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国公立大学の学費はいくらかかる?必要な金額や私立大学との差を紹介

2022.11.07

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国立大学のキャンパス

国公立大学の学費は、私立大学に比べて安いといわれていますよね。それでも4年間で数百万円という金額になるのは、やはり大きな負担。国公立大学への進学を希望する人にとって、在学中にかかる学費はもちろん、それ以外にかかる費用も気になるところなのでは?
この記事では、国公立大学の学費の平均額や私立大学の学費との比較のほか、学費の内訳、学費以外にかかる費用や奨学金制度などについて解説します。

国公立大学学費の平均額(初年度納付金と4年間の金額)

国公立大学の学費と一口にいっても、国立大学と公立大学で少し異なるのをご存じでしょうか。それぞれの平均金額と、私立大学との学費の違いについて確認していきましょう。

国立大学の場合

国立大学の学費は標準額が定められているため、基本的にはどの大学でも同じ金額です。入学金は28万2,000円、授業料は53万5,800円で、初年度に納める金額は入学金・授業料の合計81万7,800円、4年間の学費は242万5,200円です。
注意したいのは、大学ごとの判断で、標準額の20%の範囲内であれば標準額と異なる学費も設定できること。上記の金額とは異なる大学や学部もあるのです。事前に志望校のウェブサイトで確認しておいてくださいね。

公立大学の場合

公立大学の学費は、国立大学と大きく変わりません。
平均額は初年度納付金92万7,668円(入学金39万1,305円、授業料53万6,363円)で、4年間で253万6,757円となっています。
公立大学は、大学が指定する地域に住んでいるか、地域外に住んでいるかによって入学金が異なるのが大きなポイントです。公立大学は都道府県や市などの自治体が税金で運営しているため、その土地で税金を納めた人を優遇するような仕組みだからです。地域内の人の入学金は、地域外の人に比べて10万~20万円安くなることは覚えておいて損はないでしょう。

私立大学学費との比較

国公立大学は、私立大学に比べて学費が安く設定されているのが嬉しいところです。さらに、私立大学では学部によって学費が大きく違いますが、国公立大学では学部による金額差がほとんどないのです。
下記の表を見てみましょう。国公立大学と私立大学との文系学部の4年間の学費差は約150万円ですが、国公立大学6年間と私立医歯科系大学との学費差はなんと約2,000万円!大きな差があることがわかりますね。

■国公立大学と私立大学の学費比較(2021年度の平均納付額)

国立大学公立大学私立・文系学部私立・理科系学部私立・医歯系学部
入学金28万2,000円39万1,305円22万5,651円25万1,029円107万6,278円
授業料53万5,800円53万6,363円81万5,069円113万6,074円288万2,894円
施設設備費14万8,272円17万9,159円93万1,367円
初年度合計81万7,800円92万7,668円118万8,992円156万6,262円489万539円
4年間合計242万5,200円253万6,757円407万9,015円551万1,961円
6年間合計349万6,800円360万9,483円814万2,427円2,396万1,844円

※参考:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
※公立大学の入学金は、地域外からの入学者の平均額。

国公立大学学費の内訳

国公立大学の学費の内訳は、主に入学金と授業料です。必須ではありませんが、寄付金の制度などもあります。ここでは内訳について確認していきましょう。

入学金

入学手続では、入学関係書類の提出とともに、入学金と初年度授業料の前期分の納める必要があります。合格から1~2週間後の期限までに納付しない場合には、入学資格がなくなってしまうので要注意!特に複数の大学を並行して受験していると手続を忘れやすいので、合格したら早めに納付しましょう。
ただし、入学金は一度納付したら、入学の意思がなくなっても返金されません(授業料は3月31日までに申し出れば返金可能)。

授業料・実習費

国公立大学では、入学年度の次年度以降に納めるのは授業料のみ。私立大学では、授業料のほかに施設設備費などが必要なので、国公立大学の大きなメリットといえるでしょう。ただし、学部によっては数千~15万円程の設備費や実習費が必要になることも。それでも私立大学に比べて安く済むのはありがたいですね!

その他(寄付金など)

国公立大学で入学金や授業料のほかにかかる可能性がある費用として、寄付金が挙げられます。もちろん寄付金は、必ず納めなければならないお金ではないので、安心してくださいね。寄付金は、奨学金制度や授業料免除制度、留学支援制度などに利用されます。

国公立大学学費以外にかかる費用

キャンパスライフを楽しむ大学生

 
国公立大学で学生生活を送るには、学費以外にも、家賃、教科書代、通学費、サークル費などが必要になります。まとめると大きな金額になることもありますので、ここで確認しておきましょう。

家賃(下宿生の場合)

国公立大学が自宅から通えない距離にあるなら、アパート・マンションなどに住むために払う家賃が必要です。家賃は築年数やエリア、間取り、設備によって大きく変わり、大学生ひとり暮らしの平均額は5万円ほど。ただし、家賃のほかにも、入居時には敷金・礼金、引越し代金、引っ越してからは家具・家電の購入費などがかかります。必要な金額をあらかじめ準備しておきましょう。
家賃を安く抑えるには、大学の学生寮に入るのがオススメ。大学キャンパス近くに立地する学生寮も多いですが、経済的な事情や通学時間が90分以上かかるなどの事情がある人が優先されます。入寮希望者も多いため、入学前に入寮条件を調べておいたほうがいいかも。

教科書代など

大学の教科書は少部数で専門的な内容になるため、高校までの教科書や一般書籍に比べると高価です。1冊あたり3,000~5,000円が相場で、医学系になると数万円もするものも。履修科目によって必要な教科書は異なりますが、年間で5万円程度はかかると考えておきましょう。

できるだけ費用を抑えるために、中古本を古本屋やフリマアプリなどで購入したり、先輩に譲ってもらったりする人もいます。ただし改訂前の古い内容の教科書を入手しないよう気をつけてくださいね。
授業でパソコン必須とされている学部・学科もあるので、どんなパソコンが必要なのか、事前に購入しておくべきなのかなどを確認するといいでしょう。

通学費

自宅から大学までの交通費として、鉄道代やバス代などがかかります。
通学定期を購入すれば安くなりますが、大学の長期休みでは1~2ヵ月ほど大学に行かないこともあるので、購入のタイミングや期間にご注意を。
バイク通学をする場合は、ガソリン代が必要です。大学によっては駐輪場代がかかることもあります。

サークル費など

大学でサークルに入ると、運営費用としてサークルの年会費が徴収されます。その費用は数千~数万円とサークルによってかなり異なるため、入会前には必ず確認しておきましょう。また、長期休みに合宿を行うサークルであれば、合宿費用などもかかるのでお忘れなきように!

国公立大学学費の支払方法と支払時期

国公立大学学費の支払方法は、「前期」と「後期」に分けて納める方法が一般的。前期は4~6月頃、後期は10~12月頃に納付します。
もし、学費を滞納するとどうなるのでしょうか?滞納すると、大学から保護者宛に督促状が届きます。この時点で納めれば問題ありませんが、督促状を無視した、納付を忘れていたなどの場合は除籍または退学処分になることが多いようです。納付期限までに必ず忘れずに納付するよう、ご家庭内で確認するようにしてくださいね。

国公立大学学費の免除・奨学金の制度

奨学生証と教育費

 
国公立大学は私立大学に比べて学費が安いとはいえ、経済的なサポートがあるとさらに安心できますよね。代表的な支援制度としては、「高等教育の修学支援新制度」や「特待生制度」「奨学金制度」が挙げられます。ここではサポート制度について紹介します。

高等教育の修学支援新制度(大学無償化制度)

高等教育の修学支援新制度(大学無償化制度)とは、大学などへの進学希望者を授業料・入学金の免除や減額、給付型奨学金によってサポートする制度。「大学で学びたい!」という強い意欲があって、世帯収入などの条件を満たしている人が対象になります。

国公立大学の入学金・授業料の免除や減額の年間上限額は、入学金が約28万円、授業料が約54万円。さらに給付型奨学金では、大学生活を送るための費用として下記の金額をもらえるのが嬉しいところ。自宅から通学するか下宿して通学するかで金額が異なるので、ご家庭内で話し合ってどちらのメリットがあるのか、よく話し合ってくださいね。

■国公立大学の給付型奨学金の給付月額

自宅生自宅外
2万9,200円 (3万3,000円)6万6,700円

※生活保護世帯で自宅から通学する人および児童養護施設等から通学する人は、カッコ内の金額となります。
出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)

なお、下記のように、世帯年収によって、授業料の減免額や給付型奨学金の額が3分の2や3分の1になるので注意してください。

■世帯年収による減免額・給付額の変動イメージ

出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)

高等教育の修学支援新制度の詳細については、以下の文部科学省のウェブサイトが参考になります。
高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)

特待生制度

大学によっては、なんと学費自体が免除される「特待生制度」があります。特待生は入学前に特待生制度の対象になるかどうかの審査がある上、学費免除が継続されるかは大学の成績次第など、ハードルが高いものであることは事実。在学中に学費免除が利用できなくなることも考えられるので、しっかり勉強しなければなりません。それでも学費免除は魅力的ですよね…!
特待生制度の利用条件は大学ごとに定められていますので、興味がある人は大学のウェブサイトを確認してみることをオススメします。

奨学金制度

家庭の事情で経済的なサポートを受けたいなら、奨学金制度を利用しましょう。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度が最もメジャーで、学力や世帯収入などの審査を通過すると奨学金を受給できるのです。

奨学金には、「給付型」と「貸与型」があります。給付型は、お金を返す必要がないタイプの奨学金で、お金を社会人になってから少しずつ返す貸与型に比べると、審査基準は厳しくなります。また受給金額は世帯収入や、自宅通いあるいはひとり暮らしかによって変わってきます。

あなたが給付型の対象か、また受給金額はどのくらいかなどを確認したいなら、JASSOの進学資金シミュレーターを活用してみてはいかがでしょう?
進学資金シミュレーター-JASSO

進路選びは、学費だけではなく学ぶ目的や内容もしっかり考えよう

国公立大学の学費は、私立大学に比べて安いのがメリットであり、嬉しいポイントです。費用面での魅力に惹かれて国公立大学を志望する人も多いでしょう。

ただ、大学を含めた進路選択は、学費だけで選ぶものではありません。学費が安いからといって国公立大学を選んで後悔しないよう、進学先はしっかり考える必要があります。
ぜひ下記の記事も参考にして、あなたの進むべき道を選んでくださいね。

大学の選び方と選ぶポイントとは?高校生が後悔しない進路選択

大学の学部をどうやって選ぶ?学部別に学ぶ内容と主な就職先を紹介

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