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公認会計士とは?仕事内容や年収、公認会計士試験について解説

2023.09.06

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オフィスでほほえむ公認会計士

公認会計士は、企業がお金をどう使っているかを見守る専門家です。お金の状態や取引の詳細を調査して、間違いがないか確認し、不正やミスがあれば、修正を促す役割もあります。公認会計士は、企業やお店が健全に成長するために大切な役割を果たすのです。
この記事では、公認会計士の仕事内容や現実的な働き方、なるための方法を紹介します。公認会計士に求められる資質や能力についても解説するので、参考にしてくださいね。

公認会計士とは?

公認会計士は、会計や財務に関する専門家で、企業の監査が主な仕事です。監査とは、企業が作成した財務情報が正しいかチェックすることです。財務情報とは、企業の収入や支出、資産と負債などの情報を指します。家庭でたとえると、給料が収入、食費や光熱費などの生活にかかるお金が支出です。貯金や投資は資産、ローンは負債になります。家庭でいう家計簿が、財務情報というわけです。

会計の専門知識であり第三者である公認会計士がチェックすることで「この企業の財務情報は正しいです」と保証できるわけです。株式市場に参加する大企業は、必ず監査を受ける義務があると証券取引法で決められています。監査を受けた企業だからこそ、投資家も信用して財産を投下できるのです。

公認会計士の主な仕事は監査ですが、ほかにも多くのキャリアプランがあります。ほかのキャリアプランの例は、以下の「公認会計士の仕事内容」で詳しく説明しています。

公認会計士と税理士の違い

公認会計士も税理士も、お金や経済のエキスパートです。公認会計士は企業のお金まわりを確認し、監査報告書を作るのが主な仕事です。税理士は、個人や企業の税金を計算して申告書を作成します。驚くことに、公認会計士は登録を行えば税理士としても活動できます。これは、公認会計士の知識が税金にも通じているからです。

公認会計士は企業の財務全般と経営をサポートし、税理士は税金関連のアドバイスと手続きを担当するといった違いがあります。

公認会計士の仕事内容

公認会計士の仕事内容は大きくわけて以下の4つです。

  • 監査業務
  • 税務業務
  • コンサルティング
  • 企業の会計業務

公認会計士の仕事内容は大きくわけて以下の4つです。基本的な業務である監査業務に加え、税務業務、コンサルティング、企業の会計業務を行う場合もあります。


監査業務

公認会計士の監査業務は、企業の財務情報を調査し、正確性と信頼性を確保する仕事です。監査の結果を監査報告書にまとめて提出します。投資家や利害関係者に信頼性のある情報を提供し、透明性を保つ重要な役割を果たします。

税務業務

公認会計士の資格を取得していれば、必要な登録を行うことで税理士として働くこともできます。税務業務は、企業や個人の税金関連のアドバイスや申告書の作成を担当する仕事です。税に関する制度の見直しは毎年行われるため、そのときどきに最適な税務戦略の提供が求められます。

コンサルティング

公認会計士の中には、コンサルタントとして企業をサポートする人もいます。コンサルタントは、企業の経営課題や戦略に関するアドバイスを提供する仕事です。財務諸表の分析やアドバイスを行う会計コンサルタントや経営全体の戦略を練る戦略コンサルタントなどがあります。

企業の会計業務

ハイレベルな会計知識を活かし、一般企業の会計業務を行う公認会計士もいます。子会社や海外に支社のある企業は、経理業務が複雑になる傾向があり、即戦力として働けるスキルのある人を求めています。公認会計士は、難関である公認会計士試験を通過し、監査法人で身につけたノウハウをもった人材として重宝されるわけです。

公認会計士の仕事のやりがい

企業の監査に向かう公認会計士

公認会計士の仕事のやりがいには、以下のようなものが挙げられます。

・社会の公正な経済活動に貢献できる
公認会計士の主な仕事である「監査」は、会社がお金のやり取りをする際の記録や報告が正しいかどうかを確かめるものです。監査は、企業の経済活動が公正で信頼性のあるものとなるようサポートする仕事なので、経済の健全な成長を支える役割があります。

・多様な働き方ができる
公認会計士の働き方や仕事内容は幅広いため、自分に合った選択をすれば、やりがいを感じることができます。登録さえすれば税理士や行政書士として働くこともできますし、企業のコンサルタントや会計業務などの道もあります。

・社会的地位と収入が高い
公認会計士の資格は、医師や弁護士と並ぶ「三大国家資格」と言われています。とくに監査業務は、公認会計士のみが行える独占業務なので、誇りをもって働けるでしょう。また、公認会計士の平均年収は700万円~1,500万円と高いのも魅力です。年齢に応じて増加する傾向にあるため、収入面もやりがいを感じられる要因となりそうです。

公認会計士の仕事の流れ

公認会計士の仕事は幅広く仕事内容によって異なります。ここでは監査を行う組織である「監査法人で働く公認会計士」の一般的な1日のスケジュール例を紹介します。監査法人のクライアントは監査を希望する企業で、依頼がきてから仕事が始まります。

時間業務詳しい業務内容
8:30出勤・メールの確認や日程調整 ・クライアントとの打ち合わせ資料を準備
9:30クライアント企業へ訪問・打ち合わせ・経理担当者と監査の打ち合わせ(必要書類の提出依頼等)
11:30昼食休憩 
12:30資料作成・書類チェック・企業から提出された請求書や領収書、帳簿のチェック
16:30チームで打ち合わせ・監査チームでその日の成果を共有
17:30クライアントへの連絡・クライアントに必要書類の提出を依頼、疑問点を質問
18:00退社・明日のスケジュールを確認し、必要な準備を整えて退勤する

1日の仕事の流れは会計監査の時期かそうでないかで大きく異なります。会計監査の時期は上記のようにクライアントの会社に出向き、1日中監査業務を行うことが一般的です。

公認会計士の年収

公認会計士の平均年齢は42.2歳で、平均年収は746.6万円です。日本の平均年収が450万円程度なので、非常に高いことがわかります。

厚生労働省の「公認会計士の年齢別の年収データ」によると、公認会計士の年齢別の平均年収は以下のとおりです。

公認会計士の年齢別の年収データ

引用:公認会計士の年齢別の年収データ(厚生労働省職業情報提供サイト)

上の図から、年齢別の平均年収をまとめました。

年齢平均年収
20代500~600万円
30~40代600~800万円
40~50代800~1,000万円

公認会計士の専門知識は、勤務年数が経過するに従って蓄積されていくため、「年齢」よりもむしろ「経験年数」が重要な評価基準になります。早く合格して年数を積めば積むほど高収入を得られます。

公認会計士の将来性

公認会計士の仕事は景気の動向に関わらず、需要のある仕事です。たとえば、株式市場に参加する企業は、必ず公認会計士による監査を受けることが義務づけられています。そのため、会社がある限り公認会計士の仕事がなくなることはないでしょう。

また、税制の複雑性や変更により、専門知識の豊富な公認会計士による税務アドバイスが求められる機会も増えています。

さらに、グローバル化に伴い、各企業で国際会計基準の理解や適用が重要化しているため、公認会計士の需要は今後ますます高まると言えるでしょう。

公認会計士に向いている人

監査に必要な書類

公認会計士に向いている人の特徴は、以下の3つです。

  • 学び続ける姿勢と柔軟な対応力
  • 正確でスピーディーな事務処理能力
  • 提案力・プレゼンテーション能力

学び続ける姿勢と柔軟な対応力

公認会計士は、クライアントや企業のニーズに合った会計処理やアドバイスを行います。そのため、財務諸表や税務などの会計関連の専門知識などを深く理解しておく必要があります。また、法令や規制の変更に対応するため、常に勉強する姿勢が必要です。

正確でスピーディーな事務処理能力

監査業務は、正確性とスピード感が求められる仕事です。監査には提出期限があるため、限られた時間の中で書類のチェックを行い、不備や問題点がないか洗い出す必要があります。また、監査業務のデータ処理や分析などは電卓ではなくさまざまなシステムを使うため、PCスキルやITスキルも求められます。

提案力プレゼンテーション能力

コンサルタントとして働く公認会計士は、企業の経営層にアドバイスをし、意思決定をサポートします。そのため、クライアントのニーズを把握し、適切な戦略や解決策を提案する力が必要です。また、提案を分かりやすく伝えるプレゼンテーションスキルも求められます。

公認会計士になるための方法とは?

公認会計士の勉強ができるキャンパス

公認会計士になる流れは以下の図の通りです。

公認会計士になるステップ

引用:職業情報提供サイト(厚生労働省)

まずは、公認会計士国家資格合格する必要があります。

試験合格後は2年以上の実務補助の経験が必要です。実務経験を積むために、通常は、監査法人に就職し、そこで専門的な実務研修を受けて所定の単位を取得します。そして、日本公認会計士協会が実施する修了考査に合格後、名簿に登録すれば、公認会計士としての資格を取得できる流れです。

公認会計士になるための勉強ができる大学・学部

公認会計士になるためには「公認会計士国家試験」に合格する必要があります。受験資格に制限はなく誰でも受験可能ですが、合格率は例年10%前後と非常に難易度が高いため、公認会計士を養成する大学で学ぶことをおすすめします。

以下は、公認会計士になるための勉強ができる大学や学部・学科の一例です。

経営学部や商学部では、会計学や経済学などの専門知識を深く学べるため、試験や現場で役に立つでしょう。

公認会計士に必要な資格や受験すべき試験

公認会計士になるためには「公認会計士国家試験」に合格する必要があります。受験資格に制限はなく、だれでも受験可能です。試験の内容は、以下の通りで、一次試験合格者のみ二次試験に進めます。

 短答式試験(一次試験)論文式試験(二次試験)
実施時期12月・5月(年2回)8月(年1回)
試験形式マークシート論述式筆記試験

公認会計士試験の難易度

公認会計士は、医師や弁護士と並んで三大国家資格と言われており非常に難しい試験と言えます。

公認会計士国家試験の合格率は毎年10%前後です。ちなみに令和4年度の合格率は7.7%でした。

令和4年度の合格者の平均年齢は24.4歳で、合格者の44.1%が現役大学生であることが分かっています。

参考:令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について(金融庁)

参考:令和5年公認会計士試験合格者調(金融庁)

公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間

公認会計士に必要な勉強時間は、およそ3000時間と言われています。1年で合格しようと思えば、1日につき約10時間の勉強時間が必要です。

合格者の2人に1人が学生であるのは、社会人に比べてまとまった勉強時間を確保しやすいからかもしれません。

公認会計士の主な就職先

空を見上げる公認会計士

公認会計士の資格を取得した後は、監査法人に就職し実務経験を積むのが一般的です。その後は、そのまま監査法人に所属する道もあれば、以下のようなキャリアが考えられます。

  • 税理士法人
  • 公認会計士事務所
  • コンサルティング会社
  • 一般企業

税理士法人

税理士法人とは、税理士たちが集まって運営する法人です。クライアントに対して税金に関するアドバイスやサポートを行います。税理士法人に勤務する公認会計士は、監査は行わず税務業務のみを行います。

公認会計士事務所

監査法人で経験を積んだ後、公認会計士事務所を設立する人もいます。監査法人から依頼されて、監査業務の支援をすることもあれば、税理士として登録し、税金に関する専門知識を活かして活動することもあります。

コンサルティング会社

会計の知識を活かして、会計分野のコンサルタントとして活躍する道もあります。企業や組織に対して、経営戦略や成長戦略に関するアドバイスを提供したり、財務データを分析し、収益改善やコスト削減の提案を行ったりします。

一般企業

一般企業に勤める公認会計士もいます。経理・財務部門や監査室のマネージャークラスや最高財務責任者のようなポジションで採用されることが多いようです。

(まとめ)公認会計士を「JOB-BIKI」で検索しよう

公認会計士は、社会の公正な経済活動に貢献できる魅力的な仕事です。試験は難関ですが、合格すれば公認会計士としてだけでなく、税理士やコンサルタントなど、自分に合ったさまざまなキャリアを築けるチャンスもあります。

公認会計士になるためにどのような大学を選べばいいのか迷っている方は「JOB-BIKI」を活用してみてください。「JOB-BIKI」の就職先検索で「監査法人」と検索すると、公認会計士が所属する監査法人へ就職している大学がわかります。また、「JOB-BIKI」の人物検索で「公認会計士」と検索すると、公認会計士として活躍し有名になった人たちの出身大学がわかります。ぜひ、進路選びの参考にしてくださいね。

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