エントリーシート(ES)の書き方を解説!ESの基本や学生のうちからできることを紹介
2025.07.08

「エントリーシートって何?」
「エントリーシートと履歴書の違いは?」
就職活動を始めた人の中には、「エントリーシート」の書き方に不安を感じる人も多いでしょう。
エントリーシート(ES)は、選考に応募した企業に対し提出する、志望動機や自己PRを記載した書類のことです。
企業の選考における最初の関門であり、学生の第一印象が決まる重要な課題といえるでしょう。
この記事では、ESの基本的な意味や必要性、企業に刺さるESの書き方について解説します。
学生のうちからできるESの対策などについても触れているので、参考にしてみてください。
目次
エントリーシート(ES)とは

ESの基本的な意味や履歴書の違いなどについて解説します。
エントリーシート(ES)とは
ESは就活で学生が志望する企業に提出する書類のひとつで、企業が選考材料として学生の人柄や価値観、考え方を知るための書類です。
記載内容は企業によって異なりますが、氏名や住所といった基本情報のほか、学歴や職歴、志望動機、自己PRなどを記載します。
ESは先の選考に進むための最初の関門であり、ESが選考を通過するとその後の面接試験に進むことができ、採用に繋がります。
面接する際にも参考資料として扱われるため、ESに記載する内容は慎重に考える必要があるでしょう。
エントリーシート(ES)の種類と提出方法
ESには主に下記の3つの種類があります。
手書き型
企業のホームページなどからフォーマットを印刷し、直接書き込むタイプの一般的なESです。項目ごとに空欄が設置され、文字数制限がなく内容は学生の裁量に任されることが多いです。
Web型
企業のマイページやメールで送られるフォームに記入するタイプです。Web上で作成するため、文字数があらかじめ決まっていることが多いです。
白紙型
白紙を渡され、自由な表現方法で自分をアピールするタイプのESです。上記二つに比べると使っている企業は少ないですが、内容は文字に限らず絵でも構わないので、学生のセンスが問われます。
ESの種類や入手方法は企業によって異なり、入手制限が設定されていることもあります。希望の企業は早めにチェックしておきましょう。
エントリーシート(ES)と履歴書の違い
ESと履歴書はよく似ているため混同してしまう人もいるかもしれませんが、明確な違いがあります。
ESは採用のために活用する資料で、採用後は会社に保管されません。一方履歴書は入社後も従業員のデータとして保管されます。 履歴書は氏名や住所など基本事項を記載するため、すべての企業で提出が必須ですが、ESの提出は不要とする企業もあります。
また、履歴書は市販されているため文具店やコンビニなどで入手することもできますが、ESのフォーマットは多くの場合、企業から提供されます。そのためESの質問項目は企業によって異なりますが、職歴や志望動機など履歴書と同じ質問が用意されていることもあります。
ESと履歴書を両方提出する場合は、ESと履歴書の内容が被っても問題ありません。基本的にはESに具体的な回答を書き、履歴書には要約した回答を書くと良いでしょう。
エントリーシート(ES)で企業がチェックするポイント

企業がESでチェックしているポイントは、大きく分けて下記の3つです。
熱意や志望動機
志望動機は履歴書でも聞かれる質問ですが、学生が企業を理解しているか、学生のやりたいことと企業の考えが一致しているかどうかを判断する重要なポイントです。また仕事に対する熱意も、内定を出したら実際に入社してくれるか、を知る材料となります。
能力や性格
ESに記載されている能力や性格から学生の人物像を知り、企業の求める人物像に当てはまるかをチェックします。「学生時代力を入れたことは?」「長所と短所を教えてください」といった質問で聞かれることが多いです。
思考力や知識量
「最近の気になるニュースを教えてください」「〇〇という製品のキャッチコピーを考えてください」といった質問で、学生の思考力や知識量をチェックします。
ESを書くときは、これらのポイントを企業に見られているという意識を持って書くと良いでしょう。
エントリーシート(ES)を書く時のポイント

ESの基本的な書き方や、企業からよくある質問の例を解説します。基本的なESの書き方を知って、就活に有利なESを作成しましょう。
エントリーシート(ES)の基本的な書き方
企業によって異なりますが、ESには複数の項目が設定されています。どの項目でも、下記のポイントを意識して書くと、読みやすくまとまりのあるESになります。
1.結論ファーストで書く
先に結論を示し、結論に至る背景や根拠を記載します。
2.行動の背景を順序立てて書く
行動や経験の背景を順序立てて説明します。下記の順序で書くとわかりやすいESになるでしょう。
・あらすじと成果
・取り組んだ状況や背景
・実際に直面した困難や課題の特定
・解決策と工夫
・工夫による結果
3.数字を使って書く
具体的に記述すると相手に伝わりやすくなります。「大会で優勝した」とだけ書くよりも、「100団体中1位で優勝した」と書いたほうが具体的に示すことができるでしょう。
エントリーシート(ES)でよくある質問と書き方の注意点
ESでよく聞かれる質問と、書くときの注意点をまとめました。
項目 | 書くときの注意点 |
日付 | ・書類全体で西暦か和暦どちらかに統一する (フォーマットがあればそちらに合わせる) ・メールで提出する場合は送信日 ・Webで提出する場合はアップロードする日 ・郵送する場合は投函日 ・企業に持参する場合は持参日 |
氏名 | ・振り仮名は「ふりがな」と書かれている場合は平仮名、「フリガナ」と書かれている場合はカタカナで記載する |
生年月日 | ・ESを書いた時点の年齢を記載する |
住所 | ・都道府県名から記載する。建物名や部屋番号なども省略せず記載する ・「現住所以外の連絡を希望する住所」などには帰省先を記載する |
連絡先 | ・メールアドレスは添付ファイルを受け取れるよう、パソコンのメールアドレスを記載する ・手書きの場合は「-」と「_」など似ている記号はわかりやすく記載する ・電話番号は日中に連絡をとりやすい番号を記載する |
学歴、職歴
ESに書く学歴は、義務教育の卒業時である「中学卒業」から書き始めるのが一般的です。それ以降は入学と卒業両方の年月を記入します。
学歴欄を記載するときは、下記の点に注意しましょう。
・1行目の中央に「学歴」と記載し、2行目から年月が古い順に記載する。
・学校、学部、学科、専攻の名前は省略せずに記載する。
・大学院の場合は「修了」、在学中の場合は「卒業見込み(修了見込み)」と記載する。
・学歴に予備校名は記載しない
・職歴にアルバイトなどは記載しない
(企業が「アルバイト歴」を設けている場合はそこに記載する)
志望動機
ESで必ず聞かれる志望動機は、記載するスペースが限られています。限られた文字数でも企業に伝わる志望動機を書くために、まずは下記の3つのポイントを書き出してみましょう。
・仕事選びの軸 (何を基準に仕事を選んでいるか、価値観や判断基準)
・企業に魅力を感じた理由
・入社後の活躍イメージ
次に、書き出した内容をもとに下記の順でまとめると、企業が学生について知りたいと考えていることを端的にまとめることができます。
・書き出し:企業の魅力に感じている部分、理念や社風などを伝える
例)
「既存の商品に追随するのではなく、新しさのある商品を積極的に生み出す」という御社の理念に共感しました。
・理由や根拠:企業に魅力を感じた理由を、自分の価値観や判断基準を踏まえて説明する
例)
私は、大学のイベント企画サークルで「何かしらの改善や、新しいことを」という考えで活動しています。例えば、例年おこなわれる新入生歓迎イベントでは、既存の友人同士で固まってしまい、新しい交流が生まれないことを課題に感じていました。そこで参加者全員と必ず1回は話せるようなゲームを取り入れてみました。結果参加者からも好評で、ひと工夫することでより良くできることを実感しました。
・締めくくり:挑戦したいことや仕事で活かせる強みなど
例)
御社においても、サークル活動で培った姿勢を生かして仕事に臨みたいと思います。
自己PR
ESの自己PRでは、企業が求める人物像に沿った自分の能力や特徴を選んで記載すると良いでしょう。下記の構成でまとめると伝わりやすくなります。
・結論:自分の強みを短い言葉で記載する
例)
私の強みは「傾聴力」です。相手の話を聞き、本音を引き出すことができます。
・背景:強みを身につけた背景を具体的に記載する
例)
大学時代はボランティア活動を行い、児童福祉施設や老人ホームなどでレクリエーションを行いました。企画を考える際、子どもたちや入所者の方たちに直接話を聞こうと提案しました。
・根拠:強みの根拠となる経験や行動について、数字や固有名詞を伴うエピソードを記載する
例)
聞き役に徹し、そこで見えてきた意見をもとに新たなレクリエーションを考えました。企画は大いに盛り上がり、児童福祉施設では担当した20人の子供達から「またやってほしい」と言ってもらえました。老人ホームでも入所者の方々に喜ばれ、老人ホームで過ごすのが楽しくなった、という言葉もいただきました。
・成果:経験や行動によって得られた成果、今後どのように生かしたいかを記載する
例)
貴社でも相手の意見に耳を傾けて本音を引き出し、積極的に仕事内容に取り入れることで、より良い成果を出せるよう努める所存です。
学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)
ESで「学生時代に力を入れたこと」、略して「ガクチカ」を聞く企業は増えてきています。自己PRが学生の能力を知るための材料である一方、ガクチカは学生の人柄を知るための材料です。下記の構成で記載すると、企業に伝わりやすいガクチカになるでしょう。
・概要:「学生時代に私が力を入れたことは〇〇です」と端的に記載する
・具体的なエピソード:どのような環境で、どのような問題を解決し、成果を出したのかを記載する
・締めくくり:今後に生かせるような何を得たのかを記載する
ESと履歴書の内容は同じでも構いませんが、ESの中で自己PRとガクチカの内容は同じにならないように気をつけましょう。
ガクチカの書き方やポイントについてより詳しく知りたい人は、こちらの記事も読んでみてください。
ガクチカとは?就活で役立つ魅力的なガクチカの書き方や評価のポイントを紹介
長所・短所
ESに長所と短所を記載するときは、「特徴」と「具体的なエピソード」を記載するようにしましょう。最初に自分の特徴をいくつか書き出し、その中から長所・短所になるものを選んでESに記載します。
長所も短所も見方を変えると仕事に生かせる強みになります。例えば「頑固」は一見短所に思えますが、仕事においては「最後までやり通す力がある」という強みに言い換えることができます。視点を変えて、自分の特徴を仕事の武器としてアピールしてみましょう。
エントリーシート(ES)を提出する前のチェックポイント
ESを書き上げたら、提出する前にセルフチェックしましょう。
主なチェックポイントは下記のとおりです。
・誤字脱字の有無
・文体が統一されているか(です、ます調/である調)
・結論から書き出しているか
・記入欄の8割以上を埋められているか
・手書きの場合は読みやすい字で書けているか
・話し言葉を使っていないか
※話し言葉:「してます」などの「い抜き言葉」、「超〇〇だ」などの会話で使われる言葉
魅力的なエントリーシート(ES)を書くためには

企業の目に留まるような魅力的なESを書くために、学生のうちからできることをご紹介します。
ESは基本情報のほか、志望動機や自己PR、ガクチカなど、学生個人の経験に基づく質問が多い傾向にあります。特に自己PRやガクチカで記載する内容には、大学時代のエピソードを盛り込むのが基本です。
ESの質問内容は企業によって異なるため、基本的な内容の他に「最近興味を持ったニュース」といった社会的な質問や「自分を動物に例えると何か」といったユニークな質問をされることがあります。
就活を始めてESを書くときに困らないよう、高校生や大学1、2年生のうちから準備をしておきましょう。
エントリーシート(ES)の作成に役立つ経験を積んでおく
学生のうちから、ESに書けるような経験を積極的に積んでおきましょう。例えば、下記のような経験を積んでおくのがおすすめです。
アルバイト
アルバイトでの経験は就職してからも活かしやすく、ESに書きやすい経験のひとつです。アルバイトで失敗したことがあっても、会社ではその経験を活かしてこういうことに取り組みたい、といったアピールがしやすいので、挑戦してみるのもいいでしょう。
ボランティア
ボランティア経験は、ESで学生の人柄をアピールしやすいです。ボランティアを選んだ理由や、ボランティアで知り合った人たちとの交流を通じて感じたことなどは、価値観の形成に役立ち、仕事のやりがいにも繋がるでしょう。
サークル活動
サークル活動は大学によって特色があるので、ESで個性を出しやすい経験のひとつです。自由度が高いところも多く、主体的に活動に取り組むことでサークルの成績やサークルそのものに影響を与えることもできるでしょう。サークル活動で目に見える成果をつくれば、ESでもアピールしやすくなります。
ゼミ
ゼミに所属することも、サークル活動同様にアピールしやすい経験です。ゼミの担当教授との交流や卒論の進め方など、仕事でも活かせる経験を得られるでしょう。研究内容が仕事に直結することもあるため、やりたい仕事が無くても興味のある分野のゼミに所属することで、就職に繋がる可能性があります。
海外留学
留学経験は、社会人に比べて時間のある学生のうちにできる貴重な経験のひとつです。語学力の向上はもちろん、異文化交流で培ったコミュニケーション力や価値観は仕事に活かしやすく、ESでもアピールしやすいでしょう。大学によっては留学のための奨学金を設けていたり、姉妹校との交換留学生を定期的に募集していたりするので、留学制度が整っているという条件に絞って大学を選ぶのもおすすめです。
趣味
趣味もESでアピールしやすい経験のひとつです。例えば旅行であれば、旅行日程を組むことで計画性を得られた、とアピールできます。読書であれば継続力や読解力、SNSであればマーケティング力など、角度を変えれば趣味からは様々な能力を得られるでしょう。たとえ成果はなくとも、取り組んだ経験から得たものは仕事に役立てられます。
企業・業界の研究をする
ESの記載内容は応募する企業に合わせる必要があります。そのため、企業や業界の研究は念入りにおこなっておきましょう。
将来なりたい職業がない、という人は、好きな商品やサービスから企業や業界を調べてみても良いかもしれません。
企業によってはESで「当社の好きな商品と理由を教えてください」といった質問や、「新商品を考えてください」といった質問をするところもあります。商品やサービスに対する視点を持っておくと、ESで役立つ可能性があるでしょう。
目指す職業が決まっている人は、職業はもちろん業界全体のことや、仕事に必要な知識についても調べておくことが大切です。仕事から逆算して学部や大学を選べば、希望の企業に特化したESを作成できるでしょう。
また、企業や業界が求める能力や人物像を知ると、自己PRやガクチカに記載する内容も考えやすいです。
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ESの種類や書き方のコツについてご紹介しました。
ESは、希望の企業に就職するための最初の関門であり、学生の基本情報や人間性を端的に伝えるための重要な書類です。
項目は企業によって異なるものの似たような質問が多いため、企業の求める人物像に沿っており且つ学生の個性が光る内容であれば、企業の目に留まりやすいでしょう。
就職活動に有利なESを書くためには、学生時代から役立つ経験を積んでおくことはもちろん、業界や企業について理解を深めておくことも大切です。
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