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統計学とは?データ分析との違いや学べる学部、活用できる職業を解説

2023.09.11

カテゴリー:
データを分析して未来を予測

高校生の皆さんの中には、統計学と聞くと「難しそう…」「縁がない」と思う人もいるのかもしれませんね。しかし、天気予報や学力試験の偏差値、テレビの視聴率は統計学によって算出されたもの。実は、私たちの身の回りで多く活用されているのです。

本記事では、データ分析との違いなどから統計学とは何かを解説し、統計学の活用事例や種類について紹介します。統計学を学べる学部、活用できる職業などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

統計学とはデータを分析して特徴を知り未来の予測に役立てる学問

統計学とはデータを分析して、データ全体の特徴を理解したり未来の予測に役立てたりする学問です。集まったデータから、規則性や不規則性を導き出す学問といわれることもあります。

高校生の皆さんの中には、「統計学には縁がない」と思っている人もいるかもしれません。しかし、私たちの生活には、さまざまな分野で統計学が活用されているのです。例えば、学内テストなどでクラスごとに教科別の平均点を出して比べることも、データから特徴を理解するという統計学の一例です。また、天気予報も、統計学によって過去のデータから温度や降水確率を予測しています。
現代は情報社会といわれ、膨大なデータがあふれていますが、データがどれだけたくさんあってもそのままでは意味を持ちません。そこで、統計学を使ってデータを分析してその特徴を解釈すると、予測を立てることが可能になるのです。

統計学と似た言葉として「データ分析」「データサイエンス」があります。これらは「データを扱う」という点では共通していますが、下記のように意味が異なります。

<データサイエンスとデータ分析の意味>
・データサイエンス:データを使って価値のある情報を導くアプローチのこと。そのために、データ分析の結果を活用する。
・データ分析:膨大なデータを整理・分析して知見を得ること。データ分析の手法のひとつが統計学で、ほかにも情報科学なども利用される。

つまり、データサイエンスとはデータ分析を活用して問題解決する手法のことで、データ分析とは広い意味で統計学などを用いてデータを分析することをいうのです。

統計学が活用されている事例

統計学は天気予報に活用されている

統計学は、私たちの日々の生活のさまざまな場面で活用されています。特に身近な例としては、下記の3つの場面を挙げることができるでしょう。

学力試験

高校生の皆さんがこれから受験する大学入試や模試にも、統計学が活用されています。模試を受けると、成績表には点数だけでなく、偏差値や大学入学共通テストの推定得点が載っているのではないでしょうか。

偏差値は、「正規分布」という統計学の考え方を使って、全受験者の平均学力を50とした場合に、その受験者の点数が平均からどれほど離れているかを表したものです。偏差値が50より上であれば平均より学力が高く、50より下であれば平均より学力が低いことになります。
また、推定得点は、過去の模試データと大学入学共通テストのデータの相関関係をもとに、統計学の手法を使って受験者の点数の予測値を導き出しています。模試で推定得点がわかることによって、今後の学習計画にも役立てられるのは便利ですよね。

「偏差値の求め方がわからない」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
偏差値の求め方とは?偏差値の意味や高校と大学受験の偏差値の違い

天気予報

皆さんが毎日テレビやスマートフォンなどでチェックする天気予報にも、統計学が使われています。天気予報は、過去の気象データを統計学で分析・予測した結果を発表しているのです。
具体的には、温度や湿度、気圧などの過去データと現在のデータを照らし合わせて、過去のどのパターンにあてはまるのかを抽出して、天気を予測しています。例えば、降水確率は、過去に似たようなパターンの気象データになっていたときに、何%の確率で雨が降ったかを表しています。
天気予報は外れることがありますが、それは過去のデータをもとにして、最も確率が高い天気を予測しているからなのです。

視聴率測定

テレビの視聴率は、日本中の視聴データをすべて集めて算出したものではありません。統計学の考え方を活用し、無作為に選ばれた一部の世帯の視聴データをもとにした「標本調査」という手法で算出しています。選ばれた世帯では、テレビに取り付けられた自動計測機から視聴データが収集され、そのデータをもとに視聴率を算出しているのです。
もちろん、全世帯の視聴データを収集するほうが、正確な視聴率を割り出せます。しかし、すべての世帯に自動計測機の設置を依頼するとコストがかかり、現実的ではありません。そこで、正確さを保証できる最低限の世帯に限定し、視聴率を算出しているのです。

大学で学べる統計学の種類

一口に統計学といっても、その種類は数多くあります。大学で学べる統計学の種類としては、下記の5つが代表的です。

基礎統計学

基礎統計学とは、データの収集・整理の方法や、基本的なデータ解析方法、統計学の考え方などを対象とした学問です。主に、大学で初めて統計学を学ぶ人を対象にしています。
大学の統計学の授業では、講義を聴くだけでなく、Excelなどの表計算ソフトや統計解析ソフトを使って実践形式で学ぶ場面も多くあります。高校の数学で習う微分・積分の知識が必須なので、文系の人もしっかり学習しておきましょう。

社会統計学

社会統計学とは、社会調査を行うときに利用する統計学のことです。社会調査とは、社会や集団の意識・実態を調査すること。代表的なものとして、国勢調査や世論調査があります。首相の支持率の調査も、社会調査のひとつになるということですね。
社会調査では、調査したい対象の母数が多いので全員に調査できない場合に、統計学を活用した「標本調査」でサンプリングし、データを収集・分析します。標本調査の手法はアンケートが一般的ですが、ほかにもSNSなどで公開されている情報を集めたり、現地に出向いてデータを収集したりすることもあります。

記述統計学

記述統計学とは、膨大なデータをグラフや表にして、データの特徴をよりわかりやすく表現する学問のことです。
例えば、クラス全員の身長と体重が数字のまま羅列されていても、クラス全体の特徴はわかりませんよね。そこで、データを整理してグラフで可視化すると、身長160cm台の人が最も多いといった傾向が一目でわかります。全校生徒の身長・体重のデータを集めて、学年やクラスごとの平均値からグラフを作れば、また違った傾向が把握できるかもしれません。
このように、記述統計学を学ぶと、手元にあるデータを可視化してデータ分析に役立つ傾向をつかむことができるようになります。

推測統計学

推計統計学とは、全体(母集団)の中から標本抽出(サンプリング)したデータを分析し、母集団全体の特徴を推測する学問です。
母集団の規模が大きい場合に用いられ、テレビの視聴率や選挙の出口調査などに活用されています。

心理統計学

心理学の研究で活用されるのが、心理統計学です。人の心は目で見ることはできず、つかみどころのないもの。心理統計学を活用することで、人の心を数値に置き換えて科学的に分析します。
例えば、企業のブランド力を数値化して把握するために、アンケートを実施して分析するといった活用法があります。

統計学を学べる学部

社会統計学を用いる世論調査

日本の大学には「統計学部」はありません。そのため、統計学を学べるのはどのような学部なのだろうと疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
統計学は、文系・理系のさまざまな学部で、それぞれの学部が扱う分野の研究に役立つ学問のうちのひとつとして学べる場合が多いです。例えば、下記のような学部で学ぶことができます。

<文系で統計学を学べる学部>
・経営学部
・経済学部
・商学部
・社会学部
・心理学部

<理系で統計学を学べる学部>
・工学部
・理学部(数学科)
・医学部
・薬学部
・情報工学部
・データサイエンス学部(学科)

特に、統計学やデータ処理スキルを深く学びたい場合におすすめなのが、「データサイエンス学部(学科)」です。下記のような大学は、個別にデータサイエンス学部(学科)を設けています。

<データサイエンス学部(学科)のある主な大学>
滋賀大学 データサイエンス学部(滋賀県)
中央大学 理工学部 ビジネスデータサイエンス学科(東京都)
立正大学 データサイエンス学部(埼玉県)

ぜひ、大学選びの参考にしてください。

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統計学を活かせる職業

世界を股にかけるマーケター

統計学を活かせる職業としては、下記の5つが代表的です。さまざまな分野で必要とされる学問なので、幅広い選択肢があります。

研究者

研究者は、企業や大学、研究所などで、まだ発見されていない知識や技術を研究します。どのような分野の研究でも共通するのは、仮説を立てて調査・実験し、その結果を分析すること。その過程で、統計学を使ってデータを正確に扱うことが求められます。統計学の知識があれば、データから結論を導くまでのエラーを防ぎ、正確な分析ができるでしょう。

「研究者の詳しい仕事内容などがわからない」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
研究者になるには?仕事内容や就職先・求められる能力について解説

エンジニア

エンジニアの中でも、特にAIエンジニアは統計学の知識があると強みになります。というのも、AI開発には統計学の知識が求められるからです。エンジニアが扱うプログラミング言語には、統計処理や数値計算を得意とする「Python(パイソン)」や統計解析を目的に作られた言語「R言語」があります。これらの言語を使ったAI開発の分野では、統計学の知識が活かせるのではないでしょうか。

「AIエンジニアの詳しい仕事内容などがわからない」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
AIエンジニアになるための方法とは?大学選びや役立つ資格を紹介

マーケター

マーケターとは、マーケティング業務を行う人のことで、顧客データや売上データなどを分析し、売上・利益の向上につながる仕組みを作り、実行するのが仕事です。マーケターの業務は幅広く、ウェブサイトやSNSアカウントの運営、メルマガ配信、ウェビナー(インターネット上で配信されるセミナー)やイベントの企画などがあります。
これらの実施後には、顧客のリアクションや効果に関するデータを収集して分析し、次の戦略に役立てなければなりません。統計学の知識があれば、正確にデータ分析ができるでしょう。

データサイエンティスト・データアナリスト

データサイエンティストやデータアナリストは、データ分析を専門とする職業です。どちらも、企業に蓄積された顧客データなどのビッグデータを活用・分析して、企業経営に役立つ情報を提供します。そのため、分析力はもちろん、ビジネススキル、ITスキルが必要です。
データアナリストは経営者への提案などコンサルタントとしての側面がある仕事が多く、データサイエンティストは高度なデータ分析を行うための仕組みづくりの仕事が多いという違いがあります。いずれにしても、統計学の知識は強みになります。

「データサイエンティストの詳しい仕事内容などがわからない」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
データサイエンティストの仕事とは?必要な技能や知識を学べる大学

リサーチャー

リサーチャーとは市場調査をする人のことです。市場調査とは、新しい商品やサービスを企画するときや販売した後に、お客が求めているものやライバル会社の動きなどを調査することをいいます。調査のために試供品を提供してアンケートを実施したり、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを分析したりすることもあります。
市場調査では、集計したデータをさまざまな切り口で分析し、全体の傾向や特徴を把握しなければなりません。統計学を身につけていれば、主に調査方法の選定やデータ分析などで力を発揮できるでしょう。

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統計学は、情報化社会の進展に伴い、ますます重要性が高まっています。データを分析することで、さまざまなシーンで最適な問題解決や意思決定の提案ができるので、これからも多くの分野で必要とされる知識になるのではないでしょうか。

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