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麻薬取締官になるには?仕事内容や年収、目指せる大学・学部を紹介

2023.04.19

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テレビなどで危険な麻薬を取り締まる麻薬取締官の存在を知って、興味を持っている高校生もいるのではないでしょうか。麻薬取締官は、違法薬物を取り締まる専門的な仕事です。通称「麻取(マトリ)」、「麻薬Gメン」などと呼ばれています。 危険と隣合わせの麻薬取締官になるためには、どのような進路を歩めばよいのでしょうか。麻薬取締官に向いている人の特徴や、必要な資格について詳しく紹介していきます。

麻薬取締官とは?

話を聞く麻薬取締官

麻薬取締官とは、法学と薬学の知識を生かして違法薬物を取り締まる専門的な職業です。麻薬取締官は、大麻、向精神薬、あへん などの麻薬や覚醒剤の不正使用や売買などの犯罪を防止するために働いています。麻薬や覚醒剤は、乱用することで人の精神や身体をボロボロにしてしまいます。見えない物が見えたり、誰も言っていないのに悪口が聞こえたりと、幻覚や幻聴に悩まされ、最悪の場合は死に至るほど怖いものです。

高校生のみなさんにとっては、麻薬を取り締まる職業は、別世界に感じられる仕事かもしれません。しかし、学生が麻薬や覚醒剤によって犯罪に巻き込まれるケースは少なくありません。麻薬取締官の仕事内容について知ることは、麻薬や覚醒剤などの危険な薬物から自分の身を守ることにもつながります。

麻薬取締官は、危険ドラッグを手に入れた人の健康を守るために、乱用を防止することも大切な役目です。

麻薬取締官は、麻薬を取り締まるために捜査を行い、容疑者を逮捕するのも仕事のひとつです。そのため、警察官と勘違いしている人もいるんじゃないでしょうか。 実は、麻薬取締官は厚生労働省の職員なので、警察官とはまったく異なる職業なんです。厚生労働省の出先機関である、厚生局の麻薬取締部というところに所属して働いています。

警察官との違い

麻薬取締官が、捜査や逮捕の権限を持っているのは麻薬取締に関する事件の時だけです。それに比べて警察官は、交通違反の取締や交通事故現場、傷害事件に関する捜査など、さまざまな分野で捜査・逮捕の権限を持っています。あらゆる場面での犯罪防止、市民の安全を守るために働くのが警察官の仕事です。時には警察官と麻薬取締官は協力して仕事を行う機会もあります。

警察官の仕事内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせて読んでみてくださいね。

麻薬取締官の仕事内容

麻薬取締官は、麻薬を取り締まるために捜査や逮捕を行う職業だとお伝えしました。しかし、麻薬取締官の仕事はそれだけではありません。実際に、麻薬取締官がどのような仕事をしているのか、仕事内容について詳しく紹介していきますね。

捜査

麻薬取締官の主な仕事内容は、麻薬を取り締まるための捜査です。規制薬物という麻薬や覚醒剤などの、持っているだけで違法になってしまう薬物の密輸や密売現場を取り締まります。

麻薬取締官は、麻薬取引が行われている情報を掴むために、新聞や雑誌・一般人からの通報や国内外の捜査機関などから情報を集めます。あらゆるルートから情報を得ることも、麻薬取締官の大切な役目です。

麻薬の取引が行われている情報を掴んだら、取引が行われていそうな場所に張り込みます。麻薬を所持・売買している容疑者の尾行や、おとり捜査をすることもあります。おとり捜査とは、麻薬取締官であることを隠して、麻薬を購入したい人になりすます捜査方法です。この捜査方法は、麻薬取締官にだけ許されている捜査方法なんですよ。

おとり捜査の方法は、「麻薬を購入したい!」と嘘をついて、実際に売買する人から麻薬を買ってしまいます。麻薬を売っている人からしたら、「買ってくれる人がきてくれて嬉しい!」と油断してしまいますよね。麻薬取締官はそのすきをついて、容疑者からまんまと麻薬を手に入れてしまいます。何も知らずにお金が入って喜んでいる容疑者に、購入した麻薬を証拠として突きつけて、逮捕に至るのです。警察官はおとり捜査をする権限がないので、麻薬取締官が活躍する場面です。

鑑定

麻薬取締官は、麻薬を使用している人を逮捕することだけが仕事ではありません。捜査によって容疑者から押収したものが、規制薬物かどうか鑑定するのも仕事です。また、薬物を使用した人を特定するために、容疑者の体液や毛髪などを分析して検査します。どのような薬物を使ったのかを特定する必要があるため、薬物への高い専門知識が必要です。鑑定を行う時は、先入観などから決めつけた考えで行わないために、捜査をした人とは別の人が鑑定を行います。

相談・復帰支援

麻薬を使用していた人が、社会復帰できるように支援するのも麻薬取締官の大切な仕事です。麻薬などの危険薬物はタバコやお酒よりも依存性が高く、繰り返し使用していると依存症になってしまう人もいます。依存症になると、再び麻薬を使用するために危険な場所へと出向き、売人から購入してしまう人もたくさんいます。

麻薬を使用してしまう人は、自分に自信がなかったり、逃げ出したいと思っていたり、悩みを抱えている人が多いです。そうした人を救うために、公認心理師や臨床心理士などのいわゆる心理カウンセラーと協力しながら、危険ドラッグに手を出してしまった人や薬物依存症の人の社会復帰を手助けします。心理カウンセラーの詳しい仕事内容について興味がある人は、こちらの記事で紹介しているので読んでみてくださいね。

麻薬取締官が相談に乗る相手は、薬物を使用した人だけではありません。薬物乱用者の家族や友人などの身近な人からの相談に乗ることもあります。一緒に薬物をやめて、公正するための方法を考え、一人でも薬物で苦しめられる人をなくすのが麻薬取締官の大切な仕事です。

業者への指導

麻薬取締官は、麻薬が不正に流出するのを防ぐために、麻薬を取り扱う専門業者に対して指導を行います。病院や薬局、製薬会社などへ行き、麻薬や向精神薬が医療や研究目的で適正に使用されているかどうか確認します。

また、不正使用を防ぐために、麻薬の取り扱いに関する指導も行います。時には、紛失していないかどうかの立入検査を行うこともあり、医療関係者は麻薬と近い距離にいるため、「医療関係者が使用している。横流しした」という情報を得ることもあるでしょう。そうした場合は、指導から捜査に切り替えて麻薬の取締を行います。

麻薬取締官の1日のスケジュール

逮捕術訓練の様子

麻薬取締官の1日のスケジュール例は、以下のとおりです。

9:00・出勤 ・前日の捜査結果を整理する ・報告書作成
10:00逮捕術訓練(少林寺拳法)
12:00昼食休憩
13:00捜査
17:00捜査会議
18:00翌日の捜査準備
18:30退勤

逮捕術訓練とは、スムーズに犯人を逮捕するための訓練です。麻薬取締官は薬物事件に限り、犯人を逮捕する権限がありますが、いきなり攻撃はできません。相手が攻撃してきた場合でも、相手にケガをさせないように制圧することが求められます。そのため、自分の身を守って相手を抑える護身術である少林寺拳法をベースに訓練します。

麻薬取締官のやりがい

麻薬取締官は、危険ドラッグから人々を守るのが仕事です。国民の安全と健康を守るために活躍できる仕事です。麻薬や覚醒剤などを、不正に使用したことで命を落とす人や、人生を狂わせる人もいます。麻薬取締官は、そうした人たちを未然に助けられる仕事です。

麻薬を取り締まるまでには時間も労力もいるものです密売している情報を掴んでも、その相手を逮捕するまでには確実な情報と決定的な現場を抑える必要があります。気の遠くなるような時間がかかることもありますが、ひとつの密売現場を抑えれば麻薬が流れるのを止められます。一人でも麻薬を手にする人をなくすことができるため、情報収集や捜査が実を結び、麻薬の密輸を摘発できた時には大きなやりがいを感じられるでしょう。 麻薬が不正に売買される心配がなくなれば、みなさんのような高校生を始めとする未来ある若者を、麻薬や覚醒剤などの危険ドラッグの被害から救うことができるからです。

また、麻薬を取締、逮捕した麻薬使用者が普通の社会生活が送れるようになった時にも、やりがいが感じられます。社会復帰のサポートをした人が、着実に公正していくことほど嬉しいことはありません。麻薬取締官は、一度は道を踏み外してしまった人を助けられる仕事です。犯罪防止につながっていると感じられた時にも、やりがいを感じられるでしょう。

麻薬取締官の想定年収

麻薬取締官は、厚生労働省で働く国家公務員です。「令和2年国家公務員給与等実態調査」によると、大卒者の月収は40万3,337円です。そこから計算すると、麻薬取締官の想定年収は、約484万円とわかります。しかし、国家公務員のボーナスは期末、勤勉手当として給料4,5ヶ月分出るため、月収40万3,337円を4~5かける2回分を入れた金額が、正確な年収となります。

麻薬取締官の将来性

多種多様な違法薬物

近年、合法ドラッグや脱法ハーブなどの新しい薬物が出てきています。「合法ならいいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、これらの名称は違法な販売者が勝手につけたものであり、実はすべて違法なのです。

参考:危険ドラッグってなに? | みんなで知ろう危険ドラッグ・違法薬物 (tokyo.lg.jp)

また、SNSの発達により、近年は誰でも麻薬を入手しやすくなっています。これらのことから、麻薬取締官は今後さらに求められる職業と言えるでしょう。

薬物分析の知識やスキルを磨けば、新しい薬物を食い止めることに貢献できる可能性があります。また、セミナーやインターネットなどを活用し、薬物の危険性を伝えていく啓発活動も重要になります。

麻薬取締官になる方法

麻薬取締官になる方法は、以下のとおりです。

参考:麻薬取締官 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)) (mhlw.go.jp)[貴土1] 

麻薬取締官になるには、大学や短大卒業後に以下のルートを歩むことになります。

  • 国家公務員試験に合格する
  • 薬剤師免許を取得する

その後、厚生労働省の麻薬取締部に採用される必要があります。まずは、国家公務員試験に合格する方法と薬剤師免許を取得する方法について、見てみましょう。


 国家公務員試験に合格する

麻薬取締官になる方法のひとつは、国家公務員試験に合格することです。

麻薬取締官になるためには、国家公務員採用一般職試験の「行政」または「デジタル・電気・電子」に合格しなければなりません。国家公務員採用一般職試験には、大卒程度試験・高卒者試験・社会人試験があります。麻薬取締官を目指すには、大卒程度試験に合格する必要があります。

大卒程度試験では、以下の4つの試験が行われます。

  • 基礎能力試験
  • 専門試験
  • 一般論文試験
  • 人物試験

専門試験では、各区分に応じて必要な専門的知識に関する筆記試験が行われます。麻薬取締官を目指す場合、「行政」または「デジタル・電気・電子」に関する項目で専門試験を受けます。

薬剤師免許を取得する

麻薬取締官になるために、薬剤師免許を取得する方法もあります。

薬剤師の国家試験に合格した人は、国家公務員一般職試験を受けなくても麻薬取締官を目指せます。薬剤師の国家試験を受けるためには、6年制の薬学部の大学で学ぶ必要があります。

麻薬取締官は、危険ドラッグである麻薬を取り扱うため、薬学の知識が欠かせません。薬剤師免許を取得すれば、薬学に関する専門知識が得られます。実際、麻薬取締官となるために就職しても、最初のうちは薬学や法律に関する知識を身につけるための研修期間が設けられるくらいです。

国家公務員採用試験に合格すれば、必須の資格ではありません。しかし、薬剤師免許取得を目指して勉強しておけば、入職後に勉強が必要な薬学の知識を大学在中に身につけられますよ。

麻薬取締官になるためにおすすめの大学・学部

麻薬取締官は、危険ドラッグである麻薬を正しく取り扱うために、法学や薬学の知識が必要不可欠です。実際、麻薬取締官として採用されても、法学や薬学に関する知識がなければ、一定期間の実務経験を積みながら、薬学や法学に関する知識を身に着けなければなりません。

例えば、薬学・法学以外の大学を出た人の場合は、薬事に関する行政事務3年以上または、麻薬取り締まりに関する事務2年以上の実務経験が必要です。それを経て、はじめて麻薬取締官になるための研修が受けられます。

法学または薬学系の大学を卒業した人は、実務経験がなくても麻薬取締官の研修が受けられます。

薬学系の大学の中では、日本薬科大学が薬物犯罪に関する学びに力を入れています。一つとしては、平成23年度から高校生を対象に「薬学からみた薬物乱用防止教育」をテーマとする講演会 が積極的に行われるほどです。

ほかにも薬学生が、実際に麻薬取締官として仕事をしている方との対談 を行うなど、薬物犯罪に関する内容を積極的に学べる機会があります。

特色ある薬剤師の養成を目指した大学のため、1年次から「薬剤師国家資格」の取得を視野に入れた指導が始まります。薬剤師資格の取得を目指しやすいです。

また、帝京平成大学は「実学教育」と「国家試験対策・就職支援」が充実しており、薬剤師を目指せる大学として力を入れています。麻薬取締官に必要な、薬剤師資格を取得しやすいでしょう。

法学系の大学を目指すならば、有名なところでは慶應義塾大学関西学院大学京都大学などがあります。国家公務員として就職している人が多く、国家公務員の採用試験を受けて麻薬取締官の条件を満たすならば、上記のような大学を選びましょう。

麻薬取締官に求められる資質

麻薬捜査犬を連れている麻薬取締官

麻薬取締官になるには、どのような資質が求められるのでしょうか。ここでは、麻薬取締官に求められる人物像について解説します。麻薬取締官の仕事に興味を持っている人は、ぜひ参考にしてくださいね。

高い倫理観と強い正義感を持っている

麻薬取締官は、薬物により苦しめられる人をなくすことが使命です。そのため、国民の安全のために戦い続けるという高い倫理観と、強い正義感を持っている人が求められます。

麻薬取締官が相手にするのは、暴力団などの反社会勢力だけではありません。私たちの身近にいる学生や、一般的な社会生活を送っている社会人の方を取り締まることもあります。時には、薬物乱用者を見て心を乱されることもあるかもしれません。それでも、「薬物に手を伸ばしてしまった人をなんとしてでも助ける!」といった正義感がある人は、麻薬取締官に向いているでしょう。

麻薬を使用して苦しんでしまう人のことを思い、その人達のために尽力できるかどうかが重要です。「麻薬なんかに手を伸ばす人が悪い」と、麻薬利用者を切り捨ててしまう人には、サポートをするのは難しくなってしまうため、麻薬取締官には向いていないでしょう。麻薬によってお金儲けをした人も、麻薬によって人を傷つけてしまった人でも、「なんとしてでも助けたい!」と思って行動できる人は、麻薬取締官に向いていますね。

粘り強く取り組める

麻薬取締官の仕事は、麻薬を取り締まるための捜査が中心です。麻薬取締官は、情報を元に取引が行われている場所に張り込んでその時を待ちます。しかし、張り込みをすれば、麻薬を取引している現場に必ず出会えるわけではありません。

場合によっては、聞いた情報が間違っている時もあります。取引を行っている人たちが捜査に気づいてしまい、失敗する時もあるでしょう。焦って行動を起こしてしまうと、証拠を隠されてしまうかもしれません。

麻薬を取り締まる仕事と聞くと、派手で格好いいイメージがありますよね。ですが、実際は地道にコツコツと、情報を頼りに捜査を進めていくのが麻薬取締官の仕事のやり方なのです。

情報収集する時も、正しい情報を掴むために粘り強く慎重に動かないといけません。特に一般の人から情報を聞く時は、親身になって耳を傾ける必要があります。気が短くてすぐに行動を起こしたくなる人には、麻薬取締官の仕事は難しいかもしれませんね。

粘り強く、どのような状況でもじっくり一つ一つこなしていける人は、麻薬取締官に向いていますよ。

協調性やコミュニケーション能力がある

麻薬取締官の仕事は、チームで動く機会が多いです。同じ麻薬取締官の仲間はもちろんのこと、警察官などの外部捜査官と協力して捜査を進めることもあります。麻薬取締官は、確実に麻薬を取り締まるためにチーム一丸となって行動します。指示を聞かずに勝手に行動してしまうと、容疑者に捜査をしていることがバレてしまうかもしれません。その結果、容疑者の居所を掴みかけていたにも関わらず、逃げられてしまい捜査が台無しになってしまう可能性もあります。また、後一歩で逮捕に至るという状況下で、証拠を隠されてしまうこともあるでしょう。一人の行動が原因で、逮捕を逃してしまうこともあるので、協調性が求められる仕事です。

コミュニケーションを取り合い、協力しあえる人は麻薬取締官に向いています。チームだけではなく、外部の人から情報収集をする時も、相手の警戒心を解くために話しやすい空気感を作ることが大切です。

また、麻薬取締官は麻薬使用者の社会復帰や、身近に麻薬を使用している人がいる人の相談に乗る機会もあります。相手の悩みや苦しみに共感し、相手の話をじっくりと聞く力が求められるでしょう。特に麻薬使用者と話をする時は、相手は「罪を犯してしまった」という深い悩みと、「もう元の生活には戻れないかもしれない」という不安を抱えています。そのような状況では、麻薬を専門的に扱う麻薬取締官が話相手でも、「麻薬を使ってしまった人の気持ちなんてわからない!」と考えているでしょう。例えば高校生のみなさんも、嫌なことがあって学校で悪いことをしてしまった時に、先生から「なんでそんなことしたの!」と頭ごなしに怒られると、話す気持ちがなくなってしまいますよね。

それと同じように、一方的に話を聞き出すだけでは、「仕事だから聞いているだけ」と思われて、相手は殻に閉じこもってしまいます。相手の心の闇を理解して、何に苦しみ何に悩んでいるのかを考えながら、慎重に話を進めていく必要があります。麻薬を使用した犯罪者と話しているという気持ちを持っていると、麻薬使用者のサポートはできません。どうすれば公正できるのか、どうすれば助けてあげられるのかという目線で、親身になって話し相手になれる人が、麻薬取締官に向いているでしょう。

薬学や法学に興味がある人

麻薬取締官は、麻薬を専門的に取り扱う仕事のため、薬学の知識は欠かせません。また、麻薬に関して捜査権や逮捕権を持って警察官のような業務を行うため、法学の知識も必要です。

「人の役に立ちたい」という志は何よりも大切ですが、気持ちだけで目指せる仕事ではありません。麻薬取締官に興味があるならば、高校生の今のうちから薬学や法学の知識に積極的に触れられる人が望ましいです。まずは、麻薬などの危険ドラッグがどれほど危険なものなのか、どのように体に危険を及ぼすのかなどを調べるところから始めるといいですね。

麻薬取締官になるための資格とおすすめの学部

麻薬取締官を目指す大学生たち

麻薬取締官の仕事内容と、求められる人物像についてお伝えしてきました。ここからは、実際に麻薬取締官の職業に興味がある人のために、なるために必要な資格とおすすめの学部について紹介します。

麻薬取締官になるために必要な資格条件

麻薬取締官になるためには、以下のどちらかの資格条件に該当する必要があります。麻薬取締官は厚生労働省に勤めるため、国家公務員として働きます。そのため、国家公務員の採用試験に合格するか、薬剤師の免許取得が必要です。それぞれについて、詳しく解説していきます。

・国家公務員採用試験
麻薬取締官になるためには、国家公務員採用一般職試験の「行政」または「デジタル・電気・電子」に合格しなければなりません。国家公務員採用一般職試験には、大卒程度試験・高卒者試験・社会人試験があります。麻薬取締官を目指すには、大卒程度試験に合格する必要があります。

大卒程度試験では、以下の4つの試験が行われます。

  • 基礎能力試験
  • 専門試験
  • 一般論文試験
  • 人物試験

専門試験では、各区分に応じて必要な専門的知識に関する筆記試験が行われます。麻薬取締官を目指す場合、「行政」または「デジタル・電気・電子」に関する項目で専門試験を受けます。

・薬剤師免許取得
薬剤師の国家試験に合格した人は、国家公務員一般職試験を受けなくても麻薬取締官を目指せます。薬剤師の国家試験を受けるためには、6年制の薬学部の大学で学ぶ必要があります。

麻薬取締官は、危険ドラッグである麻薬を取り扱うため、薬学の知識が欠かせません。薬剤師免許を取得すれば、薬学に関する専門知識が得られます。実際、麻薬取締官となるために就職しても、最初のうちは薬学や法律に関する知識を身につけるための研修期間が設けられるくらいです。

国家公務員採用試験に合格すれば、必須の資格ではありません。しかし、薬剤師免許取得を目指して勉強しておけば、入職後に勉強が必要な薬学の知識を大学在中に身につけられますよ。

麻薬取締官の就職先とキャリアプラン

キャリアを積んでいく麻薬取締官

ここでは、麻薬取締官として実際に働く際の就職先と、キャリアプランについて詳しく解説していきますね。麻薬取締官はなるまでの道のりが長く、キャリアプランは幅広いものです。実際に働く時のことを想像しながら読んでみてください。

麻薬取締官の就職先

麻薬取締官は、厚生労働省の地方支分部局である地方厚生局にある麻薬取締部で勤務します。麻薬取締官として採用された後は、新規採用職員研修などを受けます。厚生労働省や法務省、人事院が主催する各種研修です。麻薬取締官は危険と隣合わせの仕事のため、研修では身の安全を守るための逮捕術や、拳銃の射撃訓練を行います。また、薬物の取締をする相手は日本人だけとは限りません。外国人の取締も行えるように、語学研修も行われます。

研修を終えて麻薬取締官として任命されると、調査総務課、捜査課、国際情報課、情報官、密輸対策官、鑑定官等のいずれかに配属されます。配属先は研修や採用時の面接の結果などで決められます。

麻薬取締官のキャリアプラン

麻薬取締官は、入社年次に応じてキャリアステップが用意されています。例えば捜査部門の場合、2~12年目で「係員クラス」、9~19年目で部下の育成を行う「係長クラス」、20年目以降で他機関との窓口となる「幹部クラス」、23年目以降で課内の取りまとめを行う「課長クラス」、「部長クラス」というように、年数に応じたキャリアプランが想定されます。

また、麻薬取締官は3~4年の頻度で転勤するのが特徴です。一つの場所でずっと経験を積んでいくのではなく、全国に配置されている麻薬取締部を転々としながら、違う土地ごとにさまざまな現場の経験を積んでいくようなイメージです。いろんな職場で仕事をしてみたい人にとっては、麻薬取締官のこのキャリアプランは楽しめるものかもしれません。

麻薬取締官がなぜ転勤が多いかというと、実は暴力団などの犯罪グループに顔を知られないようにするためなのです。麻薬取締官はおとり捜査も行うので、警察官よりも麻薬を取り扱う犯罪者との距離が近いんですよね。麻薬を取り扱う人たちは、裏でつながっていることもあるので、ずっと同じ土地をうろうろしていると、「あいつは麻薬取締官だぞ!」と目をつけられてしまいます。そうなると、捜査をしている段階でバレてしまって、捜査が失敗してしまいます。だから、麻薬取締官は3~4年の頻度で違う土地で働くのです。

他にも、麻薬取締官は警察庁や警視庁、財務省税関、都道府県庁、外務省などへ出向になるケースもあります。各出向先では、状況に応じた麻薬取締に関連する業務を行います。

インターネットが普及した現在は、麻薬などの危険ドラッグの使用や不正売買は以前よりも増えているのが現状です。昔は特定のルートがなければ購入できなかったものが、今では情報の入手経路が増えています。入手経路が多くなった分、麻薬取締官の捜査は年々難しくなっています。捜査が難航しやすいからこそ、今後も麻薬取締官は求められるでしょう。

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麻薬取締官の仕事内容や、麻薬取締官になるための方法について紹介しました。麻薬取締官の仕事は謎に包まれたものが多く、取り扱うものが危険ドラッグのため難しく感じられたかもしれません。一人でも多くの人が危険な麻薬の被害にあわないために、麻薬取締官は日々業務に取り組んでいます。

今回の記事を読んで、少しでも麻薬取締官の仕事に興味を持った人は、ぜひ「JOB-BIKI」で情報収集してみましょう。就職先検索に「厚生労働省」のキーワードで検索すれば、厚生労働省に就職した先輩の卒業大学が一覧で見られます。高校生の今のうちから情報収集して、麻薬取締官への理解を深めましょう。

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