飾教育振興会はジュエリーに関する検定試験を多くおこなっているので、資格を取得してジュエリーに特化した彫金師を目指すという道もあるでしょう。

彫金師になるために目指すべき就職先

彫金師の主な就職先は、アクセサリーメーカーや宝飾・貴金属店がメインです。伝統工芸品の彫金師になる場合は、工房に弟子入りしたり彫金師のアシスタントになったりして経験を積みます。中にはネットショップを開業し、自分のつくったアクセサリーを販売する道に進む人もいます。

彫金師になった後のキャリアプラン

彫金師としてアクセサリーメーカーなどの企業に就職した場合は、社内で昇進するか転職して技術の幅を広げることでキャリアアップが期待できます。

会社の枠にとらわれず、自分の努力次第でスキルアップ・収入アップしたいという人は、独立して自分の工房を持つという道もあります。また、彫金教室の講師として次世代に技術や知識を伝えていくなど、彫金師としての活躍の幅を広げる人もいます。

彫金師を「JOB-BIKI」で検索しよう

彫金師は金属をつかって装飾品をつくる、日本の伝統工芸を受け継ぐ職人仕事です。集中力や忍耐力が求められますが、お客様の要望に沿った作品をつくれたときの喜びや、自分が好きなことに没頭できる楽しみを感じられる仕事といえるでしょう。彫金師になるには資格は不要ですが、大学で彫金の基礎知識や技術を学んでおくと彫金師の職に就きやすく、仕事の幅も広がるのでおすすめです。

彫金師に興味のある人は、「JOB-BIKI」の就職先検索で「貴金属」「ジュエリー」などのキーワードで検索してみてください。彫金師が就職できるアクセサリーメーカーや貴金属店を見つけることができ、就職した人の出身大学を知ることができますよ。ぜひ活用してみてくださいね。

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