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学習成績概評とは?評定平均値との関係やランクを上げるための対策

2023.01.31

カテゴリー:
定期テストで100点をとって喜ぶ高校生

「学習成績概評」という言葉をご存じでしょうか?学習成績概評とは、学校推薦型選抜や総合型選抜で出願条件や合否の判断材料とされる評価指標。高校1、2年生の段階だと、まだよく知らない人もいるかもしれませんね。
この記事では、学習成績概評の目的と計算方法、学習成績概評が足りないときに起きることのほか、学習成績概評を上げるための対策について紹介します。高校1、2年生の皆さんは、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

学習成績概評は評定平均値をA~Eの5段階で示したもの

学習成績概評とは、大学受験時に提出する「調査書」の記載項目のひとつです。調査書は、在学中の高校で発行され、生徒一人ひとりの個人情報や高校での出欠記録、学業成績などが書かれています。調査書の学習記録欄にある項目が、「各教科・科目等の学習の記録」や「全体の学習成績の状況」、そして「学習成績概評」です。

■調査書の様式例

出典:文部科学省「令和5年度大学入試者選抜実施要項」((2022年6月)

高校1年生から高校3年生1学期まで(過年度生は高校3年生3学期まで)の定期テストの点数や授業態度などからつけられた学業成績(評定)の平均値が、評定平均値となっています。学習成績概評は、その評定平均値をA~Eの5段階でわかりやすく示したものです。
学習成績概評の成績段階は、評定平均値によって、下記のように定められています。

■評定平均値と学習成績概評の関係

全体の学習成績の状況(評定平均値)学習成績概評
5.0~4.3A
4.2~3.5B
3.4~2.7C
2.6~1.9D
1.8以下E

調査書の学習成績概評欄には、対象生徒の成績段階だけでなく、A段階からE段階のそれぞれに当該高校の生徒が何人いるのかを記載することになっています。これによって大学側は、対象生徒は在籍する高校でどのレベルにいるのかを把握できるのです。

■学習成績概評の成績段階別人数

出典:文部科学省「令和5年度大学入試者選抜実施要項」(2022年6月)

学習成績概評のマルAとは?

学習成績概評には、A段階のさらに上に「マルA」があります。これは、高校の校長が、調査書の学習成績概評でA段階と評価した生徒のうち、人物と学力ともに特に優れている場合に「マルA(◯の中にAを記載)」と表記できる仕組みです。
マルAをつける場合、「備考」欄に理由を記載して、大学にどのような点が優れているのかを伝えることになっています。しかし、マルAが記載される例は少ないともいわれ、国の有識者会議では廃止に向けての議論もされているようです。

学習成績概評の出し方

高校の成績表


学習成績概評は、大学受験において重要なものですが、どのように導き出されるのでしょうか?
学習成績概評は、評定平均値をもとにランク分けされます。評定平均値は、高校1年生から高校3年生1学期までの全科目の評定(5段階)を足し、すべての科目数で割って導き出します。計算値の小数点以下第2位は四捨五入し、「4.0」や「4.2」などと表記されます。
ある高校1年生の生徒の成績を例として計算すると、下記のようになります。

■高校1年生時点の評定平均値の計算例

教科科目評定
国語国語総合4
社会世界史A3
社会日本史A3
社会現代社会3
数学数学I2
数学数学A3
理科物理基礎3
理科化学基礎3
理科生物基礎4
保健体育体育4
外国語コミュニケーション英語I4
外国語英語表現II4
情報社会と情報3
  43

すべての評定を足すと43です。科目数の13で割ると43÷13=3.3076…なので、この生徒の評定平均値は3.3、学習成績概評にあてはめるとC段階となるのです。

また、学校推薦型選抜や総合型選抜においては、特定教科の評定平均値を出願条件とするケースや、特定教科の評定平均値によって合否を判断するケースがあります。
教科別の評定平均値の計算方法も、同様に「科目ごとの評定の合計÷科目数」で導き出すことができるので確認しておいてください。

■特定教科(数学)の評定平均値の計算例

 高校1年生高校2年生高校3年生
数学I4  
数学II 5 
数学III  3
数学A5  
数学B 4 
数学C  3

この生徒の場合は、すべての評定を足すと24で、科目数の6で割ると24÷6=4。なので、数学の評定平均値は4.0となり、学習成績概評ではB段階となるのです。

学習成績概評が足りないときに起きること

学習成績概評のことで悩む受験生

 
大学受験では、学力試験を中心に合否を判定する一般選抜以外に、「学校推薦型選抜」と「総合型選抜」があります。
学校推薦型選抜のうち「指定校推薦」では、学習成績概評(あるいは評定平均値)が大学への出願条件となるほか、高校の校内選考において、学習成績概評や部活動・課外活動の実績などから総合的に判断されます。仮に、学習成績概評が低いと校内選考で漏れてしまったり、大学に出願できなかったりするのです。
また、人物評価によって合否判断する総合型選抜でも、一定以上の評定平均値を出願条件として指定したり、書類選考時に学習成績概評を参考にしたりする大学が増えています。総合型選抜合格者に大学教育を受けられる学力が備わっているかどうか、文部科学省が大学側に入試段階でチェックを求めるようになったためです。

学習成績概評を上げるための対策

友人と楽しく勉強する高校生

 
学校推薦型選抜の合否判断において重要な基準となる学習成績概評(あるいは評定平均値)。いざ志望校に出願する際に、ランクが満たない(あるいは評定平均値が足りない)場合があります。
ここでは、高校1、2年生から学習成績概評を上げていくための対策を紹介します。

高校1年生から学習成績概評を見据えた定期テスト対策をする

学習成績概評を上げるためには、高校1年生から定期テストでコンスタントに高得点を取ることが最も重要です。

まず学習成績概評のベースとなる評定平均値は、高校1年生から高校3年生1学期までの学業成績が対象です。このうち、評定平均値の対象期間の定期テストは、合計12回しかありません。高校3年生1学期になってからの2回のテストでいかにがんばっても、挽回は難しいのが実情です。
受験時の選択肢をキープするためにも、高校1年生1学期から定期テストで各科目の成績を上げることに注力して、できる限り評定平均値を高くするようにしましょう。

体育や音楽などの副教科でカバーして学習成績概評を上げる

学習成績概評は、すべての科目が対象となっています。一般選抜受験を考える人は、定期テストでは、受験でも使うことになる主要5教科の国語、数学、英語、理科、社会に力を入れるでしょう。
しかし、学力成績概評を高く保つには、体育や音楽、美術などの副教科の成績にも注力する必要があります。

一般的に受験で使う主要5教科に比べると、副教科の対策は手薄になりがち。しかし副教科に対しても時間を惜しまず、しっかり定期テスト対策をするようにしてください。また、副教科は実技も評価されるので、授業にもしっかり力を注ぐようにしましょう。これが、結果的に学習成績概評対策になるのです。

学期単位でカバーして学習成績概評を高く保つ

仮に、高校1年生2学期の2回の定期テストで低い点数を取ってしまっても、落ち込む必要はありません。評定平均値は「平均」なので、失った点数を次回以降の定期テストで挽回できれば問題ないのです。定期テストは1年間(3学期制)だと、概ね5回。単発ではなく年間の平均点が高くなるよう心掛けて勉強すれば、評定平均値はおのずと高水準に保てるでしょう。

学校推薦型選抜や総合型選抜受験に向けて学習成績概評を意識しよう

学習成績概評は、学校推薦型選抜や総合型選抜において重要な要素です。高校3年生になってからでは時間的に挽回は難しいかもしれません。高校1、2年生から定期テストで高得点を上げられるよう、こつこつ努力しましょう!そうすれば、きっと未来の選択肢が増えていくはずです。
「学校推薦型選抜や総合型選抜の仕組みがよくわからない」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。

学校推薦型選抜とは?公募・指定校推薦、総合型選抜との違いを解説

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