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指定校推薦とは?入試内容や受験のメリット、受験対策など解説

2023.01.31

カテゴリー:
指定校推薦の入試合格を喜ぶ女子高生

「指定校推薦」とは、学校推薦型選抜の一種で、志望する大学に向けて高校から推薦してもらう入試方式です。とはいえ、皆さんは同じ学校推薦型選抜の「公募推薦」や、総合型選抜との違いなどを説明できるでしょうか?
この記事では、指定校推薦の内容や公募推薦との違いのほか、指定校推薦のメリット・デメリット、受験時の対策などについてご紹介します。

指定校推薦とは大学側が指定した高校に優秀な生徒を推薦してもらう入試

指定校推薦とは、学校推薦型選抜のひとつです。学校推薦型選抜には、大きく分けて「指定校推薦」と「公募推薦」という2種類がありますが、いずれも高校の学校長が大学に向けて生徒を推薦する入試方式です。

指定校推薦は、大学側が「指定した高校」に1~3人程度の推薦枠を設け、大学入学を希望する優秀な生徒を高校側から推薦します。校内選考の上で学校長に推薦された生徒のみが、その大学へ出願できる仕組みです。
指定校推薦は高校と大学との信頼関係や実績によって成り立つもので、指定校推薦の合格率はほぼ100%とされています。合格発表が12月と一般選抜よりも早いこともあって、確実に志望校に受かりたい受験生に高い人気を誇る入試方法なのです。

公募推薦との違い

同じ学校推薦型選抜のうち公募推薦は、大学側から高校の指定がありません。つまり、どの高校に在籍していても、高校の学校長からの推薦書があれば受験できる入試制度です。
在籍高校からの推薦を得た全国の受験生と競わなければならないため、指定校推薦に比べて合格率は下がります。

指定校推薦で大学受験するための条件

部活動に打ち込む高校生

 
指定校推薦で大学受験するためには、高校の推薦を得なければ出願さえできないので注意が必要です。ここでは、指定校推薦に出願するためにどのような条件があるのか解説します。

出願条件となる評定平均値をクリアしている

指定校推薦では、大学への出願条件を「評定平均値4.0以上」といったように、指定するケースがほとんどです。
評定平均値とは、高校1年生から高校3年生1学期までの学業成績の平均値であり、生徒の学習成績の状況のこと。つまり、指定校推薦に出願するには、高校に入学してから、年5回程度行われる定期テストでずっと高得点を取り続ける必要があります。

高校の校内選考で選ばれて学校長の推薦を得る

指定校推薦の出願希望者が多いときには、高校内で校内選考が行われます。校内選考では、評定平均値のほかに、部活動・課外活動での実績や、出欠席の日数などを踏まえて総合的に評価されます。選ばれた生徒のみが、学校長からの推薦を得ることができるのです。

人気が高く、校内での応募者が多い大学・学部だと、校内選考の段階で選ばれないことも。そうなると、出願することさえできません。
指定校推薦の出願を考えているなら、評定平均値を高くキープするほか、授業に臨む態度や生活態度、学校外でのボランティア活動の取り組みなども意識しながら高校生活を送ることが重要です。

指定校推薦による大学受験のメリット

悩む高校生

指定校推薦という入試制度を使って大学受験することで、いくつかのメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

一般選抜で受けるレベル以上の大学に受かることもある

指定校推薦は、出願条件を満たして高校の推薦を得れば、合格率は非常に高いもの。面接や小論文などの試験はありますが、いわゆるペーパーテストはないことがほとんどです。高校生活で定期テストはもちろん、受験科目以外のテストや提出物、校内の委員会活動などをがんばって、求められた評定平均値をクリアできれば、自分の学力より受験偏差値としては高い大学に合格する可能性があります。

一方で、学力試験の1回勝負の一般選抜では、受験日当日の出来がすべて。志望校の出題レベルが自分の持つ学力以上だったり、1点でも足りなかったりすれば、当然不合格になってしまいます。それに比べてリスクが少ないことも、指定校推薦のメリットといえるでしょう。

選考期間が約1ヵ月と短く、早期に終了する

ほとんどの指定校推薦は、大学への出願後、面接や小論文などの試験が10〜11月に実施され、12月には合格発表があります。つまり、試験から合格発表まで約1ヵ月という短さなのです。
また、年明けの2〜3月に試験や合格発表が行われる一般選抜に比べれば、指定校推薦は早い時期に実施日程が組まれているのが特徴です。指定校推薦で合格すれば一般選抜で受験する生徒と比べて早い段階で受験のプレッシャーから解放され、のびのびと自分の好きな勉強や活動に打ち込めるようになりますよ!

不合格になった志望校に、一般選抜で再チャレンジできる

指定校推薦は「ほぼ100%受かる」といわれるほど合格率が高い入試方式です。しかし、仮に出願書類に不備があったり、受験当日に遅刻や欠席したりした場合は、志望校の合格切符を得られない可能性もゼロではありません。
しかし、そのように不合格になった場合でも、志望校の一般選抜で再チャレンジが可能です。その理由は、指定校推薦の合格発表は12月がほとんどで、1月からの一般選抜の出願に間に合うからです。志望校にトライする数が他人より多く得られるというのは、うれしいメリットですよね。

指定校推薦による大学受験のデメリット

 
指定校推薦ならではのメリットはありますが、指定校推薦によるデメリットもいくつかあります。出願や合格してから後悔しないよう、しっかり確認しておいてくださいね。

校内選考のハードルは高い

高校で示される指定校推薦枠は、大学・学部・学科ごとで定員1~3人のケースがほとんどです。人気がある大学・学部は申し込む生徒が多く、その定員を超えてしまうことも。
申込み者多数のときには、校内選考によって推薦者を決定します。高校ごとに校内選考の基準は異なりますが、一般的に評定平均値や部活動・課外活動の実績、出欠席の日数などで判断することが多いもの。
指定校推薦に申し込むのは定期テスト上位だったり、部活動で活躍したりしたといった優秀な生徒が多く、推薦枠を得るハードルは高くなりがちです。

合格したら入学辞退も併願もできない

指定校推薦は、「専願」とする大学がほとんどです。専願とは、合格したら必ず入学することを前提に受験することを指します。指定校推薦においては、合格をもらったら他大学への併願受験ができないのです。
また、大学と高校の信頼関係にもとづく入試制度なので、合格した時点で辞退ができません。よほどの理由があれば合格後辞退も不可能ではありませんが、その代わり、次年度から母校の指定校推薦の枠がなくなるおそれがあります。

合格後に「自分が学びたいことがなかった」と辞退するようなことにならないよう、そして高校の先生や後輩たちに迷惑をかけないため、指定校推薦の受験校が「何を学べるのか」「自分が学びたいことが勉強できるか」をしっかりリサーチしてから、受験するかどうかを決めてくださいね。

一般選抜合格者との学力差を埋める努力が必要

指定校推薦を含む学校推薦型選抜は12月頃に合格発表があり、一般選抜よりも早期に進学先が決まります。12月以降は、受験勉強をする必要はなくなります。
ただし、勉強を急にしなくなる一方で、一般選抜を受験した生徒は、遅ければ3月まで勉強を続けています。もしかすると大学入学時点で、両合格者のあいだに学力差が生じてしまうことも。
大学合格はゴールではありません。大切なのは大学入学後の継続的な学びです。指定校推薦合格後も自分なりの勉強を続けたり、勉強する習慣をなくさないようにしたりする努力が必要です。

指定校推薦の入試内容

指定校推薦の入試は、どのように行われているのでしょうか。ここでは、指定校推薦の入試における出願条件のほか、募集期間・試験日程、試験内容について解説します。

指定校推薦の出願条件

指定校推薦の出願においては、高校での学業成績の「評定平均値」が条件になることがほとんどです。評定平均値は高校1年生と高校2年生の学業成績が大部分を占めるため、高校入学から授業や定期テストに前向きに取り組み、定期テストではできるだけ高得点を得るようにしたいところですね。

求められる評定平均値は、大学によって異なりますが3.5~4.0、難関校では4.5以上に指定されることも。また、大学・学部によっては、全体の評定平均値だけでなく、例えば理学部化学科なら、理科や数学など、特定教科の評定平均値も出願条件となります。

指定校推薦の募集期間・試験日程

指定校推薦のスケジュールとしては、大学が6〜8月に願書を配布開始し、高校では10月までに校内選考で推薦者が決定するのが一般的です。推薦された生徒は11月1日以降に出願、その後に試験を受けることとなります。なお、文部科学省によって、「合格発表は12月1日以降の一般選抜試験期日の10日前まで」と定められています。
高校や大学・学部によって、校内選考期間や出願期間、試験日程は異なるため、あらかじめ要項をチェックしておきましょう!

指定校推薦の試験内容

指定校推薦では、調査書や推薦書、志望理由書などを用いた書類選考のほか、面接や小論文が課されることがほとんどです。しかし、プレゼンテーションや学力検査、大学入学共通テストを課す大学・学部もあるので出願前に調べておきたいところ。
試験内容は大学によってさまざまで、6〜8月には試験内容が明らかになるので、志望校のウェブサイトなどをチェックしておいてください。

指定校推薦の受験対策

協議する校長と教員

指定校推薦の受験においてのハードルは、校内選考で勝ち残ることと、大学で行われる試験で合格することです。続いては、指定校推薦で受験する際の対策をご紹介します。

校内選考の対策

大学・学部の推薦枠に対して希望者多数の際に行われる校内選考の対策は、次のようなことが挙げられます。

・高校入学から評定平均値を高く保つ
指定校推薦のための校内選考では、いかに高い評定平均値で臨めるかが重要といえます。それは、出願条件として評定平均値を4.0以上とする大学が多いからです。
評定平均値は高校1年生と高校2年生の成績に大きく左右されるほか、国語・数学・理科・社会・英語の主要5教科だけでなく体育や音楽などの副教科も対象です。
校内推薦獲得を目指すには、高校に入学してから全教科・科目をまんべんなく、定期テストや授業姿勢・態度に高い意識を持って臨み、評定平均値を高く保つようにしたいですね。

・部活動や課外活動で実績を上げる
校内選考で評定平均値のほかに参考とされるのが、部活動や課外活動の実績です。仮に、1つの推薦枠に評定平均値4.2の生徒が2人応募したとき、部活動や課外活動の実績が優れているほうが評価される傾向があります。
「高校1年生のときには部活動をあまりしなかった」という人は、例えば高校2年生から生徒会活動に参加してみるなど、高校生活の中で意識的に活動するのをオススメします。

・出欠席の日数に注意する
大学によっては、出願条件において出席日数◯日以上(欠席日数◯日以内)といったような指定をされることがあります。また、高校によって「欠席日数◯日以上の生徒は推薦しない」という決まりがあるケースも。
持病による通院など、理由のある欠席や遅刻であれば問題ありませんが、特に理由のない欠席・遅刻が多いと不利になる傾向です。健康管理や通学に対する姿勢に注意が必要です。

指定校推薦の入試対策

学校長の推薦を得て大学・学部に出願し、受験する際の対策には、次のようなことが挙げられます。

・志望理由書や自己推薦書を書く際は、大学・学部をよく調べる
多くの指定校推薦においては、志望理由書や自己推薦書などに「どうしてこの大学・学部に入学したいか」を記載する必要があります。なぜなら、大学側は、「入学後に何がしたいのか」「なぜ本学で学びたいのか」を知りたいと考えているからです。
志望理由を書くときには、大学のウェブサイトで大学・学部の特徴を把握すること。その上で、自分が高校で学んだことやそこで得た問題意識を踏まえ、大学・学部に魅力を感じた理由や、大学で何を学びたいか、将来どんな職業で社会に貢献したいのかを明確に表現しましょう!

・面接で話すときは書類に書いたことと自分をリンクさせる
指定校推薦の入試における面接では、大学・学部に入学したい理由や、高校生活でがんばったこと、大学で学びたいことをよく聞かれます。スムーズに話せるようにするのも重要ですが、その前によく自己分析をしておきたいところ。自分自身の性格や志望動機をしっかり準備せずに面接に臨むと、答えに矛盾が生じたり、きちんと熱意が伝わらなかったりするおそれがあります。
なお、面接の質問内容は、大学・学部によって異なります。指定校推薦の場合、高校で過去に受験した先輩の面接内容が残されていることが多いはず。それをもとに、高校の先生と面接練習を繰り返しておいてくださいね。

・小論文は3段構成で論理的に書くのに慣れておく
指定校推薦の入試で課される小論文は、「序論」「本論」「結論」の3段構成で書くのが一般的です。注意したいのは、思いついたまますぐに書き始めないこと。まずは箇条書きにして構成すると、論理的な文章になりやすくなります。序論がテーマや設問に沿った内容であるようにすること、本論では根拠や要因を的確に説明することがポイントです。
ただし、小論文は書かなければ上達しません。高校や塾の先生に添削してもらいながら、小論文を書く練習をすると本番でもスムーズに書けるでしょう。

指定校推薦で受験したい大学を「JOB-BIKI」で調べておこう

学校推薦型選抜の中で指定校推薦は、早く確実に進路が決められるため、受験生には人気の入試方式です。ただし、入学してからミスマッチが起きないようにするためには、大学・学部で何を学べるのか、自分の求める学びがあるのか、将来なりたい職業になれるかなどをしっかり調べてから出願してくださいね。

なりたい職業から大学・学部を検索できる「JOB-BIKI」を使って、指定校推薦で受験を考えている大学について調べてみましょう!
ちなみに、「学校推薦型選抜と総合型選抜の違いがよくわからない」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。

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